かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『戦場のアリア』 Joyeux Noël
2006年 05月 28日 |
これぞ、聖なる夜。
そこにある感動はわかりきったものであるのだけれど、その日のクリスマス・ソングが再現されればやっぱり心に響き渡る。

1914年、第一次世界大戦下。フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍がにらみ合うフランス北部の村で、クリスマスの夜に一夜限りの停戦協定が結ばれた。



アカデミー賞 外国語映画賞ノミネートというのも納得の胸を打つ物語。映画の出来映えが秀逸だというよりは、世界への願いを込めてこういう映画が評価されることが嬉しいわけで。『クラッシュ』のオスカー獲得もそういう要素が多大にあると思うわけで。

ボスニアの『ノー・マンズ・ランド』的に不条理な現実があることも忘れてはならないけれど、こんな温かな一夜の出来事もまた紛れもない現実であったことが心に沁みる。人間の1人ひとりは武器を持って戦うことを望んでなんていないのだ。人は、爆撃の炎よりもキャンドルの灯を、銃声と悲鳴よりも美しいアリアを愛してやまないはず。バグパイプの音色が心地よい。

第一次大戦下の塹壕ならば、断然、『ロング・エンゲージメント』の雰囲気の方がよかったなぁとか、誰だって夫に会いたいはずなのにオペラ歌手のアナだけが立場を利用して会いに行くとは身勝手な女だなぁとか思って、客観的に眺めていたのだけど。メインキャスト以外のその他大勢の兵士たちの交流が始まるにつれて、徐々に物語にハマっていき大いに感動してしまった。これが本当にあった出来事だと思うとより感慨深い。徴兵されて戦士にならざるを得なかった男たちもみんな普通の夫であり、父親なのだよな。それぞれに戦線よりも守りたいものをもっているはずなのに。

『ククーシュカ ラップランドの妖精』 のロシア、フィンランド兵の交流模様を思い出した。個人と個人のやり取りにおいては言葉が通じなくてもどうにかなっていたけれど。戦争の最中ではそうはいかない。各軍の指揮官によって停戦の協定が言葉で結ばれることこそが重要だった。軍で責任を負う立場の中尉たちには葛藤もあったはずなのに、停戦の英断をしてくれたことがとても嬉しい。そして、国によって異なる言語とも違い、音楽は国籍を越えて人々を魅了するのだなぁ。クリスマスとおいしい食べ物にお酒にカードゲームに家族の写真も共通言語。冬の夜の澄み渡る空気の中で響く「聖しこの夜」の美しさをかみしめて、戦争なんてバカげていると思わずにいられない。

ダイアン・クルーガー ドイツのソプラノ歌手アナ
ベンノ・フユルマン-- ドイツ軍テノール歌手ニコラウス
ダニエル・ブリュール--ドイツ軍ホルストマイヤー中尉
ギョーム・カネ--フランス軍オードベール中尉
ゲイリー・ルイス--イギリス パーマー司祭

戦場のアリア 公式サイト
Joyeux Noël 2005 仏独英
監督.脚本  クリスチャン・カリオン

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by CaeRu_noix | 2006-05-28 23:11 | CINEMAレヴュー | Trackback(14) | Comments(12)
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Tracked from MIWOのレタスなLOG.. at 2006-05-29 05:29
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原題は "JOYEUX NOËL (MERRY CHIRISTMAS)"... more
Tracked from 映画通の部屋 at 2006-05-29 13:00
タイトル : 戦場のアリア
「戦場のアリア」 JOYEUX NOEL / 製作:2005年、フランス=ドイツ... more
Tracked from It's a wonde.. at 2006-05-29 21:39
タイトル : 「戦場のアリア」
 2005年/フランス・イギリス・ドイツ  監督/クリスチャン・カリオン  出演/ダイアン・クルーガー      ギョーム・カネ      ダニエル・ブリュール  人と人はわかりあえるのに、なんで国と国はわかりあえないんだろう。  映画を観ている最中、何度も何度もそう思った。  第一次大戦中、ドイツ軍とフランス、スコットランド軍が対峙するフランス北部の戦場。ドイツ軍の陣営から聞こえてきたオペラの歌声に、スコットランド軍がバグパイプで応え、それをきっかけに両軍はクリスマスの間だけ、...... more
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タイトル : 戦場のアリア
映画『戦場のアリア』を観た。 第1次世界大戦中にフランス軍、スコットランド軍、ドイツ軍が三つ巴で睨み合うフランス北部の前線で、雪のクリスマス・イブの夜に数万本の樅ノ木が立ち並び、テノールの歌声が流れた。奇跡的な休戦と心の交流の実話を描いた心温まるストーリー。戦時下を舞台に、様々な登場人物の心の葛藤と人生を描いた作品で心に残る物語だった。最初は、主役のアナ(ダイアン・クルーガー)とニコラウス(ベンノ・フユルマン)の恋愛映画かと思ったが、一種の群像劇のように登場人物一人一人が持つドラマが描かれていた。特に...... more
Tracked from よしなしごと at 2006-05-30 02:31
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Tracked from 日々徒然ゆ~だけ at 2006-06-05 01:18
タイトル : 戦場のアリア
 どの登場人物にも理由があり,そしてその思いは理解出来る。それだけに,戦争ってものの不条理が余計に際立つ。この頃の世相は,まだ血の通った人間的な行為が,組織下でも温存されていた時代なんだなぁ,と思わせる作品である。... more
Tracked from skywave blog at 2006-06-08 00:29
タイトル : シネマ日記 戦場のアリア
第一次大戦のクリスマス・イブ。戦争の最前線で起こった奇跡。それは兵士たちのクリスマス・キャロルをきっかけに、成しえたフランス軍、スコットランド軍、ドイツ軍のクリスマス... more
Tracked from ひとりごと at 2006-06-09 20:50
タイトル : 戦場のアリア
第一次世界大戦中に実際に起きた、信じられないような出来事。 フランス北部の最前線。 フランス・スコットランド連合軍と、敵対するドイツ軍。 そこはすぐ目の前に敵がいて、いつ死んでも、いつ何時攻撃されてもおかしくないという極限状態にあった。 そんな厳しい戦況の中でクリスマスを迎え、戦場には兵士達のためにたくさんのクリスマスツリーが届けられる。 スコットランドの塹壕から、クリスマスを祝うパグパイプの演奏が静かな戦地に響く。それに拍手を送るドイツの兵士達。そして、それに続いたドイツ兵士(オペラ歌手)の美し...... more
Tracked from あ~るの日記@ココログ at 2006-06-13 01:35
タイトル : 戦場のアリア
映画『戦場のアリア』を観た。 第1次世界大戦中にフランス軍、スコットランド軍、ドイツ軍が三つ巴で睨み合うフランス北部の前線で、雪のクリスマス・イブの夜に数万本の樅ノ木が立ち並び、テノールの歌声が流れた。奇跡的な休戦と心の交流の実話を描いた心温まるストーリー。戦時下を舞台に、様々な登場人物の心の葛藤と人生を描いた作品で心に残る物語だった。最初は、主役のアナ(ダイアン・クルーガー)とニコラウス(ベンノ・フユルマン)の恋愛映画かと思ったが、一種の群像劇のように登場人物一人一人が持つドラマが描かれていた。特に...... more
Tracked from シネマでキッチュ at 2006-07-13 22:14
タイトル : 戦場のアリア
最前線で素晴らしいコンサートを見るというのは誰も経験できないものでしょう。 それを経験させてもらえる映画でした。 こんなことが本当にあったなんて。 素晴らしく臨場感があって、まるでその前線のなかに自分もいたかのよう。 複雑きわまりない第一次世界大戦下。 フランス北部の戦線でフランス軍、ドイツ軍、イギリス軍(スコットランド兵)がそれぞれの塹壕を掘って対峙している。 (どうしてこの3国が?といえばた... more
Tracked from 雑記のーと Ver.2 at 2006-11-04 23:35
タイトル : 戦場のアリア
「戦場のアリア」を観た。 1914年、第一次大戦下のフランス北部デルソー。わずか数十メートルを隔てて築かれた2つの塹壕。一方には優勢に進めるドイツ軍。もう一方にはスコットランド軍の援軍を得てねばり強く戦うフラン... more
Tracked from cinema note+ at 2006-11-17 01:40
タイトル : 戦場のアリア
戦場のアリア スペシャル・エディションJOYEUX NOEL 2005年 フランス/ドイツ/イギリス いい話でした。 第一次世界大戦中のクリスマス、最前線で起きた奇跡。 嘘みたいだけど、実話なんですよね。  さんざん和ん... more
Tracked from Sweet* Days .. at 2007-01-30 10:39
タイトル : 『戦場のアリア』
戦場のアリア スペシャル・エディション アカデミー外国語映画賞他ノミネート CAST:ダニエル・ブリュール、ギヨーム・カネ、ダイアン・クルーガー 他 STORY:1914年、第一次大戦下。フランス北部の最前線デルソーで、フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍は壮絶な戦闘状態にあった。そんなある日、ドイツのオペラ歌手アナ(ダイアン・クルーガー)は、徴兵された夫ニコラウスとコンサートを開きたいと皇太子に申し出る・・・ これが史実だったというのは本当に驚きです。 「反戦」が世界的に謳...... more
Tracked from 映画DVD・映画ブルーレ.. at 2009-04-18 16:41
タイトル : 戦場のアリア
戦場のアリア (2005)今回の映画は、「戦場のアリア」です。本作「戦場のアリア」は、実話を元に第一次世界大戦中の一夜限りの「クリスマス休戦」を描いた人間ドラマです。監督はクリスチャン・カリオン。フランス/ドイツ/イギリス/ベルギー/ルーマニア合作。第1次...... more
Commented by Suzuka at 2006-05-29 05:34 x
そうですね・・・
できがどうこうというよりも、
こういうことがあったということが大切で
そういう人たちを 語り伝えようという姿勢に
共感を覚えたひとりです。

Commented by めかぶ at 2006-05-29 09:16 x
昨日、朝から恵比寿まで散歩してその足で観てまいりました。
実際にあった事柄が映画になることは多いけれど、これほど信じ難くて、でも人間ならばごく当たり前のことかなと思わざるを得ません。
音楽が人の心に呼びかけ、呼応した人の歌声、その歌声に立ち尽くす人々。戦場にいようが敵だろうがそこにいる人間はみんな家族があり心がある普通の人間なのだから当たり前と言えば当たり前。
その当たり前が否定される戦争ってほんと愚かだ。

人間として親しみを持った後に気持ちを切り替えるなんてそんな簡単にはできない。ドイツ、フランス、スコットランド軍それぞれのその後が観ていて哀しかった。特に故国を通過してロシア戦線に送られるブリュールたちには胸が締めつけられた。
Commented by Moe at 2006-05-29 10:00 x
初めまして。
ミニシアター系の作品のレビューをいつも楽しみにのぞいています♪

映画祭で観たんですが、実際に観るとダイアン・クルーガーを前面に出している日本のポスターに違和感を覚えちゃいました。
海外のポスターの方が映画の内容に沿っている感じで好きです。
上映後の監督のお話だと、PR出演していたラジオ局でリスナーの方にこういった体験をした方のお孫さんがいらして、戦後ずっと経ってから外国の方が訪ねてきたという逸話も聞けたとか。
あの夢のような時間が後世に続いていたんだな~・・とちょっとじ~んときました。(個人的にはゲイリー・ルイスさんがツボでした。)
Commented by CaeRu_noix at 2006-05-29 13:24
Suzuka さん♪
そうなんですよ。こんなにステキな実話を語り都合という思いにまず感銘を受けますよね。映画にならなかったら、私はこの出来事を知ることはなかったと思います。映画としては、ダイアン・クルーガーの役まわりだとか好きじゃない部分もあったんですけど、この素晴らしき事実へ感動や製作者たちの心意気への共感は変わりませんよね。
Commented by CaeRu_noix at 2006-05-29 13:49
めかぶ さん♪
素早い!と思ったら、朝からでしたか。お疲れさまです。
戦線の兵士の心情なんて想像するしかない世界なんだけど、一人一人の気持ちを思えば、ごくごく当然の出来事ですよね。『ジャーヘッド』のような兵士の思いもリアルだし、第一次大戦下ではこんな兵士たちの思いや行動もリアル。緊迫した命がけの戦場においては信じがたいほどの光景だけど、多くの人が温かい家で家族とクリスマスを祝いたいと思っていたことは確かで、それが表面化して結実したというだけのことかも。そう、たぶん当たり前のことなんですよね。それが大義とやらのためにそれを手放さなくちゃならないなんて。全く愚かなものだー。
一昔前?の戦争映画は一つの側の軍隊の視点で描かれたものが多いけれど、これは三つの国それぞれの模様を描写してくれているところがよかったですよね。悲しみも三倍なんだけど。敵っていったい何なんだと、軍隊・兵士は駒のように動かされるのがまた悲しく。
ダニエル・ブリュールはよかったですよね。去年スクリーンで観た3本のブリュールより、今回の堂々たるヒゲ姿がいいなって思いました。ギョーム・カネも。中尉はどちらもこんなに若い人だったのかなと思いつつ・・。
Commented by CaeRu_noix at 2006-05-29 15:15
Moe さん♪
はじめまして。ありがとうございます。嬉しいです♪
映画祭でご覧になりましたか。観客賞か何かに選ばれたんですよね。日本の配給会社は、華のある女優を前面に押し出して宣伝をする傾向がありますよね。男達の戦場の物語という方向だとお客の集まりが悪いのか何なのか。でも、映画を観た人は当然違和感を覚えますよね。私たちが心を動かされたのは、クルーガーではないというのに・・・。そういう宣伝の仕方はやめてほしいですー。そんな小細工をしなくても、いい映画は話題をよぶのですから。
この映画の続きにちゃんとそんな再会があったなんてとてもステキですね。監督も映画を作ったった甲斐があったでしょうね。そんなエピソードもこの映画とともに語り継がれていくのは感慨深いですね。この映画は一般公開が決まっていたので、私は映画祭では観なかったんですが、そんなゲストのお話が聞けたとはうらやましいですー。ゲイリー・ルイス、よかったですよね。俳優陣もすばらしかった。
また遊びにきてくださいねー。
Commented by mayumi-68 at 2006-05-29 21:47
こんにちは。TBさせていただきました。

