かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ブラック・ダリア』
2006年 10月 27日 |
雰囲気を楽しめた。あやしさがいい。

1947年1月15日、ロサンゼルスのダウンタウンで身体を腰で切断された女の惨殺死体がみつかった。黒髪に黒ずくめの衣装のブラック・ダリアと呼ばれた女優志望の女性エリザベス・ショートのものだった。
実際に起こった未解決の猟奇殺人事件を題材にしたジェイムズ・エルロイのノワール小説が原作。



シネコンにあった本作の大きな宣伝看板を見て、ジョシュファンでもデ・パルマファンでも何でもないけどちょっとワクワクしてしまった。おこちゃま映画やアイドル映画だらけのシネコンにこういうノワールなR指定映画がかかるというだけでなぜか少し嬉しくなる。こういう雰囲気こそ、劇場体験したいもの。どうも評判はイマヒトツみたいだけど、エルロイファンでもない私はなかなか楽しめた。このアヤシさがいいじゃない。

ボクシングの試合に迫力がないとか、せっかくのスカーレット・ヨハンソンなのに登場時の鮮烈さは『マッチポイント』の時に遠く及ばないとか初めの方ではノレない要素がちらほらあったのだけど、次第にこの奇妙な雰囲気がおもしろいと思えてきた。セピア調の映像に魅せられて、この時代のこの事件下の妖しくも鬱蒼とした空気を堪能。こういう雰囲気をもっともっと作り込んだら、『シンシティ』のような世界になるかもしれない。レズバーのダンスは見ごたえあったし、 マデリンの家族リンスコット一家の奇妙さも見どころ。

エリザベス・ショート役のミア・カーシュナーって、アトム・エゴヤンの『エキゾチカ』で踊っていたコだったのね。彼女の妖しくももの悲しい雰囲気がとてもいいじゃない。主人公も観客の私たちも彼女の姿を見られるのは、録画された映像の中でだけという演出がすごくいいんだなー。映画的なんだなー。彼女がスカーレット・オハラの台詞を言うシーンにせつなくなってしまう。フィルムという小道具がとにかくよかったな。この時代のハリウッド映画ネタも興味深く。『サンセット大通り』の哀しさや『マルホランド・ドライブ』のせつなさを思い出したりして。

謎が解けて真犯人が究明される場面が、ちょっとわかりにくくて、サスペンスものとしての的確なおもしろみには欠けるのかもしれない。でも、私にはあの気味の悪い家族の描写がおもしろかったので不服ではないかな。
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by CaeRu_noix | 2006-10-27 10:29 | CINEMAレヴュー | Trackback(12) | Comments(12)
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タイトル : The Black Dahlia  ブラック・ダリア
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タイトル : ブラック・ダリア
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タイトル : 「ブラック・ダリア」
「The Black Dahlia」2006 ドイツ/USA 監督はブライアン・デパルマ。デパルマの作品で、エロチシズム満載作品と言えば...ナンシー・アレンの「殺しのドレス/1980」、メラニー・グリフィスの「ボディ・ダブル/1984」、レベッカ・ローミン・ステイモスの「ファム・ファタール/2002」を思い浮かべる。私的にはどれも大好きな作品。 原作は「LAコンフィデンシャル/1997」のジェームス・エルロイが書いたクライム・サスペンスのベストセラー“The Black Dahlia”。 主演...... more
Tracked from シネマでキッチュ at 2006-11-04 22:43
タイトル : ブラック・ダリア
巷では評判いまいちなのかな? 私はとてもいいと思う。ブライアン・デ・パルマ久々の快作といってもいいぐらい。 デ・パルマ監督は時々、世間の評判いまひとつなのが後にものすごくマニアックでカルトな人気を博していくことがあるのよね。 その最たるのが「スカーフェイス」でしょう、「スカー・フェイス」も私はすごい傑作と思ってます~。 私が忘れられないデ・パルマ作品マイ・ベストをついでに思い浮かべると・・・「ボ... more
Tracked from 茸茶の想い ∞ ~祇園精.. at 2006-11-12 14:14
タイトル : 映画「ブラック・ダリア」
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タイトル : 『ブラック・ダリア』Black Dahlia
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Commented by とらねこ at 2006-10-28 16:49 x
こんばんはー。
自分は退屈してしまいましたー。
ですが、実際の凄惨なブラック・ダリア事件は、とても悲惨なので、それをそのまま描かないのは、一種のファンタジー化で、そこは良かったと思います。
Commented by 風情♪ at 2006-10-29 00:30 x
こんばんは♪

