かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~』
2009年 08月 25日 |
レコードが回り、音楽と人々の魂をのせて地球は回る。

1947年、シカゴの黒人街でクラブを経営していたポーランド系移民レナード・チェスは、ギタリストのマディ・ウォーターズとハーモニカ奏者のリトル・ウォルターにブルースバンドを結成させ、チェス・レコードを立ち上げる。



音楽映画にはアメリカの魅力があふれている。移り変わって過去のものとなった時代のきらめきに思いを馳せるのと同時に、その伝統を受け継いで今もなお輝いているもの捉えることができるのだ。GM社は経営破綻しようとも、アメリカン・ドリームの象徴であったキャデラックは、スクリーンの中でどっしりとゴージャスなカッコよさを見せてくれるし。音楽ビジネスには浮き沈みがり、音楽にだって流行りすたりがあるから、一つの栄光が続くことはなく、全ては変貌をし続ける。だけど、形を変えながら音楽そのものは色あせることなく、かけがえのないものとして歴史を紡いでいくのだよね。そんなことをしみじみと感じるさせる興味深くもゴキゲンな音楽映画なのだ!

私はこれまで、マーティン・スコセッシ製作総指揮のもとに作られたドキュメンタリー集“THE BLUES Movie Project”の中の3本程を鑑賞した。チェス・レコードについて語られていた『ゴッドファーザー&サン』も数年前に観たはずなのに、愚かなことに、チェス兄弟のことなどは何も記憶に残っていなかった。LIVE収録がメインになっている音楽ドキュメンタリーはインパクトのあるものも多いけれど、音楽やアーティストの歴史をなぞる場合は、どうやら観客の私たちにとってはフィクションの方が圧倒的な印象を残すものだっていうことを実感。だって、もう今度はもう簡単にチェス・レコードのことは忘れないと思うもの。エイドリアン・ブロディやジェフリー・ライトの姿と共に、ビヨンセの歌声、エキサイティングな音楽シーンと共に、そのシカゴ・ブルースの名門レーベルのことを記憶にとどめることができるだろう。

人種差別はいけないという以上は、人種で括って何かを語ることもひょっとして正しくはないのかもしれないけれど、いつだって、アフリカ系の人たちの身体能力、リズム感のよさやパワフルな声量には感動せずにはいられない。社会に人種差別が幅を利かせていた頃であろうとも、彼らの素晴らしき才能を埋もれさせちゃうのはひたすらもったいないって思う。だから、白人のチェスが彼らの音楽を売り出すことにしたこの実話には心動かされるの。根本にあったのはビジネスの成功を目論む野心に過ぎなかったのだとしても、いい音楽を愛して広めようという思いが、差別と偏見をものともせずに花開いていったことはステキ。人種を区切っていたLIVE会場のロープが、人々の音楽に対する熱狂によって、ごく自然に越えられたのが嬉しいね。

