かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ヒミズ』 園子温
2012年 01月 18日 |
園子温の映画は、主人公がティーンエイジャーという方が気にいる傾向にあるのだよね。



ヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞受賞で、主演の若き二人への期待も高まっていた。ホープ染谷将太くんはどんな役をやってもつかみ所のないイタズラっぽさを持っていて、みーまー、東京公園、アントキノイノチと昨年も大いに印象深かったのに続き、またしてもこの住田くんの痛々しい危うさに心奪われてしまった。園映画の暴力性は毎度のことだけど、ちょっとリアリティに欠ける極悪な大人の過激暴力シーンの場合は冷静に眺めちゃうのに対し、いたいけな少年少女が痛い目に合う場面は傍観できないものなのだな。ここまで鬼畜な親たちは嘘っぽいと思うより前に、そんな親を持つ彼らの身を案じることで、物語世界に引き込まれるのだ。二階堂さんは私が求めるものよりオーバーアクトな向きだったけど、園ワールドではこのくらいのテンションが必須だったのだろう。酷い家庭環境において、へんに明るく気丈に振舞うことで何とか自分を保っていた茶沢さんだから。

原作を知らないので、てっきり住田くんと茶沢さんはすぐに意気投合してベターハーフな関係を築いていくのかと観る前はなんとなくイメージしていたのだけれど。なかなか歩み寄らないどころか、ぶつかり合い身体的にも痛めつけ合う奇妙な関わり方に驚きつつ、二人が心通わせることを祈る思いでハラハラと目が離せなくなった。同じような境遇にある少年少女が傷をなめ合うのかと思いきやビンタ合戦とは、園映画ならではのインパクトがあったね。そういうのが面白いと感じた反面、ようやく二人が互いを認め合った時には、そのギャップで思いきり幸福感を感じていいはずなのに、残念ながらそこにキューンとくるものはなかった。ジャンルが違うのだから、『永遠の僕たち』のような胸キュンを求めるのは筋違いにしても、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』の方がどんなにか二人の紡いだ関係性にグッとくるものがあったことか。淡いラブストーリーとしての手ごたえが小さめだったことは残念であった。

テーマがぶれてしまったような気もするけど、あの震災についてをこのドラマの中に刻印しようという試みは支持したいと思った。瓦礫の山を映しだした2011年の映画。心荒む少年住田がその内面をビジュアル化したかのような荒れ果てた地をさまよう姿は圧巻。本筋には無関係ながら、テレビ画面で原発事故について語る宮台真司の言葉にも釘付けになってしまった。僕らの住む社会を環境を憂いながらももがくのだよな。と、場面一つ一つは面白いと思ったものの、振り返ってみると震災についての描写がもともとのヒミズの物語にうまく融け合っていたとは言いがたく、結果的にはむしろ入れない方がよかったという意見を観客に持たせてしまうのがもったいない。家庭環境は不遇で、その外側にある社会も絶望的というのがうまく呼応しているようでもない状況では、終盤に持ち出された希望をも持て余してしまった。『アントキノイノチ』の染谷くんの行動はとてもショッキングだったから、今度の選択は安堵するものであったはずなのに、着地の仕方はしっくりきたわけではなかった。善悪って一体何?という過酷な現実を見せられた後に、彼女の助言で法的に罪を償うことが大事となるのが個人的にはいただけなかったな。

(2012/1/14 ギャガ) (13)

allcinema

2001年からヤングマガジンに掲載された古谷実の漫画が原作。


染谷将太住田祐一
二階堂ふみ茶沢景子
渡辺哲夜野正造
吹越満田村圭太
神楽坂恵田村圭子
光石研住田の父
渡辺真起子住田の母
黒沢あすか茶沢の母
でんでん金子
村上淳谷村
諏訪太朗まーくん
堀部圭亮茶沢の父
川屋せっちん藤本健吉
窪塚洋介テル彦
吉高由里子ミキ
モト冬樹てつ
西島隆弘YOU
鈴木杏ウエイトレス



染谷くんはシネフィルだというところが嬉しいよね。nobodymagに2011年ベストの選出もしているんだ。
『14歳』の時は認識していなかったけど、『パンドラの匣』以来、注目せずにはいられない新鋭。
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