かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『さよなら、僕らの夏』
2006年 07月 09日 |
悪事さえもみずみずしくて繊細な青春にハラハラと心寄り添い。

オレゴン州の小さな町に住むサムは同級生ジョージのいじめに悩んでいた。そんなサムを思いやった兄ロッキーは友人たちと共にジョージを懲らしめる計画を練る。



美しい風景とティーンエイジャーたちの揺れ動く心理が繊細に描写されていて、好みのタッチ。彼らのやることなすことに感心はできなくても、10代の頃にはこういう愚かさを抱えていたことには大いに共感できるから、その危うさをハラハラと見守り、物語を堪能。経験したものはまるで違うけど、『13歳の夏に僕は生まれた』と同じ、大人になるまでの日々の一過程を描いた物語なのだよね。

計画の残酷さとは裏腹にオレゴン州の大自然はなんて雄大なんだろう。彼らの訪れた川の美しさといったら。その美しさに心洗われて、意地悪な計画なんてどうでもいいと思えることができたらよかったのに。と考えるのは、身近に大自然のない日常を送る大人の私だからなのであり、ティーンエイジャーの彼らは冒険的なそのプランにゲーム感覚でワクワクしてしまったりもするんだろう。“真実か挑戦か”ゲームのシーンもドキドキ印象的。こんなの絶対やりたくない・・・。

日本では、田舎や下町の中学校では当たり前のようにあったイジメなのに、山の手の中学ではなかったりするものらしい。学生の時に、地方出身の私は、目黒区の友人が「えー、イジメなんてあったの、小学校までだよ。」という言葉を聞いて驚いた。(これがすでに格差社会というヤツだったのね。)アメリカではどうなんだろう。やっぱり遊び方が限られている田舎町の方が都会よりも、こんなことに関心を寄せてしまうものなのかな。

ビデオカメラがとらえた映像で始まり、『隠された記憶』を思い起こす。こちらは画面に映し出されたビデオ映像ではなく、録画中のカメラからの映像だと明らかにわかるものなのだけど。『隠された記憶』は、「大人が、子供だったときに犯した罪に対してどのように向き合うか」というのがテーマでもあるとハネケ監督のコメントにあったことも重なって。その罪が記憶というビデオに録画され、大人になってから事件を引き起こすという物語の『隠された記憶』に対し、カメラで撮影するリアルタイムで取り返しのつかない罪が起こってしまう本作。そう考えると、後味がいいとは言えないこの物語も、少年期に罪悪感と後悔を憶えたことは救いだったのじゃないかと思ってしまう。

『BULLY』のようなタイプの暴走ものよりも、心寄り添える好感触な物語でした。映画としては、『DEAR WENDY』くらいの独特の世界が構築されている方がよりおもしろいと思うけれど。

さよなら、僕らの夏 公式サイト
MEAN CREEK 2004 アメリカ
監督.脚本 ヤコブ・アーロン・エステス
出演 ローリー・カルキン、ライアン・ケリー、スコット・ミシュロウィック、トレヴァー・モーガン

(渋谷 ユーロスペース)
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by CaeRu_noix | 2006-07-09 11:34 | CINEMAレヴュー | Trackback(6) | Comments(6)
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「さよなら、僕らの夏」MEAN CREEK / 製作:2004年、アメリカ 90... more
Tracked from 映画雑記 at 2006-07-16 02:16
タイトル : さよなら、僕らの夏
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Tracked from とにかく、映画好きなもので。 at 2006-07-17 12:28
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タイトル : さよなら、僕らの夏
『さよなら、僕らの夏』 あらすじ 『オレゴン州の小さな町に暮らす内気な少年サムは、同級生ジョージの理不尽なイジメに悩んでいた。そんな弟の姿に胸を痛めた兄・ロッキーは、仲間たちと共にジョージをボートでの川下りに誘い出し、泳ぎが苦手な彼を川に突き落...... more
Commented by ふぇあるーざ at 2006-07-14 20:14 x
最終日に飛び込んで参りました。
あの美しい川で密室劇が始まってしまうとは思わなかったですよ。
好き・・・じゃないよなー。でも印象深い作品となりました。
今のところ最後に観た作品です。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-16 01:50
ふぇあるーざさん♪
駆け込み劇場鑑賞できてよかったですね。この揺れ動く心理、ドキドキ感と美しい川でのボート遊びは劇場体験する甲斐があったと思いますー。
なるほど。大自然に囲まれた屋外なのに、キリキリ追いつめられる密室劇が展開しましたよね。ドキドキ。心温まる系ではないけど、青春の苦さ痛さが切実で、嫌いではないかも・・・。
Commented by mar_cinema at 2006-07-16 02:38
かえるさん、こんばんは。
この作品、観た人、少ないんでしょうね・・・
守られるべき弱き存在だった弟が、
このまま隠匿してはいけないっていう強さをみせ行動したのが、
とても対比的で印象的でした。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-17 08:53
mar さん♪
レイト上映ということもあり、観た人は少な目だったでしょうね。観た人はいっぱいるんでしょうけど、ブログのレビュー記事はすごく少ないです。
まだ小さい弟の心情がやるせなかったです。ことの発端は自分にあると思うと責任を感じてしまいますよね。勇気を出して、そんな負の思いを前向きに表せてよかったです。彼のささやかな成長が印象的でしたね。
Commented by orange at 2006-07-17 12:25 x
かえるさん☆こんにちわ。
コメント&TBありがとうございました~!
あまりにも美しい自然とは対照的に、少年達の純粋ないたずらから引き起こした悲劇の現実さが身に染みました。スクリーンに映し出される、少年達の心象風景が見事で、彼らの行動や間違いにリアリティがあって緊張しましたね。
彼らが大人になった時、この事件をどう捉えるのかも含めて・・・最後に下した決断は間違っていなかったのが救いでした♪
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-18 22:55
orange さん♪
美しい風景でしたよね。orangeさんの評価が高くて後ろ髪引かれました。レイトショーはしんどいのだけど、観てよかったです。夜の空気が寂しかったけれど。
もとは本当にささやかなイタズラ心からだったんですよね。弟思いゆえの計画だったわけだし。ちょっとしたお遊び計画のはずなのに、やけにドキドキさせられました。この時代の少年たちの危うさがリアルでしたよね。『水の中のナイフ』みたいな水の上の緊張感。
『BULLY』のような後味の悪いものじゃなくてよかったです。当分は罪悪感でいっぱいでしょうが、このことを糧にしてほしいですねー。
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