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レハ・エルデム監督作についての覚書 (TIFFにて)
2010年 11月 17日 |
東京国際映画祭の鑑賞メモ記事すらなかなかまとめられずにいるのだけど、とりあえず今回のTIFFで監督特集が実施されたトルコのレハ・エルデム監督の映画、ものすごく気にいったので一記事にしておきますの巻。



2007年のTIFFシーズンは旅行にでかけたので映画祭参加はほとんどできなかったんだけど、その時に観たいと思った『時間と風』のことはずっと気になっていたのだよね。そうしたら、念願のその映画をスクリーン鑑賞できるチャンスが今年訪れると共に、「躍進トルコ映画の旗手 レハ・エルデム監督全集」という特集が組まれたのだから素晴らしい。残念ながら、他の部門でも観たい映画が多すぎて、身体は一つなのでスケジューリングがとても難しく、全作鑑賞は無理だったけど、天秤にかけた映画をいくつか諦めて、何とか3本鑑賞。予想通りに自分好みの作風でありました。好きな監督にレハ・エルデムを加えたくなったよ。

Reha Erdem
1960年イスタンブール生まれ。パリ第8大学映画学科を卒業し、造形美術で修士号を取得している。88年フランス・トルコ合作で、初の長編映画『月よ』を監督。その後、『ラン・フォー・マネー』(99)『ママ、こわいよ』(04)『時間と風』(06)『マイ・オンリー・サンシャイン』(08)『コスモス』(09)を手がけた。また、短編映画やジャン・ジュネ原作の舞台「女中たち」の演出も手がけている。

TIFF公式サイト
OUTSIDE IN TOKYO
atlantikfilm.com


『月よ』  Oh Moon [A Ay] 1988年  

11歳のイェキタは海岸通りの屋敷で叔母と寝たきりの祖父と暮らしていた。

この前に観たものがHDCAMものだったこともあって、このモノクロームのフィルムの質感の美しさにいきなり目と心が釘付け。少女が主人公のファンタジーというふうに紹介文があったので、もう少しメルヘン寄りのフワフワした感じのものをイメージしていたら、思いのほか、ひんやりとした空気が張りつめていて、怪奇色も感じられる魅惑的な世界がそこにあった。お屋敷のたたずまいといい、共に暮らす叔母たちの存在といい、謎めいた不気味さがたまらなくいいの。いつもは真っ青なボスポラス海峡が白黒映像ではやけに神秘的に妖しくて、それでいてやっぱり美しいのが水辺。映像に加えて、音使いにも強く引かれた。柱時計の音、床のきしむ音、海鳥の鳴き声、そんな重なり具合が絶妙。足の悪いかもめなんてハマりすぎる。タルコフスキー映画に通じるような幻想性。不思議であやしいおとぎ感を満喫。


『時間と風』  Times and Winds [BES VAKIT] 2006年

岩だらけの山に寄り添い、果てしない海に面し、斜面にはオリーブの林が並ぶ小さな村。日常の時間は、礼拝を呼びかける音によって5つに分けられている。

大自然の中、日々暮らす人々を大らかに映し出す。それでいて、ほのぼのした物語というのでもなく、少年少女たちの不遇と心の痛みを繊細に描いていて、引きつけられる。自然の中にあるちっぽけな人間を意識しつつも、でも人々はそのささやかさの中で心が揺れているんだっていう、目線のバランスというかそんな世界観がとてもよいのだ。いつもなら大げさと感じられるような音楽も、説明を廃したこの映像詩には、アルヴォ・ペルトの曲が素晴らしく調和していたし。これほどに美しい日の出・日没の映像はめったに見ることができないよねとうっとり。


『マイ・オンリー・サンシャイン』 My Only Sunshine [HAYAT VAR] 2008年
撮影監督:フローラン・エリー
キャスト オズカン・オゼン アリベイ・カヤル エリット・イシジャン ビュレント・エミン・ヤラル タネル・ビルセル

