かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『欲望』
2005年 11月 28日 |
思考の足がかりとしてとてもおもしろかった。
だけどテーマが深い割には直接的にグッと染み渡るものがなかったかも。

小池真理子原作小説の初の長編映画化作品。
三島由紀夫へのオマージュでもあるという。
映画はどこまで文学の世界に踏み込めるのだろうかと・・・。




ところで、アントニオーニの「Blow-up」は何で 『欲望』 なの?
『メゾン・ド・ヒミコ』 のハルヒコが欲しがっていた欲望とはどういうものだろう。

性欲とイコールではなくて、情熱の類とも違う?
肉体だけのものでもなく、心だけの問題でもない?

よくわからないけれど、とても深遠なテーマだと思う。
そんな思考に導いてくれたということだけでも意義があったかな。

篠原監督作品の世界はわりと好みのものが多い。
平均的に概ね好きな感じ。
でも、全面的に熱烈に気に入っている作品はないかもしれない。
いつも設定のどこかが引っかかったりするのだよね。

キャスティングにもあまり共感できなかったりする。
『オー・ド・ヴィ』の主人公のバーのマスターは岸谷五朗じゃないよなー。
そして、やっぱり元文学少年の苦悩するマサミはモデルあがりのムラジュンじゃないよなーって。
彼の演技はすばらしかった。そんな穏やかな青年そのもの。
でも、そのルックス+お尻の上のタトゥーはイマドキのワイルド青年風味なの。
昭和っぽくなーい。

板谷さんはなかなかハマり役だったのかもしれないけど、
全裸で激しいラブシーンを演じる体当たりな彼女を見ると
女優さんは大変よねぇとドキドキ不安になってしまい浸れる状況ではなかった。
こういうシーンって、どっぷりハマって見るのが正解なんだろうか?
この人たち何でいつも電気つけっぱ素っ裸なんだろう?とか思ってみたり。
(撮影の都合でライトが明るいだけなのか、原作自体が明るいところでプレイ派カップルなのか)
それにしたって、マッパでテーブルでグレープフルーツは食べないよねぇ。
裸で椅子に座るのはヤじゃない?とか・・・。細かいところで入り込めず・・・。

小説の中では自然なのかもしれないけど、昔の同級生に出会って、
「君」呼ばわりされちゃうところなんかにも違和感。
世代の違う同行者のよしださんは、そんなに違和感は感じなかったというから、昭和ではアリだったのか?

高岡早紀&津川雅彦夫婦は現実離れした存在というか、火サスっぽいというか。
ハマり役でおもしろかったけど、リアリティがないので冷静に見ちゃう。

脚本の問題なのか、演出がイマイチなのか、飲み物を買いに行く所や泳ぎに行く所で先が読めちゃうのがナンだったし。(よしださんも同意)
ここは、本当はガツンとショックを受ける場面じゃないのかなぁと残念。

よしださんに言われて、なるほどと思ったのだけど、
板谷さんの話し方はハッキリきれいでした。
皆の話し方が、近頃のワカモノ風早口で語尾伸ばしのだらしないしゃべり方ではなくて、急がずクッキリ発音だったような。
舞台劇っぽいんだけど、大げさではなくて。
そんなところがよかったはずなんだけど、イマドキナチュラルしゃべりのドラマに慣れすぎた私は逆に違和感を感じちゃったのかなぁ。

正巳の苦悩にはとてもせつなくなったし、類子の気持ちであれこれ思いを巡らせてみたり。
いろいろ見どころ考えどころがあって、おもしろかった。
でも、1本の映画として、大きな感銘があったというところまではいかなかったかな。
原作が読んでみたい。 あと、「豊饒の海」も。

欲望  公式サイト
監督 篠原哲雄   
出演 板谷由夏、村上淳、高岡早紀、利重剛、大森南朋

(渋谷 アミューズCQN)
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by CaeRu_noix | 2005-11-28 23:30 | CINEMAレヴュー | Trackback(6) | Comments(4)
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Commented by kana3160 at 2005-12-01 01:24
ふむふむ・・・・・・。
「君」っていうのは、女には違和感ありで、男にとっては違和感なしなんじゃないかな。
言う方と、言われる方の違いかも。うちのottoも言います。ハッキリ嫌です。
Commented by CaeRu_noix at 2005-12-02 00:57
kana さん♪
紳士による愛情と敬意のあふれる「君」ならいいかもしれませんね。
私は、「キミは困った人だ」等の用例しか心当たりがないから、
あんまりちゃんとした二人称だとは感じられないんですよねぇ。
でも、昭和の歌謡曲の歌詞なんかには、「キミ」は多かったですよねぇ。
前はもうちょっと自然な響きだったのかも。
Commented by もじもじ猫 at 2006-01-16 20:47 x
TB返しとコメントありがとうございます。
正巳がムラジュンなのは私はOKでした。文学青年で性的不能者が美しい筋肉を持っているというのが、余計に悲しさが増します。
ベッドシーンはあえて官能的に撮影しなかったと思います。
「君」をいかすためにも、設定を現代にもってこなかったのではないでしょうか。
Commented by CaeRu_noix at 2006-01-17 12:48
もじもじ猫 さん♪
ムラジュンキャスティングは個人的には違和感があったものの、その演技力、存在感には圧倒されました。うまいですよねぇ。確かに、いかにもひ弱なタイプではなく、肉体美を持つ青年であるからこそ、不能であることが更に悲しくのしかかってきます。キネ旬の記事をちょろっと読んだのですが、この役はオファーした他の俳優には断られたりしたそうですね。こんなふうに肉体をさらけ出すことに躊躇する俳優もいる中で、ムラジュンはお尻の刺青をまず見せた上で、これでよければ、と引き受けたそうですね。そんな意気込みが伝わる演技だったなぁと思います。
ベッドシーンは物語に入り込んで痛みを感じるというよりも、客観視してしまう感じだったのが残念なんですが、あえて官能的には撮らなかったというのはその通りだと思います。
「君」というのも、私は個人的に違和感を感じたんですが、この原作小説はそういう世界を描いていたので必要な二人称だったのでしょうね。設定を現代に置き換える必要はもちろんないと思います。
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