かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『恋の罪』
2011年 11月 18日 |
今ではユーロスペースやシネマヴェーラ渋谷に行くのに気軽にしょっちゅう通っている円山町で、かつてこんな事件があったのだよね・・・。



映画サイトで紹介されている『恋の罪』の作品解説を読むと、90年代に渋谷区円山町ラブホテル街で起きた殺人事件を・・・というような文章ばかりで、「東電OL殺人事件」という表記がされていないことに気づく。「東電OL殺人事件」を題材に園子温が映画を作るというニュースは記憶されているはずだし、その呼称は一般的に定着しているものなのに、作品紹介で固有名詞を使うのも差し障りがあるということなのか。その企業名は今年大いに注目されたのだし、その事件の冤罪の可能性がDNA鑑定結果をもって今年新たに報道されたこともあるから、「東電OL殺人事件」を前面に出した方がより宣伝効果はありそうなものなのにね。何だかね・・。ま、結局のところ、実事件にインスパイアされたに過ぎない別ものフィクションなので、その呼称はあえて使わないというのは賢明な判断なのでしょう。

このタイミングなので、事実に歩み寄ったドラマも見たかった気がするけど、何しろ園子温監督作ですから、前作同様に、痛ましくもセンセーショナルな実事件は単なる題材に過ぎないのだった。物語世界は今回も遠慮無く、過激に劇的に炸裂してあり得ない展開をしていく。相も変わらず奇怪パワフル。エリートOLという設定じゃないのは残念だったけど、39歳大学助教授美津子の二つの顔がそれぞれに鬼気迫りインパクトがあって素晴らしい。園監督作にいつも登場するミツコという名前が今作では彼女に与えられているわけで。そのふるまいは時にあまりにも激烈で、フィクションの園ワールドならではのものなのだけど、メイクで雰囲気をガラリとかえて別人になる感じだとか、事実をモチーフにしている上でのある種のリアリティが滲んでいて、痛々しい気持ちにさせられ大いに興味をそそった。

そんな現実味を大切にしてくれる方が、私にとってはより胸を打つものになると思えるのだけど、やはりこのテーマで園子温がやりたいこと、或いは園作品に世の中が求めているものは、リアルを伴う繊細さや深さではなくて、エログロに強烈なオモシロ表現なんだろうね。勢いがあってハチャメチャで、毎度のことながら長いのに退屈しない。濃厚なおもしろさを味わえはする。でも、このやり過ぎエンタメノリに苦笑いしてしまう部分もあって、受ける印象は概して前作に似ている感じ。かつての作品のように、ぐぐっと心には引っかからない。じゃんじゃん仕事があって、こんな強烈映画を次々と撮れるのは他ならない才能・手腕だと思うけど、受け手の方が食傷してしまうペースだったりもするよね。やっぱり。

映画製作発表の当初は水野美紀が話題の筆頭だったけれど、蓋をあけてみると、役柄的にはそれは騒ぐようなものではなく、やはり何と言っても、神楽坂恵扮するいずみの大冒険に注目せずにはいられないわけだ。だって、あれですよ。『冷たい熱帯魚』でそこそこ重要な役を与えられていた彼女の演技はどう見てもよいとは感じられず、あえてキャスティングされたのには一体どんな事情が?と勘ぐってみたりしたのは遠い昔のことではないのに。結婚するときたもんだ、驚きつつも大いに納得してしまった。慎ましやかな主婦いずみが出会いを経て体を売るようになるという物語に、グラビアアイドル系女優が映画監督に口説かれるがままに(?)気前よく脱いで演技も弾けまくっていくというリアルストーリーが重なって、見応えは倍増。と、別の部分に対して、事実とフィクションの一体感を楽しめたかもしれない。


さて、『ヒミズ』 楽しみー。
[PR]
by CaeRu_noix | 2011-11-18 23:59 | CINEMAレヴュー | Comments(0)
<< 11月19日の公開映画ちぇーっくなど PageTop 11月11、12日の公開映画ち... >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon