かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ふたりの人魚』(2000) 蘇州河
2009年 11月 08日 |
河と人魚、それだけで高得点。お気に入り印。



-STORY-
上海に住んでいる“僕”の仕事はビデオの出張撮影。ある日、撮影にでかけたバーで“僕”は水槽の中で泳ぐ美しい人魚にひとめぼれしてしまう。彼女の名前は“メイメイ”。つきあい始めた“僕”と“メイメイ”。しかし彼女には不思議な行動が多く、しかもある日、彼女のことを自分の恋人、“ムーダン”だと言いはる男、マーダーがあらわれた・・・。

来る今年の「TOKYO FILMeX 2009」では、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で脚本賞を受賞した新作『春風沈酔の夜』(Spring Fever)も上映予定。審査員としても来日予定のロウ・イエ監督。何しろ、『ふたりの人魚』は記念すべき第1回フィルメックスの最優秀作品賞受賞作だったんだもんね。そんなわけで、「東京フィルメックスの軌跡 ~未来を切り拓く映画作家たち」にてそれがこのたび上映されたのは嬉しく。

去年、『天安門、恋人たち』 にとても心揺さぶられた私にとっては、本作もお気に入りの1作。これはVIDEOでは観たのだけど、劇場鑑賞はしたことはなかったのだよね。原題でもある蘇州河を映しだす映像が本当に美しくて、スクリーン体験できて満足。中国本土本流の映画はアクションにしろ歴史ドラマにしろ、製作費のかかった豪華な大作が前面に出ているから、近年はどうも自分の好みじゃないと感じるものも多いのだけど、インディペンデント色の強いヨーロッパ流なロウ・イエ作品のテイストはまさにツボなのだよね。これもまた王家衛風味かもしれない。

とびきり映画的なものである川/河の存在がとにかく私は大好き。セーヌ川、ドナウ川、テムズ川。ロウ・イエと同じ第六世代のジャ・ジャンクーが撮った長江もそれは素晴らしかったし。そして、この生活臭漂う蘇州河も何とも魅力的。反射する夕陽の美しさやカメラワークによって、河は美しく浮かび上がりもするのだけど、河そのものは実はきれいでもなく、素朴な労働者の姿も印象的な人々の生活の場なのだ。川沿いと運び屋がバイクで走りぬける街。そんな上海の雑踏という感じの日常の風景に、人魚マジックによる幻想的なファンタジー世界が絡み合っていく感触がとても心地よいの。

僕の視界の中で、表情豊かにくるくると動き回るメイメイ(周迅/ジョウ・シュン)がとってもキュート。鏡の前で身支度をする彼女を、隣の部屋にいる僕が垣間見る視線のままに映すという撮り方にグッときちゃうわけなのだ。そうやって、主人公の僕と共に謎めいたメイメイの魅力に釘付けになっちゃう感じ。そして、今と並行しながら物語られていく、マーダーの回想シーンにもそのまま心とらわれる。ジャージに二つ髷だと充分に少女に見えちゃう周迅。観客の私たちは、僕とマーダーという2人の男目線で、ダブルでふたりの人魚に興味を持たずにはいられないのだった。それでいて、自分にそっくりな少女を懸命に探し続ける男の話に心動かされるメイメイの思いにも共感。二つの物語の存在がいろんな角度から感銘を二重にしてくれているような。

切なさもいっぱいなんだけど、それがおとぎ話な空気に包まれているから、悲しい末路もスッと受け入れられてしまうし。犯罪も蔓延る上海の喧噪の中に美しい幻想性が溶け込んだ感じがとにかく味わい深い。不思議な映画の魅力にとらわれるヒトトキ。

インタビュー/公式サイト
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by CaeRu_noix | 2009-11-08 22:43 | CINEMAレヴュー | Trackback(1) | Comments(4)
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Tracked from kariokaの「極楽鳥.. at 2009-12-03 09:18
タイトル : ふたりの人魚
ふたりの人魚を観た。 [http://blogs.yahoo.co.jp/kariokaaa/23851992.html/ 「パープル・バタフライ」]を観て、ロウ・イエ監督の映像で語る映画の撮り方が、とても気に入ったので、探して借りてみました。中国の第6世代の監督のリーダーといわれている人で、ヨーロッパの映画も映画学校でたくさん観る機会に恵まれたので、映画作家的な雰囲気の映画を撮るみたいです。 ロッテルダム国際映画祭のグランプリに当たるタイガー・アワードとTOKYO FILMeX20...... more
Commented by mikken at 2009-11-12 10:04 x
かえるさん、こんにちは。

いいですね、《蘇州河》。スクリーンでご覧になったのうらやましいです♪
冒頭、生活感ある河の風景を観た途端、何故か涙が出そうになったんですよ。
今でも、ジョウ・シュンはこれが一番イイなあ、と。
ロウ・イエは、《紫瑚蝶》でチャン・ツィイーを魅力的に撮っています。
すっぴんでのラブシーンは、彼女の出演作で一番色気を感じました。

とはいえ、「天安門~」は未見です(^^;)

ところで、《意外》も人気なのですね。
中国語では「事故(アクシデント)」の意味だそうで、
ニュアンスの違う意外さ(笑)が面白そう。



Commented by CaeRu_noix at 2009-11-13 00:33
mikken さん♪
わぁ、いらっしゃいませ。
コメントありがとうございますー。嬉しいです。
ええ、ホント、これ、スクリーン鑑賞できて大満足でーす。
生活感のある河の風景がまたすごーくよかったですよねー。
上海ってもはや高層ビルが立ち並ぶ商業都市のイメージが強いので、こういう風景があるってことは普段あえて考えもしなかったので、河のあの感じにむしろ惹かれるものがあり。
ジョウ・シュンはお針子なんかもよかったけど、ベストはやはりこちらですね。
はいはい、『パープル・バタフライ』もDVDでしか観てないんですけど、そのタッチがすごく気に入っていて、私はかなりロウ・イエふぁんなんです。
『天安門』もよかですよー。

そうそう、『意外』はソッコウでチケット完売でした。
香港映画ファンの厚さを侮ってました・・。悲しいー。
ヴァネチアコンペ作は私もおさえたかったのにー。
でも、それ系は一般公開の可能性も高いかなぁとそちらに期待。
狗咬狗の監督なんですね。軍鶏は観てないや。
ジョニー・トー監督作もプロデュース作もじゃんじゃん公開されてほしいっすねー。
Commented by かりおか at 2009-12-03 09:18 x
ロウ・イエ監督の「パープルバタフライ」が気に入って、この「ふたりの人魚」はかなり探してレンタルで観ました!
河は、ゆったりとしているけれど、生活によって汚されたり、人々の生活の場であったりと、映画全体の雰囲気がこの河の様子に似ていましたね~。
水槽の人魚も、昔、読売ランドの水中バレエが大好きだったので、ときめいてしまいました。ファンタジーの人魚と、人魚ショーを仕事にする寂しげな生身の女性との曖昧な境をただよっているような雰囲気も好きです。
ジョウ・シュン!特に魅力いっぱいでしたね。大好きな女優さんです!
TBさせてくださいね。
Commented by CaeRu_noix at 2009-12-06 01:02
かりおか さん♪
きゃー、私もでーす。
先に「パープル」の方をまず気に入って、ロウ・イエをチェックするようになったのでした。
「パープル」は最寄のレンタル屋でDVDを借りられたのだけど、「ふたりの人魚」はVIDEOを置いている渋ツタで!
河というのも人魚というのもそれだけでツボで。
なるほど、そうですね。映画としての世界全体、主人公たちの姿は、この河のごとしでしたね。
「春風」の主人公もそうだけど、河のごとく流れていく感じー
おお、よみうりランドの水中バレエって見たことないんですが、私もそういうのは大好きなんですよねー。
水中な映像っていうのは幻想的でたまらないですよねー。ときめきー
私はかえるですけど、うお座なので魚にも共鳴するものがありまして。
おめめパッチリジョウ・シュンちゃん、キュートですよねー。
なんかちょっと安達祐実にも見えたりしたんですが。
ロウ・イエのデビュー作も観たーい。
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