かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『SR サイタマノラッパー2 ~女子ラッパー傷だらけのライム』
2010年 07月 22日 |
シューシューシュー。痛快に弾むのだ。洗練されてパワーアップ!

群馬で実家のこんにゃく工場を手伝いながら退屈な日々を送るアユムは、ある出来事をきっかけにかつてのラップ仲間ミッツーらと共に、一夜限りのライブを行おうと思い立つ。



あの『SR サイタマノラッパー』は続編は群馬が舞台で主人公は女子ラッパー。パート2はあえて女子たちが主役っていうのが嬉しいじゃない。男たちのドラマのパート2が丸々女子主人公っていうのはなかなかなかった気がするもの。現在と将来に不安を抱く女子のドラマはもちろん常にあるのだけど、恋愛と仕事で行詰ったりするTVドラマでお馴染みの女子固有の自分探し系がパターンでしょう。そういうんじゃなくて、生活を変えるとか、将来のためのサクセスへの一歩とかじゃまるでなくて、そんな顛末は必要なくて、ただひたすらラップで再燃する青春ものっていうのを、27歳女子主人公でやるっていうのが潔くって気持ちいいんだよね。

ラップと青春のイメージとは裏腹に、「SR サイタマノラッパー」といえば気まずさ、イタさこそがポイントであった。救いようのないダメダメな冴えない主人公こそが肝。だからこそ評価できる映画だと受け止めてはいたけれど、その気まずいどん底感を愛したいというところまではいかなかったのが本音。それが今回は、同じような設定ながらも、素直に応援せずにはいられない女子たちの物語になっていたから、ぐぐっと入り込めたカンジ。アユムちゃんは一見ラップをやりそうには見えない地味な女子だけど、私の中では一昔前の深津さんのイメージが重なるようなひたむきなところががかわいいんだよね。またしてもどんな役をも自分のものにしてくれる素晴らしき女優安藤サクラにはもう何も言うことなし。のびのびと気風のいい女ミッツーに惚れぼれ。個性的にキャラ立ちしていながらもリアルな存在感の女子たち。

それから、前回残念だったのは、期待したほどにラップシーンが満載じゃなかったこと。青春音楽映画で楽しみなのはまずはそこなのに、なかなかラップを聴けなかった。でも、今回はちゃーんと音楽映画らしく、ラップシーンがメリハリをもった大いなる見せ場・聴きどころになっていて気持ちが高揚。サイタマノラッパーIKKUとTOMと群馬の女子たちとの川原ラップ対決シークエンスはとーっても楽しかったよー。この一連の対決を長まわしで撮っちゃうところに釘付けになった。ラップのリズムは小刻みだから、ミュージッククリップなんかではカットが細かくスピーディに編集されるのが定番だけど、そういう手法とは違ったカメラワークで、臨場感あふれるラップを見せてくれるのが、映画の魅力だよねーっていう面白さ。田んぼ広がるのどかな風景の中の選挙カーのウグイス嬢ラップも爽快感があって好き。

気分高揚の盛り上がりラップでたっぷり楽しませてくれつつも、サイタマノラッパーといえばコレでしょうっていう気まずさも健在。おそろいのへんな水着を着せられてプールでショーをやらされる恥ずかしさったらないし。せっかく再結成したのに、25歳組の二人と亀裂が入ってしまうところは、女の性分のいやーなところを見せられて、本当にやるせない気持ちにさせられる。ブラックにコミカルなノリの中でも、そんな痛みの切実さがちゃんと描かれているのが持ち味。挫折感に同情・共感しちゃうからこそ、彼女たちが一花咲かせられることを心底応援してしまうわけだし。どうなることやらと思いつつの、法事の会食場での思いっきり場違いで気まずいラップシーンはやっぱり最高。ひたすら明るく楽しくノリノリな音楽シーンを作り上げるのは誰だってできる。このビミョウなブラックさ、面白いんだけどこの上なく恥ずかしくて痛々しい場違い感あふれるラップシーンが見られるのはサイタマノラッパーだけだー。気まずさの先にある飛翔を見よ。面白かったー。
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by CaeRu_noix | 2010-07-22 19:43 | CINEMAレヴュー | Trackback(5) | Comments(2)
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Commented by rose_chocolat at 2010-07-23 00:13 x
1は観てなかったんだけど思い切って行っちゃった。
でもわざわざ行ってよかった作品ですね。
安藤サクラにハズレなし!

>一昔前の深津さん
あー、そうそう。 それ思った。
この5人ともキャラがしっかりしてて、見てて飽きなかったですね。
20代後半ってそんな風に考えるのかあ・・・ と、とっくの昔に過ぎ去った日々も思い出したり。 でも時代が違うから、今のコたちは閉塞感もいっぱいだろうし、それをどっかでガス抜きしつつも表現する場が欲しいのかなって思います。
ラップもたくさんやったからきっとみんな上手いんだろうな~。 フツーに実生活で振られても大丈夫だと思う(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2010-07-23 01:07
rose_chocolat さん♪
あ、これは1を観てなくてもOKですよね。
観に行って大正解!
安藤サクラは本当に何をやってもその役が活き活きと生命力にあふれー。
あのけだるめに始まるラップ、クセになるー。

お、ふかっちゃんを想起したのは私だけじゃなかったのね。嬉しいー。
生意気女子は脇にして、ひたむきちゃんを中心にしたのは賢い王道かも。
それぞれに個性的なんだけど、奇をてらいすぎてはいなくて、等身大な感じのキャラでよかったですよねー。
(マミーちゃんがソープ嬢っつーのはおちすぎな気がするので、キャバ嬢くらいにしてほしかったけどw)
今も10年位前も、27歳女子の焦燥感ってそんなには変わらないとは思うのだけど、不況が悪化して以後はこういうテーマがより大規模に深刻になったのかな。
今だと27歳なんてぜんぜん若いじゃーんって思うけど、当事者はやっぱり不安は常にあるのでしょうね。
田舎暮らしの閉塞感もまた気が滅入るでしょうし。
そんな鬱々とした思いがわかるから、ラップで弾けるところがひたすら爽快でしたよねー。
日本語でラップってすごく難しそうだけど、ほんとみんな上手で、日常会話も全部ラップでいけそう?
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