かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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第10回東京フィルメックス 鑑賞メモ
2009年 12月 08日 |
去る11月に開催された記念すべき第10回の「TOKYO FILMeX 2009」の鑑賞メモ。



もちろん通いましたとも。
だって私の大好きなアート系映画の冬の時代ですもの。
この機会を逃したらもうスクリーンで観ることはかなわないような味わいのあるシネマに出会えるかけがえのない機会ですもん。
第10回ということで、内容も充実の素晴らしき映画祭なのだ。

で、今回はワタシ的には大いに豪華ゲストでありました。
ツァイ・ミンリャン、ロウ・イエ、アモス・ギタイという監督のお姿を拝見しながらお話がきけちゃうなんて。
と、お久しぶりににしじーにも遭遇できてウレシカタ。


~ 特別招待作品 ~

オープニング作品、
『ヴィザージュ』 は別記事にてレヴュ。
監督:ツァイ・ミンリャン(TSAI Ming-liang)/フランス、台湾/2009

『春風沈酔の夜』 も個別で。
監督:ロウ・イエ(LOU Ye) /中国/2009

『悲しみのミルク』 も個別記事にて。
監督:クラウディア・リョサ (Claudia LLOSA) /ペルー/2009

来年シネマライズにて公開予定の
『フローズン・リバー』 も後でレヴュー書ければ・・・
監督:コートニー・ハント


『エクスプローディング・ガール』 - The Exploding Girl
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監督:ブラッドリー・ラスト・グレイ (Bradley Rust GRAY)/アメリカ/2009
 女子大生アイヴィは離れた恋人を想いながら、幼なじみの男友達と春休みを過ごしているが・・。普遍的な感情を繊細に描いたフレッシュな青春映画。ベルリン映画祭フォーラム部門で上映。

ピュアにきらめくせつない青春ラブストーリー。ユーモアなどが見えず主人公ちゃんたちがキレイめにイイコ過ぎるのがちょっと寂しくもあったのだけど(彼女の境遇なら仕方ないんだけど)細やかでみずみずしくて好みのタッチだったな。キューンなラスト。


『カルメル』  - Carmel

監督:アモス・ギタイ(Amos GITAI)/イスラエル、フランス、イタリア/2009
 紀元1世紀のローマ帝国とユダヤ人の戦闘から現代の軍事キャンプ-亡き母の記憶から従軍する息子への思い-イスラエルの歴史とギタイ本人の個人史とが感動的に織り成された傑作。ジャンヌ・モローがナレーションを担当。

イスラエルの歴史をも描きながら印象深いのはお母さんへの思い。興味深く、その漂う感じがとても好みでありつつ、先にTIFFで観たスレイマン作品と比べてしまったり。


~ 特集上映 ~

『ギャング』 - Second Breath 1966

監督:ジャン=ピエール・メルヴィル (Jean-Pierre MELVILLE 1917-1973) 
 パリとマルセイユを舞台に、非情な裏社会を描いたフィルム・ノワール。メルヴィルの最高傑作のひとつであり、犯罪映画史の金字塔的作品。
原作ジョゼ・ジョヴァンニ、主演リノ・ヴァンチュラ。

このシチュエーション見たことある!と思ったら、『マルセイユの決着』 のオリジナル版でしたね。その違いを考察することもできないほどに睡魔と格闘。すみません。


~ 特別招待作品 ~

『天国の七分間』  - Seven Minutes in Heaven/Sheva Dakot Be'gan Eden

監督:オムリ・ギヴォン (Omri GIVON)/イスラエル/2009
 1年前の自爆テロにより負傷してその瞬間の記憶を失った女性のもとに、事件時に着けていたネックレスが届けられるが・・。テロが市民に与える傷跡という重厚なテーマを、リアリズムとファンタジーを交え新鮮に描く。

シリアスに重苦しいタイプとふんでいたので、思いのほか気に入った。これ、演出と構成がすこぶる好みだった。こんなふうに記憶や時間を描く映画って大好き。テロ事件を題材にしながらも、ラブストーリーな運びなのが魅力。しっとりリアルの末にこういうマジカルがあるのっていいなぁ。

『グリーン・デイズ』 Green Days/Ruzhaye Sabz

監督:ハナ・マフマルバフ (Hana MAKHMALBAF)/イラン/2009
 6月のイラン大統領選下で苦悩する若い女性を軸にドキュメンタリーとドラマを融合させ、テヘランの現状に迫る。改革派ムサヴィを支持する民衆のエネルギーや警官隊との衝突など、衝撃的映像に圧倒される。ヴェネチア映画祭で上映。

マフマルバフ父が、あの選挙結果に対して国際社会に向けて声明を出していたかと思うけど、娘ハナちゃんはすぐさまこのことを映画にしたのだね。それほどにこのことは大問題なんだなぁとため息。ニュースヘッドラインの一文じゃわからない状況を体験できる意義深さがありました。。


『ペルシャ猫を誰も知らない』 
   - No One Knows About Persian Cats/Kasi Az Gorbehayeh Irani Khabar Nadareh
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監督:バフマン・ゴバディ (Bahman GHOBADI)/イラン/2009
 ポップ・ミュージック演奏が禁止されているイランで、ヨーロッパ公演の夢を目指すミュージシャンたちの鮮烈な青春群像ドラマ。ゴバディがテヘランでの撮影に初挑戦し、新境地を見せる。カンヌ映画祭「ある視点」部門で特別賞を受賞。

来日予定だったゴバディ監督がこの映画を撮ったために渡航できなかったというから悲しい。そんな危うい題材に果敢に挑む相変わらず頼もしい監督に拍手。これがテヘランのポップス、ロックを愛する若者たちのリアルな姿なんだね。切実さに胸が痛みつつ、音楽映画の高揚感を堪能。


『2つの世界の間で』 - Between Two Worlds/Ahasin Wetei
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監督:ヴィムクティ・ジャヤスンダラ (Vimukthi JAYASUNDARA)/スリランカ
 スリランカの海辺・都市・山間部の絶景を舞台に、ある若者を軸として、時空を超えたかのような寓話的世界が展開される。神秘的な映像が豊かなイメージを喚起する。新鋭監督による2作目で、ヴェネチア映画祭コンペ部門で上映。

2作目でヴェネチア・コンペ出品なんてすごい。注目されるのも納得のアート系テイスト、神秘的でイマジネーションあふれる独創的な世界が広がる。映画ならではの表現を追求するその曇りのないこだわりがとてもよくて、何やらよくわからない部分もあるんだけど、好きだなーって思わずにはいられない。初めてのスリランカ映画だ。


『ニンフ』  - Nymph/Nang Mai

監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン (Pen-Ek RATANARUANG)/タイ/2009
ビジネス・ウーマンのメイは、冷えた関係となっているカメラマンの夫にキャンプへ連れて来られるが、夫は姿を消してしまう…。神秘的な深い森を背景に、不条理なドラマが展開される。カンヌ映画祭「ある視点」で上映。

この監督も実にいろんなタイプの映画を撮るなぁと感心。森の素晴らしさにうっとりしつつ、不思議な不穏さにもココロつかまれ。謎は多いのだけど。


『セルアウト!』 - Sell Out!

監督: ヨ・ジュンハン (YEO Joon-han)/マレーシア/2008
 系列企業で働いている女性TVレポーターと家電開発者、職場に限界を感じる2人が出会い、波乱万丈の物語が繰り広げられる。ポップなミュージカル・シーンを織り交ぜ、マレーシア社会を鋭く捉えたブラック・コメディ。

マレーシア映画は水準が高いと思っているのだけど、これも拾い物。こういうシニカルな笑いは大好きなので、とても楽しかった。その上、ミュージカルときたもんだ。歌にはちょっとウルっときた。シリアス系の多いフィルメックスにおいて、手応えのあるエンタメなコメディ。


『意外』 Accident/意外

監督: ソイ・チェン (Soi CHEANG)/香港/2009
 異色なやり方の殺し屋(ルイス・クー)が絡め取られてゆく極上の心理サスペンス。ジョニー・トーが製作を手がけ、香港のロケ撮影も冴えて抑制のきいた静かな不穏さの奥に真実が潜む。ヴェネチア映画祭コンペティション上映。

チケット争奪戦に敗れたのに観られました。Minitaさん、謝謝。ドンパチアクションかと思いきや、スリリングな心理劇という感じで面白かった。ちょっとポイントを見逃したような気がする私ではありますが・・・。



コンペティションで最優秀作品賞を受賞した韓国映画の『息もできない』は大好評だったので、これは一般公開されてから観るのが楽しみ。
クロージング作品の『渇き』もね。
邦画もみんな配給ついているので後日観たいなって。

さすがの10年の実績。今年もステキな映画にたくさん出逢えて、満足でした。
よかった、よかった。
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by CaeRu_noix | 2009-12-08 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(2)
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Commented by Minita at 2009-12-11 13:49 x
こんなに見てらしたのですね(驚) 私、今回フィルメックスは初参加で5本のみでしたが、どれも面白かったです!「意外」はかえるさんと観られて嬉しかったー♪
「悲しみのミルク」母親が経験した悲惨な体験は、それはもう冒頭の歌の歌詞だけでくらっときそうになったくらいでした。
あんな歌をずっと聞かされていたら、そりゃトラウマにもなるー。
でも外界と接触するのを怖がっているファウスタの日常を暗くリアルにではなく、幻想的にそして少しユーモラスに描いていたところがよかったですよね。
じゃがいもは、腐らないのかなーなんて思いつつも、そんな彼女がとても痛々しくて・・・・。
彼女がトラウマを徐々に克服して、最後にじゃがいもの花をみつめて終わるラストがだから嬉しく。美しい女性でしたよねー。
「フローズン・リバー」も印象的。キリキリ凍てつく寒さの中で展開されるスリリングなお話にどきどきしっぱなしでしたが、いつのまにかはぐくまれていた二人の友情によりその緊張感がホロリととける。
そのコントラストがうまいなあと。
今まで知らなかった監督の作品に出会えて充実していたフィルメックスなのでした。またいろいろ教えてくださいませ!
Commented by CaeRu_noix at 2009-12-12 07:25
Minita さん♪
先日はありがとうございましたー。
こんなに観ましたよ。TIFFとフィルメックスは貪りー
だって、そのプラグラムが素晴らしいんですもの。
Minita さんにもご満足いただけてよかったー。

『悲しみのミルク』は本当に素晴らしい映画でしたよね。満席だったのかな。
冒頭から歌にぐわーんとやられてしまいました。
そうなんです。すんごく悲しく痛々しい出来事、思いがベースになっているのに、お涙頂戴路線にはもちろんいかず、ユーモラスに詩的に描かれているのがとーってもよかったです。
ジャガイモは現実的に考えたら、いろんな支障がありそうですが・・・。
マガリちゃん、チャーミングですよね。
先進国の女優さんとはまるで違う素朴さ、ピュアさがいいんですよね。

『フローズン・リバー』はフィルメックス作品の中では、アメリカンなエンタメ寄りな感じはありましたが、緊張感を持続させてくれて上手いなーって思えました。
ラストは感動でしたよねー。いつの間にか芽生えていた友愛の関係性。

また機会ありましたら、よろしくお願いしまーす。
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