かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『陰獣』 Inju, la Bete dans l'Ombre
2009年 09月 04日 |
ヒロインの大胆衣装シーンより、ブノワの日本語台詞が印象的。

日本の作家、大江春泥を敬愛するフランスの推理小説家アレックスが、プロモーションのために来日。



アレックスが来日というか、ブノワたんがこの撮影のために3カ月半も日本に滞在していたのだってね。え、そんなにー。江戸川乱歩の原作で、めいっぱい日本で撮影して、キャストもスタッフも多くの日本人が参加した作品だというのに、我が国ではひそーりレイトショー上映とはどういうことなのさ。第66回ヴェネチア国際映画祭が開幕したわけだけど、本作は去年のヴェネチアのコンペティション部門出品作という品質のものなのに。

と、扱いはそんなものであるけれど、我らがブノワ・マジメルを主演に、バーベット・シュローダー監督が乱歩のミステリーを映像化したというのは興味深し。主人公をフランス人にかえてしまうのなら、川端康成の『眠れる美女』をドイツの物語にアレンジしたように、いっそのこと全面的におフランス映画にしてしまえばいいのにと思ったりもした。でも、きっと、京都が舞台でヒロインが芸妓という、ジャパネスクに妖艶な世界を描くというのは、やっぱり肝要なポイントだったに違いない。キモノ、ウツクシイデス。

しかし、ただでさえ、ラブ×サスペンスだの官能ミステリーっていうジャンルは、劇的過ぎで火サスチックに陳腐な味わいになりがちなのに、ガイジンさんが描いたジャポンとなると、日本人観客の目から見て、輪をかけてその傾向が強まるような・・・。なんていうことを予め危惧していたものだから、珍妙さは随所に感じつつも、それを含めて楽しみどころは富んでいたかな。妖しきミステリー世界に真剣にハマったとは言い難いけれど、ちゃんと面白いカンノーみすてりーだったよ。というか、官能的なシーンなんてものはほとんどなかったのだけれど。

話によると、このヒロインの仏在住モデルちゃんは演技経験もないそうなのに、オーディションに参加していた他の有名女優を押しのけての大抜擢をされたそうだとか。監督の好みだったのね。そんな監督の趣味に共感できて、このヒロインが魅力的に思えたなら、もっとこの物語を全体的に楽しむことができたのだろうけど。その点は予想通りで、好みの問題なのかなと思いつつ、スクリーンに映るこの彼女に、ファム・ファタール性を見出せなかったものだから、肝心な物語展開に説得力が感じられなかったんだよね。自分のブノワ贔屓を差し引いても、アレックスのようなイケメンで売れっ子のフランス人が、ちょろっと訪れた異国で、たまたま出会った図々しい芸妓に、本気でハマってしまうなんて、どうも不自然で。

この脚本だったら、ブノワ王子のような麗しい容貌のフランス人ではなくて、もっと見た目が冴えないオヤジが主人公の方がしっくりきたかもしれないな。そして、ヒロインのキャスティングについても、もっと誰が見ても納得できるような魅力を放つ日本女性だったらよかったなって何度も思った。でもね、キャスティングというか、途中、ものすごく不自然で疑問に感じていた、彼女のアレックスの頼り方については、最後には合点がいくことになったの。たまたま出会ったフランス人小説家に、そんな依頼をするなんて、どんだけ図々しいのさ!って首を傾げていたわけだけど、そちらに関しては、乱歩小説のオチで納得。さすがの乱歩ミステリーな面白さよ。
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by CaeRu_noix | 2009-09-04 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(1) | Comments(2)
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Tracked from 〜青いそよ風が吹く街角〜 at 2009-10-18 17:31
タイトル : ■『陰獣』■ ※ネタバレ有
2008年:フランス映画、江戸川乱歩原作、バーベット・シュローダー監督、ブノワ・マジメル、源利華、石橋凌、西村和彦、藤村志保、菅田俊共演。 ≪【駅ビルシネマ姉妹都市映画祭】プレミア上映にて観賞≫... more
Commented by BC at 2009-10-18 17:36 x
かえるさん、こんばんは。

ブノワたんは3カ月半の日本滞在のほとんどは京都に滞在していたのかな。

仏在住モデルちゃんは踊りも京都弁(日本語)もぎこちなかったし、
ファムファタール的な妖艶さや色っぽさはなかったですね。。。

原作の設定は大幅にアレンジされてはいたけど、
乱歩ミステリーならではのゾクッとさせるテイストは維持されていましたね。
Commented by CaeRu_noix at 2009-10-19 00:34
BC さん♪
ぼんそわーる。
ブノワたんったら、そーんなに長い間日本に滞在していたなんてビックリですよねー。
撮影はほとんど金沢あたりだったみたいなので、主にそこにいたのかな?
でも、京都に行ったり、東京に遊びに来たりなんてこともしていたのでしょうか??
そんなに長くいらっしゃったなら、一度くらい顔を見せてほしかったですよねぇー。(どこに?)

シュローダー監督から見るとこのヒロインちゃんは魅力的だったのかもしれないけど、日本人な私たちの目から見ると、ちょっとミスキャストな感じでしたよねぇ。
ある種の妖しさは体現されていたけど、ファムファタール的存在感は足りなかったかなぁって・・・。

21世紀にこの物語を映像化しちゃうと、ビミョウに陳腐な香りがしたりはしましたが、乱歩ワールドならではのアヤシイ雰囲気はあふれていたと思いますー。
原作を読んでない私は、ちゃんとオチにも膝をうちましたしー。
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