猟奇な死体の状況と暗黒時代風の40年代アメリカと
素材は申し分なかったんですがね~決して不必要じゃ
ないんでしょうが三角関係等の余計な要素が強すぎち
ゃって本筋のサスペンス部分がいまいちだったんでダメ
でした・・・r(^^;)
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-30 10:42
とらねこ さん♪
退屈でしたかー。これって、評判よろしくないですよね。とりわけエルロイファンには不評ですね・・・。
とらねこさんは、もっと直接的に過激に訴えかけてくる方がお好みなのかしらー?ハードキャンディ的にガンガンと・・・。私はこの手のものに期待も思いいれもないので、ふつーに楽しめました。セピアに妖しい雰囲気がなかなかよかった。
Commented by CaeRu_noix at 2006-10-30 10:42
風情 さん♪
三角関係はそれほどに比重が高い印象にはなかったんですが、余計でしたかー。私は2人の男と1人の女っていうのは映画的で結構好きなんですけどね。主人公ジョシュくんがスカちゃんに惹かれながらも、親友の女だからと自制して、妖しいマデリンと関係するというのは、必要な心情だったと思うし。謎の解明が本筋なんだとしたら、いまいち映画ですよね。謎の究明に取り組んだ男が奇妙な世界に飲み込まれるというのがわたし的な本筋でした。
Commented by margot2005 at 2006-11-03 21:11
こんばんは!やはりCaeRuさんもおしゃるように、デ・パルマ妖しい魅力満載ですね。デ・パルマ作品はメラニーの「ボディ・ダブル」が一番好きですが..
字幕をしっかり追いかけたのですが、リー&ケイの過去..あのバスルームから発見された札束??ほとんど説明なしで...
それとマザーが、あの女優をあのような動機で殺しにいたっちゃうのか??なんて疑問も...マザー役のアイリッシュのフィオナ・ショーは時々見かけますが、いつも良い味だしてますね。
でも「LAコンフィデンシャル」を書いたエルロイの雰囲気も味わえたので良しとしましたわ。
Commented by CaeRu_noix at 2006-11-04 11:23
margot さん♪
ヨーロッパ派の私は、デ・パルマのことはよくわからないんですが、事件モノとしての物語の面白さうんぬんじゃなく、その独特の雰囲気に魅了されるのでした。『ボディ・ダブル』は未見です。チェックしますー。
謎の紐解き方はエクセレントにはほど遠かったですよね。せっかくの衝撃の真実が、状況把握するので精一杯で衝撃的に伝わってこなかった・・。真犯人とその動機も真面目に考えたら理不尽でしたよね。と、ストーリーはヘンでしたが、このアヤしい世界では何でもアリでしたー。マザーのアヤしさは格別でしたよね。
世間の満足度は 『LAコンフィデンシャル』とは雲泥の差のようですが、暗黒シリーズの映画化は嬉しいです。ファンチャー版が観てみたかった気もするが・・・。
Commented by betty at 2006-11-04 23:01 x
かえるさん
「太陽」に続いてこっちにも連続コメントです。

おもしろかったわ~。
はじめは“デ・パルマ、やっちゃったかなあ、痛てて・・”と思わなくもなく、失敗作ではとの不安がよぎったんですが、
みていくうちに、すんごい面白いムードがあふれてきて、えらいカルト映画をみてしまったような怪しい興奮を禁じえませんでした(笑)

