かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『Oi ビシクレッタ』
2006年 11月 03日 |
わくわくロードムービー。それもチャリ。
創作の物語というなら少し物足りない気もするのだけど、こんなリアルストーリーがあったことには多様な思いがよぎりって感慨深い。

ブラジル北部からリオデジャネイロを目指して、3200kmを自転車で旅した家族の物語。



3200kmって?何だか実感のわかない距離なんだけど、日本縦断するよりも長距離であることは確か。それも体を鍛えたスポーツ選手なんかではなくって、子どもを含む普通の家族がやり遂げたというんだから驚き。一体どういう事情があるのかと思えば、ただ単に一家の主導権をにぎっているのが頑固なバカ父だったからというだけ。それが実話に基づいているというのだから・・・。

信仰心が厚いといえば聞えはいいけど、この父親ロマンときたら、現実を見つめられない神頼み野郎。家族を養なうために月1000レアル稼ぐ仕事に就かなくちゃという思いはよいのだけど、才能も努力もなしにそんな仕事がきっと見つかるに違いないと根拠なく思いこんでいるのは困りもの。養うことが大事なら仕事を選んでる場合じゃないでしょう。本人だけの問題ならば好きにすりゃーいいんだけど、妻や子どもたちが可哀想だー。ハンモックづくりで1日9レアル稼ぐ妻の方が立派だと思う。困ったちゃんな父親に振り回されて自転車の旅を続けなければならない家族が不憫ー。

そんな家族の姿は、イメージしていたほのぼのロードムービーとは違っていたけれど、だからこそより一層彼らの無事な旅路を祈ってしまうのだった。こんな生活はもう嫌だとボヤきながらも着いていく妻の姿は涙ぐましい。家族は一丸となってがんばるしかないのだなぁ。家族が助け合うことは当然のことと思いつつも、やはり子どもが犠牲になってはいけないよなという葛藤もわき起こり。いくらなんでも、お前は神が試練を与えるために遣わせた子どもだなんて面と向かって言うのは酷すぎないかな。文化の違いなんだろうか。鼻も痛そうだったし、精神的にも一番ツラかったであろう、長男アントニオが健やかに成長してくれることを願わずにはいられない。
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頑固オヤジにやれやれと思いつつも、イギリス・アイルランドもののダメオヤジ映画を観た時ほどにウツな気持ちにならないのは、やっぱりブラジルだからなのかなぁ。彼らが青空の下を自転車をこぐ姿、楽しげに歌を歌う姿にはすがすがしい気持ちになってしまう。私だったら不満タラタラな状況を、自然に受け容れて前に進んでいく人間の寛容さと前に進むエネルギーが素晴らしいのだもの。
ブラジルの町の風景も興味深く、ロベルト・カルロスのブラジリアン・ポップスも心地よく響き、やっぱりロードムービーはステキ。厳しい現実の中でも輝く生命力、地球の裏側に思いを馳せるのだ。

O Caminho das Nuvens/THE MIDDLE OF THE WORLD
2003  ブラジル  公式サイト
監督 ヴィセンテ・アモリン
出演 ヴァグネル・モーラ、クラウジア・アブレウ、ラヴィ・ラモス・ラセルダ
(渋谷 シネマ・アンジェリカ)
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by CaeRu_noix | 2006-11-03 13:11 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(6)
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Tracked from とにかく、映画好きなもので。 at 2006-11-09 10:34
タイトル : Oi ビシクレッタ
 自転車(ビシクレッタ)で3200kmを走破、家族は7人、4つの自転車にまたがって。  ブラジル北東部に住む失業中のトラック運転手ロマン(ヴァグネル・モーラ)が、月1000レアル稼げる仕事を求めて、リオ・デ・ジャネイロを家族と共に向かいます....... more
Tracked from アロハ坊主の日がな一日 at 2006-11-17 21:06
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[ Oiビシクレッタ ]@渋谷で鑑賞 自転車で家族がブラジル横断(3200km)、ブラジルで本当 にあった話を映画化! ブラジル北東部に住む無学で頑固な失業中のトラック運転 手ロマンは、自らを運命の男と信じ、失業中でありながら 月1000レアル(約400ドル)稼ぐ仕事に就くことを決意。 愛する妻ローゼと、6ヶ月の赤ん坊を含む5人の子供達を連 れリオ・デ・ジャネイロを目指し、自転車(ビシクレッタ) で旅を始める。 ... more
Tracked from epiphany at 2007-05-10 02:15
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Commented by Puff at 2006-11-04 18:47 x
いやー、これはシマッタですよ!
シネマ・アンジェリカは、結構長く上映しているので、安心しきっておりました。汗
その後に、「大阪ヨーロッパ映画祭 in TOKYO」なんてのがあったのですね。

