かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『上海の伯爵夫人』
2006年 12月 04日 |
クラブの雰囲気がステキ。ロマンスは・・・

1936年の上海。ロシアから亡命した伯爵夫人ソフィアはクラブでホステスとして働いていた。そこで盲目の元外交官ジャクソンに出逢う。



白い雪が宙を舞う中をくるくるとダンス、カメラもくるくる。いかにもクリストファー・ドイル的なカメラワークで始まった映像世界に好感触。激動の上海と頽廃的なムード漂うきらびやかなクラブの雰囲気は何とも魅力的。喧騒の中で心地よく響くジャズのメロディ酔いしれながら、クラブの客になった気分で多様なステージパフォーマンスを楽しむのであった。そう、雰囲気は予想通りに好み。でも、ちょっと、こういう場面では、煙燻らすトニー・レオンやレスリー・チャンの姿が見たくなった。上海デカダンスといえば、『花の影』のレスリーだ。大人のプラトニックラブなら、『花様年華』だ。なんて、そんなふうに別のものたちのことを思っていた私はつまり、この映画にはさほどハマらなかったということね。

書き下ろし脚本ってどうなんでしょう。カズオイシグロの小説というと一人称で書かれたものが代表的だと思うけれど、この映画の脚本はどういうスタイルで書かれていたのかな。某台湾監督の脚本のように薄っぺらくはなくて、小説と同じようにビッシリと描写がされているのかな。書きながら映像をイメージしたりしたのかな。うむ、私の愛する映画って、小説家が生み出すものじゃないのかもしれないなぁ。

そういう設定の物語だとはずっと前から知っていたけど、主人公を「盲目」にしてしまうところが好きじゃないんだよなぁ。目が見えない不自由さがあったから、彼女との出会いがあって、絆が生まれたのだろうけど・・・。ジャクソンったら、目が見えない人にしては、顔や体の向きをこまめにかえすぎじゃないかなぁなんて感じたのだけど、数年前までは見えていたということだから、動作のクセはぬけないのかな。オーバーアクションなアメリカ人だからそんなもの? 
ジャクソンの人間性がよくつかみきれなかったんだけど、家族や視力を失って自分の殻に閉じこもりがちな男が、理想のクラブを作ることを目標としていることに違和感があった。失望した男の野心はそういう方向にいくものなの?姿形も見えずに交流も浅いうちから夫人を理想と断定してしまうのもちょっとね。要は、ナターシャ・リチャードソンの風貌が私好みじゃなかったから?

主人公を不幸な設定にするのなら、物語にもっと引き込んでくれなくちゃ・・。家族を失った盲目の男と亡命しホステスに成り下がった伯爵夫人という2人の悲劇のロマンスなんてなんてなんて・・・。その上、夫人は娘と引き離されそうになってしまい、目が見えないのに夫人を捜しに港へ向かうべく危険な街を1人で進むクライマックスは見どころなんだろうけど、やや興ざめ。ハラハラさせられた後、最後に観客は胸をなで下ろして感動するという運びなのだろうけど、途中ハラハラするより気恥ずかしかったから、最後も感動するよりゲンナリしちゃった。すみません。

この時代の上海やクラブの雰囲気は大いに楽しめたんだけど、そこにあるロマンスはあまり好みではなかったな。


THE WHITE COUNTESS 2005
イギリス/アメリカ/ドイツ/中国  公式サイト
監督 ジェームズ・アイヴォリー
脚本 カズオ・イシグロ
撮影 クリストファー・ドイル
プロダクションデザイン アンドリュー・サンダース
出演  レイフ・ファインズ、ナターシャ・リチャードソン、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、真田広之
(Bunkamura ルシネマ)
[PR]
by CaeRu_noix | 2006-12-04 23:58 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(2)
トラックバックURL : http://latchodrom.exblog.jp/tb/4303521
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from 地球が回ればフィルムも回る at 2006-12-05 22:37
タイトル : 『上海の伯爵夫人』
『上海の伯爵夫人』 異国情緒のメロドラマだが、1930年代、上海の舞台設定、背景が練られていて、けっこう、面白い。「無国籍アクション」というのは日活や香港映画であるけれども、「無国籍メロドラマ」というのはありそうでなかったものかも。 ソビエトから中国へ亡命したロシア人一家(共産主義者一家ではなく落ちぶれた貴族の一家である)の未亡人と、盲目のアメリカ人(元外交官)、それに日本人のスパイ(中国共産党や国民党から情報を集めているのか?)が絡む。日本軍の上海侵攻が背景となっている。 このスパイ役を真田広...... more
Tracked from soramove at 2007-01-12 22:32
タイトル : 「上海の伯爵婦人」かつてこんな世界があった
「上海の伯爵婦人」★★★☆ レイフ・ファインズ 、ナターシャ・リチャードソン 、真田広之 主演 ジェイムズ・アイヴォリー 監督、2005年、イギリス=アメリカ=ドイツ=中国 第一次大戦後、 中国に列強が進出し、 各国が「租界」という独特の街を作っていた...... more
Commented by kusukusu at 2006-12-06 01:21 x
たしかに、つまらなくはなかったけど、どこか、話に入り込めないところはあったかも。
カズオ・イシグロの小説は読んだことないけど、亡命した人達を描くことにこだわりがあることはよく分かったのですが、これは映画より小説での方が味わえる題材なのかもしれないですね。
でも、ドイルの撮影の雰囲気はなかなかだったと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-07 00:03
kusukusu さん♪
なかなかおもしろかったんですけどねー。どっぷりハマるということはありませんでしたー。カズオ・イシグロのおじいさんが上海の租界でビジネスマンとして働いていたということで、それが物語のヒントになったらしいですね。なので、真田広之の役が登場したんでしょうね。
クラブのシークエンスなんかは映画ならではの楽しみどころではありましたが、ストーリーそのものは小説向きな感じですよね。盲目の元外交官の一人称で語られる方がドラマチックかもしれません。個人的には盲目という絶妙な設定があまり詩的に映画的に活かされていなかったのが残念でした。ダンサーインザダークや太陽は、ぼくの瞳のようにとは言わないけど・・・。
ドイルのカメラはいつもよいのですが、アイヴォリー作品にマッチしていたのかはよくわかりませんでしたー。
<< 『Lunacy ルナシー』 PageTop 第19回 ヨーロッパ映画賞受賞結果 >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon