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『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』
2011年 01月 28日 |
みーまーのトリコ。

幼なじみのみーくん(染谷将太)とまーちゃん(大政絢)は小学生姉弟の失踪事件と謎の連続殺人事件が同時に起こっている街で10年ぶりに再会する。
入間人間の人気ライトノベルが原作。



一番の期待の新鋭、瀬田なつきが商業映画デビュー!おめでたい。人気ライトノベルな原作もので、主演はシバサキコウと事務所が同じモデル出身の女優ちゃんだなんて、彼女の自由な創造性・表現力の足かせになってやしないのだろうかという不安もあったけど、それが商業映画のイバラの道なのだろうし、そういう企画で実力見せてこそ飛躍できるというものだよね。100万部売り上げている原作のコアなファンの目にはどう映るのかはわからないけれど、原作のあらすじを少しも知らずに観た瀬田ファンの私にとっては、クラクラしちゃうほどに心揺さぶるチャーミングな映画だったよ。2011年はまだ始まったばかりなのに、今年の日本映画ベストは決まった!と言いたくなった。その魅力が最大限に発揮されるのはオリジナル脚本作品だろうという思いは変わらないものの、このみーまーという題材はかなり瀬田さん向けじゃないかって思えた。原作ファンを裏切らないように腐心をしながら、映画ならではの表現を、気持ちよい躍動を忘れない瀬田なつきワールドが弾けていたよね。

思った通りのポップでかわいい映画。まずはビジュアルから心掴まれる。まーちゃんのお洋服もかわいかったし、お部屋にあるおもちゃたちにウキウキ。誰かが言ってたけど、邦画って意外と小道具に力が注がれていなくて、例えばぬいぐるみなんかもかわいくないものが登場することが多い。男性監督はそれでOKしちゃうんだと思う。その点、まーちゃんの部屋は完璧キュートだぜ。ガラス瓶に入ったジェリービーンズ、LEGO、ガムマシーン、スノーボウルっていうカラフルグッズのファンタジー感が目映い。おもちゃの電車が手前から奥に走るのと一緒に人が歩くのを映し込んだところは、待ってましたという感じ。ビジュアルばかりじゃなく、音響の工夫にもやられてしまったよ。SF大作でもない邦画ドラマでこのサラウンドづかいはちょっと目新しいと思えたサウンド設計。彼らの言葉たちがこの空を浮遊するかのようだった。光を感じる音楽が心地よいの。

染谷くんは子ども感満点なのに比べると、大政さんはこのまーちゃんキャラにしては風貌が大人っぽいんじゃないかという違和感が最初はあった。(奔放不思議ちゃん系少女はもっと柔らかい雰囲気のコの方が似合うと思うのだけど、『GO』のシバサキ的にこういうキャスティングが提案されるものなのか?)初めはまーちゃん的な大人っぽい美少女が染谷みーくんタイプを王子様として絶対視するなんて無理がある設定に思えたんだけど、まーちゃんのトラウマが何であったかが紐解かれているうちに、なるほど納得しちゃったよ。そうでなくても、物語が進むうちに、このアンバランスさがむしろいいなって感じてきたの。ニッポンの中高生たちの極度なイケメン崇拝に反旗を翻すという意味合いにおいてもこれは有効かも。カメラに向かって「嘘だけど」と言い放つ、遊び心あふれる演出に微笑みつつも、その倒錯ぶりに戸惑ってみたり。でもキャラクターのつかみどころのなさは、観客の好奇心をいっそうに高めてくれるし、とにかく目が離せなくなって、すっかりみーまーにカンセン。

それにしても、予備情報を入れずに観た私には、想定外のつらくて痛ましい過去が明らかになったから、驚いて心は凍りついたよ。これだけふわふわした雰囲気を充満させておきながら、回想シーンでは容赦なく恐怖に陥れるメリハリに脱帽。この転調、アンバランスさもちょっとくせになるよね。コミカルさやファンタジー感を一方で出しすぎると、その空気に安心してか、怖いシーンが怖くなくなってしまっている映画もよくあるというのに、本作はそのギャップがむしろ恐怖感を決定づけていたんじゃないかな。その出来事に本気で戦慄しちゃったものだから、現在のみーまーのやり取りの全てが愛おしくって仕方なくなるの。みーくんのネジれっぷりもまーちゃんのコワれっぷりもそりゃそうだよね、二人がこんなに互いを必要とし合っているのもそりゃそうだよねって、過去が見えてくるごとにキュンキュン胸が締め付けられる。とてもいい感じでこのせつないラブストーリーにハマってしまったの。

原作がよくできているのだろうけど、どうやら長いその小説のポイントを上手く描写してくれたようで、サスペンスとしてもバッチリ楽しめた。何しろ最初は、事件Bのことで彼らを疑ってしまったりもして、それだけのトラウマを抱えているんだから、今そういう犯罪をおこしてしまったのだとしても精神的には納得がいくなぁと。原作の方ではもしかすると、残酷な描写が現在にも続くらしいとのだけど、そうであったのなら、映画がこういう現在を生み出してくれたのはよかったな。事件Aについて、残酷な過去のシークエンスと対比される、現在のユーカイカンキンがままごとチックに微笑ましいところがとても好き。トラウマが更なる悲劇を生むというの現実なのだろうけど、それだけじゃ悲しすぎるもの。子どもたちに安心感を与える染谷くんの風貌がいきるわけだ。過去の痛ましい思い出、ユーカイカンキンが愉快なものに再構築されることに歓喜ん。コワれたココロ、ネジれたハートの治癒は簡単なことじゃないのだろうけれど、ただただ二人の強い結びつきにエールを送りたくなるだけ。キュンキューン。


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「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の映画詳細-woman.excite
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by CaeRu_noix | 2011-01-28 13:10 | CINEMAレヴュー | Trackback(5) | Comments(4)
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ȡ꡼ߡëˤ˽ŪǤ郎ޤޤɡ襤ʤĤʤߤΤޡˤȺƲ롣ͤ10ǯ˵ͶƶػﳲƱΤǡޤ˿ʤƤԵ̣Ϣ³ͻ郎֤Ƥ桢ʰΤȤˬ줿ߡ˷Ѥġġ ˤäɤǤޤ 褯狼ʤä ͤĤͶ줿Ȥä ˤäƤޡϿääƤȡ ߡäȤ Ͷ郎ȯƤȤޡϤߡȺƲ ɤޡݤͶȤ餷ȤȤϤ狼ޤʤǤޡ ΥޥˤҤȤǽǤΥޥ˾ǯȡƶءƤΤ 狼ʤ ¤Ǥ̤ΤǤǤ硩ȸƤޤ...... more
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Commented by ヒデヨシ at 2011-02-05 14:20 x
この映画、びっくりしました。僕もあまり予備知識がないままに観たので。そのギャップと独特の浮遊感にやられました。
Commented by CaeRu_noix at 2011-02-05 23:10
ヒデヨシ さん♪
ご覧になりましたかー。さすがです♪
予備知識は徹底的に入れないようにしていて、予告も見ていないんですが、彼らにはそれ相応のつらい事情がある・・・っていうことはどこかで知ってしまっていたのですよ。
それでも全然、これは想定外な感じで、私もドッキリ衝撃をウケました。
やー、面白かったです。せつなかったです。
そして、浮遊感、躍動感がスバラシイですよねー。
Commented by rose_chocolat at 2011-02-06 10:48 x
観ました~。
これは辛いでしょうし、観ているこちらとしては、頑張ってどうにか出来たのかもしれないと思っても、
当人たちにとっては、それ以上にやりようがなかったんじゃないかと思いました。
トラウマという言葉だけでは表せないでしょうね。

そこまで辛いことも、こういう風に持って行くこともできるのかと、
奇妙だけどうまいなと感じます。
Commented by CaeRu_noix at 2011-02-07 10:35
rose_chocolat さん♪
みーまー、ご覧いただき嬉しいです。

「頑張ってどうにかできたかもしれない」って私は思わないけど、思っちゃうだろうという人もいるだろうってことですかね?
「トラウマ」という言葉、現代ニッポンでは気軽に使われすぎていますけど、(ブログのQ&Aバトンでも、トラウマは何?っていう設問があって、そんなに気軽に返答できるものは、そもそもトラウマじゃないっつーのて思ったw)このみーまーが背負っているものは明らかに「トラウマ」と言っていいと思いますた。

で、トラウマを軸にドラマを作るとなると、泣ける映画大好きニッポンじゃ、ひたすらストレートに同情心に訴える可哀想なオハナシになりそうなところ、ポップンポップに軽やかな映画になっていたのがオツでしたー。
悲劇を喜劇的に描くというのはお馴染みではあるけれど、この空気感をもってそれを織り合わせるのは意外と新鮮でキューンときましたー。
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