かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ナイロビの蜂』
2006年 06月 04日 |
この世界の問題として、一個の人間の心の物語として、両面的に素晴らしい。
ケニアロケを敢行して、リアルなアフリカをとらえた映画関係者たちに拍手。

ナイロビに勤務する英国外務省一等書記官ジャスティンの妻テッサが殺された・・・。



殺人事件の原因究明に始まり、まずはそのサスペンスに惹きつけられる。一体彼女に何が起こったのかという謎解きの中、アフリカを食い物にする先進国企業の問題が浮き彫りになり、それを通してジャスティンとテッサの物語が再構築されるという、重層的で見ごたえのあるドラマ。謎に引っ張られながらもそれは大きなウェイトは占めず、社会派視点でとらえられたアフリカの問題がテッサの心意気と共にずっしりと心に響く。政治スリラーとして黒幕が明らかになることそのものにストーリーテリングのおもしろみを感じるというのではなく、ラブストーリーとサスペンスに彩られながら先進国の大企業に搾取されるアフリカの現実問題が描かれる合わせ技が秀逸。そして、そこにあるラブストーリー・・・というよりも、ジャスティンのテッサを訊ねる心の旅がせつなく沁みて余韻を残す。

フェルナンド・メイレレス監督と撮影監督セザール・シャローンの鮮烈で躍動感あふれる映像に釘付け。時には力強く、時には夢の中のワンシーンのように幻想的。そんな演出が大好きだ。アフリカの自然はなんて美しいのだろうとため息。そして、『シティ・オブ・ゴッド』でブラジルのエネルギッシュな少年たちをリアルに映しだしたように、アフリカのスラムの子ども達の笑顔が画面に弾けている。TVのドキュメンタリーでもなかなか目にすることはないスラムのキベラ(Kibera)の喧騒は圧巻。そこにある貧困の問題にはやるせなくなってしまうけれど、アフリカのリアルにこだわったメイレレスの熱い思いがスクリーンから伝わってくるから、元気に戯れる子ども達の姿が嬉しくなってしまう。エキストラを募集して演技をさせてわけではない、そこで暮すありのままの子ども達に、テッサとして明るく話しかけるレイチェル・ワイズがとてもまぶしい。

ケニアには一度野生の動物を見るために行った。国立公園めぐりの日程の中、ナイロビに宿泊した日には、治安が悪いから町にはでかけないようにと言われた。どうしても行きたい場合は、財布は持たずに汚い恰好でグループで行動してくださいと言われた。そうして私は、国立公園内のロッジのスタッフ以外は現地で暮す人々と話すことさえなかった。私のすばらしいケニアの思い出は結局観光地の野性の王国に過ぎなかった。世界に関心があるといったって、私の中にあるのはやっぱりただの観光レベルのもの。そんな私には到底できないことを押し進める、我が身を犠牲にして闘うテッサ・クエイルという女性をとてもステキだと思った。自分だけが甘い汁を吸えればいいという価値観が蔓延る社会を横目に、スラムの女性たちと同じところで出産するという潔さに感嘆。

私は私の視点でテッサという女性の行動に尊敬の眼差しを向けるのと同時に、私はジャスティンの目線でテッサに恋をする。正義感にあふれた活動的な彼女なのに、奔放でいたずらっぽく小悪魔的だから不安にさせられる。バスルームのテッサの表情をとらえる手持ちカメラの揺れに合わせて、テッサの魅力に酔いしれてしまうのだ。そして、私はテッサに心寄り添って、穏やかなで誠実なジャスティンがそこにいてくれることに幸福感を覚える。「あなたといると安心する」という言葉がすべてなんだと思う。こんな私を受け止めて見守ってくれる優しい貴方の存在がたまらなく嬉しい。そこにはかけがえのない繋がりが芽生えていたのだと思う。典型的な夫婦の愛の物語とはまるで違うし、これは宣伝のイメージにふさわしいラブストーリーでもないけど、私は彼らの互いの思いに共鳴した。恋い焦がれる気持ちに何度も共感した。

貧困に苦しむアフリカ現状とそれを食い物にする国の権力者と企業の問題を突きつけてくれたことがまず見どころであった。だからといって、夫婦の物語は別枠の二次的なものだというのでもなく、妻テッサが執心した社会問題とリンクしているからこそ、2人の物語も同時に心に響いてくるのだった。庭で丁寧に植物を育てる穏やか英国人が、庭師の手入れの行き届かない大地の女を知っていく旅は、先進国の私たちが秩序で整った世界の外側を目の当たりにするような感慨をもたらす。美しい箱庭で生きていた男が、庭の外に繰り出して大地を踏みしめる。アフリカの貧しい子ども達を抱きしめるテッサへの思いをジャスティンが抱きしめる。多くの旅にはゴールはないけれど、ジャスティンの旅はテッサという目的地に辿り着いたのだ。美しきトゥルカナ湖。ジャスティンの旅は終わりを迎えたけれど、この世界の住人の私たちの旅はまだ続くはずだし、この地球は回り続けるということに思いを馳せて・・・。

『ナイロビの蜂』 アフリカの現状/FLIXムービーサイト
「ナイロビの蜂」遍在する妻/ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記
【写真の真相】映画「ナイロビの蜂」
映画「ナイロビの蜂」 2つの世界の裂け目/P-navi info
『ナイロビの蜂』/Arisanのノート


ナイロビの蜂 公式サイト
The Constant Gardener 2005 イギリス
監督 フェルナンド・メイレレス
脚本 ジェフリー・ケイン  原作 ジョン・ル・カレ
撮影監督 セザール・シャローン
出演:レイフ・ファインズ レイチェル・ワイズ ダニー・ヒューストン

レイチェル・ワイズ、男の子出産おめでとうー。
ダーレン・アロノフスキーの「The Fountain」も楽しみだー
.
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by CaeRu_noix | 2006-06-04 21:21 | CINEMAレヴュー | Trackback(19) | Comments(22)
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Tracked from Chocolate縲log at 2006-06-05 12:59
タイトル : ナイロビの蜂
「ナイロビの蜂」予想以上に素晴らしい出来に感激です。 原題は「The Constant Gardener」"誠実な庭師"とかそんな意味。 「シティ・オブ・ゴッド」を見てとても衝撃を受け、 フェルナンド・メイレレスの作品をもっと見てみたい~って 思っていたので念願叶ったり! ..... more
Tracked from Saturday In .. at 2006-06-05 15:38
タイトル : ナイロビの蜂
 イギリス  サスペンス&ドラマ  監督:フェルナンド・メイレレス  出演:レイフ・ファインズ      レイチェル・ワイズ      ビル・ナイ      ユベール・クンデ 英国外務省一等書記官ジャスティンはアフリカで精力的に救援活動を続ける妻テ ッサの...... more
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Tracked from シネマでキッチュ at 2006-06-06 16:24
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映画『ナイロビの蜂』を観た。 ジョン・ル・カレの原作を『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレス監督が映画化。ケニア現地ロケを中心に、ナイロビの雄大な自然を背景に映し出す。 テッサを演じたレイチェル・ワイズが2006年アカデミー賞 助演女優賞を受賞したことでも話題の作品。レイフ・ファインズが少々弱々しい感じだったが、次第に力強く権力に立ち向かっていく。郷愁を誘うようなアルベルト・イグレシアスの音楽が印象的だ。 公式サイト... more
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Tracked from 引き出しの中身 at 2006-06-25 08:13
タイトル : THE CONSTANT GARDENER
ナイロビの蜂 監督:フェルナンド・メイレレス 出演:レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ユベール・クンデ、ダニー・ヒューストン、ビル・ナイ、ピート・ポスルスウェイト 2005年 イギリス 意味が分からない行動。 意図不明な言動。 些細なようで、棘のある諍い。 誰よりも近くにいて、 何故か苛立ちが募る。 しかし、全てが終わった後、 守られていたのは、私だったのだ、見えて来る。 静かな微笑みと共に。 中庸、無難な理屈であまり動きを起こさない男と 信念のままにリ...... more
Tracked from 狐の穴にて at 2006-07-06 20:34
タイトル : 『ナイロビの蜂』
これはまぎれもないラヴストーリィ。同時に、骨太なサスペンスでもあった。 ... more
Tracked from 39笘・MASH at 2006-09-18 00:46
タイトル : ナイロビの蜂
『ナイロビの蜂』 あらすじ 『情熱的な妻・テッサと外交官の夫・ジャスティンは、ジャスティンの駐在先であるナイロビで暮らしていた。そんなある日、テッサが何者かによって殺害されてしまう。警察はよくある殺人事件として処理しようとするものの、疑念に駆ら...... more
Tracked from 銀の森のゴブリン at 2006-12-22 21:34
タイトル : ナイロビの蜂
2005年 イギリス 2006年5月 128分 原題:The Constant ... more
Tracked from Have a movie.. at 2007-02-23 00:08
タイトル : ナイロビの蜂
晴れ渡る空を映してなお深い湖の藍。朱い大地。羽ばたくいくつもの白い双翼。このシーンを観ただけで、劇場で観なかったことを後悔しました。冒頭のこのシーンがどんなに重要な存在になるのかをラストで思い知らされる事になろうとは。何故もっと早く観なかったんだろ...... more
Tracked from さくらの映画スイッチ at 2007-04-06 22:09
タイトル : ナイロビの蜂
この国の人間の命は安い 原題: THE CONSTANT GARDENER 上映時間 128 分 製作国 イギリス 初公... more
Tracked from 映画、言いたい放題! at 2007-04-24 01:21
タイトル : ナイロビの蜂
話題になった作品。 DVDで鑑賞。 ガーデニングが趣味の英国外務省一等書記官のジャスティンは、 赴任先のアフリカのナイロビで妻のテッサと暮していた。 現地の救援活動に熱心なテッサは ある日、黒人医師アーノルドと共にロキへ向かうのだが トゥルカナ湖の南端で無残な... more
Commented by Chocolate at 2006-06-05 13:09 x
かえるさん

こんにちわっ。

この映画素晴らしかったですねー。
そんなに大きな期待はしてなかくて
普通に面白い映画だったらいいなーぐらいの感じだったんですが、
予想以上の素晴らしい出来栄えで映画見た後に
もっと色々気になり原作も買いました。

かえるさんはジャスティンの目線でテッサを見ていたんですね。
私は普段は女性に感情移入するようなことはほとんどないんですが、
テッサの生き様や行動、そしてジャスティンへの愛、
私も性格が激しい一面があるのでテッサになったつもりで?と
言ったらオーバーだけど(笑)そういう気持ちでずーっと見てました。

貧困に苦しむアフリカの現状、それを企業や有力者達が食い物にしてるのは
本当に許せない現状ですよね。
劇中「莫大な利益を得る為に貧しい人々が踏み台になってる」
のようなセリフがあったけどこんなののはあるまじき行為。

色々なことを考えさせられる作品でした。
Commented by Chocolate at 2006-06-05 13:10 x
すいません、文字数が多すぎるとのことで
2回に分けて投稿させてもらいます。^_^;

かえるさんは色々なところを旅してらっしゃるんですねー。
私はアフリカはまだ一度も行ったことがないんですが、
どこの国に行っても中々その国の奥深いところに入っていくことが出来ずに
結局自分は観光客なんだよな~って思うことが多いです。
Commented by めかぶ at 2006-06-05 18:33 x
「ロシアン・ドールズ」を観るまではこれが今年のベストの候補だったかも。(短っ!)
この映画は社会問題の映画と見る人と、夫婦の愛の映画と見る人とで感じ方が分かれるみたいです。
私は思いっきり夫婦愛を感じてしまった方です。そんじょそこいらにいる普通の夫婦と訳が違って"生まれたっての革命家"のような妻と"誠実な庭師"である夫の間にある見えない壁と絆がありました。
壁がなかったらもっと妻の世界に踏み込んでこんな悲劇にあう事はなかったかもしれない歯がゆさがありながら、でも私は踏み込まない、踏み込ませない何かがこの夫婦ならではの愛だと思いました。
だからジャスティンが妻の家の荒れた庭を激情に駆られて掃除しだしたあの瞬間、妻の死の真相を追うことを決意したあの瞬間に感じた二人の間にある深い愛と絆に胸が詰まってたまりませんでした。

ここまでラブストーリーを感じさせながら社会問題を浮き彫りにするようなメイレレスの映像はやっぱり強烈な力がありましたよね。
Commented by 武田 at 2006-06-05 19:44 x
かえるさま、こんばんは。
TB&コメントをいただきまして、ありがとうございました。嬉しかったです。早速お邪魔させていただきましたら、なんてインテリジェンス香るブログ!ミーハー丸出しの私の記事をTBさせていただいて果たしてよかったのだろうか・・とちょっとハラハラしております。
それにしましても、この映画は素晴らしかったですね♪私、大好きです。私も、観ながら何度も彼等二人の想いに共鳴していました。今、原作を読んでいるのですが、改めて監督の手腕に感じ入ってしまったり。
>庭師の手入れの行き届かない大地の女を知っていく旅は、先進国の私たちが秩序で整った世界の外側を目の当たりにするような感慨をもたらす。
ここを拝読し、またしても感動が甦りました。大地の女のテッサ、レイチェル・ワイズは見事に生きていましたね~。私は、彼女の作品は「スカートの翼広げて」しか知らなかったのですが、今後がますます楽しみな女優さんですね。
かえるさまの他の映画のレヴューもこれから、じっくり読ませていただきますね。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-06 09:43
Chocolate さん♪
すばらしかったですよね!
世間的には賛否両論みたいなので嬉しいです。私は、英国インディペンデント映画賞を受賞した時から期待してたんです。この監督の演出が好きなので、バッチリはまりました。
私も原作を読みたいです。原作はもっとサスペンス色が強く、イギリスがきちんと描かれているらしいですね。片や、メイレレスはアフリカのリアルをイキイキと映し出すことに重点をおいたのですよね。それが魅力でした。小説自体も事実を題材にして書かれているようなので読む価値がありそう。

Chocolateさんは情熱的なのね♪
ジャスティン視線でテッサに心奪われたのと同時に、私もテッサに共感しましたー。権力者の横暴が赦せないと思ってしまう正義感のようなものには強く共鳴。世のため人のために尽くしたテッサとは次元がまるで違うながら、私も自分の立場が悪くなることを気にせず上の人にも言いたいことを言ってしまうタイプだしー。ジャスティンのような男性にはああいうふうに振る舞ってしまう女心もわかるし。(彼を利用しているという声もあるようだけど)やっぱり主人公に共感し、同化することが映画を楽しむポイントですね。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-06 09:45
弱者が犠牲になるこの世界のシステムのことを考えるとやるせないですよね。百歩譲って、一部の人の利益のために一部の人が貧しさを被るという世の仕組みは、ある程度仕方ないのかもしれないけど、企業の利益のために生きている人間の健康や時には命が奪われているというのはどうかしていますよね。『シリアナ』の描かれていた石油のこともそうだし、武器にしても、麻薬にしても・・・。武器、麻薬は表だっていないから、また難しいとして、表向きは人の命を救ったり、健康を守ったりするためにある製薬会社が人間の命を蔑ろにするなんてやっぱり赦せーん。
そんな問題に斬り込む映画をつくってくれたことを評価したいですよね。

海外旅行はわりと秘境系に惹かれます。長い休みはそうはとれないけど一度9月の連休を利用してケニアに行くことができましたのです。海系リゾートとはまた違う最高の解放感がありましたよー。興味があるならオススメ!
そうですよねぇ。私もいろいろな国へ行ったけれど、英語ができるわけでもなく、ただの観光客に過ぎないという寂しさを感じることがほとんどです。しばしばロスト・イン・トランスレーション気分。でも、何かを求めて、出かけてしまうのよねー。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-06 11:04
めかぶ さん♪
私の場合はどっちってことでもなく合わせ技でやられました。こういう仕事に関わっている人が主人公じゃなかったらそんなには沁みなかったかもしれないけど、この状況における2人の愛の物語にはどっぷり。
ジャスティンが彼女に疑念を持ちながらも、真実の追求に踏み切ってくれたのにはグッときましたよね。こんな夫婦の関係はどーなの?っていう感想もあったみたいだけど、めかぶさんはこの愛のカタチを受け止めてくれたのですね。私もこれがこの2人の愛と絆だと思いました。「仕事を家庭に持ち込まない」という感じで、日本の伝統的な夫婦とは逆だから違和感がもたれるのかもしれないけど、秘密にせざるを得ない事情があったのですものね。内助の功にはほど遠く、むしろ夫の仕事を利用しちゃっているわけだけど、夫に迷惑をかけ過ぎない程度に、アフリカの人たちの救う任務にまっしぐらな彼女を非難することなど私にはできない。そのために夫婦ともども死んじゃったら元も子もないっていう部分に後味の悪さを感じるっていうのもわかるけど、それでもなお死を覚悟してまでの強い思いに感動してしまうー。そんな彼らの崇高な魂がアフリカに存在したことがステキじゃないですかっ
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-06 12:34
武田 さん♪
お越しいただきありがとうございます。
インテリジェンスの香りはたぶん気のせいですが、真摯につくられた映画のレヴューは真っ当に書きたいと思って取り組んでいますー。インテリな記事リンクをしてそれっぽさを高めます。w 私は社会派視点の作品にはそのテーマに感慨を受けてしまうのですが、映画の楽しみどころは人それぞれですよね。共感ポイントのあるレヴューのトラックバックをいただくのはとりわけ嬉しいです。そんなにミーハーな記事ではなかったかと。
彼ら2人のその熱い思い、或いはせつない思いに、何度も共鳴せずにはいられなかったですよね。
おお、原作を読まれているのですね。たぶん原作の方はそんなにスラムの描写なんかはないんですよね。ブラジル出身の監督ならではのアフリカへのこだわりがポイント?小説には小説の面白さがあると思いますが、映画でしか体感できないものを表現してくれるのは大好きです。ブラボーなケニアロケでした。
レイチェル・ワイズはうまい女優だと思ってはいましたが、これほどに鮮烈な印象を与えてくれたことは今までなかったです。ヌードをさらしてくれたことも含めて、オスカー受賞も納得です。これからも活躍してほしいですね。
Commented by betty at 2006-06-06 16:42 x
かえるさん
TB&コメントありがとうございました。
真摯な映画の製作姿勢にも負けない、かえるさんの心がこもった文章にも感動しましたよ~。
いいもの読ませていただきました。ありがとうございます。

かえるさんはケニアに行かれたことがあるんですね。あの状況のなかであそこで出産したテッサってすごいですよね~。
白人用の病院もケニアの街中にはありますよね?

世界の難問が山積み、なにができるか真剣に考えてみたいという気持ちに突き動かされてしまう映画でした~。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-07 23:59
betty さん♪
ややっ、とんでもないですー。どうもありがとうございますー。
『ホテル・ルワンダ』のような物語にはほとんどの人が心を動かされるのに、こういうスタイルになると、その部分感動するよりも、主人公に共感できないという声が多くなるのがちょっと寂しいような気もしたので、感動した私は心をこめてみた次第。
サバンナに動物を観に行っただけの私は、ケニアにこんなふうなスラムがあることを初めて知りました。ここに通い詰めて、現地の人たちと同じところで出産をしようというテッサは本当にすごいです。これまた、自分自身や新しい命や夫の気持ちを考えていないと、批判されかねない選択なんですが、私は賞賛の意味ですごいと思います。もちろん、ナイロビには地位やお金のある人用の設備のちゃんとした病院もあるでしょうね。
世界の問題は、たぶん私がニュース等で知っているのはほんの一握りに過ぎないと思うのですが、それだけでも胃痛がしそうなくらい山積みですよね。自分の無力さを感じながらも、こういう映画がつくられると気持ちは突き動かされますよねー。
Commented by 隣の評論家 at 2006-06-08 21:19 x
かえるさん、こんにちわ。TB&コメントありがとうございます。
>私はジャスティンの目線でテッサに恋をする。
おお、コレはまた素敵な表現ですねぇ。私は、ラストの湖の映像にうなりました。あんな美しい場所があるんですねぇ。
かえるさんは、ケニアに行った事があるのですねぇ。すごーい、私はありありません。行ってみたいという気持ちはあるものの、多分都合がつかずに終わりそうですが、かえるさんのケニア話を是非聞いてみたい。
Commented by KUMA0504 at 2006-06-08 22:56 x
すみません。『再出発日記』ですが、関係ない記事を一つTBしてしまいました。削除しておいてくださいな。
ラストに自殺みたいにジャスティンが死ぬのは納得いかない、という意見をあちこちで見るのですが、私は違う意見で、「自分だけが甘い汁を吸えればいいという価値観が蔓延る社会を横目に、スラムの女性たちと同じところで出産するという潔さに感嘆。」という価値観をもっているテッサにあの湖で、ジャスティンは初めて寄り添うことが出来たのだと思う。だからこそ弾倉も捨てたのだと思う。いろんな立場の人から警告を受けていたから、もう殺されるのは覚悟の上だったでしょう。だったらもっとも効果的な死に方を選んだのだと思う。最初のころは『アフリカ』と『西側』の生活の映像が交互に映るけど、ジャスティンの目覚めとともにアフリカの現実だけが映像に写って来て、ラストに至って『社会性』と『恋愛』が完全に融合した素晴らしいラストだったと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-09 00:24
隣の評論家さん♪
アフリカの自然描写はどれも印象的でしたが、トゥルカナ湖の美しさは格別でしたよねー。トゥルカナ湖ではなかったけど、私もケニアでフラミンゴがいる湖に行ったのですよ。サバンナの中の湖というのも不思議な感じでした。ケニアは遠いからそうそうは行けませんよねー。よほどの自然好きや動物好きでもない限りは、リゾートや欧米に行くことが好まれていますしね。私はガラパゴスとかにも行ってみたいっす。ケニアの思い出話はぜひ聴いてもらいたいですともー。
Commented by dk at 2006-06-09 06:40 x
はじめまして!コメントとTBありがとうございます☆

>この世界の問題として、一個の人間の心の物語として、両面的に素晴らしい
同感です。両方の物語がうまく絡んでいて、素晴らしいです。

>ケニアには一度野生の動物を見るために行った。
それはそれは。
風景はこの映画でもほんとに素晴らしかったですね。
でも、日本とは違う事情があるんですね。

>この世界の住人の私たちの旅はまだ続くはずだし、この地球は回り続けるということに思いを馳せて・・・。
二人とも個人の気持ちを超えて、その部分に執着した物語でした。
ほんとうに素晴らしい映画。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-09 12:19
KUMA0504 さん♪
そうなんですよねー。あのラストの湖でついにジャスティンはテッサにたどり着いたのですよね。疑念を拭い去り、彼女の熱い思いとテッサという人間、その生き方を理解し共鳴し、あふれる愛情を感じ。それまでの自分を悔いる気持ち、テッサの意志を継ぎたいという気持ち・・・。絶望感もあったとも思うし、自己犠牲をいとわずに何かできることをしたいとも感じたのだろうし。もちろん、自殺のようなカタチをとってしまうことは理性的には最良の選択とはいえないし、生き続けて運動をするというという道もあったかもしれません。でも、テッサを失った悲しみの中、ジャスティンがそんな覚悟をしたことを否定しようとは思いません。彼の心情にせつなくなるばかりだったし、喪失感もありますが、その覚悟に打たれもしました。無念さが残るほどに社会問題としての輪郭も色濃くなっていくわけだし。テッサに寄り添うことのできたジャスティンの目覚めが物語の肝でしたよね。社会性と恋愛というテーマの交差のしかたが絶妙でした。全く同感の素晴らしいラストでしたよね。
Commented by orange at 2006-06-10 01:56 x
こんばんわ☆かえるさん
コメント&TBありがとうございました~!
この作品は、今年観た中でも心に残る凄い作品でした。
かえるさんのレビュー素晴らしいですね!読んでて思わずウットリしてしまいました。
ただ単なるラブストーリーでは無くて、国と国の間に横たわる貧困という社会問題を浮き彫りにしつつも、そこに関わった夫婦の愛の物語が実に見事に織り成されていて、バランスが見事でした。
人を愛する事。そしてどこの大地にもそういう人がいるという事を信じてみたくなる。こんな作品、滅多に無いな。と今でも思いを馳せてしまいます。
アフリカに行かれたのですね。実は僕もいつか一度は行ってみたい土地です。そこに生きる人と触れ合う機会があれば、いつか書いてみたいものですね♪
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-10 09:47
dk さん♪
こちらこそありがとうございまーす。
共感していただき嬉しいです。
社会派+ラブストーリーというのが、どっちつかずで中途半端に感じたという人もいたようですが、私としてはその融合のされ方が秀逸と感じました。絡み方が素晴らしかったですよねー。ケニアのサバンナの映像は『マサイ』という映画でも観る機会があったのですが、それとは異なるタッチの乾いた大地が魅力的でした。そして、スクリーンで観るのはおそらく初めてのアフリカ大陸におけるスラブにとにかくハッとさせられました。
(1人の奔放な女に捕まってしまったために、平穏な人生が狂わされてしまった男の物語なんていう見方をしてしまったら、プラス評価はしにくいのでしょうけど。)この地球全体を眺めて、こういう魂が気高く散っていったというのに感慨を受けるのですよねー。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-11 10:58
orange さん♪
ウットリ、ありがとうございます。
せつないけれどウットリするほどの陶酔感のあった作品でしたものね。
バランスがよかったですよね。テーマの入り組み方がお見事。
国際問題の社会派ストーリーの中に男女のドラマがあるという点で、『ザ・インタープリター』に似たジャンル作品という印象を受けました。でも、インタープリターは主な舞台はアメリカの方であったし、主人公の2人の関係も恋愛未満だったんですよね。で、こちらの方は、情熱と不信感が渦巻く夫婦の姿がアフリカを舞台に物語られており、映画的な魅力が格段に大きかったのでした。ジャスティンが亡き妻の真実を探るというストーリーに合わせて、アフリカの問題、製薬会社の問題が浮き彫りになっていく手法は本当にナイスだと思いました。
人を愛するというのには実にいろんなカタチがあると思うのですが、僕を大切にしてくれる貴方だから愛するという要素ばかりでなく、僕に秘密をもつことがあっても大志をもって博愛に満ちた貴方だから愛するというのもアリですよね。
ポレポレ、ハクナマタタのアフリカはのんびりしたステキさもありますよ。
Commented by いわい at 2006-07-06 20:34 x
かえるさん、こんばんは。
熱いレビューに、わたしも感動を新たにしました。
わたしは、ひたすらジャスティンに感情移入して、一緒にテッサへの愛をめぐる旅をしてしまいました。
観た後で、賛否両論という話を聞き、どうして?と思ってました。

最初にケニアに行った1992年の時には、ナイロビの街を歩きました。路地に行くのは危険だとホテルの人に言われつつ。大きな黒人の人たちに混じって小さい東洋人が歩くのは、目立つし緊張する体験でもありました。どんどん、治安が悪化しているようなのが悲しいです。
この映画で、レイチェル・ワイズが、スラムの人々の中に溶け込んでいる姿は本当に感動的でした。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-07 15:17
いわい さん♪
じゃんぼ!ジャスティンにひたすら感情移入というのは最も理想的鑑賞の仕方かもしれませんね。これはやっぱりジャスティンの心の旅物語だと思うから。この映画がよくなかったという人は、身勝手なテッサに共感できないっていうのと、サスペンス、ラブストーリー、社会派ものと混成だったために中途半端で主題が伝わらないっていう感想が多かったようですー。アカデミー賞絡みだったからか拡大上映系だったため、ひょっとして本来こういうタイプの映画を見ない人たちも多かったのかも? 
いわいさんはナイロビの街を歩かれたのですね。私も行ってみたかったですー。私のケニア訪問は95、6年だったかな。人類皆兄弟といったって、やっぱり肌の色の違いって、ビジュアル的には強いものがありますよね。エジプトに行った時にわずかな距離を歩いて移動しただけでドキドキしたことを思うと想像に難くないです。
レイチェル・ワイズとスラムの子ども達の挨拶は仕込んだ演技というわけではなく、本物だったんですよね。本当にステキなシーンでした。
Commented by fizz♪ at 2007-02-23 00:22 x
かえるさん、こんにちは♪
春色に衣替えですね~ いい色ですね!
今夜は、私もやっと観たのでお邪魔しました。
最初テッサがジャスティンをアフリカ行きに利用しているのかと一瞬邪推してしまった早とちりな私でしたが、観ていくうちに納得でした。
テッサが何故ジャスティンの様な人に惹かれたのか、解る気にもなりました。
アフリカロケは素晴らしい映像でしたね。
子供達の生き生きした目も忘れられません。
TBさせて頂きました。
Commented by CaeRu_noix at 2007-02-23 12:07
fizz さん♪
さくらんぼちゃんに模様替えをしてみたんですが、微妙に気に入らずやっぱりやめました。
はいはい。ジャスティンを利用しているように見えるテッサに共感できないという声も多く、賛否両論でした。いや、実際、一挙両得的に彼の職業をアフリカ行きに利用した部分もあるとは思うんですよ。でも、テッサがジャスティンを愛し、必要としていた気持ちは本物だと思います。
今年に入ってから、私は原作小説の方も読んだのですが、サスペンス色の強い小説より、映画の方が断然好きだなーと思ったのでした。子どもたちの笑顔も印象的でしたよね。
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