かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『インサイド・マン』
2006年 07月 05日 |
おもしろかった。お見事ー。
スパイク・リーが初めてメジャー資本で撮ったエンタメなクライム・サスペンス。
ウディ・アレンはロンドンに行っちゃったから、NYはスパイク・リーにまかせた!



人種のるつぼニューヨークならではの犯罪プラン。お得意さんばかりの日本の田舎の信用金庫ではできません。オープニングの音楽がイメージづくるエスニックな混沌がたまらなく魅力。冒頭で印象的に登場するクライブ・オーウェン扮する強盗グループのリーダー、ダルトン・ラッセルに導かれ、その完全犯罪がどのように成し遂げられるのかをワクワクしながら見物。自分の身に一番起こりうるのは、銀行の客として巻き込まれて拘束されることであるはずなのに、彼らに同情することも忘れて、この強盗プランの成功を応援してしまっている。手に汗握りつつも爽快。

そこは不自然と感じる余地のない素晴らしいプラン。お見事な脚本。ジャンプスーツ&覆面おそろい大作戦っていうのは最高。皆が皆の顔かたちをきちんと記憶して判別することは不可能だもんね。人は一度で正確にすべてをインプットはできないけれど、特徴をとらえてしまうもの。肌の色や体型で示すしかないのだよね。(それは「巨乳」というんでいいんじゃないかと思うのだけど、戸田なっち的には)「デカパイ」だとかー。

そして、犯人の出身国を読み誤らせるスピーチ作戦も実におもしろい。その言語を特定するべくスピーカーで流すフレイジャーの機転もさすがだけど、犯人はすべてを想定しているからニヤリ。確かに私もアルバニアとアルメニアは混同するなぁ。『クラッシュ』のアラブ人と一括りにされること憂うペルシャ人が印象的だったけど、ここではシーク教徒がアラブと言われて憤怒する。街のポリスマンだって何もわかっちゃいないし、つい差別的な言葉を使っているのが笑える。

正義の熱血漢じゃないデンゼル・ワシントンのキャラも人間くさくてとてもいいし、同様にいつも正義の善玉なジョディ・フォスターが計算高い高飛車女なのが楽しい。金がものをいうこの社会。天下の警察や弁護士もこんな裏取引をやっているんだぜぇっていうことが日常のごとくサラッと描かれるのが痛快。表向きには警察や弁護士は正義であり、銀行強盗は紛れもない悪の犯罪者なのだけど、そこに蔓延る汚い取引を見せられて、よりいっそう私たちは犯人たちに肩入れしてしまうのだ。

ダルトン・ラッセルが子どものやっているゲームの設定の残虐さを問題視し、彼女のことを話すフレイジャーに「愛はお金で買えない」という。そんなキャラクターにしびれてしまう。卑怯なやり方で私腹を肥やして成り上がった大物を相手に完全犯罪を成し遂げた彼らに拍手を送ってしまいたくなる。ダイヤモンドのプレゼントも粋。

