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マチュー・アマルリック来日で 『オン・ツアー』 Tournée  など
2011年 01月 24日 |
マチュー・アマルリック特集のこと。

邦題『さすらいの女神たち』(さすらいのディーバたち)にて、9月24日(土)公開@シネスイッチ銀座!
 さすらいの女神たち 公式サイト



1月上旬、マチュー・アマルリック来日。カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した『オン・ツアー』を引っさげ、東京日仏学院の監督特集に年明け早々また来日してくれた。去年のフランス映画祭の時にも日本に来てくれたばかりなのに。また今回もマチューは、日本のファンの前に登場しては映画にまつわる興味深い話をたくさんしてくれた。その思いを聞けば聞くほどに、その姿勢、人柄を知れば知るほどにマチューの魅力に引かれていくばかり。

俳優としての活躍が目ざましすぎたのだけど、元々は映画作家志望だったマチュー・アマルリック。大忙しの俳優業の合間にも撮り続けてきたわけで、一度は俳優廃業宣言までしたとかしないとか報道されていなかったっけ?それほどにマチューが心血をそそいできた映画たち、日本ではなかなか観る機会のない監督作品を、この度まとめてスクリーン鑑賞することができたのは有意義で嬉しいことでした。

日仏学院の映画担当,坂本さんはずっとずっと前からこの企画を計画していたそうです。ありがとう、日仏学院。ありがとう、マチューの監督作『オン・ツアー』を配給してくれるマジック・アワー。世界的なスターになろうとも、軽やかに日本にやって来て、何度も観客たちの前で熱心に話をしてくれるマチュー、ありがとう。素晴らしき、特集上映企画でした。

さて、
『オン・ツアー』 (仮題) Tournée

出演:マチュー・アマルリック、ミミ・ル・メオー、エヴィ・ラヴェル、ダーティー・マティーニ、ロッキー・ルレット
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
あらすじ:テレビ業界で名うてのプロデューサーとして知られていたジョアキムはトラブルを起し、子供も友人も、恋人も捨て、アメリカに渡る。数年後、アメリカのストリップ嬢たちのグループを連れて、意気揚々と帰国したジョアキムは最終目的地パリを目指して、港町のミュージック・ホールを転々と巡業して行く・・・。

この映画製作はずいぶん前から計画、準備されていたそうで、当初はマチュー自身が主演する予定ではなかったとのこと。当初は主演してもらうつもりの人がいたし、この役を演じるには自分は若すぎると思っていたそう。それが年月経過によって、主演俳優の空席を埋めるため、監督であるマチュー自身がやればいいじゃないと周囲に背中をおされ、今やこの役をやるのに無理はない年代になったこともあり、監督と出演を兼ねることになったという。それは潔い英断でしたね。口ひげを生やしたマチューは、ドサ回りするストリッパーたちのちょっとインチキくさいマネージャーにぴったり。

カンヌ映画祭で監督賞の栄光に輝いた作品が、私の大好きな題材であったことがまずは嬉しかった。旅芸人ものって大好きなんだよね。フランスの港町のミュージック・ホールを渡り歩くロードムービーだなんてわくわくしちゃう。マチューは『バンド・ワゴン』なんかが好きなのだって。ショーの世界に旅という要素が加われば映画の魅力は増すというもの。それもムーランルージュのようなゴージャスさには程遠く、もはやセクシー・ボディを売りにはしていないオモロイ系のストリッパーたちのご一行なのだからそれはもう楽しいの。

大きな体で迫力いっぱい愛嬌もいっぱいのストリッパーは、演技経験のある俳優などではなくて、アメリカの本職のストリッパーなのが素晴らしい。ステージで踊ることが常である彼女たちが、見事にフレームの中で、舞台上ばかりではなく、舞台裏、日常の姿を等身大で見せてくれるの。ぎこちないところは一切なく、賑やかでユーモラスな彼女たちの魅力がヴィヴィッドに弾けるのだ。映画俳優としては素人である彼女たちを起用して、こんなに自然に愉快な仲間たちの旅を物語ったのだから、監督としての手並みが評価されたのも頷けるわけです。

スペクタクルショーな熱気を取り込むために、撮影中はこの映画の中のご一行と同じように、出演者たちはホテルに寝泊りしていたそう。そんなマチューの配慮によって、仲間たちの関係性はリアリティがあるあたたかなものになったのだね。そして、カンヌ映画祭に出席した時は、皆がまたフランスにやって来て、まるで映画が続いているかのようだったとマチューは語ってくれた。いわゆるミュージカル映画はつくり込みがされているファンタジーの感触が特色であるものが多いけれど、マチューの Tournée はこの現実世界と地続きであると感じさせるところがステキなのだ。それでいて夢ごこちの余韻。



ジョン・カサヴェテスの『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』
マックス・オフュルスの『快楽』


