かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『パリ・オペラ座のすべて』 La danse - Le ballet de l'Opéra de Paris
2009年 11月 15日 |
バレエダンサーは回り、地球が回る。

“現存するもっとも偉大なドキュメンタリー作家”フレデリック・ワイズマン監督が、世界最古であり、最高峰のバレエ団であるパリ・オペラ座に84日間密着撮影。



先日のユーロスペースのワイズマン特集には行かれなくって残念。1本は行こうと思ったのだけど、間に合わなかったのだよね。フレデリック・ワイズマンは観るべしと思いつつ、州議会などに向き合う根性はなかなかなかったりもするし。だけど、被写体がバレエの世界っていうのならば必見。『BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界』を劇場鑑賞をしたのは、21世紀に入ってからだったのだけど、あれは本当は95年の作品で、来日舞台公演に合わせてかなり遅れて公開されたものだったのか。今回は時を経ずして日本でも新作公開されたなんて素晴らしい。それも満員続きなんて。そんなに人気あるのか、ワイズマン、じゃなくてオペラ座バレエ。サービスデーは激混みのル・シネマ鑑賞をあきらめて、久しぶりに川崎へ。

アクション映画の戦闘シーンなんかにはすぐに退屈しがちなのに比べ、舞踊シーンには目がない私。レッスンの場面から、心は高揚、目は釘付け。完成形の本番舞台は当然に見ごたえがあるんだけど、舞台裏の風景というのもまた違った素晴らしさがあって興味深いの。こうやって一つ一つの振りを修練し完成させていく。しなやかなターンにただただ魅了される。子どもの頃にバレエに憧れていた気持ちが蘇る。時には優雅に時には力強く、柔軟に動くダンサーの身体も、共にふんわりとゆれるチュチュも、軽やかにつま先立った足先のトゥシューズも、私の心をときめかせるばかり。今回登場した演目のシーンは、例えば丸ごとペジャールを観るケースよりも奇抜な感じもなくて、実験的過ぎるものを除けばクラシックよりもコンテンポラリー・ダンスが好みである私にはちょうどよかった。ピアノ曲を中心とした音楽がとにかく心地よくて、それに身を任せるがままに耽溺。

邦題は例によって、作り手の本意を無視した誇張された表現がされているのが残念。私はワイズマンのことは全然知らないけれど、ワイズマンはもちろん、大半のドキュメンタリー作家は、撮りたいものの全てを撮ることなんて、できるわけがないと思っているはずなのだから。(いかなるものもすべてを掬い取ることなんてできないし、これが「すべて」だと言い切れる人はむしろ信用できないでしょう。)作り手の声が大きすぎるドキュメンタリーには時にはうんざりしてしまうものだけど、ワイズマンの距離感、冷静と情熱のあいだ加減はとても気持ちいい。題材、被写体に変にコミットすることもなく、それでいて、美しいショットは逃さずに、通常は目立たないものにもカメラを向ける感性がとてもいいの。最高峰のバレエ団を屈指のドキュメンタリー作家がとらえた納得の貴重なフィルム。特別な人たちを描いたドキュメンタリーなのに、その日常を通して、普遍の世界を実感できちゃったり。
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by CaeRu_noix | 2009-11-15 10:51 | CINEMAレヴュー | Trackback(4) | Comments(4)
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Commented by Nyaggy at 2009-11-17 13:12 x
かえるさん、こんにちは♪
こちらの作品、名古屋でも大盛況でしたよ~。
私も、久しぶりにバレエを堪能しました。
普段は見ることのない、練習風景が覗けるのが嬉しかったです。
かえるさんは、コンテンポラリーの方がお好みなんですね。
私は、次見るならまずは古典!と思っていたのに、この作品を見て
やっぱりコンテンポラリーもいいな~、という気分に。

ところで、『ルドandクルシ』が来年公開されるんですね。
随分前に作品情報だけは掴んでいたので、名古屋でも公開されるのを祈るばかりです!
Commented by CaeRu_noix at 2009-11-18 08:41
Nyaggy さん♪
そちらでも大盛況でしたかー。
渋谷の劇場があまりにも盛況で満席続きだったので、その客層はどういう人たちで構成されているのかと気になったりしました。
私はいわば、踊る映画ふぁん。ダンスな映像を観るのが大好きで。
とりわけ、バレエは肉体の動きに魅了されますね。
だからある意味、生舞台を遠い席から見るより、それが映像でも大画面でじっくり見られることが幸せな私。
そう、こういうのは、練習風景を見られるのがまたいいですよねー。
それも普通は公開されることのないパリ・オペラ座の舞台裏。
劇映画でも、レッスンのシーンは大好きで。
私はバレエを舞台で観たことが一度しかなくて、そればモダンバレエなものでした。
本格的にバレエ鑑賞まにあになるなら、古典ももちろん極めたいですけど、単に好みでいうと、適度に独創的なコンテンポラリー・ダンスに惹かれますねー。
でも、今年の前半に観たベジャールのはさすがに独得過ぎて好みじゃなかったり。
本作の演目、映された場面は、ほどよく好みでよかったですー。

『ルドandクルシ』は人気者の2人の主演、プロデューサーがスリーアミーゴスなので、きっと全国展開するでしょう♪
楽しみですねー
Commented by クマネズミ at 2009-12-27 07:33 x
 「パリ・オペラ座のすべて」についてTBさせていただきましたが、先日新国立劇場で見ましたバレエ『くるみ割り人形』について、感想めいたものを記事にしましたので、よろしければご覧下さい。
 尤も、「クラシックよりもコンテンポラリー・ダンスが好みである」“かえる”さんは、ご興味を持たれないかも知れませんが?
Commented by CaeRu_noix at 2009-12-27 10:02
クマネズミ さん♪
新国立劇場で「くるみ割り人形」なんていいですねー。
映画見るのに忙しく、費用もなかなか捻出できない自分は生舞台を観る機会はかなり少ないのですが、バレエ鑑賞はあこがれますー。
新国立は去年だったかオペラ「ラ・ボエーム」を観に行ったのが、今のとこ最初で最後な私です・・・。
バレエ全体としては、クラシックよりもコンテンポラリーの方が自分の好みに合っていると感じるのは事実なんですが、名だたるバレエの古典作品にも大いに興味はありますよー。
クリスマスの頃に「くるみ割り人形」を観るということもいつか実行したいことの一つです。
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