かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『屋根裏のポムネンカ』 Na půdě aneb Kdo má dneska narozeniny
2009年 08月 09日 |
ワンダフル。暗い屋根裏のガラクタにキラキラな世界。

屋根裏の古いトランクの中で暮らすおもちゃたち。ある日、青い目の人形ポムネンカが悪の帝王フラヴァにさらわれてしまい・・・。鼻が鉛筆で耳はボタンの妖精シュブルト、マリオネットのクラソン、くまのムハ、の仲間たちがポムネンカを助けに行く。



素晴らしき、チェコアニメ。素晴らしき、人形アニメーション!ヤン・シュバンクマイエルもカレル・ゼマンもヘルミーナ・ティールロヴァーもイジー・トルンカも大好きさ。そして、イジー・バルタはどうだっけ?短編を何か観たかもしれないけど、実は何も観ていないかもしれない。というわけで、とても嬉しい、バルタのお久しぶりの新作公開&そして魅力的な特集上映の短編集!

d0029596_1461314.jpg期待どおりのステキな作品でありました。原語の台詞の感触も気になるし、時間的な都合で今回は順当に字幕版を鑑賞したのだけれど、これはもう一度観たいくらいなので、日本語吹替版を観にまた行ってもいいかなぁって思ってます。>吹替版訳担当者様

『恋愛睡眠のすすめ』 に登場する手芸・工作系の手作りグッズの数々にわくわくキューンとしたことを思い出した。あのセロファンの水に心うたれたの時みたいに、今度はセロファンでメラメラと燃える様子が表現されている炎に大感激。技術がめまぐるしく進歩して、精巧でシャープにクリアなCGアニメがあふれる昨今だからこそ、この何やら懐かしいような古めかしい手作り感に魅了されるばかりなの。その可愛さにウキウキしつつ、そのアイディアと想像力に感心。

パペットアニメの多くも他のドラマ映画と同様に、その虚構が直接の絶対現実世界を作っているのが普通なので、それがお人形でも粘土細工でも、物語世界の中ではお姫様の主人公であったりして、人形であるという事実には物語上は目を向けないのが常。それが本作においては、彼らは人間たちに使われなくなった屋根裏に片づけられた古いおもちゃたちである、という設定になっているのが二重に面白いところなのだ。私たち人間は、古びた人形やおもちゃたちを用済みの物として無下にしてしまったのに、実は彼らはこうやって毎日仲良く暮らしているなんていう構造になっていることがとびっきりステキなの。ガラクタの人形に生命が与えられるということが重層的な意味をもって響いてくる。

悪者にさらわれた女の子を、仲間たちが結束して助け出すという物語のあらすじはいたってシンプルで、小さな子どもたちも楽しめそうな感じだし。そして、大人の私たちは、ストーリーがどうのなんてことは二の次で、アイディアと表現力の豊かさを思う存分楽しむのだ。キャラクターの人形アニメばかりでなくて、手描きの描画に描かれた背景の人物も登場したりと、型にはまらない自由な世界になっているのが楽しい。そして、チェコアニメではお馴染みの実写映画との融合、動かないポムネンカを見つける人間の女の子の登場がテーマを浮き彫りにするポイントだったり。童心にかえってラブリーな者たちの挙動にワクワクしたり、大人の視点でイマジネーションの力に感動したり、とっても幸せな気分になったよ。


[PR]
by CaeRu_noix | 2009-08-09 14:05 | CINEMAレヴュー | Trackback(6) | Comments(10)
トラックバックURL : http://latchodrom.exblog.jp/tb/10083503
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from 映画通の部屋 at 2009-08-09 20:33
タイトル : 屋根裏のポムネンカ
「屋根裏のポムネンカ」NA PUDE ANEB KDO MA DNESKA NA... more
Tracked from いとし・こいし ~いとし.. at 2009-08-19 21:28
タイトル : 屋根裏のポムネンカ
屋根裏のポムネンカ  8月1日(土)@渋谷ユーロスペース 原題:Na p?d? aneb Kdo m? dneska narozeniny? / In the Attic  なんでこんなに、優しくって温もりのある映像なんだろう かくかく、かたかた、ぎこちない動きを見てるだけでも きゅーんっと胸... more
Tracked from 〜青いそよ風が吹く街角〜 at 2009-08-20 00:17
タイトル : *『屋根裏のポムネンカ』* ※ネタバレ有
2009年:日本+チェコ+スロヴァキア映画、イジー・バルタ監督・脚本・美術。... more
Tracked from レザボアCATs at 2009-08-20 00:35
タイトル : 屋根裏のポムネンカ ▲118
'09年、日本・チェコ・スロバキア原題:In the Attic監督・美術:イジー・バルタ製作:ミロスラフ・シュミットマイエル脚本:エドガル・ドゥトカ、イジー・バルタ撮影:イバン・ビート編集:ルツィエ・ハラモバー音楽:マレク・ムシル屋根裏のポムネンカ。原題はシンプルに&l...... more
Tracked from SGA屋物語紹介所 at 2009-08-31 12:55
タイトル : 毎日が誕生日 イジー・バルタ 『屋根裏のポムネンカ』
♪ぽーむぽむぽむポムネンカ まん丸目玉のお人形 本日はチェコアニメ最後の巨匠(な... more
Tracked from ダイターンクラッシュ!! at 2009-09-08 01:53
タイトル : 屋根裏のポムネンカ
2009年9月7日(月) 17:20~ ユーロスペース1 料金:1200円(会員料金) パンフレット:600円(極小。買っていない) 『屋根裏のポムネンカ』公式サイト チェコの人形アニメ。 屋根裏に放置されたおもちゃたちのナイト・ミュージアム。人間は出てくるが、ほんの少しであり、物語に絡まないのだけど。 仲良し4人組のうちの姫ポムネンカ(普通の少女人形)が、悪の帝王フラヴァー(ハナ肇式。これは黒塗りの人間が演じていると思われる。)に攫われる。変な粘土細工とマリオネットおっさんとテディベアみたいな...... more
Commented by きおっきー at 2009-08-09 19:07 x
字幕版ももちろん素晴らしいですよね! そうなんです、吹き替え版は朝一番(というか昼にかかる中途半端な時間)だから都合が合いにくいですよねー。いいんです、いいんです、字幕でも何でも見ていただいて気に入っていただいて、それがとてもうれしいです!

