かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『ソーシャル・ネットワーク』 The Social Network
2011年 01月 18日 |
蟠っているのに熱を帯びているのにクール。

5億人突破、数年で世界最大のSNSに急成長した“facebook”誕生の舞台裏。
2003年の秋、ハーバード大の学生マーク・ザッカーバーグはガールフレンドのエリカとケンカをし・・・。



殺人鬼や暴力は登場しないデイビッド・フィンチャーの映画だけれど、そういったものに脅かされるのと違わないような、ドキドキ感にとらわれっぱなしのスリリングな面白さを満喫。主人公は共感も応援もしづらいキャラクターだし、それほどに劇的な何かが描かれているわけでもなく、映像化してもそれほどの見せ場はないのじゃないかと思われるような題材なのに、緊迫感に包まれて目が離せなかった巧みな演出、語り口。Facebook はやっていないし、それほどに関心があったわけでもない私ではあるけれど、インターネットの世界とそれが切り離せない要素となった(ネット社会と言われる)社会で暮らし続ける一人として、興味を持って考察せずにはいられないものだったしね。これが私たちの生きるイマの時代、蠢く現代社会の姿でもあるんだという凝縮感が素晴らしいと感じた。

私にとってのインターネットの魅力は、時間空間をひょいと越えて、どこへでも誰とでもやり取りできる軽やかなる自由さにほかならない。そのはずなのに、排他的な仕組みのSNSがこんなにも人々に支持されて発展してきたことは実に面白い現象だよね。結局、私たちが欲しているのはそんなコミュニティと人間関係なのかって。確かにまぁ結局、ネット上であれ、ネットを通じて知り合った友人たちとのオフラインの交流であれ、学校や職場と何ら変わらないような仲良しグループみたいなものができてしまうのも常。非日常的なやり取りの面白さに重きを置かない人にとっては、facebook的に実名で、現実の人間関係をネット上で再現しながら人脈を広げていくことは、合理的で魅力的なことなのかもしれない。学生時代にFacebookのようなものがあったら、そういう自分もハマってしまうこと請け合い。同時に楽しさばかりじゃなくて、失望したり不安にかられたりダメージを受ける機会も倍増すると予想できるから、なくてよかったという思いの方が強いけれど。

最年少で億万長者になったマーク・ザッカーバーグとはこういう人なのかって納得させられてしまうジェシー・アイゼンバーグの見事な演技。ハリウッド映画の多くは、どんな役でもイケメンクンが主演と相場は決まっているのだけど(マニア好みの『キック・アス』ですら、主演のアーロン・ジョンソンはカッコよすぎてメガネ1つじゃ非モテオタクに見えず)、リアル・ザッカーバーグくんの方がアイドル顔じゃない?というくらいアイゼンバーグくんは幼稚で危なっかしい天才オタクくんそのものだった。女たちは("イケイケ"という懐かしい言葉にぴったりの)アメリカンなビッチだったものの、Facebook立ち上げに関わった主要人物の男たちは、リアリティも感じさせる個性色濃いキャラクターとして存在していた。冒頭の彼女との会話シーンから、自信満々マークのデリカシーのない屈折オタクっぷりがあらわになるところがいい。そうやってもう最初から主人公に好感なんてもてないのに、ナップスターの創始者ショーン・パーカーにのせられまるめ込まれていくのを見ていると、歯がゆさを感じる程度にはマークに気持ちがいってしまっている不思議。

桁違いのビッグビジネスを生んでいくものを描いていながら、このドラマに親しみがもてるのは、大学の寮が舞台の青春群像劇の肌触りももっているからだった。ハーバードの秀才たちだって悩める若者たちであるのだ。優越感と劣等感の狭間で息苦しい毎日の中を送る。きっかけも長い間の心にある蟠りもガールフレンドのことだっていうのは何とも複雑に痛々しい気分。それにしても彼女の心を掴んでおけないなら、せめて友達は大切にしなよって思うのだけど、友人エドゥアルドをやすやすと裏切っちゃうのは寂しいね。インターネットでも何でも結局人は、人とのつながりばかりを求めているのだということに思い当たりながらも、より即物的なものの誘惑に傾いてしまうのは人間の悲しいサガなのか。若者たちの有りようは今も昔も変わらないのかなと思わせられながらも、この現代、IT技術革新の目覚ましいアメリカの競争社会でしかありえなかった展開を見せるところに興味はつきないのだ。目まぐるしく動くシャカイはエキサイティングだけどちょっと恐ろしくなりながら。