>誰だって夫に会いたいはずなのにオペラ歌手のアナだけが立場を利用して会いに行くとは身勝手な女だなぁとか思って

↑私もそう思いました。なんでこの人たちだけ許されるのよー、なんて思ったり。結局逃げちゃうし。仲間から託された手紙はどうすんだよ!ってちょっと腹立たしかったですね。

あと、この作品、当たり前のことなんですが、スコットランド人が英語、ドイツ人がドイツ語、フランス人がフランス語をちゃんと話しててよかったです。ハリウッド映画だと、結構ドイツ人が英語喋ってたりしますからね・・・。ひどかったのが「スターリングラード」ですが。
Commented by CaeRu_noix at 2006-05-30 10:27
mayumi さん♪
このオペラ歌手のアナも実話ベースなんですっけ?
だったら仕方ないのですが、映画に華をそえるために付け加えたキャラならよろしくなかったですよね。夫に会いたいという気持ちはわかるのだけど、自分ばっかりっていうのはステキじゃないですよね。あんな衣装を着て、塹壕にいるのも場違いな感じで傍ら痛しでした。最後の離ればなれになるたくないから捕虜にしてくれっていうのも迷惑な話だなぁと思えました・・・。勝手に逃げろーって。このアナの存在が唯一の残念な点でしたー。
そうそう。ドイツ語とフランス語と英語が交互に飛び交っているのが嬉しかったです。私も全部英語にしちゃうハリウッド映画が嫌ですー。『スターリングラード』は残念でしたよね。笑えたのは『SAYURI』・・。
Commented by betty at 2006-07-13 22:21 x
戦争という極限の状況のなかで、こんな秘話があったとは驚きました。
音楽っていいですよね。

お願いなのですが、Caeruさんのこのブログを拙ブログからリンクさせていただきたいと思うのですが、よろしいですか?
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-14 12:48
betty さん♪
私もこんな出来事があったとは初めて知りました。こんなに素晴らしい隠された事実が語り継がれ、映画になることによって遠い国の私たちもその感動を共有できるなんてうれしいことです。音楽というものは多くの境界を超えるパワーをもっていますよねー。

リンクしていただけるのですか。もちろん大歓迎です。ありがとうございます♪
Commented by タンタン at 2006-11-17 01:39 x
初めまして♪
私も「ロング・エンゲージメント」のほうがどっちかっていうと好きです。
塹壕は同じような感じでしたよね。
ストーリー的にはあのオペラ歌手に重点を置くよりも、もっと戦場にスポットを当てたほうが良かったような気がしました。
仲良しになるのが早すぎて、そもそもお互いにどう思ってたかとかがストンと抜け落ちてたような気がしました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-11-17 21:56
タンタン さん♪
はじめまして。ようこそ。
両者を比べてしまったら、『ロング・エンゲージメント』の方が断然好きなジュネファンの私ですー。同じ第一次世界大戦ものという次元では。
でも、本作も、中盤以降とても感動したことを憶えています。みなさん、おっしゃっているようにダイアン・クルーガーのオペラ歌手役の存在がイマイチだったことは否めないんですけどね。映画には華がなくてはと製作者は思ってしまうんでしょうか・・・? ダイアン・クルーガーというえば、エド・ハリス主演の『敬愛なるベートーヴェン』も楽しみです。音楽な映画はいいですよねー。

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