かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『レディ・イン・ザ・ウォーター』
2006年 10月 11日 |
シャマランこそがハリウッドへ迷い込んだ物語の精?

コーブ・アパートの管理人クリーブランド・ヒープは、ある夜、アパートの中庭のプールで不思議な娘に出会う。



ハリウッド大作の中では、シャマラン作品ってなかなか好きです。今回は、水の精が登場する御伽な世界ということで、題材はいつも以上に好みだし。シャマランがやろうとしていることはおもしろいと思うし、そこにある哲学というか信仰?に胸をうたれてしまったりする。なんだけど、今回はその強引さにまんまと引っ張り込まれるまではいかなかったかな。部分的には楽しめる箇所もいろいろあったのだけど、終わってみると、あらららら・・・と思わなくもなかった。

この世の中には物語は不可欠なもの。太古から、人間は大切なことを物語として伝えてきたというし。「物語」そのものをテーマにしようという試み自体は歓迎なんだけど・・・。水の精の名前がストーリーだなんて最高にわくわくしたんだけどな。しかーし、重要な役割をもつ「器」がアナタ自身というのはお茶目どころではなくて、痛々しい・・・。

ファンタジー世界というのは、ハリポタやLotRのようにそれそのものが現実として描かれるのが最も入り込みやすいと思う。ナルニア物語のようにワードローブの奥に不思議な世界があるというアナザー・ワールドな設定もうまくすれば二倍おもしろいだろうし。

で、シャマランは一貫して、そういったファンタジーワールドを舞台にすることはせず、リアルな現代社会に不思議な出来事を起こすというやり方。それは表現手法してはおもしろいんだけど、物語の魅力そのものをむしろパワーダウンさせてしまったのではないかなと思える今作。小説で読む方が意外と面白かったかも。

フィラデルフィアのアパートメントだけを舞台に、その住人たちの中で展開する御伽話というのは、おもしろいかもしれないと途中までは思っていたのだけど・・・。やっぱりどうせ映画なんだから、水の精の住む世界を映画の観客にだけは見せてほしいところ。そっちは見せてくれないのに、安っぽい獣キャラだけはちゃんと登場させてくれる配分がなんとも・・・。

アパートメントの住人たちのキャラクターは国際色豊かでおもしろかったし。守護者、治癒者、記号論者、職人などの役割がそれぞれにあるというのも意味深でいい。御伽の物語に従うという運びの中で、現実社会に当てはめることができそうな要素がいくつもあるのがおもしろいのだ。
とりわけ、映画評論家については、思いきり皮肉がきいていてニヤリ。パターン通りの物語しか想定することができずに役割を見誤り、挙げ句の果ては獣にやられてしまうなんて。

興味深さはあれこれ感じたし、クスリと笑える箇所はいくつかあったけれど、心うたれる場面はほとんどなかったのがイタイ。『サイン』で牧師が信仰を取り戻すほどに、信じる力をみなぎらせたシーンにはかなり感動したものだけど。クリーブランドがこの出来事を通して、過去のつらい体験を乗り越えようとするところでは、あんなふうに胸に迫ってくるものがなかったな。置いてきぼりなメデタシメデタシ。

信じることが大事という方向性には賛成なんだけど、信じさせる力が弱かったような。

大人のわたし的には、ナルニア物語やパイレーツよりはおもしろかったんだけど、これはちょっと上滑りしていたんじゃないかと言わざるを得ないー。

レディ・イン・ザ・ウォーター  公式サイト
LADY IN THE WATER 2006
監督.脚本 M・ナイト・シャマラン
撮影 クリストファー・ドイル
出演  ポール・ジアマッティ、ブライス・ダラス・ハワード、ボブ・バラバン、ジェフリー・ライト
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by CaeRu_noix | 2006-10-11 22:26 | CINEMAレヴュー | Trackback(8) | Comments(12)
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Commented by mar_cinema at 2006-10-12 02:02
かえるさん、こんばんは。
上滑りしていたのは、非常に納得です(笑)
そういう滑りも含めてシャマラン作品が大好きな自分は、
この作品も気にいったんですが、
そうじゃない人は、この作品きついだろうなって感じました。

