かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』 Crossing Over
2009年 10月 12日 |
ジム・スタージェスの歌が聴けたのもよかったな。

ロサンゼルス、移民・関税執行局(I.C.E.)のベテラン捜査官マックス・ブローガンは、不法滞在の移民たちを取り締まる毎日を送っていた。



な、なんなんだこの邦題は?!ハリソン・フォード主演でこのタイトルだから、てっきりアクション映画かと思っていたよ。ハリソン・フォード主演のアクション映画なのに単館上映ってことは出来もイマイチなのかなと見送ってしまうところだったじゃない。が、実は移民たちの群像劇であるということを知り得て、それならば私の好きなジャンルであると遅ればせながら鑑賞。移民たちの境遇から捉えた現代のアメリカがシビアに描き出された見ごたえのある群像劇でありました。多数の人種がひしめき合って暮らすLAが舞台ということもあって、『クラッシュ』を彷彿とさせるカンジ。

移民の国、アメリカ。昔も今も、その自由の国、新天地を目指して、世界各国からひっきりなしに人々がやって来る。ところが、その国の態勢はかつてとは異なり、9.11以降は移民の取り締まりの厳しさが顕著になっているのであった。それは『扉をたたく人』に描かれていたことと同様に。不法移民に対してはもちろん、テロ防止という側面からも過剰と思えるほどの手厳しい処置がとられているようだ。アメリカでは移民の存在が当たり前過ぎて、これまではいちいちドラマにすらならないような印象もあったというのに、今や一つのテーマの上で問題視できるようなものになっていることがとても興味深いのだ。

移民で成り立っている国だからといって、みんながすぐさま100%のアメリカ人になれるわけでもなく、それぞれの不遇や困難に立ち向かわなければならないのだね。対社会ばかりではなく、自由の国へ行ってもなお、民族的因習や家族のしがらみという問題もまとわりつき続けるというのがドラマに厚みをもたせていた。同じ家族でも移民して来た者とアメリカで生まれた者とでは市民権に違いがあるということが、エピソードの中で語られていたりして、実に多様な角度から、彼らの置かれている状況を知り、考えることができるのだった。オーストラリア、メキシコ、韓国、イラン、バングラデシュ、南ア、世界各国からやって来た人々のそれぞれの物語。

先月、『アニエスの浜辺』の中で、若き日のカメラテストするハリソンの姿を見たばかりだったので、その彼がいつの間にやら、こんなにも年をとってしまったことに少し驚いた。何でも、彼が脚本に惚れこんで、初めて主演することになったメジャー系以外の映画なんだそう。そんなわけで、派手なアクションでの活躍はないけれど、日々の仕事を黙々とこなしながらも慈愛の心を垣間見せてくれる誠実なベテラン捜査官役がハマっていた、いぶし銀のハリソン・フォードの存在感は確かなものでありました。ここに描かれていたアメリカの現実は冷たくて厳しいものだけど、ブローガンのような人が1人でも多くいてくれるといいなって。

さすがにちょっとバングラディッシュ出身の彼女の学校での出来事とその処置は、現実的とは思えないほど悲劇に満ち満ちていた気がするけれど、脚本に盛り込まれたということは、あながちあり得ないことでもないということなんだろうか?クリフ・カーティスはイラン人には見えなくて、最初はてっきりインド人一家という設定なのかと思った。そんなイラン人一家の物語もちょっと必要以上に悲劇的な結末をむかえすぎという印象。一つ一つは運命的必然という感じでうまく描かれていても、群像劇として複数があるものだから、全体の印象が少しやり過ぎに思えてしまうことは残念。だけど、少し過剰なほどに、ドラマチックな悲劇性が目白押しだったからこそ、悲痛さに心は釘付けで、めいっぱい見ごたえを感じることができたのだと思う。
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by CaeRu_noix | 2009-10-12 23:59 | CINEMAレヴュー | Comments(2)
Commented by KLY at 2009-10-13 00:24 x
ですよねぇ。ハリソン・フォードでこのタイトル、私は[FBIとかCIAとかDIAとか色々あるから、またその一種の新しい組織の登場か?とか思って観にいっちゃいましたもん。全然内容違うし。(苦笑)
タズマリの事件は本当にあんなことあるんですかね。高々高校生の学校の作文発表でFBIが逮捕って…。映画だから極端にしたのかもですが、不法移民だからという理由なら何だかちょっと弱みを握っているから的な感じですこしやな感じです。9.11に関しては日本人が考えるよりずっとアメリカ人の心に傷をのこしたのでしょうから、一概に私の日本人的考え方が通用しないのは解るのですけど。
Commented by CaeRu_noix at 2009-10-14 09:53
KLY さん♪
最初は、『今そこにある危機』っぽい感じなのかと思ってましたー。
捜査官のハリソンといったら、とにかくアクション系ないめーじですよね。
でもそういう系ではなく、移民たちの群像劇と知ったから観に行ったクチなんですが、逆にアクションものだと思ったのに、邦題にだまされたっていう人もいるでしょうね。
タズマリの、作文で強制送還ってのはちょっと事実に基づいているとは思えなかったんですが、それほどにテロリストになりうる存在を危険視しているということではあるんでしょうね。
でも、やっぱり人権を侵害する極端なやり方は腹立たしいですね。
"傷"が原因というと何か正当化できちゃいそうな感じもありますけど、タズマリの件なんかは不当だと思えますー。
とめどなく受け入れているわけにはいかないのでどこかで線引きは必要なのでしょうけど、偏見と差別によるものはやはりちょっと・・・ですよね。
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