字幕版(原音が聞けること)にかなわないなーと思うのは、クラソンのセリフです。ステキに韻を踏んでるんですよね。吹き替え版でも頑張ったけど、なかなか、原音ほどにはいきません。あとまあ、ぶっちゃけ、声優初挑戦の女優さんは、他の声優さんとは声の厚みが違うのが気になります。でも吹き替え版も本当に素晴らしいですよ(自画自賛)。もろもろ都合がつけばぜひ!
Commented by となひょう at 2009-08-09 20:38 x
かえるさん、こんにちは~
バーダー・マインホフで、参考にさせて頂いたので、文中リンクさせて頂きました。(「頂き」が多くなってしまいました)
でもって、こちらにお邪魔します!
とっても愛らしく温かい作品でしたねー
人間から見るとガラクタな子たちでも、当人たちは何とも思っていなくて。
寧ろ、元気一杯に過ごしている姿にパワーをたくさんもらえた気分です。
私も、字幕版での鑑賞でした。
声優さん達の声は、どちらかと言うと年配な印象だったので。
よく知っている人が担当する吹替え版だと、また違った楽しみ方ができそうな気もしたりなんかして。
それと、ユーロスペースの壁に貼られたチラシを眺めるのが好きです。
見てない作品も多いのですが、素敵な時間潰しができる感じで。
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-10 00:34
きおっきー さん♪
吹替版を観る気満々だったのに、1日1回初回のみと知って、あっさり字幕版を観ちゃった不義理者でごめんなさいー。
チェコ語の響きは好きなので元の音声も聴きたいと思うのも本当で。
そうか、そんなに韻を踏んでいたんですねー。
字幕でだじゃれ風?になっていたところもありましたもんね。
吹替だとその語呂がより一層難しいんでしょうねー。
そうなの。アニメの吹替声優っていうと、実力重視じゃなくて、お笑い芸人だのタレントだのが使われがちなのもネックで、ポムの声をあてているタレントさんがちょい不安材料でした。サノシローさんには興味津々。
でも、そう、オリジナルのポムネンカの声がイメージより落ち着いた感じだったので、日本の若手タレントちゃんの声だと、弾んだ感じになって案外と合うかもーって思えたりもしました。
というわけで、『九月に降る風』と入れ替えにならずに、8月の終わり頃にも上映がまだあったら吹替版を観たいでーす。
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-10 00:44
となひょう さん♪
チェコアニメはダークでシュールなのがウリだったりもするんですが、これはだいぶメルヘン度が高くって、とことんラブリーでしたよねー。
それでいて、可愛らしさで100%じゃなくて、やっぱりチェコならではのダークさがそこかしこにあるんですよね。
あいつらは役に立たなくなった古いガラクタだっていうのはあくまでも欲深く贅沢なブンメイ社会を生きている人間の尺度に過ぎないんですよねぇ。
イマドキの子どもはもちろん、自分が子どもの頃にしたって、すぐに一つのおもちゃに飽きて、物を粗末にしていた気がしますから。
軸のストーリーはシンプルだけど、そんなことに気づかされたりもして味わいがありましたよねー。
あ、私もシュブルトが一番気に入りましたよー。
吹替版も超オススメです。(笑)

ユーロスペースには、ぜひぜひしょっちゅう足を運んでくださいましー。
私は貼ってあるあのちらしを眺めると、自分が劇場鑑賞していない傑作がいつくもあることに気づいて、悔しさでいっぱいになるので、あまりステキな気分になれません。w
ユーロに行ったなら、『不灯港』もついでに観てほしかったわん。
Commented by こべに at 2009-08-19 21:56 x
こんばんは!かえるさん☆
遅くなりもうしわけありませぬ・・・。

