かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『あの娘が海辺で踊ってる(完全版)』
2013年 02月 22日 |
熱海に住む女子高生、AKBに憧れる自意識過剰な美少女舞子にとって、日本舞踊が趣味の「ホトケの菅原」だけが唯一の友達であり、強烈な依存関係に陥っていた。



去年ポレポレ東中野での高揚感を忘れられずに、ゆけゆけ二度目の処女革命!@オーディトリウム渋谷にまた行ってしまった。前回は上映後に富山優子LIVE+パフォーマンスという楽しい体験付きで、今回はミュージシャン前野健太氏をお相手に山戸監督のおもしろトークが聴けるという収穫があり。

マエケンは現役女子大生の山戸監督に以前こう言ったという。ちやほやされるのは今だけだから、季節のフルーツみたいなものだから、とちおとめみたいなものだからって。(山戸ち乙女) そんな物言いも山戸さんは軽やかに受け止めていたようだ。彼女はきっとそんなことにはとっくに自覚的であったのだろう。だから、劇中で、女子高生舞子が呟いた、女が消費されることについて、アイドルについての醒めているようで鋭い考察は、とても興味深くて膝を打ってしまう。

技術的なお粗末さによって、その台詞がとても聞き取りにくいのが残念なのだけど。逆に、それを流すことができない、一言一句をしっかり聴きとめたいと
いう欲求がしかと生まれ、消費されるアイドルについてうんぬんを語る舞子の早口ぼそぼそしゃべりに耳をそばだてる。純粋ケナゲで朗らかやわらかなヒロインなんて、アイドルを支持する層かなんかの願望が凝縮されたものに過ぎないのかもしれないと思ってみたり。アイドルになりたいというのにこの舞子ときたら、その田舎においては、周囲の友人の好意や人気を獲得することに少しの興味も持たず、媚びないどころか嫌われて当たり前の奔放な振る舞いをする。映画の観客までもが見放しかねない困ったちゃん。いや、それが、逆に新鮮で、その思い上がり込みで応援したくなる。消費される性に自覚的な彼女の屈折ぶりを。

ホトケの菅原よ、ありがとう。女子たちの人間関係は面倒くさくって、やたらに同調し合ったりでもしないと友情も育みにくいものだけど。舞子がどんなに独走しても、笑顔でつき合ってくれる親友がいてくれた。女子高特有のべったりのなかよし関係はほほえましくてちょっと危うい。定番の青春映画なら、ヒロインは異性にときめくものなんだけど、あくまでもここでは、男子は恋人菅原の心を奪い、型どおりに消費していくであろう忌々しきもので。そんな関係性の絡み合いは、王道のエッセンスを抑えつつも、風変わりな個性が光る独特のシチュエーション。だって、登場するのが三味線男子ですよ。舞子の心情は本気でせつないんだけど、海だけが友達だと急に走り出す彼女の挙動はコメディすぎるし、もう目が離せない。

とにかくもうその勢いに、その弾けっぷりに気持ちはもっていかれたよ。台詞が聞き取りにくいから、ここはゆっくりはっきりと話そうなんてことにはならない。制服の短いスカートがどんなに翻ってもおさえたりしない。もてあます思いを抱えて、ダダーっと机の上に上っては言葉でたたみ掛け、唯一の友達海に向かって走り出す。そんな駆け回りっぷり躍動感がまさに青春映画のきらめきをうんでいる。彼女自身が田舎だとくさしているのに、熱海の海のローションのすばらしさったらないよ。チープだけど、ヘンテコだけど、ひねているけど、若き女子の儚きまばゆさは本物。突っ走りまくり、アップビート感いっぱいなのに、海辺で踊る彼女は三味線に合わせて日本舞踊っていう。アンバランスなおかしみがむしろやけに感動的でね。

VIVA!熱海、処女万歳。

山戸結希監督の今後が楽しみです。大人の世界に染まらないでほしいね。



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あの娘が海辺で踊ってる
DV 50分
監督・脚本・撮影・編集:山戸結希
音楽:富山優子
助監督:坂本悠花里、大和田麗衣、北山夏帆、鈴木菜月、藤原理子、三村京
出演:加藤智子、上埜すみれ、若月悠、福本一馬








併映:
『Her Res~出会いをめぐる三分間の試問3本立て~』12分

『映画バンもん!~あなたの瞬きはパヒパヒの彼方へ~』
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by CaeRu_noix | 2013-02-22 20:04 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(2)
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Commented by SGA屋伍一 at 2013-02-23 20:51 x
こちらにコメントは久しぶり・・・ ども。いつもこっそり参考にさせてもらってます
この作品、「ヘタクソだけど強烈に印象に残る」というつぶやきを見かけてちょっと気になってたんですが、熱海が舞台とは知らなんだー なんか俄然観たくなってしまいましたね。そんなにきれいに撮ってもらってるんだったら、市が何かしら後援してあげれなよいのになあ
予告編見ましたが、この海岸、あの串焼屋さんから歩いて10分もかからないところですよ
Commented by CaeRu_noix at 2013-03-03 19:00
SGA屋伍一さん♪
れすれす遅くなって遅くなってごめんなさーい。(コメントが入ったらメールでお知らせがくる設定にでもいたしますー。すまん。)
なにしろ学生映画ですからね。低予算で機材もたいしたものではないのか、何かとお粗末さは感じられるんだけど、それをりょうがする弾ける魅力がありましたよー。
そうそう、熱海なので、これはSGAやんが観るべき映画!またどこかでやる機会があったらぜひ。というか、熱海で上映会などひらかれたらいいかも。
映画を観ていて、商店街の風景に思いっきり見覚えがあったんだけど、それは錯覚じゃなくて、去年私が通ったあたりだったのねー、やはり。
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