かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』
2006年 03月 16日 |
興奮の音楽映画。感動の愛の物語。
魅力的な2人のミュージシャンが2人の名演技で蘇る。

カントリー・ミュージック界の大御所 ジョニー・キャッシュと運命の女性ジューン・カーターの愛の軌跡



オープニングから心をつかまれる。とてもカッコいいショットなんだもの。
屋外から映された刑務所の建物の中では何やら激しい音楽が鳴り響いていて、手前には真っ黒なカラスが吸い殻をついばむ。これから葬式にでも行くような黒い衣装がトレードマークのジョニー・キャッシュの物語がそうやって始まった。刑務所の囚人達を熱狂させる男。

クローズアップが多すぎる気もしたけれど、映像がとても好みだった。撮影監督が『サイドウェイ』と同じだったので納得。というよりも、『ミリオンダラー・ホテル』、『シビラの悪戯』を撮ったカメラマンだったことが更に嬉しい。ファンタジックな色味の広がる綿花畑の美しさに見覚えがあったことにも納得してみたり。アーカンソー州の家からの旅立ちの時、広がる畑を分ける1本の道をジョニーが歩んでいくシーンも美しく、これが初めのウォーク・ザ・ラインなのだなぁと感慨深かった。

生い立ちの記の第一章の少年時代のシークエンスも印象的でいい。ジョニーはこうやってこっそりラジオを聴いて過ごしてきたんだなぁ。優しい兄を失ったこと、父に愛されなかったことがトラウマとなり、それが原動力にもなっていたんだ。ジョニーの人格と音楽性とそこへ向かう情熱を作り上げたともいえる少年期のエピソードは、物語が進んでからもたびたび思い出されて効果的に染み渡る。

メンフィスのスタジオでのオーディションのシークエンスにも心うたれた。ジョニー・キャッシュの才能を埋もれさせることのなかったサム・フィップスの台詞に感動。音楽を愛する敏腕プロデューサーは、商魂だけで高飛車にふるまうことなんてなく、こんなふうにミュージシャンの持ち味を引き出していたんだなぁ。伝説のミュージシャンが生まれ育つことになったこの邂逅。

そして、ジョニー・キャッシュは脚光を浴びていく。LIVEシーンには大興奮。本物のジョニー・キャッシュのことは知らないけれど、きっとこんな風だったに違いないと思わせるホアキン・フェニックスの堂に入った歌いっぷり。リース・ウィザースプーンの張りのある歌声も素晴らしい。演技力だけでも優れているのに、こんなにエキサイティングなステージを実演できるなんて。吹替えなしでこうもパワフルで魅力的な音楽映画が完成したことに感激。

何よりも胸に響いたのはやっぱりその愛の軌跡の物語。ジューン・カーターはまぎれもないジョニーの運命の女性。子どもの頃にラジオで歌声を聴いていたその人と一緒にステージでデュエットすることになるなんて。互いの家族のことを思い、簡単に恋人同士になることはなかったけれど、ツアー生活を共にしながら長年親友であり続けたことはステキ。ジョニーの強引なアプローチにも流されることのないしっかり者のジューン。そして、堕落したジョニーを見捨てることもしなかった。張りのある歌声と同じように強くて大らかな人柄のジューン。2人が共に歌い続けた末に結ばれたことは心から嬉しい。釣りを楽しむ彼らの笑顔に感動があふれる。

秀逸な伝説のミュージシャンの物語であり、完璧な愛の物語であった。
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by CaeRu_noix | 2006-03-16 23:17 | CINEMAレヴュー | Trackback(12) | Comments(6)
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Commented by April at 2006-03-17 19:30 x
かえるさん。
いや~本当に、少年時代の場面では泣いちゃいましたよ。
二人ともにオスカー獲ってほしかったです。
本当に熱演でしたね。
Commented by CaeRu_noix at 2006-03-19 00:58
April さん♪
少年時代から泣けましたよねー。にいちゃぁ~ん!
ホアキンの歌にオスカーをあげてもよかったですよね。
表情の一つ一つから弾き語りまで熱くって素晴らしい演技でした。
Commented by さばきち at 2006-03-20 20:11 x
こんばんわ、かえるさん。
ジューンとジョニーの関係、ほんと素敵ですよねえ。同志であり、親友であり、そして恋人であり・・・。
ホアキンとリースの歌はほんと見事。すごく息ぴったりで、素晴らしかったです。オスカー受賞のスピーチで、リースがホアキンに向かって「あなたと共演できて本当によかった」と言っていたのが印象的でした。
Commented by CaeRu_noix at 2006-03-21 11:05
さばきち さん♪
2人の関係性にはめちゃめちゃ感動しました。
男女間にある恋愛関係って、往々にして、相手に愛してもらいたいという自己愛のようなものになってしまいがちですが、男に甘えることなく、好意にしながれかからず、毅然としつつも友情と慈しみの心を忘れなかったジューン。
おお!リースはそんな言葉をホアキンに言ったのですね。ジューンのキャラクターに通じるものがありますね。私たちも彼らが共演してくれて本当によかったなーと思いますよねー。
Commented by 隣の評論家 at 2006-03-22 19:47 x
かえるさん、こんにちわ。
先日は「SPL」へのコメントありがとうございました。知らぬ間にすれ違っていたかもしれませんね!山吹色のジャケットのおじさんのエピソード、うけました!いかにも歌舞伎町ですよね。私は、道を1本間違えて煌びやかなネオンの店の並びに出たりして、アセリました(苦笑)。
「ウォーク・ザ・ライン」とても良かったですよね!私は、サントラCDを購入して、毎日聴いておりますよ~♪
Commented by CaeRu_noix at 2006-03-24 10:12
隣の評論家 さん♪
すれ違っていたかしら?おしゃれなレディたちは来なさそうな「新宿オスカー」でございましたね。それにしてもあの映画館にはビックリでしたよね。
歌舞伎町なんて本当は行きたくないんですが、シネマスクエアとうきゅうでしかやっていない作品なんかがたまにあるので行かざるを得ないんですよねー。そういえば、前に『マルホランド・ドライブ』をとうきゅうに観に行った時は、歌舞伎町内で、「お仕事しませんか?」って声をかけられました・・・。どんなお仕事だよっ。
「ウォーク・ザ・ライン」 サントラ購入ですか!音楽そのものもよかったですよねー。 カントリーってそんなに好きなジャンルでもないけど、その音楽がこんなふうに熱く歌われ、聴かれたのだということを映画で体験したら、とてもとても心に響いてしまいました。
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