車のモデルチェンジはビジネス的戦略のもとで行われるものなのと違い、音楽にもビジネスは絡んでいるとはいえ、音楽は生きものであって、その変貌はもっと運命的にドラマチックなんだよね。ハードよりソフトだっていう話ではないのだけれど。ブルースからロックが生まれたその瞬間がそこにあるっていうのが楽しくて。ローリング・ストーンズもチェス・レコードのサウンドに憧れていたのだ。若きミュージシャンも皆、誰かに影響されて、それをアレンジしながら新しい音楽を生み出す。型にはまらずに、柔軟にクロスオーバーし、かけがえのないものであり続ける。チェス・レーベルの歴史とそれを取り巻く人々の物語を味わいながら、変わっていくものと普遍的なものについても噛みしめるのであった。ブルース、最高。
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by CaeRu_noix | 2009-08-25 07:16 | CINEMAレヴュー | Trackback(14) | Comments(8)
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Tracked from レザボアCATs at 2009-08-25 08:10
タイトル : キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語..
'08年、アメリカ原題:Cadillac Records監督・脚本:ダーネル・マーティン製作:アンドリュー・ラック、ソフィア・ソンダーバン製作総指揮:ビヨンセ・ノウルズ、マーク・レビン撮影:アナスタス・ミコス美術:リンダ・バートン編集:ピーター・C・フランク音楽:テレンス・....... more
Tracked from LOVE Cinemas.. at 2009-08-25 19:51
タイトル : キャデラック・レコード ?音楽でアメリカを変えた人々の物語?
シカゴの伝説的レコードレーベル・「チェス・レコード」の盛衰を描いたドラマ。主演は『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディ。共演に『007 慰めの報酬』のフィリックス・レイター、魅惑の歌姫ビヨンセ・ノウルズ、『僕らのミライへ逆回転』のモス・デフ。ビヨンセは自ら製作総指揮も務めている。ちなみに劇中の曲は、実際にキャスト自らの演奏だとのこと。... more
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タイトル : 『キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物..
原題:CADILLACRECORDS監督・脚本:ダーネル・マーティン出演:エイドリアン・ブロディ、ジェフリー・ライト、ビヨンセ・ノウルズ、コロンバス・ショート、モス・デフ鑑賞劇場 : 恵比寿ガーデンシネマ公式サイトはこちら。<Story>1947年のシカゴ。バーのオーナ...... more
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2009年8月29日(土) 20:50~ チネグランデ 料金:1200円(レイトショー料金) パンフレット:700円(買っていない) 『キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語』公式サイト キャデラック・レコードという会社ではない。チェス・レコードという会社。 レコードが売れると社長がキャデラックをプレゼントしていた。成功の象徴なんだろう。 サクセス・ストーリーのようであるが、「ドリーム・ガールズ」のような派手なドラマはない。 実在のミュージシャンが複数、時系列に出てくるので、中...... more
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 「キャデラック・レコード」を恵比寿ガーデン・シネマで見ました。  精神科医・樺沢氏によるメルマガ「シカゴ発 映画の精神分析」第342号(9月2日)に、「音楽映画としても非常に完成度が高いので、社会的なテーマを抜きにしても、純粋に音楽に感動し、物語に共感できる」とあり、「私の場合、映画が終わってから、3分くらい涙が止まらなかった」とまで述べられていたこともあって見にいってきました。  実際にこの映画を見てみると、50年〜60年代にかけてブルースからロックへアメリカ音楽が拡大していった時代を、それに...... more
Tracked from サーカスな日々 at 2010-04-05 03:27
タイトル : mini review 10449「キャデラック・レコー..
1950年代のシカゴを中心に、伝説的なレコード・レーベル、チェス・レコードと所属アーティストたちの盛衰を描く実話ドラマ。監督は『彼らの目は神を見ていた』のダーネル・マーティン。チェス・レコードを立ち上げたレナード・チェスをエイドリアン・ブロディ、グラミー賞受賞シンガー、エタ・ジェイムズをビヨンセが演じている。偉大なミュージシャンたちの波乱に満ちた半生と、彼らを熱演した出演陣から目が離せない。[もっと詳しく] シカゴ・ブルースから発せられる音楽樹の系統を思う。 シカゴ・ブルースに関しては、僕の場合...... more
Tracked from 映画大好き BLOG at 2010-06-08 19:10
タイトル : キャデラックレコード
 〜〜ネタばれ鑑賞日:6月7日実は、映画のタイトルだけ見てもう少しコメディよりな作品だと勝手に思っていたんですが、「キャデラックレコード」実話をもとにした映画だったんですね。当時のアメリカ黒人の生活がありありと描かれていました。1941年、白人による黒人差別が当たり前のようにあった時代。特に差別のひどかったアメリカ南部。白人の農園主が黒人を奴隷として働かせている。この農園のことなんて言ったけ?考えたんですが思い出せなかったので少し農園について調べてみることにしました。検索をかけるとす...... more
Commented by とらねこ at 2009-08-26 11:49 x
かえるさん、こんにちは~♪
かえるさんの「ブルース最高」って言葉が、嬉しくてしょうがない私です~☆本当、音楽があまりにカッコ良くて・・・もう、熱狂してしまいました!心の奥がムギューって熱くなるのがシカゴブルースの濃さなんですよね~!
へえ、スコセッシの『ファーザー&サン』は、チェスレーベルなんかも取り扱っている、ブルースのドキュメンタリーなんですね。
私はこれまで、ジョニー・ウィンターやBBキング、ロリー・ギャラガーなんかの出てくるライブ映像や、特に大きいブルースの祭典モノなんかは結構見てます。が、ドキュメンタリーって自分はあまり着目してませんでした。
特にこないだの『ストーンズ シャイン・ア・ライト』の後だと、スコセッシの作るものには心惹かれるものがありますー。見つけたら是非見てみよう、と思います。かえるさん、有用な情報をありがとうございます~♪

ここでもキャデラックが印象深い使われ方をしていたんですよね。車のモデルチェンジと同様に、いつしかオールドスタイルになってしまっていた時代・・・。
でも音楽はずっと残りますよね!
Commented by rose_chocolat at 2009-08-26 19:42 x
こんばんは~。
音楽は好きだし、だから音楽映画も基本的に好きだし、これも自然に観たい流れになってました。
かえるさんはお詳しいようですね!

