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ジャンヌ・バリバール! ライヴと寺島しのぶ対談
2010年 06月 30日 |
「ジャンヌ・バリバール特集上映」開催中。
出演作の映画鑑賞はまだ続きますが、土曜のLIVEと日曜のトークイベントの感想をば。



・ジャンヌ・バリバール ライヴ@西麻布スーパー・デラックス

ポルトガルの鬼才ペドロ・コスタが女優ジャンヌ・バリバールの5年間の歌手活動を撮り上げたドキュメンタリー『何も変えてはならない』が7月31日に日本公開。
その公開記念ライヴで生歌を堪能してきたよ。

ジャンヌ・バリバール(vocal)、ロドルフ・ビュルジェ(guitare/vocal)、アルノー・ルーラン(base)、マルク・ケール(percussion)、フレデリック・スラール(mixing)

生ステージっていうのはやっぱりいいよねー。
思いのほか、よかった。素晴らしいLIVEでした。

実は先日、LIVEのためにジャンヌのアルバムをiTunesで試聴した時、あまり感じるものがなくて曲を購入することをやめちゃったクチでした。歌声も曲調もそれほどに好みのタイプではなかったの。正直いって、歌はあまりお上手ではないという印象。ところが、LIVEというのは別ものなんだよね。iPodで繰り返し聴きたいタイプではなかったはずなのに、ジャンヌの生の歌声とその空間に広がるサウンドはとてもステキなものだったのだ。フレンチの女性ボーカルならやや高音のささやき声が好みだと思い込んでいた私だったけど、お酒の飲める空間の夜のムードには、ジャンヌの低めの歌声が絶妙にいい感じで響いてくるんだよね。時には甘く、時には気だるく、ほんの1杯のビールでちょっといい気分になった私の心にぐぐっと染みる魅力的な歌たちでありました。

ライトに鮮やかに映えるグリーンのドレス(ミニスカワンピ)で登場したスレンダーな大人の女性ジャンヌ。ステージでタバコに火をつけて吸うその姿がめちゃめちゃ絵になるカッコよさ。それでいて歌い終わった後にはフッと表情がかわり、やわらかな微笑を見せてくれるの。これが大ホールだったら表情の変化もモニターを通してでしか見られなかったりするものだけど、このLIVEスペースはさほど広くなく親密な空間ができ上がっていて、すぐそこにいるジャンヌの一挙一動に見惚れてしまったよ。観客の立場でいえば、LIVE空間は狭い方がステキかもしれない。そんなわけで幸福度いっぱい。ジャンヌの歌手デビューの仕掛け人でもあったらしいロドルフ・ビュルジェの歌とギターがまたカッコよくて。ドリンク付で3000円でこんなにゴージャスなLIVE体験できるなんて素晴らしすぎる。

『何も変えてはならない』本編を観るのがまた楽しみだー。



・『白痴』上映後のジャンヌ・バリバールX寺島しのぶ対談`@東京日仏学院エスパス・イマージュ

毎度のことながら、ここで開催されるトークイベントは中味が詰まっていて素晴らしいものでありました。ジャンヌに寺島さんに司会進行の坂本さんと、日本と仏蘭西のほぼ同年代女性三人(ほぼ三女優)によって進められていったトークの興味深いことといったら。真摯で率直な語りに何度となく頷き感心し、時には胸が熱くなったのでした。

ペドロ・コスタとの出会いは映画祭の審査員同士としてだったらしい。監督と俳優という立場ではなく映画の受け手として、同じ映画が好きというところで意気投合したというのが興味深かった。仕事において女優としての彼女を撮りたいと思ったとか、この監督の作品に出たいと思った、というのがまず先ではなくて、映画を受け止める感性でまず共鳴したっていう繋がりがすごくいいなーって、映画好きとしては感無量。でも、ジャンヌが好きだというキアロスタミやジャ・ジャンクーやコスタはプロの俳優をほとんど使わない監督なので(キアロスタミのにはビノシュ出てるけど)女優の自分がそういった監督の映画に出るチャンスはなかなかないということ。だけど意気投合したペドロ・コスタは友人ジャンヌの歌手活動を撮ることにしたのですね。撮りたいテーマが先にあったのではなく、まさに敬愛と友情をもとに実現されたものだったのか。商業的な価値観とは真逆にあるようなそういう信頼と直感、すごくステキだなぁって。

ジャンヌはとにかく結構なシネフィルのようでさらりとジャ・ジャンクーの名前などを出してくれるのが嬉しかった。低予算もなんのそので作家性の強い監督との仕事が多いのも納得。映画と監督の作家性というものを愛している女優さんなんだなぁと感動。とにかく監督に重きをおいてそれを信じて出演作を選んでいるようです。片や寺島さんは、日本映画界に身をおいていたら当然なのでしょうけど、監督で出演作を選ぶという感じではなく、脚本を読んでこれ!と思うものに出ているそう。そして、フランスでは女性(主人公)の映画が今少なくなっているということにジャンヌが言及。私から見たら、フランス映画は女性もの比率は断然高いとは思うのだけど、ひと頃よりは減っているのかもしれないですね。ハリウッドもどきのエンタメ映画が増えたら、女性ものは減るだろうなぁ。日本も現代はいわゆる女性ものは少ないですよねと。「『Flowers』なんてはのありましたけどね。」「あれは映画なんですかね?」というちょっとしたやり取りが面白かったなぁ。いえ、今年は女子映画は豊作だと思うんですよ。でもそう、第一線にある映画の大方は主人公が男性で、女優にふられる役は常に奥さん役だの恋人役だのなんですよね。だから、『キャタピラー』の仕事が来たときはすごく嬉しかったと寺島さん。ローバジェットでヘアメイクさんはいないし、衣装も自分で用意しなければいけない大変なものだったけど、それでもがんばったと。日仏それぞれの映画を信じる女優魂に心打たれるばかり。

同性で同年代の坂本さんはいつもに増してよい司会進行をしてくれた気がします。それほどに多くの共通項がないゲスト同士であっても、「映画」「女優」というキーワードでいくらでも話は展開していくわけで。坂本さんが日本では女優さんのレトロスペクティブが行われるのは珍しいとおっしゃっていて納得。そう、一般の映画ファンには俳優で映画を追っかけるという人が多いにも関わらず、特集上映に足しげく通うシネフィル層が監督の名前で映画を観るゆえか、実際にあるのは監督特集ばかり。日本でも俳優特集が確かにもっとあってもいいですよね。司会の坂本さんが両者に交互に気遣うのは当然のことながら、ジャンヌの心配りにも感心。マチュー・アマルリックもそうだったけど、何か質問をされても自己主張一本やりじゃないんですよね。マチューは都度、隣にいた黒沢清監督の映画に話題をふっていたことを思い出した私。ジャンヌもね、まずは「寺島さんがおっしゃっていたように」というところから話に入っていき、「寺島さんはどうですか?」と話を振ったりするの。遥々フランスから来てくれて、当特集の主役でありながら、謙虚な姿勢で周りに配慮することを常に心がけているジャンヌの大人としての振る舞いにとっても感動してしまった。時には13歳になった子どもの話をして、母親であるという一面を見せてくれたり。会場からの質問で『ランジェ公爵夫人』について問われる機会があれば、ギョーム・ドパルデューがどれだけ際立った才能をもつ俳優であったかを語ってくれたり。話してくれることのすべてが心に響くものでした。

疲れているはずなのに本当に誠実に熱心に話をしてくれたジャンヌ。今まではあまりにも知的過ぎるので、ややクールでシャープなタイプの女性なのかと思っていたのですが、知的さとクールなカッコよさはもちろん持ちつつも、穏やかで柔らかな女性でもあるのだということをしみじみ感じました。時折見せるその笑顔は菩薩像のような柔和さがあるの。ジャンヌ・バリバールという女優に自分が強く惹かれたのは近年のことで、それほどに好きな女優の上位でもなかったのだけど、今回生ジャンヌ体験をして、その多面的な魅力にノックアウトされました。本当にカッコいい!これからも応援していきたいです。『ヴァイブレータ』や『赤目四十八滝~』が大好きな自分は寺島しのぶという女優さんにもずっと関心があったのだけど、こんな機会でもなかったら、生寺島さんのお話を聞くこともなかったであろうと思うのでよかった。寺島さんのようなスタンスの人は好きだし、『キャタピラー』もとても楽しみ。

素晴らしいトークイベントをありがとうございました。
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by CaeRu_noix | 2010-06-30 10:00 | 映画ネタあれこれ | Trackback | Comments(4)
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Commented by mezzotint at 2010-07-01 21:01 x
今晩は☆彡
「キャタピラー」先行上映で観て来ました!
寺島さん、若松監督の舞台挨拶もあり、中身の濃い上映会でした。
「キャタピラー」、凄いですよ!寺島さん、大西信満さんの迫真の
演技に注目です!かえるさんきっと大好きな作品だと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2010-07-02 09:03
mezzotint さん♪
おはようございます。
おお、キャタピラーご覧になりましたかー。
若松監督はどんなお話をされたのか、気になりますー。
これ、まず沖縄、広島、長崎から公開されるというのが素晴らしいアイディアですよね。
東京公開も終戦記念日の一日前だったりして。
でもって、前売券料金が千円。
こんなに良心的な価格なのだから、多くの方に見てもらいたいですね。
私も楽しみですー。
好きな映画という言い方はできないタイプかと思うのですが、きっとガツンとくる映画だと思います!
Commented by kristin at 2010-07-03 18:39 x
「クリーン」よりも前の作品を観たことがないので特集上映に行かれるかえるさんが羨ましいです。しかも生バリバール&生歌も聴けたなんて~。
とても魅力的な女性ですよね。
Commented by CaeRu_noix at 2010-07-04 10:26
kristin さん♪
ありがとうございますー。
kristinさんもバリバールに注目されてましたよねー。
いろんな出演作を観れば観るほどに、また演技していない生の姿を拝見して、よりいっそうジャンヌを好きになりました。
日本でソフト化もされてないような作品をスクリーンで観られて幸せです。
一般公開されてるものも、『そして僕は〜』とか『恋ごころ』とかは紀伊國屋のDVDだから、レンタルにもなかったりなんですよね。寂しい。
今後もジャンヌと素敵なフランス女優たちをよろしくお願いしまーす。
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