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『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』 Life of Pi
2013年 02月 11日 |
モントリオール在住のインド系カナダ人のパイ・バテルの元に、新作に行き詰まった若いライターが訪ね、パイから驚くべき体験談を聞く。1960年代、パイはインドで動物園を営む一家の元に生まれ



ヤン・マーテルのベストセラー小説『パイの物語』の映画化は、ずいぶん前から企画されていたようだけど、監督が何度も変更になり、アン・リーに決まってよってようやく実現。撮影が開始される頃には技術も邁進し、時間がかかったおかげで、ダイナミックな3D映画としての本作に出逢うことができたのはラッキー。映画づくりの難航も、まるで映画内の物語のような目的地の見えない航海だったのかもしれないね。

量産される3D作品には食傷気味で、割増料金を払って観ることには抵抗を感じることもしばしばなのだけど、本作は迷いなく3Dを選んだ。それも折角だからどうせならとIMAXシアター上映に足を運ぶ。めまぐるしいアクションシーンなどを迫力満点立体映像で観たいという欲望はないけれど、大洋の旅を臨場感いっぱいの美しいダイナミック映像では体感したいという志向の私。架空のものを映像化するという映画では当たり前のことよりも、地球上にはあるけれど日常ではなかなか見る機会のないものを見せてもらえる方が、思いのほかワクワクさせられたり。

私のIMAX初体験は劇映画ではなく、ハワイのポリネシアン文化センターというレジャー施設にあったIMAXシアターで、Diverが見る海の中の世界を捉えたドキュメンタリー映像だったことを久しぶりに思い起こした。雄大で神秘的で美しい海の奥底がすぐそこのクリアな大スクリーンに映しだされていることに感動したものだった。本『ライフ・オブ・パイ』はそんな海の広さをめいっぱい体感させてくれものであった。人間の目の届かない環境にある大自然、生き物たちが大迫力でそこにあることの興奮。トビウオの群れの飛翔にはクラクラした3D体験。浮かぶ無数のクラゲにもウワーっとなった。

でも、それがハワイで観たIMAXシアターの映像とは違って、実在のものをそのまま撮ったわけじゃないというのだから驚嘆。表情といい、毛並みといい、あんなにもリアルな生き物たちが作りものであるなんて。その技術のスゴさに拍手しつつ、それが本物じゃないということは私はあまり考えたくはなくて。映画館という空間にいながら、壮大なる海洋を漂う臨場感に身を任せられることが楽しい。海の迫力と、そしてこの地球を実感してしまう醍醐味。映像のダイナミックさに呼応して、物語の奥深さが迫ってくる感じがまた素晴らしい。

無人島で生き延びること、監獄で脱出を試みながら生き抜くことよりも、より過酷であるに違いない漂流の旅。どうやって生き延び助かるかを実務的に考えなくてはならない上に、こうまでして何故生きようとするのかという哲学的な思考にもとらわれて、心身ともにあまりにも辛いのだけれど。同時に地球を感じながら、生命の尊さを思わずにいられないはずで。危険と背中合わせながら、もう1つの孤高の命、トラと共に旅をすることを選ぶ。共存なんて言うのは簡単だけど、生きるということがボートの上に凝縮されていた。

トラと一緒に漂流するだなんて信じられないと保険の調査員が言ったように、そもそもそんな話はありえないとか、フィクションの物語を目の前にあえて観客が思うのはナンセンス。トラが回ってバターになっちゃうことも、森に入った人間がトラになっちゃうこともある。物語は自由だし、そこに何を見出すのかも受け手の自由。それが文学ならばより哲学的な思考と「物語」というものの魅力に重きをおくだろうし、それが3Dの映像作品として差し出されるのならまずはスペクタクルの冒険旅行を楽しんで、この世界の神秘と悲喜こもごもの"生"をじわりと感じればいいでしょう。オデッセイはつづくよ、つづく。




監督アン・リーd0029596_20141855.jpg
脚本デヴィッド・マギー
原作ヤン・マーテル『パイの物語』
製作アン・リー、ギル・ネッター、デヴィッド・ウォマーク
製作総指揮ディーン・ジョーガリス
出演
スラージ・シャルマ
イルファーン・カーン
タッブー
レイフ・スポール
音楽マイケル・ダナ
撮影クラウディオ・ミランダ
編集ティム・スクワイアズ
製作会社フォックス2000ピクチャーズ
配給20世紀フォックス



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by CaeRu_noix | 2013-02-11 11:43 | CINEMAレヴュー | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from センタのダイアリー at 2013-02-14 06:22
タイトル : ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 ★★★*☆
主人公パイは幼少のころからヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教、さらにはカバラ秘術までを学ぶ。 ここまで見たところで、アン・リー監督の旧作「グリーン・デスティニー」が頭をよぎった。 主人公のムーバイは求道者としても描かれており、この監督はこの世の仕組み問いかけるような人物に魅力を感じるだろうなと思った。 というより、主人公が監督自身の投影なのだろう。 物語はパイが後日自分の体験を語って伝えるという形をとるが、序盤は写実的だった体験談も徐々に進むに連れ、神話のような形をとってくる...... more
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