かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『冷たい熱帯魚』
2011年 02月 07日 |
私のおもいをジョークにしないでー。ユラユラswimmin 熱帯魚は淋しいの。
(映画のでなく、概ね、女優の役回りについての感想です。)

小さな熱帯魚屋を経営する社本信行(吹越満)とその妻の妙子(神楽坂恵)、娘の美津子(梶原ひかり)は、ひょんなことから巨大熱帯魚屋、アマゾンゴールドのオーナー村田幸雄(でんでん)と知り合う。
1993年の埼玉愛犬家殺人事件をはじめとするいくつかの猟奇殺人事件からインスパイア。



でんでんでんでんでーん。怖いよ、怖いよ。でんでんが「しゃもとさん」って言いながら夢に登場しそうだよ。ゾッとするよ、でも、面白いよ。もはや、笑えるよ。でも、やっぱり怖いよ、おぞましいよ。とにかく強烈だとは噂に聞いていて、流血グロ映像はちょいと苦手な私は覚悟しつつ、それでいて、どれだけ弾けてくれるのかとワクワク鑑賞。本当に真っ赤に染まったバスルームなんかは鮮烈だったけど、そこらへんは想定していたので、引いてしまうこともなく、まぁよくぞキッチリ作業シーンを描写したものだと感心したりして。実事件に基づいていることに戦慄しつつ、同時にでんでんのハマりっぷりに笑ってしまったり、園フィクションならではの突き抜けた表現に呆然としてしまったり。まぁ、とにかく強烈で濃厚でミョーチクリンでがっつり面白かったよ。

と大いに楽しんだ鑑賞中はmyコードに引っかかったりしなかったのに、翌日になったらちょっと二日酔い症状がおこったよ。ムカムカ、気持ち悪ーいって後味の悪さを感じちゃった。一面を血の海にしながら丹念に刃物で切り刻むという場面はやっぱり生理的にダメだってことを、これが架空のものではないという認識によって、サラリと流させてはもらえなかったみたい。でも違うな。そのイヤなイメージが残ったというのもあるんだけど、尾を引いたのは、女優の役割についての不快感の方だと思う。(あえて翌日に不快感がこみ上げてきたのは川底の悪口いってる園ツイート、「女優との関係のことも聞いている」という宮台ツイートのせいもあったかもしれないのだけどね。)

でんでんでんの凄さに嬉々とするのと同じくらい黒沢あすかの素晴らしさに感嘆。意外にもスクリーンでは嫌われ松子以来なんだ。だから、というのもあるのか、あすかさんスゴい、と思うのと同時に、ここまでやらせられちゃうことに胸が痛んだ。・・・という自分は相当矛盾していると思う。日頃、私の愛するフランス映画では美しい名女優たちの脱ぎっぷりに感激し、片や、日本のタレントまがいの女優たちの徹底的に脱がないマモリ姿勢に辟易していたわけだもの。そういう意味では、黒沢さんの思いきりのよさに女優魂を見て、えらく感激したもんだ。なのに、なのに、私の中のフェミ心的なものもちょっと疼いてしまったの。愛子のキャラ設定、その妖怪行動は激しすぎて、いくらなんでもやり過ぎじゃないのという思いも消し去れず。本人が楽しんでやってるのならいいのだけど、そうじゃなかったらJIRI-JIRI焦げてるこの痛みをぅ。

それでもまぁ、愛子はこの世界に必要だったと言えないことはない。けれどどうしても、妙子のことは残念。演技ビミョウで、ひたすら胸をもませる場面のために彼女が存在していることを、取り繕うふりさえしないところがいやな感じ。それを面白がる観客を想定しているのかと思うとうんざり。この女優はただのオッパイ担当ですっていうのを表向きは隠せるくらいに、その役柄として説得力のある演出をしてほしかったよ。悪ノリやり過ぎエロ描写も演出が見事なら、プラス評価になり得るのに、今回は女性性がぺらぺらな見世物になっちゃう女優づかいに残念な思い。(大人女優をつかうとこういう酷さが滲んじゃうなら、もういつもティーンエイジャーものをやってほしいって思ったり。)

好きとはいえない映画だけど、見ごたえあって大いに面白かったことは揺るぎないし、そのしおんのブラックなパワーはやっぱりスゴいよなぁとは重ねて感心。そのしおんの才能とセンスをかっているからこそ、期待値が大きくなっているだけのことかもしれないけれど。『紀子の食卓』や『愛のむきだし』を観た時のような突き抜けた感銘はなかったことは残念。予備知識や慣れのせいもあるのかもしれないけど、衝撃度も、『奇妙なサーカス』を観た時ほどではなく。何しろ、マイベストは『気球クラブ、その後』という私ですから、今作を讃え切れなくても仕方ないのかもね。配分が残念。監督の言う、女優は脱いでこそ、という価値観には賛成する部分もあるんだけど、それならそれで敬意を払って愛情をもって脱がせてよって思うぜよ、とりあえず。
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by CaeRu_noix | 2011-02-07 23:59 | CINEMAレヴュー | Comments(10)
Commented by templeclub at 2011-02-09 22:42 x
「冷たい熱帯魚」を観た後の、感動と共にある「一種の、後味の悪さ」は、「紀子~」や「愛の~」には無かったものでした。

作品の中での女優・女性の扱われ方が、その「嫌な感じ」の遠因だったのでは、と、私ももう一度検証しているところです。でも、今回も凄い作品でした。
園監督の次回作「恋の罪」はすでに撮影が終わって居て、試写出来る状態らしいのですが、主演の水野美紀さんが、女優としてどんな扱いをされているか、今度はそっちが気になっています。

最近始めたツイッターですが、いろいろな方の「映画に関する呟き」って、軽い気持ちでTLを読んだのに、妙にこころの片隅に残っている場合があります。
Commented by CaeRu_noix at 2011-02-10 01:04
templeclub さん♪
『紀子の食卓』なんかは劇中の大人が感じる不快さよりも、映画の面白さがまさっていたし、『愛のむきだし』はえげつなさを超越した感銘があったんですよねー。
本作はすごく面白かったんだけど、自分的にはそれが全てを超えるものではなくて、残念な点もクッキリしちゃった感じでした。
もしかして、ラストで娘ちゃんの立場でのカイホウカンで突き抜ける感じを狙っていたのかなとも思えたのですが、彼女にはあんまり心より添えなかったので、それは実感できなく・・・。
園作品はいつもどっかにチープ感があるのはわざとなのかもしれないけれど、今回の妙子の台詞まわしとかはしらけてしまったなぁと・・・。

『恋の罪』はもう予告も流れてましたもんね。はやいなぁ。
前にそのしおんがツイッターで女優は脱いでこそだみたいなことを言ってたのは、恋の罪にかかっていたのでしょうか・・・。
なんだかんだいっても新作は楽しみでありますー。

