かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『リバティーン』
2006年 05月 05日 |
不満もありつつ、セクシー・ジョニデのコスプレを堪能。

17世紀英国で国王に寵愛された実在の放蕩詩人ロチェスター伯爵の物語。



俳優陣も豪華だし、ヨーロッパのコスプレものといったらビジュアルに期待大。あら、でも、画面が暗すぎ、粗すぎでは? 本来私はこういうフィルタ映像は大好きだし、雰囲気はいいと思うんだけど、ずっとこれで通すというのは、衣装や美術をじっくり目で楽しめなくてちょっと残念。こういう撮り方で活きる素材もあると思うけど、きらびやかなコスプレものはクッキリハッキリカッチリ豪華映像の方が見ごたえがるような気がするなぁ。キャンドルの炎はすごーく綺麗だったけれど。

マイケル・ナイマンの音楽が大好きな私は、画面に不服感を覚えながらも、しばしばナイマンのスコアの美しさにウットリ。この音楽だから、蒼く薄暗い映像が合うのかもしれないけど・・・。ナイマンとセットなら、いっそのことグリーナウェイ映像なんかでこの猥褻ぶりを観てみたかったかも。または、『リディキュール』を思い出して、こういう耽美なエロティシズムはルコント演出もいいかなぁと思ったり。(フランス人ですが。)

この頽廃的で猥雑な世界って、映画的にはすっばらしく魅惑的なものだと思うんだけど、素材の割に、強烈なインパクトが感じられなかったのが残念。せっかく、ジョニー・デップが意欲的に挑んだ作品なのに。惜しい。とはいえ、映像がイマイチ気に入らないなぁという引っかかりも徐々に忘れて、気がつけばこの物語をかなり楽しんでいた。俳優陣の存在感がみな素晴らしくて、その演技に釘付けになってしまう。ジョニデは思いきりハマり役で、オダギリジョーが「僕が女だったら、妊娠しますよコノ映画」とコメントしたくなるのも納得のフェロモン放出。ロチェスター伯爵を取り巻く女優たちの熱演も見事。

演出的なものはともかく、脚本そのものはかなり面白いんじゃないかと思えた。台詞回しがなんだか魅力的。あら、それもそのはず、もとは戯曲だったということを後で知る。出演者たちの演技合戦、言葉のやり取りに幾度も引きつけられた。「物語が進むにつれてどんどん私を嫌いになる」と断った彼の推測はハズレ。ジョニデだからなのかはわからないけど、客観的にはかなり魅力的なロチェスター伯爵。芸術家なんだから奔放で不真面目な方がむしろステキ。終盤の妻エリザベスの訴えにはさすがに胸をうたれて同情してしまったけれど。夫としての彼は別として、やっぱりこんな自由人が実在したことは感慨深い。

ロチェスター伯爵の取り組みはあれもこれも興味深かったけど、とりわけあの舞台は最高だった。秘宝館がステージへやってきた?!猥褻な題材もちまちまやれば下劣なのかもしれないけど、ここまでやったら大いなるエンターテインメント。輝ける芸術。あんまり笑いは起きていなかったけど、あれは面白かった。『トーク・トゥ・ハー』の「縮みゆく恋人」を思い出し。

残念な部分もありつつも満喫。

--キャスト--
ロチェスター:ジョニー・デップ
エリザベス・バリー:サマンサ・モートン
チャールズ二世:ジョン・マルコヴィッチ
エリザベス・マレット:ロザムンド・パイク
ジョージ・エセリッジ:トム・ホランダー
サックヴィル:ジョニー・ヴェガス
ジェーン:ケリー・ライリー
ハリス:ジャック・ダヴェンポート
オールコック:リチャード・コイル

リバティーン  公式サイト
THE LIBERTINE 2005 イギリス
監督 ローレンス・ダンモア
脚本 スティーヴン・ジェフリーズ
撮影 アレクサンダー・メルマン
音楽 マイケル・ナイマン