お盆そわの時期は過ぎてしまいましたが
夏バテなどしていませんか?
ワタシはすっかり夏に完敗でございます(あせ)

ポムネンカの上映はとっても楽しみにしておりました。
チェコアニメわくわく!胸締め付けられて涙してしまったり
と心が忙しくて仕方なかったです。

にしても、かえるさんのレビューは凄いなぁー。
そうそうそうだった、そうだったなー
型にはまらない自由な世界でしたね
次から次へと目を楽しませてくれましたよね。

今度はじっくりじーっくりと細かい部分を見てみたいでっす。

イジー・バルタ短篇集も観にいきたいけど9時からなので
うーむ、と悩み中・・・。




Commented by BC at 2009-08-20 00:22 x
かえるさん、こんばんは。

私も字幕版を観ました。
確かに『恋愛睡眠のすすめ』に通じるようなメルヘンな雰囲気で
図工のようなハンドメイド感がありましたね♪

屋根裏であっても人形達は夢や冒険に満ちていて
生き生きと暮らしているのが素晴らしいと思いました。(*^-^*
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-20 00:43
こべに さん♪
夏に乾杯です。今日はイタリア・ワインー。
春夏秋冬乾杯なんですがー。
こべにさんは体調よろしくないのでしょうか。
ご自愛くださいませー。
今年の夏はそれほど暑くないのが救いです。
でも、いつも映画館の冷房にはやられがちー。

こべにさんのミルミル映画、ポムネンカが筆頭にあがっていたので嬉しかったっす。
チェコアニメはすっばらしいですよねー。
ハリウッドものはよくできているし、どれもそれなりに面白いんだけど、それなりなものも多くて。
チェコものは、いわゆる面白さというのは少なめなんだけど、心の奥に響く温かな感銘があるんですよねぇー。
物語なんていうものはどれもにたりよったりなので、物語の筋書きよりか、浮かびあがるテーマとアイディアがひたすら感銘ポイントなんですー。
本当に、じーっくり細部を観察したいですよね。

短篇集はBプロがかなり傑作揃いな感じなので、お時間がゆるしましたら是非にー
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-20 00:50
BC さん♪
関西でもやはり吹替版は上映回数少なめだったのでしょうかー。

セロファンですぐさま恋愛睡眠のことを思い出しましたよ。
炎のメラメラがセロファンで表現されているところはすごく感動しましたよ。
ハンドメイドな味わいがいいですよねー。

彼らが睦まじく暮らしている姿からして、キューンでしたよねー。
私たち人間は全然気づいていないけど、みんな屋根裏や物置やおもちゃ箱の中で、楽しく暮らしているのかもしれないなーって空想の世界が広がるばかりー。
新しもの好きで飽きっぽい物欲まみれの現代人の生活習慣を反省したり、子ども向けとは一蹴できない奥深さがよかったですね。
Commented by SGA屋伍一 at 2009-08-31 12:52 x
とても素晴らしき作品でありましたー 
最初から最後まで一軒のおうちの中でおさまっている話なのに、スケールに無限の広がりを見せてくれるところがワンダフルでした
個性豊かなキャラたちもまたしかり。脇のキャラではそれなりに一生懸命トコトコとついていくゲームのコマさんたちが気に入っております

バルタ傑作集も見たかったのですがレイトオンリーというのは地方者には時間的に厳しく(T T)
涙を呑んで諦めました。代わりにこちらで勉強しようかと思ってます
 
ttp://www.ks-cinema.com/movie/cesko2009.html
(直リンするとスパムとみなされてしまうようなので、頭のh抜いてあります)
さて、見にいけるかな・・・

『ウォレスとグルミット』はスルーですか?
Commented by CaeRu_noix at 2009-09-01 00:39
SGA屋伍一 さん♪
わざわざ遠征していただいた甲斐がありましたねー。
全てはおうちの中でおこっていることなのに、その舞台の空間的な広がりはホントに果てしなかったですよねー。
サマーウォーズの設定と対比させてもまた面白いですよねー。
そうそう、コマな奴らの存在もいちいち楽しかったですー。
そこらへんにあるようなちょっとした物がみんな命を吹き込まれて活動しちゃっているのが何ともステキ。
可愛くメルヘンしながらも、虫系キャラの存在感などもポイントで、ダークさがたまらないー

バルタの短編もまた素晴らしいので、機会ありましたらどうぞー。
短編はシュバンク・マイエルよりツボかも。
K'sのチェコアニメ特集は、傑作選といいつつ、バルタやカレル・ゼマンやティールロヴァーがなかったり。
可愛い系が多めだったりと若干偏りが感じられるのですがどうでしょうね。

『ウォレスとグルミット』は前作がさほど楽しめなかったものですから・・・。
人間と犬ものは今月はもういいやーってのもありましたし。
人間とペットが主人公系は本当にもういいやって感じで、ガラクタ、マネキン、球体関節人形ものなら歓迎。
<< 『エル・カンタンテ』 PageTop 8月7、8日の公開映画ちぇーっくなど >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon