かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ホッテントットエプロン-スケッチ-』
2010年 04月 14日 |
念願の映画をやっとスクリーンで観ることができて感激。二度観に行ってしまった。
ユーロでかかっていた『眠り姫』(2007)の七里圭監督の2006年の作品。
アート映画好きさん必見。



本当はこういう映像美にあふれる詩的な作品はもっと大きなスクリーンで観たいのだけれどね。d0029596_1239024.jpg今の日本ではそんな望みは叶えられることはないのかもしれなくて。座り心地のよくないイスに見にくい小さなスクリーンのアップリンク上映であっても、この機会は逃しちゃいけない。下北でかかっていた時には逃してしまったのでこの機会はとても嬉しかった。

先日K'sでの矢崎監督上映の際、トークショーで七里監督のお話も聞けたので、興味が増したこともあり。七里圭熱急上昇。
長年現代の日本映画といえば、バカの一つ覚えのように岩井俊二と言っていた私だけど、今年は七里、矢崎の名前を連呼しよう。

映画館でそれを味わうことができることの素晴らしさを感じてやまない究極のアート映画。
台詞なし。映画とはイメージの連なり。幻想の世界に誘われていくだけ。

"隠れた場所に醜いアザを持つ少女・里香は、ある日、ねずみ色のフードで顔まで覆った笛吹き男を見かける。笛の音色に引き寄せられるように、彼女の現実は夢想の壁から剥がれ落ち、やがて不思議な世界へ迷い込む…。"

そんなシノプシスなんて本当はいらない。少女に名前があるということだって知らなくてもいい。映画の世界に足を踏み入れて、予備知識なしで、あっ、これはアリスの物語だ!って気づくことが嬉しいの。迷い込み、浮遊し、からまって、流れていく。

体にできたアザって、デプレシャンの映画みたいでグッとくる。心の奥底の蟠り、コンプレックス、心配ごとが肉体の表面に浮き出てくるというか染み出してくる感じ。とらわれてとらわれて深く沈んでいく感じ。

エプロンをつけてウエイトレの仕事をしていて、ふとした瞬間に別世界に迷い込む感じ。別にそちら側が空想の世界、幻想の世界で、レストランが現実ということでもなくて。私たちはいつもこんなふうに行ったり来たり、迷い込んで囚われているっていう感じ。単なる直感的なイメージのアートな映像化というんではなくて、女の子の深層を森で迷子になったココロを紡いだら目に見える形で紡いだら、そうきっとこんな風にだよねって思える感覚があるから。その世界に侵食されていくの。

妖しくも美しい映像世界にピタリと寄り添い、調和した音楽も素晴らしい。クラリネットやハープの音色の美しさったらない。台詞なんて本当に不要なのだ。余計な説明はいらない。映像でひたすら映像で見せてくれればいいの。

残念ながらソフト化はしていない。劇場でいつかまた会えるとよいね。ティム・バートンのアリス映画がもうすぐ大々的に公開。本当はアリスってもっと秘め事っぽい感触であるものじゃないかって思うのだよね。3Dの登場で映像表現がアトラクション方向に進みつつもあることを寂しく思いながら、私は『ホッテントットエプロン-スケッチ-』のような映画を大切にしたいと思うのだった。


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by CaeRu_noix | 2010-04-14 12:39 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(0)
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