青山真治監督を交えたトークショーも興味深く。青山監督にお褒めの言葉を頂戴したマチューが、隣に座って至近距離にいるというのに、感極まった様子でジッと青山監督を見つめていたのが印象的。それが代表的フランス人気質というわけでもないのだけれど、黒沢監督といい、青山監督といい、この世代の日本人監督の大半はこういった場ではクールに振舞うのが常だと思えるのだけど、アルノーやマチューは本当に熱っぽく語ってくれるからドキドキしちゃいます。全てのフランス人がこういう感じではないにせよ、ふと国民性を思ってしまったのでした。

トークショーだけやって忙しくトンボ帰りではなく、今回は数日間日本に滞在したマチュー。お寿司屋さんに行ったり、撮りたいもののためにLIVEに行ったり、日本を満喫してくれたらしいです。

そんなわけで、マチューのいつも一生懸命なまなざしを思い出しながら、『オン・ツアー』の日本でのヒットと、マチューの監督活動の引き続きの飛躍を願うのでした。


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鑑賞作メモ
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『笑うことができない』 Sans rires 1990年/19分/16ミリ
出演:ピエール・ヴィアル、ローラン・ジセルマン、ジュリエン・ヴェルディエ
年老いた道化師が自分の幼年時代に過ごした場所に戻る。あるいは、年老いた男が、数年前に別れた妻の葬式のために、かつて暮らしていた場所に戻る。

『スープをお飲み』 Mange ta soupe 1997年/75分/35ミリ
出演:ラズロ・サボ、アドリアーナ・アスティ、ジャン=イヴ・デュボワ
海外で働く若い男が旅の途中で寄ったパリ、で本に埋もれて暮らす文学批評家である母を訪ねる。

『ウィンブルドン・スタジアム』 Le stade de Wimbledon  2001年/70分 (昨年鑑賞)
出演:ジャンヌ・バリバール、エステール・ゴランタン、アナ・プリュナル

『公共問題』 La chose publique  2003/87分
出演:ジャン=カンタン・シャトラン、アンヌ・アルヴァロ、ミシェル・ラロック
ある映画監督が「男性・女性」をテーマにした作品を依頼される。その撮影の3 週間前、女優である妻から他の男性との恋愛を告げられ……。

『鳥がいない二つの籠』 Deux cages sans oiseaux  2007/ 8分
出演:アントワーヌ・グリ、イナ・ミハラッシュ

『サンタクロースとピザ』 A l'instar du père Noël et de la pizza 2007/5分/35ミリ
出演:フロランス・ジャナス、ジャンヌ・ビショフ
あるジャーナリストがある社会学者についての肖像を描く。あるいはその逆かもしれないが。

『B.D.作家ジョアン・スファール』 2010年/43分
出演:ジョアン・スファール

『舞台は夢 イリュージョン・コミック』 L'illusion comique 2010 80分



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by CaeRu_noix | 2011-01-24 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(4)
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Commented by mig at 2011-09-26 09:19 x
かえるさん こちらではお久し振り☆
拝見させてもらいましたよー!
>インチキくさいマネージャーにぴったり
ほんと、おんなじこと書いてた^^

なるほど、このレポで来日の様子もマチューさんの様子もわかりました〜☆
ほんと多才でセクシー。ステキな人☆
Commented by CaeRu_noix at 2011-09-27 08:38
migさん♪
コメントありがとうございますー。
私もここ久しぶり!というくらい停滞しがちなブログ活動ですが、マチューの映画はちゃんと応援したいなー。
早速ご覧いただき嬉しいですー。
もともと俳優志望というわけでもなかったのに俳優で世界に出てしまったわけですが、このように監督作が映画祭で評価され、日本でも公開されるというのは実にめでたいなと。
ホント、インチキくささがハマるハマる。
でも、本人はいたってまっすぐな情熱をもった人だから、感動的な域!
Commented by at 2011-10-08 16:45 x
この映画のポスター、ずっとかえるさんのブログのサイドバーに掲げられていましたね。
かえるさんのこの映画への愛を感じていました。
やっと見ました。
陽気で、悲しくて、大人の映画でした。
私は恥ずかしいことにマチューの監督作見たのはを初めて。
いや、いいですね。
来日してたのですか。トークショー、聞きたかったなあ。
Commented by CaeRu_noix at 2011-10-10 18:43
雄 さん♪
ご覧いただきありがとうございます!
そうなんです。変えるのが面倒でずっと…というのもありますがw 絶賛応援中の思いをこめて、本作の画像をトップに飾っておりましたー。
マチューはもともと俳優志望というわけでもなく、映画の世界を志した人だから、作り手としてのセンス、熱意もあふれているかと。
といっても、それまでの監督作は普通には日本で観る機会がもてないものだし。
このたびは一般公開にいたってホントによかったです。
マチューは去年に続いてまた来日し熱く語ってくれましたー。
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