かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『LOFT』
2006年 09月 28日 |
あんまり・・・だったけど、思い出してみるとちょっと楽しい。

小説家の春名礼子は、新作の恋愛小説の執筆が進まず、編集者・木島の紹介で、郊外の一軒家に引っ越した。



序盤の礼子の部屋のシークエンスが最も興味深かったかも。物語の主人公はどんな女性で、編集者の木島とはどんな関係性なんだろうって、洞察していたあたりが一番、期待に胸がふくらんだ。礼子の好きな小説家や花柄ワンピースのブランドを知りたかったな。

環境変えたい、引っ越したいというのはわかるけど、原稿の締め切りが迫ってきている頃に、引っ越したりするものかなぁ。引っ越しって、ものすごく手間暇かかる重労働のはずだから、忙しい時期にやろうなんて思わないけどな。全部おまかせらくらくパックでもなかったみたいだし・・・。とりあえず、居心地のいいホテルに宿泊して書くというのが普通じゃないの?広くて静かで安ければいいとか、住まいの条件がたったあれだけなんてあり得ないし。静かなとこがいいからって、田舎の一軒家に1人で住んだりしないと思うなー。って、既にそんなことに引っかかってしまった・・・。

それどころか、観る前から納得がいかなかった。湿度の高い日本でミイラなんてねぇ。
ましてや、沼から引き上げられたものだっていうからビックリ。ミイラには乾燥が必須じゃなかったのね?鼻から脳みそをかき出さなくてもいいのね。沼のそれはミイラと呼んでいいものなの?でも、考古学者がそう呼んでいるんだからそういうことなのね。はい。泥が腐敗を防いだとしても、ふやけて姿かたちは崩れそうな気もするんだけどね。大学教授がそう言うなら・・・。

永遠の美を手に入れるために自ら泥を飲むというのもまるでわからない。泥を飲むことがではなくて、平安時代の女性の美意識や価値観がそういう類のものであるということに違和感を感じた。現代の日本女性が危ない薬を飲んだり、整形手術をしたりしてまで、容姿の美しさを追求するのと同じように、平安女性が自身の容姿の美しさを貪欲に求めたなんて、ピンとこなかった。美そのものより、殿方の寵愛を求めての結果という方がまだわかる。泥は飲むより、塗る方がお肌には効果的だし。いずれにせよ、1000年の悲しみ・重みは感じられなかったなぁ。

設定からしてそれは違うよと思ってしまった私が、この物語を楽しめるはずはない。途中までは、忍び寄る恐怖を感じつつ、何が起こるのだろうと興味をもって見つめていたのだけど。安達祐美の登場の仕方はなんだか安っぽくて、徐々に、これは何かのパロディなんだろうか?という思いが強くなった。それならそれで、ツッコみながら楽しむという見方ができるのだけど、断定もできなくて、中途半端な気持ちで眺めていた。

曲がりになりにも小説家志望の今の女子大生が、「愛しい人」なんていうタイトルはつけないよねぇ。そんな題名をつけちゃう女だからこそ、化けて出るのかな?「私と一緒に地獄へ行こっ」の「行こっ」っていう台詞がなつかしい感じでおもしろかった。豊川、安達の身長差もなんだかいいね。

吉岡と礼子が土を掘り起こしている時に、吉岡がいきなり「礼子、礼子!」と熱く名前を呼ぶ場面あたりから2人は取り憑かれたようにクサい芝居になっていったのがおかしい。あまりにも妙なので、わざとなのかなと思ったものの、そのねらいはよくわからない。引き上げられた死体が心中カップルのものだったなら、乗り移ったのねっていう場面なんだけど。ミイラの呪いが2人のいきなりの恋愛にどう関係するの?

引っ越してくる前から、泥みたいなものを吐いていた礼子は、その時既にミイラの呪いにかかっていたと考えられるけど、なぜに礼子がターゲットになったの? あの時点では関わりないはずなのに・・・。木島が運んできたとか? 引き上げた人間にまず呪いがかかるものかと思っていた。呪いって、そもそも何なんだ。

思い起こしてみると、見どころにあふれた映画のように感じられるのだけど、鑑賞中はあまり面白いとは思えなかったなぁ。もうちっと緊迫感と恐怖感を持続させてほしかったー。そっちは捨てて、ギャグとして観た方がお楽しみ度が高かったのか?

担当小説家を「キミ」と呼ぶ木島物語をもっと観たかった。赤いVネックニットな男。石投げのうまい男。縄しばりも素早く的確。ただの編集者じゃないよね・・・。

あ、おもしろいかも。

-cast-
春名礼子・・・中谷美紀
吉岡誠・・・豊川悦司
木島幸一・・・西島秀俊
亜矢・・・安達祐実

LOFT ロフト 2005 公式サイト
監督.脚本 黒沢清
(テアトル新宿)
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by CaeRu_noix | 2006-09-28 23:00 | CINEMAレヴュー | Trackback(11) | Comments(13)
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Commented by とらねこ at 2006-09-29 00:38 x
こんばんは~♪あはは、そうですよね!!
私もですね、少女漫画になりますが、『悪魔(デイモス)の花嫁』というお話の一つに、ミイラの作り方を、本を読みながら作っちゃう!好きな女を、ミイラにしちゃう!というのがあって、すっごくあれに影響を受けました。
なので、やっぱり、ミイラを作る手順ていうもんがあると思いますよね!!沼のミイラって・・・あはは、今考えるとそれだけで可笑しい。
Commented by CaeRu_noix at 2006-09-29 14:10
とらねこ さん♪
『悪魔(デイモス)の花嫁』はミイラもつくっちゃうんですねー。大人になってから観るホラー映画より、子供の頃に読んだ怖いマンガの世界観の方がよほど鮮烈でしたよね。「悪魔の花嫁」の実写映画が観たーい。「王家の紋章」も観たーい。
ミイラってもともとは古代エジプト人の死生観・宗教観があらわれた奥深いものなんですよねぇぇ。これのは、みいらじゃないし、ミイラ化してもいないんじゃないかしら? 沼からでてくるのはやっぱり河童でしょー。
どうしてもそこに妥協できなかった私ですが、まぁ可笑しかったのでよし。
それより「悪魔の花嫁」のデイモス役は誰が適役かなー。
Commented by 隣の評論家 at 2006-09-29 21:31 x
かえるさん、こんにちわー。
かえるさんのツッコミの数々。楽しく拝見させて頂きました。
私は嫌いではないのですが。かと言って、何とも掴みどころがなくて今だに「・・・えーっと・・・」って感じです。読み解けない、私にとっては難解ー。
とらねこさんが仰ってる『悪魔の花嫁』のミイラのエピソード、知ってる~ とゆーか、全巻持ってます。映画にできそうなエピソードが満載で好きです。SF、ファンタジー、ホラー、ミステリー と、様々なジャンルの面白いストーリーが一杯。読み返してみちゃおうかな。
Commented by だま at 2006-09-30 00:00 x
TBありがとうございました!
>赤いVネックニットな男。石投げのうまい男。縄しばりも素早く的確。
爆笑していまいましたよ。木島物語観てみたいですねー。特にあの縄縛りの的確さは一体どこで身につけたものなのかと。ええ、気になってしょうがありません。
Commented by CaeRu_noix at 2006-09-30 12:03
隣の評論家 さん♪
へへへ・・・。本筋とは遠いところへのツッコミばかりですみませんー。
嫌いってことはないんですが、別に好きでもないかなぁ。私はそもそもホラー映画系を愛せる人間ではないんですよね。黒沢作品は『アカルイミライ』などはなかなかよかったんですが、監督を信奉しているわけではないし。それゆえに、方向性が掴みづらかったですー。黒沢信者さんはやはり絶賛されているみたいですがー。私はこの程度の楽しみ方でいいやー。
おお、「悪魔の花嫁」を全巻もっているなんてステキ。私は部分的に読んだ記憶しかないんですー。少女漫画の好みって、今の映画の好みにつながっていたりしません?
Commented by CaeRu_noix at 2006-09-30 12:03
だま さん♪
こちらこそありがとうございます。
黒沢監督作品のことは全然理解が浅いものですから、こんなレヴューですみません。
黒沢監督だから観たかったというのと同じくらい、悪い男役をやる西島っちが観たかったもので。木島キャラには興味津々でした。にしても、不可解な男でしたよね。あのラストの手早さは忘れられませんー。ボーイスカウトなんかで習ったのでしょうか?
Commented by 朱雀門 at 2006-09-30 22:25 x
こんばんは
ことごとくツボを外された感のある作品でした。沼地のミイラや、浮ついた恋愛ストーリーなど、違和感を覚える設定は多かったですね。
しかしながら、映像はとてもキレイだったと思います。月光に照らされる横顔、草むらを走り去るRVを追いかける礼子、ブランコでのうたた寝・・・などのシーンは何となくヨーロッパ映画を思わせる絵画的な雰囲気を感じました。
ともあれ、青山真治作品と同じように「見る者を選ぶ」映画のような気がしました。でも、そうなると余計に「なにくそ!」と変な負けん気が起こってしまうのですよ、私の場合(苦笑)。
Commented by 狗山椀太郎(旧・朱雀門) at 2006-10-01 18:06 x
再度、失礼します。
突然ですが、HNを変更しましたので、
お知らせがてらコメントさせていただきます。
今後ともどうぞよろしく。
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-02 18:02
朱雀門さん 改め 狗山椀太郎さん♪
私のツボからもはずれていましたー。観る前からわかりやすい展開だとは思っていなかったんですが、わかるわからないを抜きにしても、あまりにも惹かれる要素が少なかったですー。感性が合いませーん。
わたし的にはそんなに映像美も感じませんでしたです。インパクトのある画はありましたけどね。こういうモチーフの作品だったら、妖しい映像美を極めてくれる方が好みですー。ヨーロッパ映画というなら、『エレメント・オブ・クライム』みたいなのとかー。
「なにくそ!」と思ってしまう気持ちはわかりますー。一部の評論家やシネフィルさんが絶賛している作品のよさを自分がわからないのはなんだか悔しいですよね。でも、アトランダムに観るものを選ぶというより、黒沢信者でないと楽しめないという感じなので、私は別にいいやーって思います。自分の思い入れのある監督の作品だったら、歩み寄りたいと思うんですけどね。狗山椀太郎さん的には、今年の作品でいうと、黒沢より青山作品の方がよかったということですよね。私にとっては、どっちもどっちですが、エリエリの方が部分的に楽しめるところは多かったかな。
というわけで、今後ともよろしくです。
Commented by orange at 2006-10-08 17:15 x
こんにちは☆
こちらにもお邪魔致します・・・
ツッコミ所の多い映画でしたね。それにやはり何がなんだか分からない作品でした。
それはそれで良いかと、変な満足感を覚えてしまいました・・・
西島秀俊の編集者は最高でした。やっぱりこのお方はやってくれますね

>赤いVネックニットな男。石投げのうまい男。縄しばりも素早く的確。ただの編集者じゃないよね・・・。
ただの編集者じゃありませんね。この人が一番の見所だったのかもしれません♪
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-09 12:49
orange さん♪
なーんかわかんなかったですよねー。わかんなくてもおもしろいと感じる映画もあるんですが、これはちょっとだんだん気持ちがさめていったかな。私は「大英博物館 ミイラと古代エジプト展」の方が興味ありますー。
個人的には、西島秀俊さまの役といったら、ポーッとしている優しいタイプの方が好きなんですが、冷酷男もハマるんですよねー。メゾンドヒミコの専務キャラほどではないけど、こちらのフシギちゃん風味な悪人ぶりも印象的でした。冗談抜きで一番の見どころでしたよー♪
Commented by にら at 2006-10-26 13:08 x
縄縛り、あれってキャラというより、西島英俊さんご本人の特技?

だとしたら、ある意味怖い(笑)。

てなわけで、TBありがとうございました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-26 23:58
にらさん♪
え、西島さんが個人的にそんな特技をもっているという可能性もあるんでしょうか?そりゃーかなり怖いです。でも、あの素早さは付け焼き刃のものじゃーないですよね。北野武の『座頭市』での浅野忠信のタスキがけ以上の手さばきでした!
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