かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『歩道橋』 天橋不見了
2006年 10月 22日 |
劇場未公開だった蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督の2002年短編を観ることができました。
渋谷シアター・イメージフォーラムにて、27日(金)まで、レイトショーの『楽日』と併映されています。



上映中の蔡明亮監督の新作『西瓜』 は、2001年の 『ふたつの時、ふたりの時間』 の続きだと思っていた私は、working title -annex- のわかばさんの記事-蔡明亮の海に溺れて のおかげで、その間に幻の短編があるということを知りました。そのわかばさん情報によって、その未公開作の期間限定上映がされていることもタイミングよく知ることができ、2度目の『西瓜』鑑賞にあわせて、めでたく『歩道橋』体験をすることができました。わかばさん、多謝!

25分間の短編で、原題の「天橋不見了」は「歩道橋が消えた」という意味。
『ふたつの時、ふたりの時間』で、シャオカンが時計売りをする舞台に使った歩道橋が取り壊されてしまい、蔡明亮はこの短編映画を撮ったらしい。現実にあった台北の古い映画館「福和大戯院」が閉館されると知り、『楽日』 という映画を撮った監督ゆえの発想が嬉しくなってしまう。

シャンチーはあの歩道橋がなくなっていることに狼狽えながらも、交通量の激しい道路を無理矢理渡って、警察官に注意を受けてしまう。警官は地下道を渡りなさいと注意する。

でも、地下道って、暗くてジメジメしていてイヤだよね。『アレックス』のあの衝撃事件が起きたのも地下道だし。(夜だけど) 地下道よりも歩道橋の方が断然ステキじゃないか。(登るのがちょっとかったるいんだけどね・・・) イメージフォーラムに行く時もいつも歩道橋を渡っているよな。東邦生命ビルはいつクロス・タワーになったんだっけ?尾崎豊の歩道橋を思い出してみたりする。
~歩道橋の上 振り返り焼けつくような夕陽が♪ 

とにかく歩道橋にはドラマがあるのだ。川にかかる橋ほどに、美しいものとしてイメージはされにくいものだけど。対岸との架け橋の役割は同じなんだよね。都会の激流を眼下に望み、少しだけ空に近づける歩道橋。

『ふたつの時、ふたりの時間』と、『西瓜』、シャンチーとシャオカンの物語に関心がなければ、さして面白い映画ではないと思うのだけど、2人の時間に心つかまれてしまった私には、興味深い一作でした。せつなくて、ほほえましい。

最初はその道路に何が起こっているかよくわからないんだけど、シャオカンと出逢える場所であった歩道橋がなくなってしまった事実に、シャンチーがとにかく狼狽えているということを把握すると、その喪失感に共感せずにはいられない。また会えると思っていたのに、その架け橋がなくなってしまうなんてことがあるとは・・・。

2人が一度すれ違っていた事実にもドキリとさせられた。片方だけが気づいている偶然のすれ違いって、せつないよね。
そして、こうやって、シャオカンはAV男優になるための面接を受けたんだなぁ。再会を果たせないままに、人には言えないこの過酷な仕事を初めてしまったのだな。ささやかな日常の1ページに過ぎないけれど、じんわり感慨深い歩道橋物語。
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by CaeRu_noix | 2006-10-22 11:36 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(4)
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Tracked from working titl.. at 2006-10-22 21:59
タイトル : 歩道橋
歩道橋 (2002) 蔡明亮監督  「ふたつの時、ふたりの時間」から「西瓜」へ。この作品こそが、渡された歩道橋。  以前の蔡監督に関する記事にも書きましたが、「ふたつの時、ふたりの時間」と「西瓜」の中間に位置する「歩道橋(天橋不見了)」という短編があります。  未公開だったこの作品が、イメージフォーラムにて限定公開されています。早速観てきました。  「ふたつの時~」と「西瓜」の中間、とは聞いていましたが、ここまでそうとは思いませんでした。  本当に中間。というより、「ふたつの時~」の...... more
Tracked from 映画雑記 at 2006-11-06 02:18
タイトル : 歩道橋
蔡明亮監督の「ふたつの時、ふたりの時間」から「西瓜」の間を繋ぐ短編作品。 既に「西瓜」は鑑賞済み、「ふたつの時、ふたりの時間」は近々鑑賞予定。 時系列を逆に辿っている事になっているのだが、こういう鑑賞の仕方も悪くないですね。 先に「西瓜」を鑑賞していたので、シャンチーとシャオカンの「西瓜」へ至る序章として、 映画を捉えたのだけど、単作としても好みの作品でした。 台湾では、歩行者も道路交通法に違反すると罰金とられるんでしょうかね? 日本でも、歩行者と自転車に罰則があれば、いいかもって...... more
Commented by sabaha at 2006-10-22 22:25
こんばんは、名前出していただいてありがとうございます(笑)わかばでーす(笑)
短いながらも、トイレシーンもあれば、断水もあったり、(あんな状況でチャーハン食べる気しないっす)、蔡明亮印満載でしたね♪
シャンチーの胸元が、ものすごい日焼けしていたのも印象的でした。
あとあのAV面接官、「西瓜」にもいましたよね?すごい探してしまった(笑)
対照的に”地下道”と言えば、「西瓜」のオープニングは地下道でしたね。意識的なメタファなのかな?(いくらなんでも深読みしすぎか)
「アレックス」、今三軒茶屋で「ジョルジュ・バタイユ ママン」と二本立てしてますが、「アレックス」は申し訳ないけど二度観る気はしない…。
おっしゃるとおり、地下道より歩道橋が断然いいですっ。かったるいけど(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-23 18:18
わかばさん♪
いえいえ、お気に入り監督の未公開作チェックもしていない私は、大変感謝していますー。
そうそう、断水が始まっていたのがミョーに嬉しかったです。コーヒーがないから仕方なくチャーハンっていうのがまた潔いしー。え、シャンチーはそんなに日焼けしてたんですっけ?髪は短かったですよねー。どれくらい前の時期っていう設定なんでしょう?って、手がかりを見つけたくて、夢中になって見てしまいましたー。
すみません。私は人の顔を判別できないんですー。AV面接官も共通キャラだなんてそれは素晴らしい発見ですな。
そう言われてみれば、西瓜のオープニングは地下道でしたね。歩道橋を諦めて?そこを通るようになったのかしら。地下道は空が室内にしかない世界には合ってますね。うーん、考えたらキリがないかも。(笑) 
とにかく、かったるい歩道橋のステキさに気づかせてもらえました♪
『アレックス』はかなり気に入っています。しかし、同じく二度目を観たいとは思わないー。ノエのパートナー作品の『エコール』 がとても楽しみですー。『ママン』も映像の質感がすごく気に入りましたー。
Commented by mar_cinema at 2006-11-06 02:17
かえるさん、こんばんは。
時系列を辿ってる二人の物語・・・そういう観かたも有りだなって思いつつ、
「ふたつの時、ふたりの時間」は、これから鑑賞する予定です(笑)
また、短編として、好きな作品だったりします。
もしかしたら再会する事のない二人のせつないすれ違いの物語として、
単体として捉えた時にも、なんともいえない空気を感じさせてくれたと思います。
(まぁ、「西瓜」で再会すると知っているんですけどね・・・)

そういえば、尾崎豊の歩道橋は、あそこの歩道橋なんですよね・・・
Commented by CaeRu_noix at 2006-11-07 12:38
mar さん♪
歩道橋で時計を売っていたシャオカンに出会ったという事実さえふまえていれば、『ふたつの時、ふたりの時間』を観ていなくてもOKだと思います。私も大半は忘れてしまっているし、パリでの時間がメインだったし。前後関係を気にしなくても、短編単体としても充分に不思議な魅力がありましたよね。せつないすれ違いでした。
時系列を辿って二人の物語を観ていくというのも面白いと思います。私も続きものだと意識して観てきたわけではないですし。新たな発見がありそうですね。
私はマレーシア舞台のシャオカンを楽しみにしています。
そうそう、渋谷で歩道橋というとまず尾崎を思い出してしまう私でっす。
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