黒人が、そのルーツを訴えたくて生まれたブルースだからこそ、魂を感じることができるのだと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-27 01:02
とらねこ さん♪
ブルース最高でしたよねー
ロックロックしたものよりも、ブラック・ミュージックの括りの音楽が好き。
しょっちゅう言っている通り、多くのメジャー映画がやたらにオーケストラのシンフォニックな楽曲を使うのが私は本当にイヤで・・・。だから、こういうサウンドをめいっぱい劇場体験できることは至福。
http://www.playtown.org/2004/THEBLUES_PROJECT/blues.html
↑「ブルース・ムービー・プロジェクト」の7本のドキュメンタリーは監督がそれぞれに違うのですよ。『ゴッドファーザー&サン』の監督はスコセッシではなく、その監督を務めたマーク・レヴィンは、本作キャデラック~の製作総指揮なんですね!
ドキュメンタリーはちと退屈だったような記憶もあるんだけど、本作を観た今ならもっと楽しめるだろうし、ブルースの名アーティストたちの音楽を聴いていたとらねこさんなら充分に楽しめるかもー
車も音楽もその時代ならではのものだけど、車は物質なのでいつかは遺物になってしまうんですよね。でも音楽は、オリジナルだって音源が残っていれば再生可能だし、オリジナルではないものなら同じ曲を演奏することはいくらでも可能だったり。
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-27 01:12
rose_chocolat さん♪
音楽映画は劇場鑑賞必須ですよねー。
私は、音楽にはあまり詳しくなくて、好きなのだけど、アーティスト名や曲名をインプットすることが得意じゃなくて、知識にならないんですよね・・・。
でも、こういう音楽映画があるおかげで、ミュージシャンの名前やレーベルのことをしっかり知り得ることもできちゃうわけで。
もちろん、知ることなんて二の次で、音楽を聴くことをまずは楽しんじゃうんですけどねー。

心の叫びを訴えた音楽は心に染みますよねー。
音楽のための音楽ではなく、もっと純粋な表現であるものの方が魂を感じますよね。
だから、私はジプシー・ミュージックだとか、ラテン・ミュージックだとか、ゴスペル、ブルースの流れのものに強く心を揺さぶられる感じなのです。
そういえば、黒人音楽のルーツを辿る「ユッスー・ンドゥール 魂の帰郷」なども面白かったです。
Commented by sally at 2009-08-30 16:06 x
かえるさん、こんばんは♪♪♪(←しつこい)
音楽を描いてくれる映画っていいですよねー。表現したいものがあるからこそ、音楽に魅せられている人たちのドラマって魅力的なのかなーなんて思います。
だから、ザ・コミットメンツなんかのバンドものも好きな私です。^^
あのストーンズも影響を受けていたなんて、ほんとに流行を超えて音楽は繋がっている(むしろ、時代を繋げている?)ことに感慨深くなってしまうのでした。
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-30 21:53
sally さん♪
♪♪♪ 音楽映画はサイコーですよねー。
とあるジャンルの音楽史を追究するもよし。
作曲家やミュージシャン人生を描くもよし。
エキサイティングなLIVEツアーを追っかけるもよし。
パターンはいろいろですが、こんなふうに一つのレーベルを立ち上げた人々の物語として、ビジネスな部分と、音楽のスタイルの移り変わり、個人的な人間模様に、背景のアメリカの社会情勢まで見せてくれたので、とても見ごたえがありました。
映画が音楽で彩られているから、音楽映画は心踊るというのもあるんですが、おっしゃる通り、音楽に魅せられている人たちの情熱そのものがエネルギッシュだから、そのドラマも魅力あるものになるんですよねー。
バンド映画もいいですよねー。(余談ですが、『フェーム』はリメイクされるの? )
『愛より強い旅』の名台詞、「宗教は?」「音楽」-を本作鑑賞中に思い出しましたー。
音楽が僕らの世界を繋げているというのもまた事実ですよねー♪
Commented by しゅぺる&こぼる at 2009-10-01 21:17 x
いやっほう!!
ブルース最高っすよね。ジャズもジャジーなテイストも大好きなんだけど、最近はずっとずっとさかのぼったブルースが一番いいです。
「ドリームガール」のようなビヨンセを期待して観にいったらがっくりだろうなあ(苦笑)
男性陣がみなウィンクするところが渋かったな。
Commented by CaeRu_noix at 2009-10-02 01:10
しゅぺる&こぼる さん♪
これ、よかったですよねぇー。
ブルース最高ー。
アコースティックな音が一番ー。
「ドリームガールズ」は、なんといっても序盤のサウンドが大好きで、徐々に好みじゃない方向に音楽が変わり、終わってみたら、音楽映画にしてはお気に入り度が高くなかったのでした。
こちらは、変貌しつつもザッツ・ブルースだったから、終始嬉しく。
ドリガーのビヨンセってどんな感じだったのかすら憶えてないんですが、こちらのビヨは、すげー聴かせてくれましたよねー。
男たちもみーんな魅力的でしたー。きらめき時代ー
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