かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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「無防備映画都市」 フェスティバル/トーキョー
2011年 09月 30日 |
無防備映画都市―ルール地方三部作・第二部
作・演出 ルネ・ポレシュ
舞台美術 ベルト・ノイマン

 豊洲公園西側横 野外特設会場にて



ロベルト・ロッセリーニの『無防備都市』(1945)、『戦火のかなた』(46)、『ドイツ零年』(48)の爆撃で破壊された都市を撮った「戦争三部作」に着想を得たという本作。

本公演前のゼミ・上映会でロッセリーニの『ドイツ零年』を鑑賞する機会ももて、 さらに新野守広先生によるルネ・ポレシュについての解説を聴いたおかげで準備万端。

豊洲の野外会場というロケーションが雰囲気抜群で気持ちよくて。ビルが点在するトーキョーの実風景をバックに、映画撮影所らしきセットが作られている。広い空の下、海風が吹き抜ける場所で繰り広げられる演劇にワクワクした。ただ、そのロケーションのステキさがどうであれ、観客用のイスが空き地にずらっとただ並べられていることにはちょっとがっかり。野外劇場といってイメージするものといったら、地中海沿岸の遺跡で見るような円形劇場だったから。簡素なのはいいとしても、段差がないのは見にくすぎる。せっかくステージが奥行きいっぱいの広大なスペースを使っていても、同じ地面上に座っている観客はその空間の醍醐味を感じることができないような視界しかもてないの。これではせっかくのものが台無しである気がした。

それでも、空間を思う存分に味わえなくても、演劇の中で自動車が勢いよく走り回るなんてのは経験したことがなかったので、そんな試みには気分が高揚。何といっても、それが映画の撮影シーンとして展開しているのだから。ロッセリーニの映画をリメイクしながら、フェリーニ的な世界がそこに躍動する。そして、映画撮影を演劇で再現しながら、これは映画なのか?演劇なのか?というような問答が劇中で交わされる。そしたら「ネオレアリズモ」って何?実に興味深いシチュエーションに、混乱させられながらも好奇心を刺激された。『ドイツ零年』観たばかりだったから、お父さん役のパロディは絶妙に面白かったし。突然挿入されたTHE即興のヘルツォークとキンスキーの会話なんていうのも映画好きは楽しくなってしまう一場面。資本主義社会に対する批判だとかが混沌と投げかけられ、ゴダールの映画を観ている時に感じるような刺激にあふれていた。

しかし、そんなエキサイティングな会話を私たち日本人は字幕を通して味わうしかないのがどうしようもなく無念。まくし立てるドイツ語は演劇向きの言語に思えただけど、字幕を読む私たちにはそのリズムすらちゃんと伝わってこないのかもしれないというジレンマ。映画の字幕ならば、人物の発する台詞としてかなりタイミングよく馴染んだものとして映し出されるのだけれど、ここでは役者の居場所がどこであっても、定位置のスクリーンに字幕が平坦に映るので、劇中の人物の台詞としてのフィット感が損なわれてしまう。台詞の内容を知りたいので字幕は読むけれど、同時に演じる彼らの姿を視界に入れたままではいられない状況。こんな見方がスタンダードなのかという戸惑いをもちながら、目を左右にキョロキョロとせわしなく動かし続ける鑑賞スタイル。

そうやって、字幕と役者を同時に見ることができない状態を少なくしようという配慮なのか、それとも「映画」をテーマにした作品ゆえの配分なのか、彼らの姿を肉眼で見るのではなく、スクリーンに映される姿を眺める時間が長くなっていることに別の戸惑い。映像を多用する演劇はよくあるものだし、この屋外空間では遠くに立たれたら表情なんかは見えないので、スクリーンを通してクローズアップを見られるのはよいのだけど。何しろ<ドイツ零年>を撮る物語なのだから、そこに映像が介されるのも必然。トレイラーに入った彼らのやり取りをスクリーンで眺めるというスタイルはむしろ見やすいなぁという安心感すら覚えたりして、いえ、映画を見に来ているんじゃなくて、演劇を見に来ているのに、こんなに映像ばかり見せられていいのかという懸念にいたるのだった。

通して、ルネ・ポレシュの表現しようとしていることそのもの、その手法はかなり好きな感じだった。字幕を読む作業に違和感を持ってしまったゆえの言語の壁やら、不自由な視界が時々高揚感をダウンさせてしまったことは事実だけど。もの珍しさや映画ネタの充実や、野外ロケーションの気持ちよさも相まって、面白いもの見たなぁという充足感、手ごたえはあった。お天気のよい季節に野外公演はいいかもね。もどかしさも含めて楽しめたよ。



F/T
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by CaeRu_noix | 2011-09-30 22:27 | Art.Stage.Book | Trackback | Comments(0)
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