インサイド・マン 公式サイト
NSIDE MAN  2006  アメリカ
監督 スパイク・リー
出演 デンゼル・ワシントン、クライヴ・オーウェン、ジョディ・フォスター、クリストファー・プラマー、ウィレム・デフォー
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by CaeRu_noix | 2006-07-05 01:00 | CINEMAレヴュー | Trackback(11) | Comments(14)
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Tracked from happy*march .. at 2006-07-06 10:21
タイトル : インサイド・マン
私これ、理解したのかなぁ?もしかして騙されてる?自信ない・・・(-_-;) 「目に見えるものすべてがキーワード」であるが、「目に見えるものだけ」を信用すると、あなたは完璧に騙される! やべー、騙されてるよ絶対・・・[:冷や汗:] 追記もあります(16:00)。... more
Tracked from 映画雑記 at 2006-07-06 11:01
タイトル : インサイド・マン
実は、スパイク・リー監督作品は、これが初鑑賞です。 多数の監督の共作である「10ミニッツ・オールダー」は、 DVDを所持している気もしますが・・・(笑) 犯罪の経緯に関しては、無理あるじゃんって思いつつも、 クライム・ムービーとしてトリックは親切じゃないし、 いろいろ背景を想像しないといけない部分もありますが、 そんな所を含めて、非常に楽しめました。 オープニングでエンディングで流れた、 インド音楽の『Chaiyya Chaiyya』が非常にGOODで、 その分でも評価点を加...... more
Tracked from 銅版画制作の日々 at 2006-07-07 14:43
タイトル : インサイドマン
「私はダルトン・ラッセル。二度と繰り返さないからよく聞け。私は銀行を襲う完全犯罪を計画し、そして、実行する・・・・・。」という主犯格のダルトン(クライブ・オーウェン)が話すところから、始まります。マンハッタン信託銀行に塗装屋になりすました犯人たちがジャンプスーツを着て、銀行の中へと進みます。そして銀行の中にいた従業員や客を人質にして、立てこもります。急報を受けたのはNY市警のフレジャー(デンゼル・ワシントン)とミッチェル(キウェテル・イジョフォー)そしてこの銀行の取締役会長のアーサー・ケイス(クリスト...... more
Tracked from 海から始まる!? at 2006-07-08 05:38
タイトル : 解答編! 『インサイド・マン』
 数日前に書いた映画『インサイド・マン』についての記事に関して、多くのTBやコメントももらって、いろんな方のいろんな解釈を読み、私もあれから少なからず考え直してみました。  「解答編」というのは大げさかもしれませんが、以下に私が一番しっくりくる解釈を提示してみたいと思います。... more
Tracked from ひとりごと at 2006-07-09 22:50
タイトル : インサイド・マン
スパイク・リーが銀行強盗映画!? 路線変更?などと思っていたら、そこはやはり普通の銀行強盗映画じゃありませんでした。ただ事件を解決して犯人を捕まえてハイおしまいっていう、そんな単純な話ではない。そこに感動的なストーリーは何もない。 彼の持ち味である骨太な演出は活きてはいたものの、この映画、非常に後味が悪い。観た後ずっとモヤモヤした気持ちが残ってしまうのです。それは、この映画に出てくる人がみんな何か隠しているようで、疑わしいからかもしれません。 NY、マンハッタン信託銀行に塗装業者を装った4人組の...... more
Tracked from 映画通の部屋 at 2006-07-14 21:17
タイトル : インサイド・マン
「インサイド・マン」 INSIDE MAN / 製作:2006年、アメリカ 12... more
Tracked from レザボアCATs at 2006-07-23 02:02
タイトル : 43.インサイド・マン
ぃやあもぉ、楽しいの、なんの・・・ スタイリッシュな、クライム・ムービー!!!   クライブ・オーウェンに・・・       クライム・応援 ... more
Tracked from セルロイドの英雄 at 2006-07-29 17:08
タイトル : 【映画】インサイド・マン
"Inside Man" 2006年アメリカ監督)スパイク・リー出演)デンゼル・ワシントン クライブ・オーウェン ジョディ・フォスター クリストファー・プラマー ウィレム・デフォー キウェテル・イジョフォー満足度)★★★★ (満点は★5つです)みゆき座にて マンハッタン信託銀行に押し入った銀行強盗。人質を取って行内に立てこもった彼らを説得するために、NY市警のフレイジャー(デンゼル・ワシントン)が現場に送り込まれる。強盗団のリーダー・ダルトン・ラッセル(クライブ・オーウェン)の巧妙なやり口に手を焼き焦...... more
Tracked from あ~るの日記@ココログ at 2006-07-31 00:19
タイトル : インサイド・マン
映画『インサイド・マン』を観た。 デンゼル・ワシントン、クライヴ・オーウェン、ジョディ・フォスターが出演するスパイク・リー監督最新作。よくある銀行強盗物だが、捻りを効かせた物語をキレのあるスパイク・リーの演出で、一味も二味も違う作品に仕上がっている。 この映画は主犯ダルトン・ラッセル(クライヴ・オーウェン)のセリフで始まる。「私はダルトン・ラッセル。二度と繰り返さないからよく聞け。私は銀行を襲う完全犯罪を計画し、そして、実行する――」通常、銀行強盗物はどのように金庫まで潜入かが一つのポイントだが、この...... more
Tracked from ミーガと映画と… -Ha.. at 2008-03-07 19:08
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インサイド・マン    詳細@yahoo映画 銀行強盗グループと事件解決に向けて奔走する捜査官、 そして現場に駆けつけた女性交渉人らの心理戦を描いたサスペンス 実はレビュー書かなかったけど以前に1度観てたのでこれが2回目 前回はちょっと分かりにくく、... more
Tracked from 映画 大好きだった^^ at 2010-05-15 05:58
タイトル : インサイドマン
BSでの放映を観賞。観終わった後、面白かったような消化不良のような「ん?」って感じになってしまって、ネットでこの映画の感想や評価はどうだろうとしばらく見てた。すると、概ね〈すごい面白かった〉と、《難しくてつまらなかった》という意見に分かれていた。独断で解説....... more
Commented by nouilles-sautees at 2006-07-05 22:26
銀行強盗だなんて物騒なテーマなのに、どこかスローなテンポもよかったですよね。

あんまり予備知識なしに行って、儲けた!と思った作品でした。
Commented by ベルコフ at 2006-07-06 10:32 x
かえるさん、「ある子供」に続き、こちらもTBさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。

