かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『おとぎ話みたい』 山戸結希
2013年 05月 29日 |
MOOSIC LAB 2013 アンコール上映@K's cinema にて



『あの娘が海辺で踊ってる』の山戸結希作品『おとぎ話みたい』をアンコール上映にてようやく鑑賞。4月の上映時に大評判をよび、「MOOSIC LAB 2013」コンペティションでは当然のグランプリ獲得。チケット争奪戦が厳しく、観ることが叶わずに前回の上映期間は終了し、期待が募るばかりだったけれど。その期待が大きくなりすぎても裏切られることはなかった。予想の範疇におさまることは決してなく、『おとぎ話みたい』は高揚感で胸がいっぱいになる、見事にすばらしい作品だったよ。こんなに余韻があとを引く映画は久しぶり。山戸、山戸、山戸。

主人公の卒業を控えた田舎の女子高生がダンサーを目指しているというのからもうツボだった。いや、それがわかる前、ファーストシーンのモノローグから心は撃ちぬかれた。何気ないようで意味深で、哲学性を帯びていて、詩的に響く美しい言葉。そして、掃除を終えた廊下で軽やかなステップ。ローザスを、ピナ・バウシュを知っている人がすぐ近くにいたという感動の疾走。そんなくだりがたまらなくて。躍動感にすぐさま呼応して。ものの数分で山戸ワールドに魅了されるのだった。踊る娘シリーズ大好き。

ずいぶんおセンチなタイトルだと思いきや、おとぎ話というのはロックバンド名。バンドをフィーチャーして映画にする「MOOSIC LAB」は、映画ファンと音楽ファンの両方を取り込めるウマい企画。映画側の私は、全く知らなかった若者バンドの音楽を聴く機会をもって、こういうのも結構いいじゃないと思ってみたりする。バンドの持ち味とその音楽性を尊重しながら、映画を作るって意外と難しいのじゃないかと思うけど、山戸監督はそこのところも心得ていた。おとぎ話メンバーをフィクションのセカイに絡ませながらLIVEの盛り上がりをクライマックスにしっかりと置き、でもどこをどう見ても山戸印の山戸映画として輝いていたよ。

主演の趣里とは水谷豊・伊藤蘭夫妻の娘さんだと知らなくて後で驚く。こんなにも「少女」たるものパーフェクトに映画的に存在させてくれるとは。可愛くて神秘的でひたむきで情熱的で小生意気で傲慢なダンサー志願の女子高生の一言一句と挙動から目が離せない。ハイティーンの少女の存在と本質を、その魅力と魔力を、映画的に描くことに山戸結希ほどに長けた映画作家はいないのじゃないかと思えるその夜の興奮。それをソフィア・コッポラのようにアンニュイに語る手法もまたいいけど、音楽とダンス躍動によって、感傷さえもグルーヴに巻き込まれていくのが今宵は最高なのだ。ときめきの1時間。そのまんまではばたけ、山戸結希。


d0029596_1264276.jpg


MOOSIC LAB 2013
MOOSIC LAB 【プログラム E】
2013|監督・脚本・編集:|音楽:おとぎ話|撮影:今井孝博|照明:中西克之|音響設計:小川武|振付:KaoRi|ヘアメイク:Masayo|スタイリング:スエタカヨーコ(Daredevil)|出演:趣里、岡部尚、おとぎ話、小林郁香、椎名琴音、前田多美|製作:寝具劇団|カラー|55分



[PR]
by CaeRu_noix | 2013-05-29 12:08 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://latchodrom.exblog.jp/tb/18870673
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
<< -2013年5月のしねまとめ- PageTop 5月25日公開映画など。 >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon