かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『麦の穂をゆらす風』
2006年 12月 07日 |
ケン・ローチは素晴らしい。個人的満足度は、イーストウッドより下だったけれど。

1920年。イギリスの支配を受けてきたアイルランドで独立戦争が起こり、やがて内戦が始まる。



大麦を揺らす風。なんて爽やかなタイトルなんだろう。これは、アイルランドの伝統歌の名曲「The wind that shakes the barley」から取られている。
人間たちがどんなに愚かしい振る舞いを繰り返そうが、大地をそよそよと吹き抜ける風は太古の時代から変わらない。Barley=オオムギは世界最古の穀物の一つで、聖書の地の七産物の一つでもあるという。その作物は悠然と大地に生い茂り、風に揺れているのだ。美しい風景を背にしての戦闘はあまりにも悲しい。

アイルランドの歴史については勉強不足であるけれど、映画を観た頃に、同じ 20世紀初頭、英国からの独立運動が激化するアイルランドを舞台にした「星と呼ばれた少年」(ロディ・ドイル著)を読んだので、その激戦時のアイルランドの人々の一側面を知り、いくつかの固有名詞の予習ができた。その小説の主人公は、ダブリンのスラム街で育ったので、ただ生きるために兵士になるのが自然な道であったのだけれど、本映画の主人公デミアンは、そのままでいけば医師になるはずの人間であったのだ。せっかくの資質をもっている有望な青年が、医師となって人の命を救うことのできたはずの人間が、命を奪い奪われる戦いに身を投じるというのは何ともやるせない。そして、祖国の独立、自由のために、多くの犠牲を払って戦ったところで、誰しもの理想に叶うものは手に入らず、当初の目的がどんどん見失われていくだけなのだ。

キリアン・マーフィーは素晴らしい。いつも全くの別人となってスクリーンに現れる。素人俳優の起用の多いケン・ローチ映画において、少しも目立ちすぎることなく見事に溶け込んでいて、運命に飲み込まれてしまう誠実な青年をリアルに演じきっていた。映画が始まってしばらくは傍観していた私だったのに、キリアン扮するデミアンに共感を覚えずにはいられなくなった。現代の平和な日本に暮らす私の物差しでは、否が応でも武器を持って戦うなんて馬鹿げていると思いながら、そこにいるデミアンならばその道を選択するのもやむ終えないと感じてきてしまう。仕方のないことと納得しながらも、普通に暮らしていた青年が武装するというのはやはりやるせないという思いも消えず、ドラマの展開に素直に身をまかせられずに、何だか困ってしまったりもした。
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どうして今、アイルランドの独立戦争と内戦を描くのだろうということにも戸惑った。やはりイラクということなのだろうかと、その接点を探しながら眺めた。『父親たちの星条旗』を観た時は、今そのテーマが映画として世界に訴えることの意義が私には強く伝わってきたのだけれど、本作ではそれが手に取るようにはわからず、冷静に思考してしまったりもした。戦争の悲惨さ、とりわけ内戦というものの救いようのない悲劇性はとても真摯にストレートに描かれているけれど、そこに悲しみとやるせなさを感じるだけでいいのだろうか。そうじゃないんだろうな。でも私には鑑賞中に、自然に現代の世界の問題とつながっていくという手応えはなかったのだった。スペインの内戦が舞台だった『大地と自由』はシニカルなエピソードが印象的で、それによって戦争の愚かしさがあぶり出されたのだけど、今作の内戦の悲惨さはわかりやすく胸をうつものでありながら、それが悲劇が繰り返されるだけの愚かなものであるということは既に知っているから・・・。結局、21世紀の私たちが1920年のアイルランドを見て、何を学べばいいのか、単なるおさらいでいいのかな、と思うとテーマがよく見えなくなるように感じられて・・・。

内戦下を描いたものというとクストリッツァ映画などをまず思い出す。シニカルにごった煮の手法で圧倒してくれるそういった独創的な映画に毒されすぎている私は、このストレートなアプローチが少し物足りなかったのかもしれない。ケン・ローチ作品のmyベストは内戦下の中米ニカラグアが登場する『カルラの歌』。それを観た時、激しく感情を揺さぶられたことに比べると、本作鑑賞では冷静にただ歴史を学んだというような部分が多かったかもしれない。見ごたえのある作品ではあったけれど、敬愛するケン・ローチ監督のパルムドール受賞作品にしては、個人的にはやや不足感が残ったかな。

とはいえ、本作がカンヌ映画祭でパルムドールの栄誉に輝き、世界の多くの人々がこの映画やそこにあるテーマに感心をもって、考えてくれるのは素晴らしいことだと思う。英国内では、IRAの肩をもっていると批判的な評もあったようだけど、世界のケン・ローチはそんなことを気にせずにこれからもがんばってほしいな。

THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY 2006
イギリス/アイルランド  公式サイト
監督 ケン・ローチ
脚本 ポール・ラヴァーティ
撮影 バリー・アクロイド
出演  キリアン・マーフィ、ポーリック・デラニー、リーアム・カニンガム、オーラ・フィッツジェラルド
 (シネカノン有楽町)
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by CaeRu_noix | 2006-12-07 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(20) | Comments(23)
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Commented by さち at 2006-12-08 08:46 x
ケン・ローチの伝えたかったことはヒリヒリするくらいわかるのですが、「これは何の為の戦争なんだろう」という台詞にして表現してしまったのが惜しかったかなと思いました。メッセージは言葉を通じて耳でじゃなくて、全身で受け止めたかったかなと。
テーマへ真っ向から勝負しているのはよーくわかるんだけれど、その力み具合が、私にはちょっと合わなかったみたいです(苦笑)

他の皆様の感想を拝見すると、肯定的なご意見が多くて、いたましい歴史を題材にした映画については、観客は、ただ受け止めるしかないのかなぁなんて悶々としていたところ、かえるさんのレビューですっきりしました。ありがとうございます。
Commented by マダムS at 2006-12-08 11:35 x
こんにちはー♪
さすがですねー これだけ沢山の映画をご覧になって感想も丁寧に書いてコメントへの返信も心がこもっていて、仕事もなさっているのに、本まで読んでいらっさるなんて!!いったいいつ寝ているのーー!?(笑)
沢山の映画をご覧になっていらっしゃるから、他との比較も出来るのですよね~ただただ感服でございます!!! 
自分の勉強不足が恥ずかしく・・(^^;)
確かに今何故アイルランドなの?と、ちょっと遠い話に思えたりもするけれど兄弟同士の悲しい結末はドラマチックでしたね~~
イギリス人が描くアイルランドと、アメリカ人が描く「硫黄島」・・
どちらも人間ドラマに重きを置いた点で見応えあるのかな・・
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-08 14:29
さち さん♪
そうなんですよー。一次的に描こうとしていることはよくわかるのですよ。でも私の場合、ヒリヒリと伝わってきたんじゃなく、頭で理解した感じだったかも。テーマを台詞として言わせてしまっていたのは残念ですよね。あえて直球法を選んだんでしょうけど、その場でそういう冷静な台詞を吐ける人がいるなら、やみくもな戦いにも歯止めがきいたのじゃないだろうかと思い、しっくりとこなかったり・・。

