かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『やわらかい生活』
2006年 07月 26日 |
せつなくてあたたかい。辛いことをやわらかく包み込む出逢いたち。

蒲田へ引っ越してきた元バリキャリの35歳独身橘優子とちょっと変な男たちの物語。



蒲田ねぇ。いいかも。
屋上の観覧車にはすごく惹かれるなー。
ゆったりとした日常の空気感がとてもステキ。
街の雑踏の音たちが耳に心地よい。
やわらかく、やわらかに、やわらかな生活ができたらいいね。

寺島しのぶにはやっぱりこういう役をやってほしい。『単騎、千里を走る』みたいな使い方には意味がない。豊川悦司って、ルックス的には好みじゃないし、彼の肌の感じや目の感じはどちらかというと生理的に苦手というか。なので、「愛していると言ってくれ」あたりのドラマ出演で大人気だった時にも私にはわからずでした。だけど、久しぶりに見た彼は(たくさんの映画に出演しているようですが、私の観るものではずっと見かけず『顔』以来でした。あ、『妖怪大戦争』は観た。)ステキな存在感を発揮していた。40過ぎてもこんなもんかもって感じの、しょうがない大人だけど優しいイトコのお兄ちゃん。その声、やっぱりいいかも。尾崎豊ソングがハマり過ぎ。(カラオケで「ダンス・ホール」)

廣木×寺島の前作 『ヴァイブレータ』ほどにグッと心に沁みたわけではないけれど、テイストはやっぱりかなり好みのタイプ。こういう空気感を醸し出してくれる邦画が一番好きなんだよなーって思う。孤独を抱えて暮す大東京の片隅の情緒あふれる町の息吹き。ゆったりとした日常の中でゆっくりと歩いて呼吸する。ガラス鉢の中を気ままに優雅ささえ感じさせて自由に泳ぐ金魚のうどんとそば。人間の生活は金魚のようにただ泳いでいるだけというわけにはいかないけれど、そんなふうにゆったりといきたいね。イトコの兄ちゃんとの幾日かの妙な共同生活。とても非現実的なシチュエーションかもしれない。そんな特異さがが、日常と溶け合うと、こんなにやわらかなファンタジー空間をつくりだすんだな。

残念なのは、優子がしっかりと病気の人であったこと。せっかく途中までは、優子の心情にいくつもの共感を覚えて、グッと入り込んでいたのに。そんなにたくさんの薬を服用しなくちゃいけない、精神のヤマイの人だっていう設定にはガッカリ。優子に心寄り添って、うんうん、わかるわかるって思った私だけど、何の薬を常用しなくても日常生活を送れる健康な人間だもの。健全とも言い切れないけれど、少なくとも病院に通ってはいないから。あなたの苦しみが私にわかるわけないよね。つらいことがあったから鬱病になったということなんだろうけど、今スクリーンに映っているのは、もはや鬱病だからつらく苦しい女なのだよね。病気でもない私が、そんな状況のあなたに共感するなんておこがましいよね。と一歩引き・・・。

そんなところが残念だったけど、雰囲気やディテールはとても好きでした。優子とイトコの祥一のやり取りが和やかで楽しくて心温まったし、議員の旧友本間くんのキャラクターもよかった。痴漢プレイはどうかと思ったけど、彼が終盤で自転車で走る姿をとらえたところがグッときた。みんなそれぞれに辛いこと苦しいことを抱えているんだよね。そんな寂しさを抱えた人々が、袖擦り合いふれ合って、やわらかい空気が生まれるってとてもステキ。
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by CaeRu_noix | 2006-07-26 11:02 | CINEMAレヴュー | Trackback(10) | Comments(8)
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Commented by 現象 at 2006-07-27 02:05 x
蒲田いいですよねぇ。
銭湯大好きの僕は鑑賞から数日後に福の湯へ行ってきたんですけれども、
お風呂も町の人も粋な感じがしました。
時間が遅かったので観覧車には乗れなかったんですけれども。
グッド・ヴァイブス・シチュエーションでした。
Commented by betty at 2006-07-27 10:47 x
TBありがとうございました。
かえるさんも、主人公の病気の部分が残念だったのですね!まったく同じに感じてたのでびっくりしました。
でも、ひとつひとつのモチーフはけっこうシリアスなのでなんともホンワカとした優しい映画になったのが嬉しかったです。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-27 12:28
現象 さん♪
蒲田よさげでしたー。たぶん下車したことってほとんどないんですけど。蒲田のロケ地めぐりレポートをしていた方もいましたよね。現象さんは福の湯体験したんですね。お風呂がレジャーランド化しているコンニチですが、銭湯情緒はよいですよねー。そうそう、観覧車に乗りたいー。1人で遊園地に行こうとは思わないけど、屋上ならばアリかな。体を隠したい女が風呂なしアパートに引っ越すなんてありえねーよなんて思ってはいけませんねー。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-27 13:07
betty さん♪
そうなんですよ。bettyさんのレヴューを読んで、全く同感だったので嬉しかったですー。『ヴァイブレータ』の食べ吐きなんかは、イマドキを象徴しているのかなぁと、そんなに気にはならなかったんですけどね。--症までしてほしいです。--病だと、申し訳なくて親近感ももてなくなり・・・。
というのが残念ではありましたが、雰囲気がステキな映画でしたよね。リアルにせつなくも、ほんわかでした。
Commented by ちか at 2006-07-29 21:36 x
TBとコメントありがとうございました。
金魚のうどんとそばのネーミングはいいですね。この映画、思ったより食べてるシーンが多くて、会社帰りに観たこともあり、大変おなかが減りました。きわめつけが「うどん・そば」かよ!と感じたのを思い出しました。
そしてトヨエツも良かったです。40過ぎて……というのがピッタリはまってました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-07-31 00:34
ちかさん♪
うどんとそばはよかったですよねー。そういうネーミングセンスって大好きです。メインストーリーはイマドキなんだけど、銭湯や金魚など情緒にあふれるものがあれこれ登場していたのがよかったです。食事のシーンは多かったですよね。食事をしたり、お風呂に入ったり、日常生活の丁寧に描く映画ってのがいいんですよね。確かに、空腹の時はそのよさがしんどくもありますね。(笑)
トヨエツはTVドラマ時代のイメージが強いんですが、やっぱりウマイと見直しましたー
Commented by いわい at 2006-08-14 00:41 x
こんばんはー。
わたし、豊川悦司好きだったのです。(過去形ですが)
特に声が好き。
『八墓村』なんて、ポスター持ってます。でも、この映画あたりからあまり観なくなったかも。
寺島しのぶは生々しくて、共感するどころではなかったワタシでした。
Commented by CaeRu_noix at 2006-08-14 12:25
いわい さん♪
トヨエツふぁんでしたかー。
そうそう、好きな人にとってはとりわけ声がイイみたいですね。
私は彼を映画で観た数は少ないんですが、『妖怪大戦争』の役どころはおかしくてよかったです。そして、本作でもすばらしかった。
寺島しのぶはどちらかといつも怖い女に思えるんですが、場面場面でそのせつなさには共感してしまうんですよね。いわいさんは客観視?
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