かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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「フランス映画祭2010」
2010年 03月 30日 |
フランス映画祭2010 の鑑賞記録など。



フランス映画好きにとってのビッグ・イベントが今年も終了。
感動いっぱい、興奮と至福のフェスティバルでした。
近年の中では今年のラインナップは素晴らしくて、かなり好評だったみたい。
私自身もそれぞれの映画の手応えに大満足し、映画祭の楽しさを満喫。

上映回数少なすぎる等、六本木会場に移ってからの運営スタイルに対する不満の多くは解決されてはいないものの、フランスからやってきた映画と映画人たちは本当に素晴らしいんですもの。
トークショーを聞いて、サイン会に並んだら、食事をする時間もないのはもちろん、次の映画の開始時刻に遅れてしまうというスケジュールには本当に困りましたけれどね。

20日の写真レポ

いつもだと一般公開が決まっているものは映画祭で先に観ることはあまりないのだけど、今回はよりよい上映環境で観たいということや、ゲストのお話を聞きたいということもあって、公開が決まっているものも結構観ました。

『オーケストラ!』 Concert (ラデュ・ミへイレアニュ)-4/17
・『パリ20 区、僕たちのクラス』 Entre les murs (ローラン・カンテ)-6/12
『あの夏の子供たち』 Le Pe`re de mes enfants (ミア・ハンセン=ラブ)

・『クリスマス・ストーリー』 Un conte de Noel (アルノー・デプレシャン)
 については一昨年初見時に書いたレヴューあり。
二度目の鑑賞となった今回もその味わいに満足。

そして、この度は大好きな監督アルノー・デプレシャンと俳優マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニが来日してくれて、映画にまつわる興味深く素晴らしいお話を聞くことができたのが大いなる喜びでした。
物語の舞台はデプレシャンの故郷ルーベなのだけど、そこはの工業都市であり失業者の多い不毛な街。ギトリの『とらんぷ譚』に「そんなに逆らうとルーベに転勤させるぞ」なんていう台詞があるのだそう。
でも、そんな街であっても雪を降らせることで、おとぎ話に出てくるような魅惑の風景の街になる、それがクリスマスの魔法なのだとデプレシャンは語ってくれました。
クリスマス・マジックであり、映画のデプレシャン・マジック。
映画はより味わい深いものとなり、益々デプレシャンが好きになりました。
照れ屋で謙虚な一面を持ちつつ、映画について語りだしたら止まらない聡明なる饒舌ぶりが素晴らしいなって。
マチューもアンヌも本当にステキで幸せいっぱいのトークショーでありました。
期間中に日仏学院で開催されたトークショーも有意義・至福でありました。

その他の鑑賞作(公開未定)感想メモ

『バス・パラディアム』 Bus Palladium
監督:クリストファー・トンプソン
出演:マーク・アンドレ・グロンダン、エリザ・セドナウイ、アルチュール・デュポン、ジェラルディン・ペラス

~80年代のパリを舞台にしたロックバンドのメンバー5人とローラという一人の女の子の青春ストーリー。
ルカ、マニュ、フィリップ、ジャコブ、マリオの仲良し5人によるバンド「ラスト」~

フランス映画で、青春もののロックな音楽映画というのは珍しいカンジ。それゆえに新鮮。現代の若者の感触とも、ヌーヴェルヴァーグの中の若者たちというのともまた違っていた、この時代ならではの空気がよかったな。音楽がとにかくよかったから、その心地よさに浸りつつ、甘酸っぱい青春模様を堪能。グッジョブな初監督作だったかと。


『スフィンクス』 Gardiens de l’ordre
監督:ニコラ・ブークリエフ
出演:セシル・ド・フランス、フレッド・テスト、ジュリアン・ボワッスリエ

~警官のシモンとジュリーは、夜のパトロールのさなかに理由もなく同僚を殺したエリートの若い男にけがを負わせる。男の権力によって偽の告発を受けたふたりは、自分たちの無実を証明するために、ある薬物の捜索を開始する。~

正義の警察官であったはずの二人が理不尽な不正と戦うためにどんどん深みにハマっていき緊迫感いっぱいでとてもスリリング。『ブルーレクイエム』の監督だけあって、とことんクールにノワールな味付けで描かれているのがよかったな。


『旅立ち』 Partir
監督:カトリーヌ・コルシニ
出演:クリスティン・スコット・トーマス、セルジ・ロペス、イヴァン・アタル
撮影:アニエス・ゴダール

~医者の夫と2人の子供と南仏に暮らすスザンヌ。何不自由ない専業主婦の生活も、窮屈に思えて仕方のない40代の彼女は、子育てのためにあきらめた運動療法士の仕事を再開することに。カウンセリング室の増築工事が始まり、彼女は現場で働くイヴァンと知り合う。~

クリスティン・スコット・トーマスはまたしても不倫妻役。いつもそんな役ばかりなのもアレだよねと思いつつ、だって本当に素晴らしい演技を見せてくれるから抜擢されるのも当然か。主人公のような知的な女性が家族を顧みずに後先のことも考えずに一時の情愛に突っ走るなんて、本来なら不自然に思えるはずなのに、KSTの見事な演技、憂いの表情で説得力を感じてしまうような。情感にあふれるアニエス・ゴダールの美しいカメラもステキだった。


『リグレット』 Les Regrets
監督:セドリック・カーン 
出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、イヴァン・アタル、アーリー・ジョヴァー、フィリップ・カトリーヌ

~パリに住む40歳の建築家マチュー・リヴァンは、母親が突然入院したため、故郷の小さな村に向かう。その途中、青春時代の恋人マヤと15年ぶりに出会う。~

『旅立ち』と合わせて不倫もの二部作。というわけではないけれど、あちらで妻に不倫されたイヴァン・アタルがこちらでは自分が不倫するという構図になっていて面白かった。状況的にはこちらの方が自然に見えたかな。しっとりドラマではなくて、サスペンス調で追い詰めてくれるので、感情移入しなくともハラハラ感が面白かった。


『アンプロフェット』 原題: Un prophe`te
監督:ジャック・オディアール 
出演:タハール・ラヒム、ニエル・アレストリュプ

~六年の刑に処された19歳のアラブ青年マリクは、刑務所で初めはコルシカ人グループのいいなりになるが、次第に刑務所での生き方を覚えていく。~

オディアール監督のクールさにしびれる。想像していたよりもたんたんと物語れていた。『ゴモラ』を思い出した。映画に登場する刑務所を無数に見てきた中、この空気こそが本物なんだよなとそのリアルな感触に息を飲む。無垢なマリクが上手く生きる術を身につける様に安堵しつつ、同時にどっぷりと悪に染まっていくことにも心が痛むという複雑な心境に陥らせてくれることがオツ。

『テルマ、ルイーズとシャンタル』 Thelma, Louise et Chantal
監督:ベノワ・ペトレ
出演:ジェーン・バーキン、カトリーヌ・ジャコブ、キャロリ―ヌ・セリエ

ロードムービーって、やっぱり大好き。50代の女たちが主人公なのだけど、監督は若い若手世代でポップに楽しい物語だった。音楽もよかったな。明るく笑えるのだけど、笑いのネタは時にブラックだし、切実な痛みも描かれていてチクリ。
ジェーン・バーキンの役柄は冴えないタイプで、最初は若い頃の美しさは見る影もない・・・と痛々しさを感じてしまうほどだった。でも、逆にそれがスゴイなって思った。カトリーヌ・ドヌーブなんかは恰幅はよくなったけど今でもゴージャスで近寄りがたい大女優然としていたのだけど、ジェーンはとても素朴なで、あえて飾り立てず、みっともない部分も見せることを厭わない。ハリウッド女優だって、日本の女優だって、今なおビッグである人が、同じような役は絶対やらないと思うから。デカパンヌードをさらけ出して笑いをとる、ジェーンの潔ぎよさに心底感動。
フランスという国は日本やアメリカのように女は若いほどにいいというような価値観はなくて、大人の女性をきちんと敬い賞賛する土壌で映画の中で中年女たちはいつも輝いているという印象だったんだけど。さすがに50過ぎの女性においては、年齢を重ねるゆえの不安にさいなまれる物語は成り立ってしまうのだね。なので時折、痛々しくてちょっとせつないのだけど、それを吹き飛ばせるようなポジティブな楽しさに包まれるステキなロードムービー。
トークショーやサイン会でのジェーン・バーキンも本当にチャーミングで、観客の一人ひとりにフレンドリーな優しい笑顔を向けてくれて大感激。昔、セルジュと一緒に来日した頃は女性が外でお酒を飲むというのは不相応という空気だったけど、あれから日本も変わりましたね、なんてことを話してくれた。さりげなくそんなことをちゃんと見つめてくれているジェーンの真摯さったら。素晴らしい団長だったね。
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そんなこんなで、会期中はちゃんと食事をするヒマもないくらい、非常に慌ただしく忙しかったのだけど、とても楽しく充実したフランス映画祭でありました。

皆が絶賛のブリュノ・デュモンの『ハデウェイヒ』を観られなかったのが唯一の悔み。

『ミックマック』『エンター・ザ・ボイド』(『シスター・スマイル』も公開が楽しみだー。
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by CaeRu_noix | 2010-03-30 07:35 | CINEMAレヴュー | Trackback(4) | Comments(2)
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Commented by rose_chocolat at 2010-03-31 09:01 x
フランス映画祭お疲れ様でした。
『旅立ち』『リグレット』、イヴァン・アタルの裏と表って感じで、それを1回の映画祭にどっちも持ってくるところなんてなかなか粋なことするなーって。どちらもフランス映画らしいラブで、私はこういうのは結構楽しめました。
『バス・パラディアム』も、新しい風なのにしっかりとクールだし、
『アンプロフェット』の濃ゆさにもじりじりしながら、ラストでじーんわり。 どれも「らしさ」を味わうことができました。 一般公開してほしいですね。

それにしてもスケジュールのタイトさには悩まされまして、『スフィンクス』『テルマ・・』は泣く泣くあきらめ。 せめて電車がある時間に終映してほしっ。
あと、サイン会が長引くのは想定範囲なんで、前の回のサインの人達が次の回の映画に20~30分遅れで入ることがないように、上映スケジュール調整していただきたいものです。 次の回の映画が尻切れとんぼになるのもそうですけど、次の回を観ている人たちだって、パラパラスクリーンを横切られるのも、ねえ。。 
フランス映画祭のスタッフさんもここ読んでると思いますんで(!)シッカリ書かせていただきました(笑
Commented by CaeRu_noix at 2010-03-31 16:42
rose_chocolat さん♪ 
お疲れ様でしたー。
忙しかったけど、お台場に出かけた時に比べたらしんどくはなかったかも。
何しろ映画は皆よかったし、ステキなゲストに会えたし。
団長の娘の夫出演作が二作もあり、お!と思ってましたが、どちらも不倫もので物語につながるものがあって面白かったですよね。
私もどちらもよかったです。
今年はドキドキハラハラ映画が多かったので、バーキンのはコミカルなのが箸休め的によかったですよー。
団長の映画なのに遅い時刻始まりって酷いですよね。
私は二日とも終電一つ前の電車でした。
ギャスパー・ノエのも映画祭用特別バージョンということで見たかったのに、深夜スタートなんてあんまりだ~。
『アンプロフェット』は公開きまってたのに、権利がてばなされてないみたいで、宙ぶらりんな悲しい状況みたい。
フランス映画祭の運営状況には毎年不満があるのですが、今年はツイッターであがった意見にすぐさま反応してもらえたようで、ちょっとよかったです。
サイン会に行くと次の映画に遅刻せざるを得ないてのもねぇ。
これだけ盛況なら、上映回数を増やしたりしてほしいなと。
とにかく共に楽しめてよかったっす。
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