(新宿 テアトルタイムズスクエア)
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by CaeRu_noix | 2006-05-05 00:06 | CINEMAレヴュー | Trackback(6) | Comments(10)
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タイトル : THE LIBERTINE
リバティーン 監督:ローレンス・ダンモア 出演:ジョニー・デップ、サマンサ・モートン、ジョン・マルコヴィッチ、ロザムンド・パイク、トム・ホランダー 2004年 イギリス 当世を風靡する。 弱さとその意地で。 「何の役に立つか」という事に無関心を貫くというのは、 案外、難しいものなのだ。 17世紀のイギリス。ロチェスター伯爵は国王より外交上重要な意味を持つ場で上演する戯曲を依頼される。しかし、それは余りにも…。 天に唾を吐く、吐き続けるロチェスター伯爵の行く末をとくと観よ。 ...... more
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タイトル : 『リバティーン』
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 「初めに断っておく 諸君は私を好きになるまい...どうか好きにならないでくれ...」 実在したイギリスの王チャールズ二世に仕えたロチェスター伯爵はこうはじめに語るのだ。 これを聞いたとき何か予感がしていた、明確なではなかったが強く残るものを。 そしてこの言葉の指すものがどんなであるかを考えた。待ち受けていたものはジョニー・デップ主演作だけに一筋縄でいくものではなく、刺激だった。“暗い話”の一言では決してくくってはならない、確かにそう見終わった瞬間感じていた。  これはロチェスター伯爵ことジョン...... more
Commented by 隣の評論家 at 2006-05-05 18:19 x
かえるさん、TB&コメントありがとうございます。
>演出的なものはともかく、脚本そのものはかなり面白いんじゃないかと思えた。
なるほど。アタクシも演出面はイマイチと思ったのですが、脚本自体を全く吟味しない記事になってしまいましたわ。さすがは、かえるさん!
>『トーク・トゥ・ハー』の「縮みゆく恋人」
ああ、ありましたね!『トーク・トゥ・ハー』は、鑑賞後の帰り道、何だかドーンと暗い気持ちになってしまったのを思い出します。何にしても、ヨーロッパ映画ってハリウッド映画では全く味わえない感慨深さみたいなものがあっていいですよね。
Commented by CaeRu_noix at 2006-05-06 02:17
隣の評論家 さん♪
脚本というか、ダイアローグがかなりおもしろいと思ったんですよね。映画としての脚色はどうだったのかはよくわからないけど。とりあえず、物語運びなどにはノレたので、やっぱり演出面、映像や場面構成をどうにかしてほしかったという思いが残りました。本当は脚本自体もイマイチだったのかもしれませんがー。いずれにせよ豪華な素材がもったいなかったっすね。
そういえば、『トーク・トゥ・ハー』もテアトルタイムズスクエアでしたね。いや、私にとって、トーク~は感動作でしたわよ。深い感銘に包まれて、その年のベスト1に選んだ作品でござる。
そうなのよ。明瞭なハリウッド映画にはないヨーロッパ映画の味わい深さにハマってしまうのです。
Commented by マダムS at 2006-05-06 10:21 x
そうそうそうなのよ! せっかく良い素材を沢山使っていながら、映画として成功してるかどうか?ちょっと不満でした。
きゃ~私も「トーク・トゥ・ハー」はその年のベスト1でしたわ♪
地元で観てから、もう一度新宿行きましたもの!!
Commented by CaeRu_noix at 2006-05-07 00:20
マダムS さん♪
やはり!もったいなかったですよねぇ。豪華コスプレものなのにー。
それなりにおもしろかったんですが、残念な気持ちは拭えませんー
きゃ~♪マダムも「トーク・トゥ・ハー」が年間ベストでしたか。そりゃ嬉しい!
私も二回観に行っちゃいましたよ。こういう単純な善悪を超越したドラマって大好きなんですよね。激しく感銘をうけました。闘牛やバレエやら芸術的にも楽しめたし。こういう作品にたくさん出逢いたいものですー。
Commented by sheknows at 2006-05-07 22:26
これね〜、小生もマイケル・ナイマンとても好きなんですけど、ちょっとロマンチシズムが邪魔をするというか、甘さに逃げが有るというか…ちと、残念。