>次第にこの奇妙な雰囲気がおもしろいと思えてきた

と、かえるさんがおっしゃることが、私にもまったく同様に起こったのですね~。

夏祭りで、あやしいテント小屋に入って、ヘビ女とかろくろ首とかを見てしまったような、裏道なドキワクを感じました。
私にとってはくすぐられる映画でした。
Commented by CaeRu_noix at 2006-11-06 11:35
betty さん♪
おもしろかったですよねー。私も初めの方はダメダメかもーって感じてしまったんですが、だんだんあやしさにハマっていきました。カルトっぽかったですよね。レズビアン・バーにまず釘付けになりました。そして、なんといってもあのリンスコット一家!そうなんです。見世物小屋ちっくな胡散臭いあやしさがおもしろかったんですよね。マデリンは蛇女風味だったし。キレのある『LAコンフィデンシャル』とは方向性がまるで違うわけです。比べるものじゃないよなーと。『神に選ばれし無敵の男』のお店のことなんかも思い出したりしました。あと、ハリウッドネタ、映画ネタが魅力的でしたしね。オトナエンタメとしては楽しめました。
Commented by 狗山椀太郎(旧・朱雀門) at 2006-11-14 11:53 x
こんにちは
本作のレビューを拝見していると不満を持たれた方も多いようなので、期待半分、不安半分で鑑賞したのですが、けっこう面白い作品でした。
中でも、リンスコット一家の胡散臭さは特筆ものですね。「初訪問の人間にそこまでやるか?」と突っ込みたくなるほど、悪趣味ぶりをアピールしていました。グロテスクなシーンが多かったし、ラストに至ってはホラーのようでもありました。
一応、サスペンス作品のはずなのに、変なサービス精神がありますね(笑)。

ハリウッドの華やかな世界を夢見た女性が徐々にその夢を奪われていくあたりは、ご指摘の通り『マルホランド・ドライブ』に通じると思います。
Commented by CaeRu_noix at 2006-11-15 00:54
狗山椀太郎さん♪
けっこう面白かったですよねー。不満の声ももっともなんですが。
リンスコット一家は大いなる見どころでしたよね。妹もキャラもわけわかんなくておかしかったし。あの初訪問のシーンがもう一回観たくなりました。そうそう、刑事が殺人事件を捜査するミステリーな作風ではなくて、オカルト風味なホラー仕立てでしたよね。その奇妙さになんだかワクワクしちゃいました。ストレートではないけど、エンタメにあふれていましたよね。
そうなんですよ。『マルホランド・ドライブ』や『ハリウッド大通り』を思い出したことが自分にはプラスに作用したカンジです。
あと、思い切って、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の後半みたいな展開でもよかったかな。原作があるからそうはいかないだろうけど・・・
Commented by minori at 2007-07-26 18:55 x
かえるさーん。こんばんわ♪
いやー、あの家族に私も満足です。
犬が…。妹もナイスでした。
でもやっぱりかあちゃんか…。
セピアがカラーに変わるときが逆に現実から
非現実になるっていうのがなかなかヨカッタ感じでした。
次はパフュームが早くみたいところです。
今回の同時上映(笑)は「アガサ・クリスティーの奥さまは
名探偵」でした。かえるさんはごらんになりました?
Commented by CaeRu_noix at 2007-07-27 10:36
minori さん♪
楽しんでいただけてよかったですー。
アーロンやスカちゃんの使い方はちょいともったいなかったかなと思うんだけど、ファミリーのあやしさは格別だったのでOK。セピアが似合う世界でした。
『パフューム』はまだ出てないのかな。これは是非スクリーンで観てほしい系。『マリアの受難』も同じ頃にDVD発売されるようなので、こちらもついでにどうぞー。トム・ティクヴァの長編処女作ですー。
『アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵』は観てないのですよ。フランス映画好きな私なのに、これはスルーしてました。あまり惹かれない系。おふらんすものといったら、『灯台守の恋』、『愛されるためにここにいる』が好評レンタル中ー。
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