ロードムービーって、自分も同じ目線で、そして、彼らと共に旅をしているような気分になれるところがイイですよね。
そして、何より異国の風景を見れるのが嬉しい。
>彼らが青空の下を自転車をこぐ姿、楽しげに歌を歌う姿
うーーん、観てないけど、何だか分かる気がしますー
ブラジルの広大な土地、ブラジルの持つパワー。
青い空の下、彼らの旅を観てみたかった!
レンタルかケーブルで放映されるのを待つとします。
ホントはこういった映画は大きなスクリーンで見るのが一番良いんですけどね。。。
Commented by CaeRu_noix at 2006-11-05 23:04
Puff さん♪
いつもはもっと長く上映していますよねー。私もそういうつもりで余裕でいたのに、ふと気づいたら一週間後に終わってしまう事実を知り、慌てて最終週に観に行きました。「大阪ヨーロッパ映画祭 in TOKYO」のことは知っていたのだけど、なんとなく同時進行すると思いこんでいて・・・。いやいや、残念でしたね。公開日チェックはネットでするのが常ですが、終了日確認は一覧できるぴあがわかりやすくっていいですー。
ロードムービーは最高ですよねー。旅気分を味わうのは楽しいです。南米のロードムービーはよいものが多いですよね。これは実は、物語の方はイマヒトツ感動が薄かったんですよ。『セントラル・ステーション』や『モーターサイクル・ダイアリーズ』には及びません。それでも、やっぱりロードムービーはいいなーって感じさせてくれるものでした。いつかご覧くださいー
Commented by orange at 2006-11-09 10:34 x
かえるさん☆こんにちは。
コメント&TBありがとうございました~!
3200kmという距離もこのオヤジあってこその達成ですね・・・
わがままで神頼み野郎ですが、僕は意外とこの主人公でもある父親の生き様に共感してしまいました。
何だかんだ言っても家族を愛する素敵な一面も見せますし、妥協しないで突き進む精神は健全だと思います。
長男の選択は清々しくてよかったですね。父と子の間に何か信頼できる一本の絆が出来たような気がします。
しかし、自転車でこの距離は凄いですね・・・妻がもう旅は嫌だという気持ちは分かります♪
Commented by マダムS at 2006-11-09 21:16 x
むふふ。ほんとなんなんでしょうねあのお父ちゃんの自信は(笑)
それでもついていく奥さんと子供はエライ!
私はなんと最終日に駆け込みで観て参りました~ 間に合って良かった♪
もちろん『セントラル~』や『モーターサイクル~』には遠く及ばないですが、おっしゃるとおり何だか爽やかに感じたのは”前に進むエネルギーが素晴らしい”からかもしれませんね~♪
簡単な感想 今頃書きマシタ(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2006-11-10 01:18
orangeさん♪
ロマン父さんに共感しましたかー。その信念の強さには感心させられました。1人の男としてはよいと思います。ただ、父親としては、ちょっと歯がゆい存在でした。自転車の旅は一番下の子がもうちょっと大きくなってからでいいんじゃないかと思ったり。本当はもっと自分を省みてほしかったんですが、毎日の生活に精一杯だと、自身がよい父親かどうかを客観的に考える機会なんてないんでしょうね。そんな私の不安感をよそに、彼ら家族が結束してがんばっていたのがすがすがしかったんですけどね。お国柄の違いってことなのかなぁ。何はともあれ目的達成はすばらしいです。
自転車でその距離を移動なんて私には絶対無理。
Commented by CaeRu_noix at 2006-11-10 01:28
マダムS さん♪
ご覧になったのですねー。
父のあの自信は謎でしたー。リオにさえ行けば、高給の仕事につけると思いこんでいたのはなぜ?キリスト教だったら、自らが奉仕することも大事なんじゃないかと思うんですけど、彼の場合は自分が神の恩寵をうけることばかりを信じているという・・・。まぁ、そんな父親だったからこそ、ハラハラ見守ってしまったんですが。父に対する歯がゆい思いもあったからこそ、家族の団結ぶりや旅の達成感やらがよりステキに輝いたという部分もありました。前向きさがいいですよねー。
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