かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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「ドイツ映画祭2009」 鑑賞メモ
2009年 10月 19日 |
今年のドイツ映画祭では5本鑑賞ー。



会場がバルト9になってからは、上映作品数が減ったことが寂しくはあるのですが、私にとっては通いやすくなったかも。
そして、朝日ホールの時のお客さんも付いてきているのか何なのか、同じ会場のラテンビートよりもしっかり賑わっている印象。
シアター6が満席になる盛況ぶりー。


ファティ・アキンの『SOUL KITCHEN』 のレヴューは別記事にて

その他メモ

『ブッデンブローク家の人々』 Buddenbrooks

ハインリヒ・ブレレーア監督 Heinrich Breloer

―文豪トーマス・マン(1875-1955)が26歳の若さで発表した自伝的長編の映画化作品。マンが1929年にノーベル文学賞を受けた際にも、その根拠として『ブッデンブローク家の人々』が挙げられたこともよく知られている。19世紀なかばのハンザ都市リューベックを舞台に、隆盛を誇った名家ブッデンブローク一族が時代の変化とともに緩慢に没落していくさまが重厚に表現される。細部まで正確に再現された街並み、華麗な衣装、豪華俳優陣の香り高き文学映画。 

ドイツ映画で、舞踏会のシーンがあるようなコスプレ歴史劇を観る機会ってめったにないということをしみじみ思いながら、このゴージャスな文芸大作を堪能。街の活気、お屋敷に調度品、衣装の一つ一つが上質感があって素晴らしくて、とっても見ごたえあり。トーマス・マンの長い小説が原作なので、物語展開はもちろんドラマチックで面白いし。本当にメイクアップの技術がオミゴトだったのか、長い年月を通して、主人公たちが自然に年を重ねて見えたのがよかったな。くるくる回るダンスシーンも、長男の妻や息子による演奏シーンなんかも見どころ・聴きどころ。名家に生まれるのも楽じゃないのですね。


『赤い点』 Der rote Punkt

宮山麻里枝監督 

ヴェンダースら多くのすぐれた人材を輩出してきたミュンヒェン映画大学の最初の日本人学生のデビュー作。
東京の大学生、亜紀は一枚の地図に導かれて南独の田園地帯を訪ねる。地図に記された<赤い点>とは、18年前に彼女の家族が自動車事故にあった場所を示すものだった。

デビュー作なのだから、大目に見るべきなのか。でも、観客にとっては、『ブッデンブローク家の人々』もこちらもチケット代は同じなもので。ツッコミどころが多すぎてイラっとするばかり・・・。まさに赤点もの。真っ赤な汚点。ドイツの人たちが日本の若い女子はこんなに図々しくて非常識なのだと思わないことを祈ります。
いきなりドイツに1人で行くのはいいんだけど、目的地が決まっているのになんで宿泊予約をしていかないんだ。たまたま出会って泊めてくれた家の人が偶然にも・・・なんてあまりにも出来すぎだということはもはや勝手にしてくれていいんだけど、いきなりキッチン貸してくださいには目眩が・・・。梅干しや海苔は日本から持参?短い間にドイツ語リスニングがすっかりできているし。峰岸氏に「べっぴんさんになったね」なんてこっぱずかしい台詞を言わせないでくれよ。あのケバめなママがぼんぎり~ぼ~んぎり♪って歌うのも妙過ぎ。多くがヘン過ぎ・・・。


『冬の贈りもの』 Im Winter ein Jahr

カロリーネ・リンク監督 Caroline Link

『名もなきアフリカの地で』(01)でアカデミー外国語映画賞に輝いたカロリーネ・リンクが7年ぶりに世に送る待望の新作。
裕福な家庭の息子が自らの命を絶つが、周囲の誰にもその理由がわからない。事実を受け入れられない母は、ある画家に息子と娘の肖像画を依頼する。
09年ドイツ映画賞銀賞受賞。

遺された家族の心の傷と癒される過程を描いたドラマというのはよくあるものなんだけど、主人公のリリに寄り添ったエモーショナルな撮り方がとてもいい感じで、ついつい惹きこまれてしまった。彼女の感情の起伏の激しさや気まぐれさや負けん気の強さは共感に値するものでもないのに、心の奥底にある不安感はわかるし、とてもチャーミングな存在だなぁって。『名もなき~』は硬派に落ち着いたトーンの作品だった印象だけど、こちらは若い女の子が主人公の現代ものだけあって、躍動感のあるつくりになっているところが好みでした。「アリス」の稽古シーンも楽しかった。


『ドイツ2009 - 13人の作家による短編』 Deutschland 09 - 13 kurze Filme zur Lage der Nation

1968年の学生蜂起から40年、<ドイツの秋>から30年、<ベルリンの壁崩壊>から20年が経過した節目に当たるいま、トム・ティクヴァの呼びかけに応じ、映画界を代表する才能が結集し、。13人がそれぞれのスタイルで<現在のドイツ>を表現した。

・「最初の日」 Der erste Tag/アンゲラ・シャネレック監督Angela Schanelec
・「ヨシュア」 Joshua/ダニ・レヴィ監督Dany Levi
・「ムラート・クルナスという青年」Der Name Murrat Kurnaz/ファティ・アキン監督Fatih Akin
・「不滅の人々」 Die Unvollendete/ニコレット・クレプニッツ監督Nicolette Krebitz
・「不都合な状況」 Schieflage/ズィルケ・エンダース監督Sylke Enders
・「一緒に歩けない道」Den Weg, den wir nicht zusammen gehen/ドミニック・グラフ監督Dominik Graf
・「ドイツ的フォントへのこだわり」Fraktur/ハンス・シュタインビヒラー監督Hans Steinbichler
・「指針の時期に民主主義を学ぼう」Eine demokratische Gespra"chsstunde zu festgelegten Zeiten/イザベル・シュテーヴァー監督Isabelle Stever
・「危険分子」 Gefa"hrder/ハンス・ヴァインガルトナー監督Hans Weingartner
・「出張」 Feierlich reist/トム・ティクヴァ監督Tom Tykwer
・「ラムセス―セックス・バーの主が語る」Ramses/ロムアルド・カーマカー監督Romuald Karmakar
・「病気の館」 Krankes Haus/ヴォルフガング・ベッカー監督Wolfgang Becker
・「ドイチュラントという懐かしい響き 」Se'ance/クリストフ・ホーホホイスラー監督Christoph Hochha"usler

ドイツがテーマに指定されながら、それほどにそこに囚われていない題材のものが多い気がした。そんな自由さがポイントで、概ねどれも面白かったかな。ドイツらしく?社会派寄りのテーマのものが多かった印象。作品として気に入ったのは、テンポのいいトム・ティクヴァのグローバルな世界の物語など。ウルリケとスーザンが出てきた「不滅の人々」の味わいも好きだったな。ヴォルフガング・ベッカーの経済ついての病院物語も面白かった。「危険分子」には身震い。「ラムセス」も印象深いし。
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by CaeRu_noix | 2009-10-19 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(4) | Comments(2)
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Commented by HIDAMARI at 2009-10-24 21:35 x
こんにちは。

はい。お金を払って見たのできっちり……しかも3回連載で文句を書きました。重箱の隅と言われても構いません。それでつぶれるならその程度の力量です。

一応お仲間がもう一人だけw

拾う神様というブログの“ドイツ映画祭の五本”というものです。
Commented by CaeRu_noix at 2009-10-25 13:55
HIDAMARI さん♪
訪問ありがとうございます。
そうなんですよ。観たのが別の機会だったらまだよかったんですけどね。せっかくのドイツ映画祭なのに、新作の数はたった6作だというのに、たまたま初の日本人というだけで、これが映画祭の上映作の1本になったのはガッカリです。いくらでも他に日本人の映画ファンが観て楽しめるドイツ映画があったでしょうに・・・。
HIDAMARI さんの記事を拝見しましたが、ツッコみポイントは全く同感。成瀬の『めし』の原節子の米の研ぎ方を見よ!と彼女に言いたくなりました。あんな手際なのに卵焼きはやけにきれいに焼かれていましたし。梅干しと海苔と米は持参したとして、卵はどうしたのでしょう?まさかキッチン借りるついでに卵も拝借?
空港で別れ際直前に「俺はお前の何なんだ」とか言っちゃう男もすごくヘンだったし。
主役の子はパッチリお目目なのに、実の両親の目は細め小さめだったのもまた変で、たったあれだけの出演なんだから、雰囲気似ている人探せばいいのにって思いました。監督の友人かなんかかしら・・・
いつもはストーリーなんてどうだっていいと思っている私ですが、これだけ不自然だと見過ごせなくなりますよねー。
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