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『ピアノ・レッスン』 と 『恋の秋』 -BOW30映画祭- その1
2006年 07月 23日 |
この夏のスペシャル・イベントBOW30映画祭。
第一週目は、『ピアノ・レッスン』 と 『恋の秋』 を観ました。



そこに並ぶタイトルを観るだけで、ウットリの映画たち。
できるものなら全作観たいほどだけど、そういうわけにはいきませんー。
さて、とりあえず、四季の物語の中でレンタルVIDEOがなくて、唯一未見だったロメールの『恋の秋』は絶対観ようと決意。

ゴダール作品は特集上映の機会が多いから、今回は観なくてもいいし、『ベルリン 天使の詩』は2001年に、『ミツバチのささやき』は2002年にスクリーン鑑賞したので今回はいいかな・・・。で、スクリーンで観たことのない 『ピアノ・レッスン』 を是非観たーいと思ったのです。

が、しかし、私はその日、有楽町朝日ホールでのドイツ映画祭の12時開始の映画のチケットを購入済み。その前に、シャンテシネで10時開始のこの121分の『ピアノ・レッスン』を観るって、無謀かしら・・・。ドイツ映画祭の方は先に短編の上映があるから、それを捨てれば何とかいけるよね?と不安を残しつつも座席指定券を購入。

結果はバッチリ。このシリーズは映画の前に予告編上映がないのが幸いでした。『ピアノ・レッスン』のエンド・ロール途中で席を立ってごめんなさい。(でも、通路側の席デス。)シャンテシネから有楽町朝日ホールは近いもんじゃないか。短編上映中のドイツ映画祭会場にスルッと入れました。あきらめないでよかった。

『ピアノ・レッスン』はやはり劇場で観るべき映画ですよね。本当に美しい映画でした。砂浜にグランド・ピアノって、最高にステキな画。もうウットリです。たぶん私が前にVIDEO鑑賞した時には、マイケル・ナイマンの名前を知らなかったし、マオリ族が何たるかも知らなかったと思います。エイダがスコットランドから嫁いできたということも認識していなかったんじゃないかな。そして今は、先日のニュージーランド映画祭で観た 『リバー・クイーン』 の記憶も鮮明で、とても興味深くその世界に陶酔することができました。

たぶん前に観た時は、ベインズ(ハーヴェイ・カイテル)の要求が少し怖いと思ってしまった気がします。ピアノをエサに、性的なものを求めるなんて・・・と。だけど、ベインズは少しも強引ではなくて、エイダの意思はちゃんと尊重する誠実さを持ち合わせた男なんですよね。鍵盤を数えながら、エイダとベインズが積み重ねて行く時間がこんなに美しいものだったとは。口のきけない女と無口な男の間に、響くピアノ音色、そして交わされる温もり。これが「映画」なんですよね。

エイダがピアノと共に海に沈んでいくシーンだけはずっと印象に残っていましたが、その鮮烈さは変わらないし、それ以外にも実に多くの素晴らしい場面があったことを思い出すことができました。オールタイムのベストにもいれたい作品であると再見して実感しました。本当に素晴らしいです。ため息。

ピアノの調律のシーンでは、その日お会いする予定だった charlotteさんのことをふと思い浮かべたのですが、まさかすぐ後ろの席に座っていたとはー。
曲調は違うながら、映画でピアノの調べに酔いしれたその日に、ドイツ映画祭 のルビッチ作品鑑賞時に素晴らしい生ピアノ演奏を堪能できたことも嬉しさ倍増でした。


言葉なんて必要ない、美しい風景と音楽と人の表情や仕草が映画のすべてなんだと 『ピアノ・レッスン』を観てそう思うのに、ロメール作品を観たらうって変わって、人間の会話というものはなんておもしろいものなんだろうとうなってしまうのです。
そんな、『恋の秋』もとても味わい深いステキな映画でした。ヌーヴェル・ヴァーグ

念願のロメール映画にスクリーンで会えた喜びとあわせて嬉しかったことは、劇場に入る前にロビーで見かけた西島っちの姿!GWの渋谷ユーロスペースでお見かけしたのに続いて、また会えちゃった喜びったら。こんなに映画館通いをしている私でも、劇場で友人知人にバッタリ会うことはほとんどないし、いらっしゃっていたmarionさんにも気づかなかったのに。有名人発見能力はかなり低い私でも、にしじーだけは見逃さなかったわ♪その偶然はロメール的に運命的かもしれないと妄想・・・。にしじーは四季の物語の中でどれがお気に入りかしらー

恋と友情、複雑で多様な人間関係。目に見えない糸の手繰り合い、もつれ合いがおもしろい。思いやりがあって、打算があって。理想と現実、駆け引き、嘘、策略、嫉妬、優越感、言い訳、タイミング。ロメールはどうしてこんなに人間というものをわかっているんだろう。複雑で移ろいやすく、でもやっぱり単純なほどに純情なのかな。いくつになってもこんなものなのかもしれない。人間はかわいい。マガリがじっくりと育てているワインのように、芳醇で味わい深くて、酔い心地。

そんなわけで、大満足の第一週目でした。
スケジュール的に観られるものが限られているので、今回観るのは数本にしようと思っていたんですが、ピアノ・レッスンの感動におされ、もう1日仕事を休む決意をしてみたりー。そんなことばかりは決断力を発揮・・・。
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by CaeRu_noix | 2006-07-23 23:37 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(6)
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Tracked from シャーロットの涙 at 2006-07-24 20:37
タイトル : ピアノレッスン~BOW映画祭
BOW映画祭「ピアノレッスン」・・・ やはりスクリーンで見ると感動をいただけるのでしょうか。 仕事柄気になってはいたものの、見る機会を失っていたのでした。 ブロードウッド社製のスクウェアピアノ。 実際の音はもっと温かさが溢れているし、多分違うピアノの音に吹き替えられているのでは?と思う。それにしたってご本人が弾いているし、調律シーンもわずかばかりだけど出てくる。 まあそんな所を一応チェックしつつも、この作品の美しさには心溶けるものがあった。官能的な場面は勿論の事、話す事をやめたエイダの微妙な心理、...... more
Tracked from パピ子と一緒にケ・セ・ラ.. at 2006-10-01 02:25
タイトル : ピアノ・レッスン
ジェーン・カンピオン監督の『ピアノ・レッスン』は深く琴線に触れる作品であり、1993年に公開されると、その豊かで夢幻的な映像によって観客を魅了している。主人公のエイダ(ホリー・ハンター)は6歳のときに話すことをやめたスコットランド女性。娘のフローラ(アンナ....... more
Commented by charlotte at 2006-07-24 00:13 x
こんばんは☆
そうです、真後ろの席におりましたー。笑
多分一番最初に席を立つ方だろうと思っていたので!不思議なご縁ですねぇ。
ピアノレッスン・・・言葉が無くてもすごく共感できるし響いてくる作品でした。たぶん海辺や海中に沈んでいくシーンはレプリカで本物のピアノではないとは思うのですが、こういうありえない風景を実際に見せてくれちゃった事に物凄くぐっときたアートな世界観でした。
それにルビッチ鑑賞がその後で余韻をいい感じに引き立ててくれて、その日は私にとってもまさに極上な一日でしたよ。
恋の秋・・・もかえるさんのレビューで見た気になりました~笑
西島君をお見かけしたの?それははっぴーでしたね!
まるで誕生日にクリスマスが一度に来たって感じ?←違いますね、ごめんなさい~
BOWも今後行けるのかどうか・・・ちょっと時間調整に四苦八苦してますっ

Commented by marion at 2006-07-24 00:19 x
こんにちは。シャンテではお互い気づかず・・・残念でしたね~。
ロメールはやはりスクリーンで見てこそっ!ですね。『恋の秋』なんか、沈む夕陽とかそよぐ風とかを直に感じ取れるような映像ですよね。
西島君がどれが一番すきかは存じませんが、私は迷いに迷って『夏物語』かなあ、あ、聞いてない?
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-24 12:34
charlotte さん♪
真後ろっていうのもすごい偶然ですよね。どきどき。
そうそう、charlotteさんがきっとどこかで見ているからお上品に振る舞わなくちゃとちょっと意識してしまいましたよ。エンドロールの立ち上がるタイミングなども必要以上に・・・。
ハードな1日でしたが、『ピアノ・レッスン』を劇場鑑賞できてよかったですよねー。現実ではあり得ない美しいシーンに出会えるのは映画のよろこびですよねー。幻想的で素晴らしかった。本物のピアノを沈めるのはさすがにもったいなくてしないでしょうね。
その後のルビッチ作品で、更にピアノの調べの美しさにひたれたのはタイミングがよかったですね。アリョーシャさんとレッスンもいいかも?! 本当に極上な1日でした。
ロメール作品も機会あったらお試しくださーい。デプレシャンに通じるようなおフランスならではの台詞尽くしが楽しめますよー。
そうなんです。西島っちに二度目の遭遇。そりゃーもう嬉しかったです。映画談義したいっす。クリスマスと誕生日でも、盆と正月でも、敬老の日と勤労感謝の日でも何でもー。
BOWはなかなか行きづらいスケジュールですよね。がんばってくださーい。アンコール上映はデッドマンかー。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-24 12:35
marion さん♪
残念でしたね。めったにないことなのに。
私もかなりギリギリ到着で、トイレに行くためにロビーを横切った時に西島っちを発見したのですよ。だから、それ以外の人にはほとんど会わないまま、暗くなった場内に入ったのでした。終わってから、もっとキョロキョロしていたら、marionさんを見つけたかもしれないんですが、私の視点はにしじー1点に絞られていたものでー。
ロメール作品を劇場で観られて本当によかったです。あのブドウ畑での作業風景なんかがすごく好きでした。緑の木々に差す陽光のまばゆさがステキなんですよねー。marionさんは全部ご覧になったなんて、うらやましいですー。そうか、『夏物語』が一番好きっていう人は結構多いですよね。海辺の陽射しもまた美しかった。プポーの優柔不断さもおかしかった。私は迷いに迷って『冬物語』かなぁ。でも、どれも大好きでっす。
Commented by sabaha at 2006-07-24 22:19
こんばんは、わかばです。
私も初日の「ピアノ・レッスン」行きました。(+今日「新学期・操行ゼロ」「D.I」へ行ってきました。そのうちまとめて感想あげようと思います)
ロメールはあまり観ていないのでコメントできませんが、「ピアノ~」は同じくスクリーンで観たことがなかったので行きました。
いやー、行ってよかったです。色々な方が言われていますが、ホント、オールタイムベストに入ります。ヘタな女性映画はパスですが、これは飛びぬけて素晴らしいです。大好きです。歪んでて、わがままで、でも止められない、女にはそういう瞬間があるんだわ、と娘を振り切って走るエイダを見て思う…走ったことないけど(笑)。
ちなみに私が一番印象に残っていたシーンは、海もなんですが、指を切られたあとのエイダ。ホリー・ハンターの底力を見たと思いました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-25 00:22
わかばさん♪
ピアノ・レッスン行かれたのですねー。どんな映画ももちろんそうなんですが、これはとりわけスクリーンで観る喜びを感じられるステキな映画ですよねー。本当にこの機会に劇場鑑賞できてよかったですよね♪ 飛び抜けて素晴らしい名作ですよねー。女性映画も似たようなものはいろいろありますけど、ピアノレッスンのシチュエーションの奇異さはすごいですよね。内向きだった女が、殻を破って走る姿って、感動的です。ゆがんでるけど、美しいー。指を切られたところは、痛くて直視できない私でしたが、確気迫の演技でした。あと、新しい指をつけて、ピアノを弾いていたところも好き。カツン、カツンという音がたまりませんでした。
レヴュー、楽しみにしています。「新学期・操行ゼロ」、観たかったー
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