かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『私の中のあなた』 My Sister's Keeper
2009年 10月 30日 |
そういえば、デプレシャンの『クリスマス・ストーリー』の出だしもこんなエピソードだったな。骨髄移植を受けさせる為にもうけられた次男がいて。フランス映画のあちらは憎悪混じりの大人向けの家族の物語で、こちらはやはりシネコン向けのキレイにまとまったヒューマン・ドラマなんだけどね。



アメリカの人気作家ジョディ・ピコーの同名小説を映画化。

難病ものっていうのは好きじゃないんだけどね。ただの可哀想ドラマだったらあえて見たくはないのだけど、ここには興味深いテーマが取り上げられていた。我が子の命を救うために別の我が子に犠牲を強いるということをしてしまった家族の物語。親の立場だったならどうすべきか、アナの立場だったらどう思うか、ケイトだったならどうだろう・・・と何とも難しい問題提起がされているところが大いなる見どころ。白血病の姉ケイトに臓器を提供するドナーとして、遺伝子操作によってこの世に生まれた11歳の妹アナが両親を相手に訴訟を起こすという複雑な状況にとても興味を引かれた。

という切り口をポイントにして鑑賞を始めた私だったので、後半の展開には、理性的には残念な部分もあったかな。もちろん、きみ読むの監督が、キャメロン・ディアスとアビゲイルちゃんを主演にしたハリウッド映画なのだから、考えさせる映画というよりは、心温まる感動作になっているであろうことはわかりきっていたのだけど。途中までは、家族の問題と合わせて、生命倫理についてをシビアに考えさせられる映画であったことが魅力だったの。

と頭の中では考えながらも、感情はゆさぶられっぱなし。良くも悪くも、ひたすら泣ける映画になっていた。問答無用の難病ものパワー。まっしぐら過ぎるキャメロン-サラは母としてどうなのよ、っていうことを考える余地も与えられないままに、ただひたすらケイトのひたむきさに、屈託のない笑顔に、家族の互いへの思いやりに涙腺を刺激されるばかり。ケイトの苦しさが不憫で涙し、姉妹の思いやりあふれる温かな関係性に感激しては涙。泣ける泣けるー。

そんなわけで、感動のヒューマンドラマとしては大いに堪能。でも、その感情が解放されると、やっぱり少し残念な思いが残った。せっかくの鋭い問題提起が、家族愛に満ちた良い子たちの美談によって曖昧になってしまった感じなんだもん。いえ、サラをメインで考えれば、自身の信念をもとにケイトのためだけにがむしゃらに突っ走ってきて周りが見えていなかった母が、物事の別の見方や子どもたちの本当の思いに気づくという段階を踏んだわけだから、それで充分なのかもしれないけど。レシピエントがとことん生を望み、ドナーがそれを快く受け入れられない場合について、考えるということもしてみたかったりして。

