かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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Perfect Sense 『パーフェクト・センス』 (デヴィッド・マッケンジー)
2012年 01月 27日 |
五感を奪う感染症が蔓延を描いたSFならば無理に観に行かなくてもいいかなと思うところだけど、『猟人日記』(YOUNG ADAM)のデヴィッド・マッケンジー監督作というなら話は別。



あの映像と音楽がかなり気にいっていたことを憶えていたから。同じく今回も主演はユアン・マクレガーで、スコットランド出身コンビが再びスコットランドを舞台撮ったのだ。

そんなわけでロケーション及び映像の味わいに大注目。グラスゴー辺りのレンガ造りの建物と路地、しっとりとした河べりの風景が美しくも憂いを帯びていて。そんな場所で知り合った男女の終末のラブストーリーはより一層センチメンタルなものになる。

感染症を題材にすると大概はパニック映画になっている。だから、去年観たソダーバーグの日常群像劇的な側面をもっていた『コンテイジョン』には、目新しさがあって非常に面白かったことは記憶に新しい。それでもあれもやっぱり、いかにもアメリカ映画ならではのパキパキした行動力が集結した事件性のあるドラマだった。

片やこちらはヨーロッパテイストで、主人公が科学者であっても、こちらのヒロインはコンテイジョンのケイト・ウィンスレットやマリオン・コティヤールのように任務を果敢に実行するわけでもなく。人々は何かを制圧しよう、闘おうという姿勢ではなくて。ゆっくりと悲しみに暮れて絶望していく。そこにはささやかな希望とぬくもりがある。グラスゴーだからこそハマるアンニュイなラブストーリーというのが個性的でよかったな。

シェフなユアンはチャーミングだし。猟人日記は女性陣も英国俳優で固めていたのに、今回は何故エヴァ・グリーン?と異を唱える必要はなく、彼女もとてもキュート。『ルパン』とか『キングダム・オブ・ヘブン』に出た頃は、ミスキャストじゃないの?と思っていたりしたのに、久しぶりに見る本作の彼女はすごく可愛かったな。「セーラー」って言うところとか。映像の質感マジックもあってか、恋人たちはしっとり美しく絵になっていた。

ちょっと残念だったのは、症状が発症する直前に「飢餓」や「憤怒」におそわれるという設定と描写。俳優たちのパフォーマンス合戦という趣の過剰なものだったのでやや興ざめ。魚に食いついたり、口紅食べたり、絶叫したり、せっかく非パニック映画であったのにそちらに近づいてしまうじゃないか。異国の人たちの暮らしが次々と映し出されるという方法そのものは好きなんだけれどね。

そんなふうに引っかかった箇所はほんの少しで、この詩情あふれる映像世界はとても気に入った。SFというジャンルのものというよりもはやファンタジー。夢ごこちのしっとりとした切ないロマンスを堪能。五感が失われてしまったら、どうそれに向き合えばいいのかをシミュレーションするのは別の機会に。あふれるせつなさの中で、人間の五感の素晴らしさを思えばいいさ。今こうやって自分のSenseに響く映画を感じられることが嬉しいのです。

(2012/1/7 プレシディオ) @新宿武蔵野館(29)

allcinema

ユアン・マクレガー ・・・ マイケル
エヴァ・グリーン ・・・ スーザン
ユエン・ブレムナー ・・・ ジェームズ
スティーヴン・ディレイン ・・・ スティーブン
コニー・ニールセン ・・・ ジェニー

監督:デヴィッド・マッケンジー David Mackenzie
製作:マルテ・グルナートジリアン・バーリー
脚本:キム・フップス・オーカソン
撮影:ジャイルズ・ナットジェンズ
プロダクションデザイン:トム・セイヤー
衣装デザイン:トリシャ・ビガー
編集:ジェイク・ロバーツ
音楽:マックス・リヒター


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