かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ライブテープ』
2010年 01月 08日 |
ハモニカ横丁のBARに立ち寄りたかったなー。

2009年元旦の吉祥寺。ミュージシャン前野健太が歌って歩く74分ワンカットライブドキュメント。



吉祥寺バウスシアターで観たよ。なるほど、これはバウスで観るべき映画だったんだ。ついさっき通った場所がスクリーンに映るっていうのは何だか楽しいものだね。前野健太の歌も心に染みるゴキゲンなサウンドで、すぐさまハッピーな気分。そういえば私は音楽ロードムービーが大好きなんだよね。ガトリフのラッチョ・ドローム最高。といっても、ジプシーじゃない日本人には、歌い奏でながら街歩きをする習慣はたぶんあまりない。ああ、でもこうやって、人だかりの東京でもさりげなく、街を流してのライブが実現できるんだ。

74分ワンカットそれ自体は大したことないんじゃないかと思ったりする。だって、私はソクーロフの90分ワンカットの『エルミタージュ幻想』がこの上なく素晴らしいと思っているからね。あの極上芸術映画をワンカットで撮り切るのに比べたら、ライブテープは誰でも撮れそうな気もしてしまうのだ。でも、たぶん、そういうことじゃないんだ。むしろ逆に、そういう金のかかった一大プロジェクトみたいなのとは真逆のところに、ふっとこんなアイディアが生まれたことがステキなんだよね。そして、その試みに共鳴した彼らが、元旦の日早々からそれをやり遂げる。なんて清々しい年明け。

丑年の元旦のミュージシャンとこの街を、寅年を迎えた私たちがここ吉祥寺の劇場で眺め、その空気を、鼓動を体感することのステキさ。音楽のコンサートを何故かLIVEと呼ぶことについてをしみじみと噛みしめたりする。音楽の生演奏は生きることそのものなんだよね。撮影の瞬間はライブだったものも、それを後で見る時は、ライブではなくてライブテープになっているのだけど。そのテープは明らかに確かに、息づくライブなんだよね。なんて、そんなことをいちいち考えながら見ていたわけじゃなくて、自分の吉祥寺の思い出を懐かしみながら、心を解放して、ただ心地よい音楽に身をまかせていただけ。

ごくごく自然なありのままを撮っているようでいて、ところどころで始まるセッションがバッチリきまっていて心憎い。音楽をやる人の夢は大きなコンサートホールで演奏することだったりするのかもしれないけれど、当事者じゃない私に言わせたら、空の下で歌い奏でるのが最高に最高なんじゃない。クライマックスの公園ステージもめちゃめちゃエキサイティング。前野健太というミュージシャンのことは初めて知ったけど、とても愛嬌のある魅力的な人じゃない。松江監督の話のふり方はあまり好きじゃなかったので、出ない方がよかったなぁって思っちゃったけど、クストリッツァがマラドーナと腹を割って語り合ったように、監督自ら問いかける場面もたぶん必要だったんだろうね。

こうやって生きていくのだって感じ。道は続いていくのだって感じ。そして音楽だけは止むことがなかった。こういう映画を作ろうという心と力がある日本は捨てたものじゃないって思えるよ。
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by CaeRu_noix | 2010-01-08 01:18 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(2)
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Commented by Minita at 2010-01-10 23:53 x
元旦の街のざわめきと静けさがそのまま写しとられたような映画でしたよね。
私も前野さんは初めて知ったシンガーなのだけれど、歌に惹かれました。
公園での熱唱。「生きていかなきゃねー。」のフレーズと、前野さんを写していたカメラが、いきなり公園の木々の間に見える空を映し出した瞬間に、胸が熱くなりました。

>こういう映画を作ろうという心と力がある日本は捨てたものじゃないって思えるよ。

うんうん!まさに同感です。
そう思わせてくれる、松江監督の作品はこれからも見ていきたいなーと。
Commented by CaeRu_noix at 2010-01-11 12:13
Minita さん♪
ふふふ。また当初はノーチェックだった映画を観に行っちゃった。
それはリアルで熱いツイートのおかげなんだけど、その中にMinitaさんの好感触なレスもあったからなのよー。
サンキュー。サンキュー。
つぶやき効果と合わせて、ライブ感のあるものについての面白さを大いに実感。

いつもは人でごった返している街がとても穏やかで。
静かなんだけど、とても清々しいんですよね。
このライブ感が本当に素晴らしかったですー。
音楽もホントによかった。日本語の歌はあまり普段聴かないのだけど、たまに聴くと歌詞もがんがん響いてきてたまらないです。
最後の公園LIVEの撮り方もよかったですよねー。
ハモニカ横丁の狭い路地スペースでのセッションなんかもそりゃあ感動。
こういう映画が評判をよぶのって嬉しくなっちゃいますよね。
それも、メディアを通した宣伝じゃなくて、クチコミ的な広がりが。
Minitaさんはあんにょんもご覧になったんですよね。すばらしいー
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