隙のなさ過ぎる過剰なグリーナウェイ映像とのペアがやはり、最高だったな、と再認識した次第です。

画面の感じは素敵でしたが、これも好きずきですかね。
何か、ひと味不足、そんな感じが残りましたね〜。
Commented by CaeRu_noix at 2006-05-08 13:04
sheknows さん♪
マイケル・ナイマンはいいですよねぇ。でも確かに、この物語には合っていたとは言いがたいかもしれません。キャンドルの炎の美しさにはバッチリ合っていたと思うんですが、ロチェスター伯爵の生き様には合いませんよね。勝手に美しすぎてちょいと邪魔だったかもしれませんね。
グリーナウェイ映像とのペアが最高ですかね。エログロ世界さえもとめどなく美しいですもんね。本作の場合はちょっとうまく呼応してなかったかなぁ。映像も好み系なんですが、暗いばっかりじゃ芸がないよとだんだん思えてきました。とにかく不足感がありました・・・。
Commented by いわい at 2006-05-22 20:25 x
こんにちはー。
こういう退廃系コスプレものって好きなんですけれど。わたしも、映像が不満でしたわ。
美術と衣装もピーター・グリーナウェイ監督と組んでいたスタッフだと後から知りました。英国の猥雑だから、グリーナウェイ監督路線を狙っていたのかもしれないけれど、それにしては、という思いが拭えずです。
戯曲の映画化としては、とてもうまいなぁと思いました。演技指導のところなんて、ダイアローグの面白さをよく出していたと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2006-05-23 12:27
いわい さん♪
ですよねー。これはこれで雰囲気のある映像でおもしろかったんですが、この題材にはハマらなかったような気がしますー。おお、美術と衣装はグリーナウェイ組のスタッフなんですか。確かに美しかったけれど、やっぱりグリーナウェイが指揮しないことにはその魅力は発揮されないのでしょうか?っていうか、暗かったから衣装の素晴らしさもよくわかんなかったし。
ダイアローグはおもしろかったですよね。私個人的には、サマンサ・モートンは台詞よりも表情や佇まいでみせる女優(ジョニデもかなぁ)だと思っているので、台詞の応酬な醍醐味を堪能しきれなかったのですが・・・。
Commented by omuhashi at 2006-05-31 21:25 x
この映画はジョニー・デップ出演作と知って見に行きました。
だんだんぼろぼろになっていくサンチェスター伯爵を
これでもかってくらいに演じていましたね。
下ネタの多い映画ではありますが、ストーリーとして
映画として中々おもしろかったです。
マルコヴィッチの演技もとてもよかったと思います。
彼の演じた王がどんどん堕ちていく伯爵を
一度は見放したものの最後にかけて伯爵が最後に成し遂げた
成功に心動かされていく様子も中々印象に残りました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-02 00:53
omuhashi さん♪
ジョニデのコスプレものといったら見逃せませんよねぇ。
おまけにかなりの意気込みで挑んだ作品となれば。
そして、汚れ役ほどにノリノリの演技を見せてくれます。
ジョニデはもちろんマルコヴィッチにモートンにライリーと魅力的なキャスト。マルコヴィッチはやっぱり舞台テイストなものの存在感は格別ですね。マルコヴィッチだと気づかなかった私・・・。
ストーリーももとが戯曲だけあっておもしろかったし、卑猥な言葉たちもあのシモネッタ舞台も見どころでしたよね。演出等何かがもう一つだったというのもあるんですけど、魅力的な映画ではありました。
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