これは本当に面白かった!随所にいい台詞(会話)がありましたし、アイディアも秀逸。素敵なチョイ悪3人に見事にはめられたという感じ!主演3人とも、とても魅力でしたね。でも、どうも自分も出し抜かれてる気がしてとても気になります(汗)。
こちらではもう上映が終わっているので、DVDの発売がとても楽しみです。
Commented by mar_cinema at 2006-07-06 11:16
かえるさん、こんにちは。
フラッシュバック等で、この人が犯人だったっていう演出が無く、
変に親切な映画でなかったのが好感な作品でした。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-06 12:13
nouilles-sautees さん♪
このテンポがスローだとは私はちっとも感じなかったんですが、そういわれてみると、ハリウッドで描かれる銀行強盗というとミッションインポッシブル的にアップテンポにコトが進められるものが多いかもしれませんねー。
エンタメ大作は安直に感じられてのれないものも多いんですが、これは大人向けの面白さがありましたよね。フランス人にも好評でしたでしょうかー。
Commented by borderline-kanu at 2006-07-06 22:39
こんばんは。予告編見た時から、ジャンプスーツ&覆面おそろい大作戦は気になってたんだけど、「Vフォー・ヴェンデッタ」を思い出してしましました(^^)  カヌ
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-07 11:55
ベルコフさん♪
おもしろかったですよねー。
スリルとアクションが見どころのクライムものよりもオトナ的には大いに楽しめました。強盗大作戦の進め方としてもお見事な脚本でしたけど、ちょっとしたエピソードや台詞の数々が小粋でしたよね。メモっておきたくなるような言葉もありましたよね。出し抜かれちゃった感じがまた爽快。クライブ・オーウェンがカッコよく見えてしまうほどにイキイキとしていました。上映はほとんど先週末で終わっちゃったのかな。万人ウケはしなかったようですが、ハリウッド資本のおかげでスパイク・リー作品が堂々拡大上映されて、結構な集客力を見せていたようなのでよかったですー。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-07 11:55
mar さん♪
観客に対して親切で説明的なつくりじゃなかったですよね。犯人側のメンバーの顔もよく憶えられなくて、どの人が犯人なんだっけと混乱したり。強盗の動機がなかなか明かされず、警察側とともにイライラさせられたり。そんなことも含めて、おもしろかったなと思えました。煙に巻かれたような部分もあわせ、わたし的にも好感。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-07 15:59
カヌさん♪
私は予告を観ないように努力する人間なんですが、おそろいジャンプスーツは目に入ってしまいかなり興味をそそられましたっ。強盗が用意した衣装が「Vフォー・ヴェンデッタ」のものだったらうけますよねー。マトリックスのネオルックだとかダースベーダールックで統一するのも楽しそう!主旨が違って来ますが・・・。
Commented by さばきち at 2006-07-09 22:54 x
こんばんわかえるさん。TBさせていただきました。
この映画、おもしろかったんですけどとにかく観た後モヤモヤが残って仕方ありませんでした。いろんな妄想してみたりとか、あらゆる人を疑ってみたりだとか・・・。人によっていろんな見解があるのもまたオツですよね。DVDでたら、改めて見直してみたいです。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-10 12:36
さばきち さん♪
モヤモヤとした人は結構いるみたいですねー。私には過程を楽しめることが肝心なので、犯人が誰でどういう動機・目的でこの計画が実行されたのかということはあんまり気にならず、アバウトに捉えていました。後で、みんな細かい部分までちゃんと推理していてすばらしいなぁと感心した次第です。冒頭で銀行強盗の「HOW」や「WHY」に触れられた後、中盤ではしょっちゅうフレイジャーが強盗の動機は何だ、なぜだというのを連呼していたのが印象的でした。人はどうしても原因、理由、動機、目的を明らかにしたがるものなんだよなー。警察も映画の観客もだよなーなんて、あれこれ考えを巡らせて満足し、犯人探しさえしなかった、楽しみどころのずれている私でしたー。
Commented by とらねこ at 2006-07-23 02:00 x
うんうん!↑のコメ、私もかえるさんと同じように感じていたというのが分かり、もう、ますます嬉しくなって、またもや遊びに来てしまいましたぁ。
さすがにしばらくは自粛しなくちゃな~、なんて思っていたんですけどね。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-23 23:51
とらねこさん♪
おお、そうですかっ!それは私も嬉しいですー。犯行動機を明らかするのはお約束なのかもしれないけど、この映画は銀行強盗そのものとは違うところにおもしろみが詰まっていましたよね。
自粛? 記事をちゃんと読んでくれるのは歓迎ですよん。
Commented by Ken at 2006-07-29 18:00 x
かえるさん、再びどうも!
スパイク・リーといいハルストレムといいロンドンに去ったウディ・アレンといい、今年はある程度イメージの固まった監督の「らしくない」作品が多い印象ですね。しかも皆面白い(あ、『マッチポイント』は未見ですが面白いと信じています)。
この作品、不正に私腹を肥やした金持ちを知力を駆使してやりこめる、というプロットがすごくツボで痛快でありました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-31 00:29
Ken さん♪
『マッチポイント』もらしくないテイストなんですかー?8/19公開ですね。これは久しぶりにかなり評価が高いですよね。きっと、おもしろいでしょうー。楽しみ。
そんなふうに名監督たちがイメージを覆すような作品に果敢にチャレンジしてくれるのは嬉しいですよね。失敗できないというプレッシャーも増すだろうけど、大物になればある程度は自分のやりたい仕事ができるはずだから、いろんなパターンにトライしてほしいとも思いますー。
そうそう、本作は犯罪者である銀行強盗がこだわりのある正義感、道徳心をもって、富と地位のある社会的強者の鼻をあかすというオハナシだったのがすっごく楽しかったです。エンタメ作でもリー風味。
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