かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ダック・シーズン』
2006年 06月 07日 |
すっとぼけたまったり感が愛おしい。
メキシコのジャームッシュなお気に入りテイスト。

停電が起こったとある日曜日、部屋で留守番をする14歳のフラマと遊びに来ていた親友のモコ、そこに同じアパートに住むリタ、ピザ宅配人のウリセスが加わって・・・。



こういうタッチの映画は大好き。
MTV出身のこの監督はジム・ジャームッシュを敬愛しているらしい。淡々としたモノクロ映像で綴られる日常のオフビート感は確かに以前のジャームッシュ映画のような味わいがある。ドラマチックには遠く、いくつものさざ波が起こる一室の数時間。みっちりとこの4人の時間につき合っているうちに彼らに愛着を覚えて、そこに起こるささやかな出来事と感情の揺れに終始ほほえんでしまうのだ。
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ジャームッシュ的だといえるのは、モノクロでオフビートだからというだけでなく、それほどにセンスを感じさせてくれるから。ミュージック・ビデオを手がけてきた監督だけあって映像も音楽も絶妙。オープンニングに流れる「OPato(ガチョウのサンバ)」(ジョアン・ジルベルト)のスペイン語カバー曲を聴いた瞬間から愉快な気分。風変わりなまったり感を彩るポップな音楽が終始心地よくて欠かせない映画の魅力になっている。

とにかくいわゆるメインストーリーがどうのではなくコネタの一つ一つにディテールにグッときてしまうタイプの作品。TVゲームの対戦するキャラがビンラディンとブッシュなのが笑えたり、4人が並んでソファーに腰掛けるショットが最高に画になっていたり。小道具たちも印象的でセンスが光る。コーラをグラスに注ぐシーンなんかも好きだな。ちゃんと泡を静止できますようにと見入ってしまった。ブラウニーづくりのシーンも中身の色を当てられるまでかじり続けるお菓子占いも最高。

ぼけーっと退屈顔をしていた彼らがおのおのの感情を吐露していく様がおかしくもほほえましい。リタは図々しいヤツだけど誕生日の孤独事情を知ってしまったら突き放せないものだよね。無感動な少年のように見えて、心の内には皆それぞれの心配事を抱えているものなんだよね。そして、いい大人のウリセスが10代の彼らを相手に日頃の鬱憤を吐き出してしまう姿もおかしいやらせつないやら。人間は滑稽だけど愛おしいよなぁ。重要なカモの絵画もすこぶる映画的に使われていて嬉しくなってしまった。羽ばたけ、アヒルー。

『ブロークン・フラワーズ』があまりツボにハマらなかった分、こちらで満足。

ダック・シーズン 公式サイト
Temporada De Patos 2004 メキシコ
監督.脚本 フェルナンド・エインビッケ
撮影 アレクシス・サベ 音楽 アレハンドロ・ロッソ
出演 エンリケ・アレオーラ、ダニエル・ミランダ、ディエゴ・カターニョ
(渋谷シアターイメージフォーラム)
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by CaeRu_noix | 2006-06-07 02:01 | CINEMAレヴュー | Trackback(9) | Comments(10)
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Tracked from セルロイドの英雄 at 2006-06-08 21:13
タイトル : 【映画】ダック・シーズン
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TEMPORADA DE PATOS DUCK SEASON (2004年メキシコ) 2006/5/29@イメフォ 日曜日。14歳の午後。ゲーム。宅配ピザ。 コカコーラ。ポテチ。女の子。キス。 はっぱ入りのブラウニー。 水道管からもれる水。停電。…アヒル? 主に部屋の中だけでしか展開しない話、 モノクロ映画。 1日の一定時間だけを切り取ったお話なのは 『エイプリルの七面鳥』ぽくて好き! (人んちのオーブン借りるとこも偶然にも一致) なんともないある一日の様子なんだ...... more
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Commented by 哀生龍 at 2006-06-08 06:46 x
>コネタの一つ一つにディテールにグッときてしまうタイプの作品
くすっと笑える可愛くて味のあるエピソードたち。
他人には大した事じゃなくても、自分にとっては重要な問題。
そして、今まさにV字編隊を組んで飛んで行こうとするアヒルの先祖!
哀生龍も彼らの中に混じって、うだうだと日曜を過ごしてみたくなりました(笑)
Commented by Ken at 2006-06-08 21:41 x
かえるさん、こちらにもどうも!
いやー、僕もこの作品は大変気に入りましたよ。
ちょっとおセンチになってしまったジャームッシュよりも、確かにこちらのほうが随分らしかったですよね(シーンが切り替わるときの雰囲気なんかまんまジャームッシュ!)。
この作品は当初まったくのノーマークだったのですが、『ドッグ・デイズ』で予告編を観て気になり、「ちょっと観てみようかな」くらいの気持ちで観賞にのぞみました。
まったくもって今年いちばんの拾い物!
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-09 00:09
哀生龍 さん♪
愛おしいエピソードだらけでしたよねー。
ドライな少年たちかと思いきや、ネタによってはすごくデリケートな反応を示したりして、なんだかおかしかったです。
ウィスキーに同じく、ユーモアとペイソスは紙一重ー。
アヒルの飛ぶ瞬間はウルっときてしまいました。
私も彼らと一緒にこんな日曜日を過ごしてみたいかもー。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-09 09:52
Ken さん♪
気に入られたようで嬉しいでっす。
ホントに拾い物でしたよねっ。
メキシコにジャームッシュな映画があるなんて思いもよらず。
中南米の映画は見逃さない私なんですが、ゆるくて退屈な映画である覚悟もいくらかはしていたので、こんなににも手ごたえがあってよかったです。
『ドッグ・デイズ』な世界も人間のリアルの一側面であり、こちらの日常も紙一重であるような気がして、感慨深かったですー。
こういう映画はもれなく観たーい。
Commented by umikarahajimaru at 2006-06-17 15:49 x
こんにちは。
『ダック・シーズン』の東京上映最終日までには間に合いませんでしたが、メキシコ映画特集やりました。ふ~っ。
何か目新しい情報はありますでしょうか。
Commented by CaeRu_noix at 2006-06-18 21:59
umikarahajimaru さん♪
お疲れさまでしたっ。きっときっと耳寄りな情報があるでしょう。
毎度ありがとうございます。ラテンものは基本的に注目しているんですが、メキシコ映画というのもとりわけ目が離せませんね。かえる・べるなる・かるしあ だし。
『カクタス・ジャック』はチェックしていましたよー。
Commented by いわい at 2006-07-06 20:44 x
キュートな映画でしたよね。
オープニングの曲から、ウキウキでした。
なるほど、これがジャームッシュ的なのですね。
初期のジャームッシュは、TVで観てノレなかった記憶があり、苦手かもと思っていたのです。

Commented by CaeRu_noix at 2006-07-07 15:41
いわい さん♪
キュートでラブリーでしたっ。
音楽も映像も小ネタもよかった。
アヒルやガチョウは大好きなので、タイトルからして期待大だったので、オープニングからもうワクワクでした。
ジャームッシュの考察はそんなにできませんが、モノクロのザンパラやダウン・バイ・ローの空気感はとにかく好きなので、それに通じるものを感じましたっ
Commented by とらねこ at 2006-08-30 06:55 x
観てきました~、あひるさんを!!かえるさん!!
今回もめちゃツボでした~。観たかったんですが、いつのまにか終わっていて。ぃやー、観れて良かったですヨ★
うーん、この作品も今年のベスト5には入れたいッ!
かえるさんと一緒に、メキシコ祭りじゃぁ~!!!
Commented by CaeRu_noix at 2006-08-30 23:54
とらねこ さん♪
あひるさんの飛翔をスクリーンで観られて何よりですー。
私もとても気に入っている作品ですー。
とらねこベストでは、メキシコ映画が大健闘ですな。
これまで観たメキシコ映画って、わりとシリアスなものばかりだった印象なんだけど、こんなオトボケものもあったんですよねー。
メキシコ祭りだー。
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