Apple製品の代わりにアップルティーニで狂宴かー。

日本で主流のSNS mixiはゴテゴテしていて全くクールじゃないよね。
[PR]
by CaeRu_noix | 2011-01-18 22:43 | CINEMAレヴュー | Comments(6)
Commented by とらねこ at 2011-01-19 04:58 x
かえるさん、こんばんは。
誰かが言っていたんですが、ネット社会を世界の国々に置き換えたら、大国が二つ存在する。その一つがtwitterという国で、もう一つはfacebookだと。
つまり、国という単位を「場所」ではなくて、internetの中のバーチャル世界を「属するSNS」で分けているところが面白いなあ、なんて思いました。
私にはやっぱり、実名の顔入りというのがどうもリアルと変わらない気がしてしまいます。2ちゃんのような圧倒的な匿名性からすると、twitterの方がより実名性に近づいた気がして、より社会的だなんて思っていたのですけれども。
この作品の面白さの一つは、扱う内容の極めて現代的なところでしたー。
mixiの見た目のゴチャゴチャぶりも閉口しますし、何よりドロドロな人間関係が疲れますー。アプリだけで十分て思いますね。ほぼメールボックス代わりだったりして。
Commented by rose_chocolat at 2011-01-19 06:15 x
↑のとらねこさんの解説、面白いですね。
私はTwitter国民だな・・・。
実名顔出し、学生の時ならやったかもしれませんけど、
今はねえ。 そこまでしなくても、というスタンスです(笑)

ジェシーくん、ハマってましたね。 マークが乗り移ったかのような演技でした。
Commented by CaeRu_noix at 2011-01-19 11:23
とらねこさん♪
twitter、facebookという二つの大国という見方は面白いかもですー。
どちらもやっているという人もいるとは思うけど、結局比重はどちらかにかかるものだろうしね。
リアルと変わらない世界をネット上に築くというのはどうも気持ち悪いよねぇ。
確かに、学生時代の自分をイメージするなら、クラスの友達、サークルの友達、高校時代の友達、バイト先の友達、と一挙に手軽に交流できるのはエキサイティングな気もするけど。
インターネットとは現実世界の仕事とは無関係の趣味の世界のやり取りの場である今の自分にとってはfacebookにそんなに魅力は感じないなぁ。
仕事とネット交流が似た層にある人はいいのかもしれないけど。
mixiの仕組みはもうほんとにめんどうくさい・・・。
ツイッターはTLを眺めるだけ、いろんな所を訪問しなくてすむので単純でいいなぁって。
ホント、この同時代性が映画の魅力でありましたー
Commented by CaeRu_noix at 2011-01-19 11:29
rose_chocolat さん♪
facebookはやっていないで、それなら私もTwitter国民。
実名だからいい悪いっていうのは、現実社会での職業等によると思いますー。
営業する必要のあるお仕事の人はネット上でも名前出した方がいろんなメリットあると思うけど、趣味人にとってはハンドルの世界の方が住みやすいですよねー。
ジェシーくんはサイコー。イカとクジラ大好きー
Commented by ノラネコ at 2011-01-24 22:52 x
FACEBOOKが面白いのは、基本実名だから何年も音信不通の友人と、偶然再会できたり、名前だけ知ってた人と本当に知り合えることでしょうね。
これが日本でも流行ると、日本のネット文化も少し変わってくるんでしょうけど。
まあ世界を変える男のモチベーションが彼女に振られた事っていうのが、何とも親しみを感じます(笑
そういえばmixi全然ログインしてないなあ・・・
Commented by CaeRu_noix at 2011-01-25 01:25
ノラネコ さん♪
そうですね。懐かしい友達が見つかったという話は聞きますよねー。
海外生活経験者の人なんかには便利なツールかと思いますー。
この映画の影響でニホンジンのfacebook利用者数が増えたとか増えないとか?
今更爆発的に流行ることはなさそうな気もしますけど、どうでしょうー。
これが流行れば日本のネット文化も・・・というよりは、日本のネット文化が匿名主義で繁栄っしちゃったから、これはなかなか流行りにくいのでは?と思えますー。
そう、天才くんのお話なんだけど、要所要所は普遍的な青春病に侵されているので、身近に感じられますよねぇ。
マーク、やな奴だけど、カワイイ奴じゃーんって。
mixiはやはりめっきり・・・
<< 1月22日の公開映画ちぇーっくなど PageTop 1月14、15日の公開映画ちぇ... >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon