かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ユキとニナ』
2010年 01月 29日 |
森の妖精に会えたよ。子どもの純真さも大人の思慮も宝物。

ユキとニナはパリに住む9歳の女の子。



少女ものは大好き。でも、何でもいいってわけじゃなくて、子どもが実際こんな言動をするはずはないよっていう違和感をもたらすような、いかにも大人が作り出した子どもというんじゃダメなのだ。その点、いつも即興演出によって、リアルな空気とナチュラルなキャラクターを生み出してくれる諏訪監督ならば期待を裏切らない。フランス語は話せないらしいのに『不完全なふたり』というステキなフランス映画を撮った諏訪監督が、このたびは俳優のイポリット・ジラルドと組んで、フランス人と日本人のハーフの少女を主人公に映画を紡いだという魅力的な試み。それにしても、今回はベテラン俳優のみならず、小さな少女を起用して、お馴染みの脚本なしの即興演出をやってしまうのだからスゴい。

二人の少女が無邪気に戯れる姿はどうしたって微笑ましいのに、それが日本人の母をもつハーフの少女だったりするものだから、その自由な日仏交流の構図も含めてやけに感慨深いのだ。二人のやりとりがかわいくって仕方ない。ああ、それが、仲良しこよしの二人なのに、フランス人として生まれ育ったユキちゃんなのに、親の問題で母と日本に移り住まなければならないなんて。当然のこと、仕方のないこととはいえ、それまでの生活を失って従わざるを得ない子どもの立場があまりにも可哀想。両親が離婚するという事実に胸を痛めるユキちゃんの姿にナミダが止まらない。愛の妖精からの手紙作戦も大好きだよ。かわいくて切なくて、キューンがいっぱい。

日本人ママのキャラクターは少しビミョウな感じもあったけど、ユキちゃんの表情に心掴まれていたのでそんなに気にはならなかった。その母の不安定感がむしろ観客がユキを心配する思いを強めてくれた気もするし。考えさせられつつも、とても心打たれたのは、ニナのママがユキ、ニナと離婚のことについてを話すシーン。壊さない努力はしたのかってママに投げかけるニナのまっすぐさにもやられた。私の知る範囲での日本の家庭では、9歳の子どもを相手に親は、離婚についての本音なんて本気で語ってくれないものじゃないかと思うのだけど、フランス人ならばこんな風なシチュエーションが本当にありそうだなって、大人の子どもに対する向き合い方にも嬉しくなってしまうのだった。

家出して森におでかけしちゃうなんてのもまったく私好み。森の少女って最高だ。フランスにも"ダルマさんが転んだ"な遊びがあるんだねーとのんきに構えていたところ、はからずも森を抜けたところに映画ならではの至福の瞬間が待っていた。常にリアリティを作り上げている諏訪監督の映画だからこそ、とても意外な場面のつなぎ方だったのだけど、それゆえに感動も大きかった。ファンタジーというのは、必ずしもクローゼットの奥に森があったというものじゃなくていいわけで、森が別の日常空間と自然につながっていたっていうのがすごくステキだなって。子どものナチュラルな無邪気さに微笑ましさでいっぱいになった後に、こんなやり方で作り手の大人の優しさに出会ったことに大感激。前半に大人の都合で日本に移り住むことになったユキを不憫に思った私だからこそ、この森の向こうに続く日々にはやられた感が大きかった。そうやって受け入れて、みな健やかに生きていけるんだなぁってしみじみ。
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by CaeRu_noix | 2010-01-29 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(4)
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Tracked from ユキとニナ: LOVE .. at 2010-01-30 00:47
タイトル : ユキとニナ
『M/OTHER』の諏訪敦彦とフランス人俳優のイポリット・ジラルドが共同で監督を務めた珍しい形の日仏合作。イポリット・ジラルドは主人公ユキの父親役としてスクリーンにも登場している。即興演出で知られる諏訪監督作品だけあって、それぞれのシーンの登場人物が見せるリアルな感情表現が見所だ。主演は演技未経験のノエ・サンピと子役のアリエル・ムーテム。少女たちの繊細な心に癒される。... more
Tracked from NiceOne!! at 2010-01-30 09:01
タイトル : 『ユキとニナ』(2009)/フランス・日本
原題:YUKI&NINA監督・脚本:諏訪敦彦監督・脚本・出演:イポリット・ジラルド出演:ノエ・サンピ、アリエル・ムーテル、マリリン・カント、ツユ観賞劇場 : 恵比寿ガーデンシネマ公式サイトはこちら。<Story>ユキ(ノエ・サンピ)とニナ(アリエル・ムーテル)...... more
Commented by KLY at 2010-01-30 00:51 x
そうなんですよ、2人の自然な演技を観ていると、日本人の子役がいかに大人からこうしなさいと押し付けられた演技をしているかが解ってしまう感じがしました。子供らしくて良いんですよ、だって子供なんだから。辺におませさんでも構わないけど、変に大人びている子役が苦手な私です。
Commented by maplecat-eve at 2010-01-30 02:09 x
『ユキとニナ』はこどもたちの即興の初々しさと、しっかりとした演出が見事に調和していますよね。夜中に目覚めたユキと踊る父の一連の魅惑的な交感に特にそれを感じます。もう一度見たくなりました。
Commented by CaeRu_noix at 2010-01-30 08:45
KLYさん♪
そうなんですよ。
私も一部の邦画に見られるいかにも演技させられてますという感じの子役キャラがとても嫌いで。
なので、この奥ゆかしいユキちゃんの自然な姿にはすっかり心掴まれました。
諏訪監督が彼女のことをルノワールの絵画から抜け出たようと表していた記事をみましたがホントにその通りで不思議なノーブルさがありました。
こんなかわいい少女たちが自らの思うままに表現した即興演技が素晴らしかったですねー。
Commented by CaeRu_noix at 2010-01-30 09:40
maplecat-eve さん♪
ありがとうございます。
maplecat-eveさんはひと足早くご覧になったんですよね。
楽しみにしていた諏訪監督作でしたが期待通りでした。
本当にその調和がおみごとでした。
彼女たちの意思を尊重して思うままの演技をさせつつも、このせかいをしっかり作り上げてる的確さはさすがです。
こんなステキなものが日本とフランスをまたいで作られたというのがとても嬉しいですー。
ママが一緒の時はその不和な空気かつらかったのですが、2人になった時のジラルドパパとユキの対話シーンは格別でした。
踊ることについての台詞にもグッときましたよー。
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