まぁ、個人的には、この形で納得しているんですが、
監督本人の出演を自粛して、もう少し練ってバランスをとったら、
一般受けするより良い作品になったとは思いますが、
・・・・一番、不可能なのは、本人出演自粛でしょうね・・・
Commented by 風情♪ at 2006-10-12 10:19 x
こんにちは♪

いろいろと思うこともありましたが本作は【準】傑作だと思いますね!
アナザー・ワールド系には最近食傷気味なんで日常に潜むというか
突如訪れる非日常的出来事がとてもヨカッタです。
剣を持った戦士やら魔法使いのファンタジーものの定番キャラじゃ
くて守護者やら記号論者という毛色の変わった役割ってぇのも好感
が持てました♪ (゚▽゚)v
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-12 12:55
mar さん♪
上滑りを承知の上でお好きだなんて、シャマラン監督も喜ぶことでしょうー。私も決して嫌いではないんですけど、もうちっと心に響くものがほしかったなーと思ってしまったのでした。
シャマラン作品はもうミニシアター系にしてしまった方がいいかもしれませんね。さすがにもう 『シックスセンス』的なものを求めて観に行く人はいないと思いますが、フツーの娯楽映画を求めている人にはまるで楽しくないタイプかもしれませんね。
誰もが楽しめる映画にする必要もないとは思いますけど、大作なんですからもうちっと独りよがりなのを抑えてほしいような・・・・。
監督がチラリと出演するのはいいと思うけど、今回は長々とアップで映りすぎ!
Commented by Puff at 2006-10-12 19:40 x
ウフフ、、何だかんだと行ってシャマラン監督の映画は毎回必ず観に行くワタクシであります。
彼のあの独特の、ひたひたと来る予感みたいなものや、ホラーとは違う不穏な雰囲気が結構好きだったりします。
あ、それから、「サイン」や「「ヴィレッジ」そして今回と、トンデモが出現するのも嬉しかったりします(・・・ア!と驚くと共にミョーな脱力感があったりする。笑)

でで、ワタクシもこの映画は小説で読む方が断然面白いと思いました!
あと、自分のところでも書きましたけど、30分くらいの連続ドラマにすると意外と良いんじゃないかとかね。
>「器」がアナタ自身というのは
コレね!ワタクシも唖然と致しましたですよ!
ア、アンタ、、自分が一番良い役でないかい?
なーんて思ってみたり。フ・・・
それにしても、ちょっと出過ぎでしたよねん。