ちょっとしたつぶやきでも面白いものがたくさんありますよねー。
耳よりな情報があれこれあるし、勉強にもなったりー
Commented by ノラネコ at 2011-02-10 22:47 x
そう、この映画は女性キャラが記号化されてスカスカ。
私は園子音って好きか嫌いかって言ったらぶっちゃけ嫌いなんだけど、それはこういう点が鼻に付くからかもしれない。
でも、まあ十分面白かったんだけど(笑
Commented by CaeRu_noix at 2011-02-11 10:19
ノラネコ さん♪
いつもだったら、女性キャラのパワフルな魅力がスバラシイのに。
今回はちょっとそれがなかった感じで。
黒沢さんはうまいのだから、怖い女なりにももうちょっと丁寧に人物設定してくれてもいいのに、蛇女みたいな人間離れした行動のキャラクターで残念な感じでした。
妙子の役は、一番最初不機嫌に買い物して電子レンジ料理をつくるシーンとかはいい感じだったので、演出次第の部分もあったかと。いっそのこと、話せない設定にするとかw 結果的には陳腐なキャラクターで残念。
結果的にスバラシイシーンができていれば、女優の脱ぎっぷりを褒めるのみなんですが、今回は手放しでは褒められずー。
そういうところがひっかかるんです、はい。
面白いかどうかでいうと、ホントに面白かったんですけどねー。
Commented by ちむ at 2011-02-11 21:54 x
最寄のミニシアター「京都シネマ」では、「冷たい熱帯魚」と「白いリボン」が5日から同日公開! HPには、「園子温vハネケ」的に2本の予告編を並べたサイトが設けられ、観たい方をクリックで投票できるようになっているのですが、先ほど見たところ、園1216票、ハネケ1206票でありました。かえるさんのレビューを読んで、ハネケに1票入れた私です(女子であり、二日酔いは嫌いなので)。 あーでもどっちも観るのに勇気が要るなあ。明日は「ルイーサ」を観にいきます。
Commented by CaeRu_noix at 2011-02-12 00:22
ちむさん♪
コメントありがとうございますー。
おお、「冷たい熱帯魚」と「白いリボン」同日公開とはすごいです!
へぇ投票がそんなに接戦というのは興味深いですねー。
両方観た自分の感想・作品評価としては白いリボンに軍配は上がる感じですが、どちらも見ごたえたっぷりですからねー。
それでいて映画のトーンは正反対ですね。どちらも出来事は陰惨なんだけど、片方は激しく表現され、片方は抑えて静かに語られる感じ。
映画には両方の表現方法があるんだなぁということを噛み締められますね。
グロいものが苦手な場合、本作はちょっと覚悟が必要かもしれないけれど、せっかく地元シアターで上映されるのですから、ぜひぜひー。
まずはルイーサで。世界各国の、多様なジャンルの映画を楽しんでくださいねー。
Commented by at 2011-02-15 20:56 x
「ただのオッパイ担当」って、なるほどなと思いました。フェミ・コードに引っかかる、かえるさんならではの見方ですね。小生などは黒沢あすかのキャラクターも含め、あざとさも監督の個性ってことですませてしまいました。「ハードボイルドは男のハーレクイン」と喝破したのは斉藤美奈子さんですが、黒沢あすかみたいなファム・ファタールは男の妄想の産物でしょうね。
Commented by CaeRu_noix at 2011-02-16 13:55
 雄さん♪
妙子役の彼女の起用については大人の事情を思わずにはいられないのですが、それでもやり方次第ではもっと認めることができたはずと思え、、。
が結局は、場違いにいつも胸元のあいた服を着ていて、必然性を感じられない胸もみシーンとかシャワーシーンが続くばかりで、ただのおぱいたんとうと結論づけざるをえませんでした、自分的には。
たぶん大半の男性はそういうサービスシーンを気軽に喜んで見ているのでしょうけどね。お話の中でキャラクタとして虚しいというよりは、映画女優の扱い、その価値観が姿勢が引っかかりました。
黒沢さんといえば『六月の蛇』のエロティックシーンにおいても、こういう女のキャラと行為は男の妄想だよなーって思ったのが先にあったので、ついまたそういう目で見てしまったかもです。
エロスはあんまり過剰じゃない方が私は魅力的だと思うけど、こんなに激しい怖い女キャラも男性には見ごたえありな感じでしょうかね。 
なるほどハーレクイン!
Commented by ヒデヨシ at 2011-03-29 12:22 x
この後味の悪さは、女優のアンバランスな感じがあるような気がします。それが意図的だったのかどうかはよくわからないけれど、心と身体のアンバランスさが、観ていても居心地悪いのです。
それにしても園子温は、もっと抑制の効いた暴力演出が出来ると凄いと思うんだけど、あまりのエグサにいつも引いてしまいます。
Commented by CaeRu_noix at 2011-03-31 01:26
ヒデヨシ さん♪
後味悪かったですかー。そうですね、『奇妙なサーカス』などは(そのエログロフキンシン描写にちょっと気持ち悪くなるほどだったのに)よくもまぁこんなの撮ったなぁという驚きの感心の方が後に強く残ったほどだったのに比べると、こちらは感心しきれない不快さが後味として残った感じがありましたね。やっぱりネックは妻キャラかなぁ。不自然な服装、振る舞い、演技のイマイチさも含めて狙い通りだったのかもしれないけど、観ている側としてはストーンとこなかったですよねぇ。
あえて包み隠さない残虐暴力演出ができちゃうのは素晴らしいとはまぁ思うのですが、やはりどこかで引いてしまいますよねぇぇ。私は園映画の詩的青春ものが好きです。
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