ボスポラス海峡近くの川沿いに、14歳のハヤットの父と祖父は、掘っ立て小屋を建てて暮らしている。

これはもうとびきり気に入りました。少女ものって大好きなんだけどこのアプローチは最高。今回はコメディとジャンル分けされるものは見られなかったのだけど、ここにはシニカルな笑いがあちこちに含まれていて、こういうテイストのコメディなら見てみたかったと思った。14歳のハヤットが寝たきりの爺さんの面倒をみなくちゃならないってとてもつらい状況なんだけど、それを悲劇的に描くわけではなく、縛りつけようとする図々しい爺さんに復讐めいたいたずらをしちゃうという展開がとてもいい。ファンタジーの香りが漂う中、現実的な描写とお茶目なブラック・ユーモアが交じり合うのが魅力なの。マイ・オンリー・サンシャインを歌うのは誰かと思えば・・・。その音楽の繰り返しも絶妙。ハヤットが七面鳥をいじめる絵も素敵すぎてたまらない。海と船づかいの素晴らしさにはもうノックアウト。


全作観たいなぁ。
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by CaeRu_noix | 2010-11-17 11:10 | CINEMAレヴュー | Trackback(1) | Comments(3)
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Tracked from ★Movies that.. at 2011-05-14 14:18
タイトル : マイ・オンリー・サンシャイン <2008/トルコ=ギリシ..
Hayat Var/My Only Sunsine 2008/121min/ȥ륳᥮ꥷ֥륬ꥢ ɥ /ܡϡǥ֥⥹ б顧åȡ롦٥å IMDbɾ7.2/10 ١ Ҳ١ ١ ˮꥻ ?ǤŤ©ݤۤܥݥ饹᤯褤ˡ14ФΥϥåȤϡΩƾƤ餷Ƥ롣ϾäƤꡢ¿ʡˡǤ⤢Żơ²̿٤Ƥ롣ͥʿήȤϳ䤷ϥåȤϡĤ餯Τˤ褦Ȥǽ롣͡Ըˤ⤫...... more
Commented by CaeRu_noix at 2011-05-14 23:56
Koo さん♪
すみません。FC2ブログのTBは文字化けしてしまう今日この頃・・・。
ああ、ごめんなさい。私は基本、劇場鑑賞専門なので、海外版のDVD購入して鑑賞とかはしてないんですよね。なのでその後は観てませんー。この時観た3本きりです。
おお、そうですか。「コスモス」は「月よ」「マイ・オンリー・サンシャイン」以上によかったのですか!それはキニナルなー。
私もぜひとも観てみたいのだけど・・・。記事はちらりと参考にさせていただきますねぇー。
Commented by Koo at 2011-05-15 11:38 x
そうでしたかぁ。それは失礼しました。
ずっと海外勤務だったり、海外出張とかで、日本にあまりいなかったもので、
いつ何が上映されているのかわからないんです。
私も劇場鑑賞が多いです。海外版DVD購入はしたことありません。
では。
Commented by CaeRu_noix at 2011-05-16 08:58
Koo さん♪

いえいえ、こちらこそ失礼しました。
しかし残念ながら、海外版のDVD購入でもしない限りは、他の作品を観られる状況にはないんですよね。
東京国際映画祭でエルデム特集がくまれたのは奇跡的といっていいくらいでした。
それなりに名のしれた監督作で国際的な映画祭で受賞している評価の高いものでさえ、日本では配給されないことがしばしばで、つねに映画祭や特集上映が頼みの綱なんです。
それでももうちょっと名のしれた人気の監督が取り上げられることが大半なので、エルデムがまた観られる機会はなかなかないんじゃないかな…。
Koo さんは海外でご覧になっているんですね。うらやましいですー。
今やってるカンヌ映画祭関係の作品も日本で観られるのは少ないだろうなと。
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