ニック・カサヴェテスが、『ジョンQ 最後の決断』の監督だったことを思うと、本作が裕福な家庭ならではの物語として美しくまとまっていることもちょっと寂しい。べんごしかー。
[PR]
by CaeRu_noix | 2009-10-30 20:41 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(4)
トラックバックURL : http://latchodrom.exblog.jp/tb/10399162
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from だらだら無気力ブログ at 2009-11-03 01:29
タイトル : 私の中のあなた
アメリカのベスト小説を『きみに読む物語』の監督が映画化。 白血病の姉のドナーとなるべく遺伝子操作の末に生れてきた妹が、姉への ドナーとしての医療行為を拒否するために両親を相手に訴訟を起こしたこと から起きた騒動を通じ、家族それぞれの葛藤やあり方や命の尊厳を..... more
Tracked from C'est joli〜こ.. at 2009-11-07 21:22
タイトル : 私の中のあなた
私の中のあなた’09:米 ◆原題:MY SISTER'S KEEPER◆監督: ニック・カサヴェテス「きみに読む物語」◆出演: キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、アレック・ボールドウィン、ジェイソン・パトリック、ソフィア・ヴァジリーヴァ、ジョーン・キューザック ....... more
Tracked from 映画的・絵画的・音楽的 at 2009-11-25 05:03
タイトル : 私の中のあなた
 「私の中のあなた」を有楽町の「TOHO シネマズ 日劇」に行って見てきました。  予告編からすれば、お定まりの感動もの(若い子が不治の病で死を迎えるというよくあるストーリー)だからわざわざ見ても仕方ないのではと思っていましたが、何かと評判がいいので映画館に足を運んでしまいました。  実際のところ、やっぱりこうした映画こそ、うるさいことは何も言わずに、“おすぎ”のように、「姉ケイトの苦悩、家族というもの…愛というもの…死というもの…をラスト30分、号泣し、スクリーンが見えにくい状態で考えさせられま...... more
Commented by cinema_61 at 2009-11-01 21:00 x
へ~かえるさんもご覧になったんだ~
私は駅前の映画館の試写会で見ました。
病気ものは見ないというポリシーがあったんだけど「きみに読む物語」の監督ということと、「リトルミスサンシャイン」の女の子がでているのでちょっと期待して。
でも、まんまと泣かされて・・・・。
裕福な家庭のインテリママの究極の選択!←日本じゃありえない
そして、こんな不自然な誕生をしたアナが姉を愛して母親を告訴するという手段にでたところ泣ける。
Commented by CaeRu_noix at 2009-11-02 00:20
cinema_61 さん♪
はい、観ましたよー。
これは一番最初観ようか観まいかボーダーな感じでもあったのですが、いい映画だという評がわりと信頼できるライターさん2,3にあったので鑑賞作に入れました。
私も単なる可哀想系の病気ものには抵抗があるんですけど、これはテーマが興味深いものでしたよね。
そう、いい映画ではありましたが、泣かせ方は容赦なかったですよね。
わりと朗らかな語り口なんだけど、これはもうどうしたって泣けるー。
私はシネコンのレイトで見て、一列全部誰もいない席だったので、気兼ねなく涙を流してましたけど、試写会だと周囲を気にしながら、すすらなくちゃなので?大変な感じですね。
これは原作があるから、そこは仕方ないと思うのですが、ママが元弁護士っていうのがいかにも相変わらずのハリウッド映画ですよね。
こんだけハイソで裕福じゃなくちゃ同じような問題も生まれマイって感じで・・・。
娘たちはいい子過ぎて反則っていうくらい。
ホントに泣ける泣ける映画でしたねー。
Commented by マサル at 2009-11-04 23:41 x
こんばんはー。
私もかえるさん同様、「違和感」を感じてしまいました。その違和感の分析は自分なりにブログの記事でしてみたわけですが、やはり最大のものは「せっかく、移植のために生まれてきた」というショッキングな設定が、単なる「つかみ」(あるいは客寄せ)にしか使われていない、ということでした。やはりここは、そのようにして生まれてきた子の尊厳とか、あるいは生体移植そのものの是非を問うようなストーリーにして欲しかったな、と思ってしまったわけで。もっともそうしていたら、日本でのスマッシュヒットはなかったかも知れませんが..。

やはり多くの人は、「感動した!泣けた!」という思い出になったり、語れたりする映画がいいんだろうなー、みたいな、ちょっと斜に構えた観方をしてしまったのでした。
Commented by CaeRu_noix at 2009-11-05 00:10
マサルさん♪
感覚系文系の私はなーんか違和感感じるんだよなーで済ませてしまいがちなんですが、マサルさんの理路整然とした分析を読んで、そういうことか!と膝を打ちました。感謝、感謝です。
ええ、決して自分の心がねじくれまくっているから、娘たちがいい子過ぎること、美談としてまとまっていることが残念だったというんじゃなくて、せっかくの問題が追及されていないんですよね。やっぱり。
思えば、自分も、「移植のために生まれてきたというショッキングな設定」に注目してこの映画に興味をもったくちなので。
肝心なそのテーマがうやむやになったことは残念でした。そういうことです。
泣ける感動作は確かに求められているのでしょうけど、それだけじゃもったいないですよね。
生命倫理や医療の問題を考えさせるシビアな映画にしてしまうと、シネコン上映で大人数動員するのは難しいのでしょうから、こういう風に作られてしまうのも仕方ないとは思いますが・・・。
せっかくの
<< 10月28、31日の公開映画ち... PageTop 第22回東京国際映画祭 鑑賞メ... >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon