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ミア・ハンセン=ラヴの『グッバイ・マイ・ファーストラヴ』など フランス女性監督特集@東京日仏学院
2012年 03月 20日 |
myお誕生月に開催されたことが嬉しい、フランス女性監督特集は私好みの素晴らしい特集でした。



必ずしも性別で括れるわけではないのだろうけれど、女性ならではの繊細な感性というものをひしひしと味わえるステキな映画たちに出会えました。

フランス女性監督特集@東京日仏学院 3月4日 (日) ~3月18日 (日)

ヴァレリー・マサディアンの『ナナ』もイジルド・ル・ベスコの『チャーリー』(2007)もジュリー・デルピーの『スカイラブ』もどれもエクセレントで味わい深く大いに気に入りました。今回は観ていないけど、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキの 『ラクダと針の穴』もレベッカ・ズロトヴスキの『美しき棘』(レア・セドゥ!)もセリーヌ・シアマの『トムボーイ』も大好きだし。

そして、今回の目玉はミア・ハンセン=ラヴ!監督作3作上映とともに来日し、じっくりお話を聞かせてくれる素晴らしい機会が設けられました。一昨年のフランス映画祭に続いての来日。なにしろ、その2010年の公開映画myベストがミアの『あの夏の子供たち』であった私ですから、まとめてミアの映画に向き合えるという時間はそれは貴重なものでした。

彼女の描く物語世界の少女の佇まいといい、その心の機微といい、リアルでナチュラルであまりにも繊細で、多くを実体験から活かしているという感触はあったにせよ、ミアがこんなにも自伝的なものを映画にし続けていたとは今まで認識していなくて。改めて、そのモチーフを意識しつつ、ミア・ハンセン=ラヴの半生を追体験するように、その映画の中の少女の生に心寄り添うことは、感慨もひとしおでした。

2006年の処女作『すべてが許される』はタイトルだけでグッときてしまう。自堕落な生活から抜けられずにオーストリア人の若き妻と幼い娘パメラと別れることになる父ヴィクトールは、11年後に17歳になったパメラに再会するという。そこに生まれる感情は想像できるものなんだけど、ちょっとした会話のやり取りや挙動の細やかさがたまらなくて切なくて。ミアにとっての父親という存在についてをかみしめながら、少女が大人の階段を昇るさまに心うたれました。

第三作目の『グッバイ・マイ・ファーストラヴ』は日本語字幕付きで観られたおかげでじっくり堪能。味わい深く素晴らしいものでした。フランス映画らしいウダウダ恋愛関係が続いていく物語なんだけど、いわゆるお馴染みの恋愛映画とは違っていて、少女は時間の流れの中を前に向かって生きているという清々しさがまぶしくて。前に向かって歩み始めた聡明な彼女も一度はまた過去の恋に引き戻されてしまうというのが何とも衝撃的で、だからこそリアリティの満ちた痛みに引き込まれてしまいます。

カミーユとスリヴァンの恋が盛り上がっている時の描写は気恥ずかしくなるほどに甘酸っぱくもあって。それゆえに彼のその情熱がさめてきた時の悲しみといったらとてつもなくて。フランス映画で男女の色恋は欠かせないものといえ恋愛パートをコミカルにうたいあげる映画も多いせいか、本作のピュアな感触は妙に新鮮な眩さがあって。切実だけど繊細にナチュラルという描写力にすっかりときめいてしまうのです。

彼女自身の体験とその時の感情がベースになっているらしいと知ると、ではこの建築家がオリヴィエであるということか、出会ってからもそんなことがあったのかぁ?とついついゴシップを追うような興味の持ち方を時折してしまうのがいけませんが、私にとってはアサイヤスも大好きな監督であり、この二人の出会いとその歩みには関心を持たずにはいられないのは本心です。ミアがアサイヤスの映画に出演したことがあって、ミアの監督作に私が出会うことができたのは事実ですしね。映画監督ミア・ハンセン=ラヴの誕生を嬉しく思う一人として、カミーユと建築の出会いに心躍るのでした。

後のトークショーでふれられていたソフィア・コッポラの映画との共通点があるからこそ、確かに同じようにミアの映画にも惹かれているのは事実。少女の物憂げな思いをそれぞれに細やかに掬いとる様は素晴らしく。それでいて、異なるものであるというミアの見解にも大いに納得。ソファアの世界ではメランコリーがただ漂っているだけで、そこでは少女時代の刹那が切り取られているのに対し、ミアの映画はいつも時間の流れを描いているんですよね。時が流れ、少女は少し大人になりながら前に進んでいくんですよね。

アサイヤスの『8月の終わり、9月の初め』や『夏時間の庭』が好きなのは、そういう時の流れを描いているからだったように。ミアの映画に私が強く惹かれるのは、単にセンシティヴで瑞々しいからというだけじゃなくて、そういう人生の捉え方が骨組みになっているからというのもあるかもしれません。若くて美しく監督三作目で、きちんと自身の表現方法を見極めている才色兼備のミアに惚れ惚れするばかりでした。ラストのロワール河がとてもステキなのだけど、河は人生にたとえられるという言葉も印象に残りました。

VIVA!フランス女性監督


ミア・ハンセン=ラブにインタビュー/装苑ONLINE




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