かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『三年身籠る』 (唯野未歩子 2005)
2012年 03月 07日 |
芸能ニュースで話題になっているらしいオセロの中島知子さんの名前を目にして、真っ先に思い出したのはこの映画のこと。



中島さんが主演だったんだよなぁ、それもにしじと夫婦役だったんだよなぁ、あれはいい映画だったよなぁって。そうしたら、タイムリーなことに「にほんのうた フィルム映画祭」での上映が決まっていた。公開時には劇場で見逃して後でDVD鑑賞した際、映画館に観に行かなかったことを後悔したほど気にいった作品だったから、この機会にと思って再見、初スクリーン鑑賞を果たしたよ。、女性ならではの感性がほとばしる、独特のユーモアを満喫。フィルモグラフィーとしては女優業がほとんどのようだけど、映画作家唯野未歩子の才気に再会。

TVで前に見ていたオセロ中島はサバサバチャキチャキした印象だったけど、本作の主人公冬子は、ポーっとしたマイペースな女性。封切り時は、正反対の役柄をあえて演じさせたことが面白いなと思った。それが今となっては、辛口早口のオセロの人のことはもう忘れていたので、冬子のようなゆったり控えめさなキャラクターが本当は彼女の等身大の姿なんじゃないのかと思えてしまうほどに、ナチュラルな存在感。余計なお世話ながら、今の中島さんにこの映画をまた観てほしいという思いが過ぎったりした。勇気づけられる映画なのだ。マスコミの騒ぎにも自分を見失わず、穏やかに流れに身を任せる芯の強い冬子。

N島N島。それそぞれにマイペースキャラクター。この西島秀俊の夫役がまたよいよね。つい最近目にしたキリンビール商品のTVCMに登場した、赤白ボーダーのインナーで食卓に座る夫西島の夫婦の姿のうそ臭さをふと思い出しつつ、この物語の夫徹の役どころの説得力に感心。葬儀のシーンなんかで、圧倒的な女系家族のかしましさの渦の中、ひょうひょうとちょこんとそこにいるだけの彼の姿がハマり過ぎ。大人げなさを持ちつつも憎めないかわいさが醸し出さtれるって西島ならでは。父親になる準備なんてまるでできていなかった未熟な男が次第に変わっていく姿はとびきり見もの。監督が女性だからかな、西島の麗し横顔ショットが惜しみなく。

この世界では妊娠期間というものは決定されているものだけど、現実に親となる者の準備がちゃんと整っていないケースも大いにあるだろう。親がちゃんと親として子どもを迎えられる状態にないのなら、生まれてこない赤ちゃんがいたら面白い、そんな世界だったらどうだろう。妊娠出産についての物語は数多にあれど、唯野さんの生み出したこの物語、発想のなんと味わい深いこと。そうしたら、三年は必要とする夫婦もゴマンといるかもしれないけれど。長く待ち遠しい時間の中で、夫婦や家族の向き合い方も変わっていくものなんだろうねって。いきものたちにとって普遍的な妊娠出産というテーマを、三年身籠るというあり得ないファンタジーで調理することで、そこに普遍的なものが浮かび上がるところが素晴らしい。




allcinema

中島知子(冬子)
西島秀俊(徹)
奥田恵梨華(緑子)
塩見省三(海)
木内みどり(桃子)
丹阿弥谷津子(秋)
関敬六(おじいさん先生)
鈴木一真(代理店男)
綾田俊樹(ビリヤード店店主)

監督原作脚本:唯野未歩子
撮影: 中村夏葉
美術: 仲前智治
編集: 日下部元孝
音楽: 野崎美波

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