ワタクシも今回は物語云々より、題材ややコの字にプールを囲んだようにしているアパートメントとか、そちらの方が魅力を感じましたです。
かえるさんのいう様に、ミニシアターで上映する方がイイのかも知れませねー
幅広く一般受けというより、彼の作品が堪らなく好きな人向きなのかもです。
Commented by charlotte at 2006-10-12 21:52 x
ぼんそわっ
あのー、今作品早々見たのになんか感想が書けないでいます。
もう書かないかも。笑
確かにミニシアター系でいいですよね。
十分素材的にはそそられたので、皆が×と言っても私は違うかも?なんて思ったので見たのですが。
シャラマンが出てこなければ○で、少しは書きたくもなったかもしれません。絵本の世界観みたいなものは、とーても大好きなんですよっ。
小説より絵本読んで泣いてるくらいですから。爆
Commented by mar_cinema at 2006-10-12 23:23
かえるさん、こんばんは。
確かに、今後のシャマラン作品は、ひっそりと単館でやった方が、いいでしょう(笑)
監督出演は、「サイン」で出すぎ→「ヴィレッジ」で自粛→今作でおいおい(汗)
というパターンだったので、次は、ちょっと控えるかも・・・
まぁ、出たがりなのは仕方ないのですが、自作にはひっそりが希望です。
どうしても出たかったら、他の監督作品で・・・って使う人いるのかな?(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-13 12:50
風情 さん♪
そんなによかったですかー。準がつくとはいえ、傑作という言葉を使ってしまえるとはかなりの評価ですね!
私も基本的には好みのタイプでしたし、やろうとしていることにも共感はできるんですが、出来上がったものに対しては、モウヒトコエ!って思ってしまいました。
守護者や記号論者っていう役割にもとてもそそられたんですが、興味深い設定のわりに、広がりや深みのある活躍をしてはくれなかったなぁという印象でした。好感はもてるんですが、もう一練りほしかったかなー。
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-13 23:39
Puff さん♪
ウフフフフ。何に期待するというわけでもないんですが、シャマラン映画って、観に行きたくなってしまいますよねー。不穏な雰囲気はすんごく魅力的ですよね。いわゆるホラー映画にはない空気感ですね。私もその不思議さ&不気味さに惹かれてしまいがちですー。
『サイン』のあやつのショボさには意表をつかれましたが、だんだんそのトンデモぶりが愛おしくなってきますよね(?) 確かに脱力しちゃうけど、外せないかもしれない。でも今回は、シャマラン監督の登場時間の長さに加えて、トンデモが映し出される時間もずいぶん長くなっていて、チープ感もいっぱいで笑ってしまいました・・・。おもしろい造形ではあるんだけどー。
どう考えても、シャマランの役が一番おいしかったですよね。現場で誰も反対しなかったんだろうか・・。
30分の連続ドラマはいいかもしれませんね。アパートの人々それぞれの暮らしをじっくり映し出すのも楽しそうー。
そうそう、私のあのプールの形なんかがとても気に入りました。雰囲気はとにかくよかったんですがねー。。
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-13 23:39
charlotte さん♪
あら、ご覧になっていたのですね。charlotte さんでも、レビューを書かないことがあるとはー。
そうなんですよ。評判はイマヒトツのような感じだったから、みんなにはイマイチでも、私には楽しめるタイプかもしれないわーって思って観たのですが、、さほどの結果は得られず・・・。水の精がやってくるというだけでワクワクしたし、アイテムや要素、部分的には私にとっても好みのものがいっぱいだったんですけどねー。どうせ御伽なら、妄想であれ、ローズ・イン・タイドランドのようにビジュアル化してくれる方が楽しいかなー。
絵本は泣けますよねぇ。
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-13 23:40
mar さん♪
今作の入りからすると、日本の配給会社も今までと同じような扱いにはしないかもしれませんねー。単館でやるなら、どのへんでしょうね。テアトル系?
それ以前に、ハリウッドではまだ仕事の依頼はあるんでしょうかと心配になったりして・・・。
そうか、『ヴィレッジ』では出ていなかったんですっけ? とにかく多い台詞と3秒以上クローズアップはやめてほしいですー。多くの人が気づかない程度の出方の方がカッコいいと思うんだけどなー。そんなに演技に自信があるんでしょうかねぇぇ?
Commented by mar_cinema at 2006-10-14 01:51
引っ張ってますが・・・(汗)
最終的には、テアトル系のレイトショーのみって気もします(笑)
赤字を出さない限りは、次作もあるとは思ってますが、今作ではどうなんでしょう。
「ヴィレッジ」では、喋りはありましたが、姿はモニターに映ってるだけなんで、
あ、控えめじゃんって思いました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-15 11:50
mar さん♪
レイトショーまでいってしまいますかー。まぁ、シャマラン・ワールドって夜に観るのにピッタリという気もします。(そういう問題じゃないか。)
シャマラン自身の脚本料の高さを抜きにしたら、ギャラがバカ高な俳優もいなさそうだし、セットにもさほどお金がかかったようにも見えないし、製作費はハリウッドものにしては高くない方なのかなとは思います。それなりの興行成績でも赤字にはならないのかな??どうなんでしょうー。
監督の出演はちらり程度がいいですねっ。
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