私も決して本作に否定的というのではありません。でも、出来事の重さの割にはガツンと響いてこなかったなぁと。さちさんはその悲劇性にやるせなさを感じられたようなのだけど、私はどん底に突き落としてくれる痛い戦争映画自体は嫌いじゃないんですよね。例えば、太平洋戦争・ベトナム戦争ものを観る時はそれは過去の出来事という認識のもとで観るから、戦争の悲惨さを強く感じれば感じるほどに、平和を願うことができる。でも本作は、過去の物語でありながら現在の世界情勢が意識されていて、愚かしい戦いが繰り返されている今の世を、じゃあ一体どうしたらいいのかわからなくて困ってしまうというか。私も悶々としましたが、そういっていただけると嬉しいです。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-08 14:30
マダムS さん♪
ひゃー。本は大して読んでないですよ。電車の中で読むくらいなので・・。これも読み終わるのにすんごい時間がかかりました・・・。睡眠もそれなりにとっています。でも、映画やパソコンに向かう時間が長くて、人として女としてすべきことをかなり省いているかもしれないということはここでは内緒にしておきます・・・。
何かと他の映画を引き合いに出しちゃうのは果たしていいことなのかはわかりません。むしろ、純粋にその作品と向き合って、他作品との比較なしでレヴューが書けたらいいと思うのですが。でも、どうしても、いろんな映画のことを思い出しちゃうんですよねー。比べることから話が始まってしまう・・・。
アイルランド独立戦争後の内戦は、血を分けた兄弟が戦うような悲惨なものだったとよく説明されますが、まさにそんな悲しいドラマがそのまま描かれていましたね。本当に理不尽な戦いです・・・。戦争映画にもやはり共感できる主人公や胸を打つ人間模様が必要なんでしょうね。
Commented by sabaha at 2006-12-08 22:00
こんばんは。
私は、本作は、純粋に感動!してる人とかえるさんの間くらいです(笑)
自分のところにも書きましたが、私はとにかく「大地と自由」に似てるなって、復習のような気持ちで観てしまったのが敗因?でした。
だから同じく、頭では入れたけど、どーんとは来なかった感じです。
ただ、かえるさんよりは、感動した人寄りで、今なぜアイルランド?ていうのは、そんなに思わなかったです(というか、後から考えて自分なりに落ち着いた感じですが)。
私の解釈は、1.まずは自国の歴史から見直していこう、という決意表明。2.だったら時流に乗って?「やさしくキスをして」のように、イスラムに切り込むのではなく、自分の興味のある題材を描こうと思った、のかなと。私は「やさしく~」があまりノレなかったので、監督も前作より得意?な題目でやろうと思ったのかな、とか失礼ながら思いました。
そして、何よりキリアン君かな。それで、かなりポイントあがりました。
私もかえるさんほどは観てないけど、比較で観ちゃうことのつまらなさも感じた今回の鑑賞でした(犬神家の一族なんかは、比較で観るためのものなのかしら?余談)イーストウッドは未見ですが…。
Commented by margot2005 at 2006-12-08 22:31
こんばんは!
ほんとに爽やかなタイトルですよね。ケン・ローチについては余り良く知らないのですが「明日への〜」を観てかなり感動いたしましたの。「明日〜」はローチだけの作品ではありませんが、この作品は是が非でも観て見たいと思っておりました。UK人であるローチがこれを作ったということに関してもスゴイなと思いましたが...IRA問題というのは根が深いのですね。今でも闘っているようですから...
アイルランド舞台の映画はホント魅せられます!又また行って見たいモードになってきたアイルランド!
Commented by mar_cinema at 2006-12-09 02:36
かえるさん、こんばんは。
ケン・ローチ監督、単独長編は初鑑賞だったこの作品、
一方的に主人公逹が悲劇に陥っていくのではなく、
その行動によって、因果応報という形で戻ってくるという点が、
個人的に気にいった点でした。

それよりも、現在一押しのキリアン・マーフィが主演っていうのが、
大きいんですけどね・・・引き出しの多さに、再度、脱帽しました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-09 12:20
わかば さん♪
いや、私も、わかばさんが思うほどに、感動度がそっち寄りだったんではないんですよ。でも確かに、レヴューを比べたら、私は結構感動していない組に近い位置にいる感じですよね。うーん、そうなのかな。
ひょっとしたら、わかばさんのホテル・ルワンダ鑑賞時のカンカクが、今回の私のそれに近いものかも。ただ、同じじゃないのは、私がケン・ローチという監督のことが大好きだという点。期待値が高すぎるというところにとらわれてしまっていました。ルワンダの時のわかばさんのようにダメ出しができない・・。
「今なぜアイルランド?」っていうのは映画を見る前、カンヌ映画祭の時にこの映画の存在を知った時にまず思ったんですよ。そして、実際にこの映画を観たならば、その疑問がすっと解けるのだろうと予想していたのですが、スッとはこなかったんですよね。頭で考えた上では、わかばさんの解釈には賛成なのですが。手に取るようにわからなかったことが寂しかったんです。勿論やろうとしていることはわからなくはないですよ。しかし、そこを、自然にビシバシ感じたかったのです。というわけで、本作を評価はしていますが、心震わせる度は、明日チケや星条旗より下となりましたー
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-09 12:21
margot さん♪
ケン・ローチは素晴らしいですよー。私の敬愛する映画監督です。敬愛なんて言葉は映画監督に対してはあまり使わないんですが、ケン・ローチのことはそう表したいのです。いつもシビアに社会問題に切り込みながらも市井の人々に向けられた眼差しは優しくて。でも、安直なハッピーエンドには向かわない物語が多いので、『明日へのチケット』のすがすがしい終わり方はむしろ意外でしたー。
英国人なのに、こういう方向から映画をつくる。それがケン・ローチという人なんですよねー。
IRA問題の始まりについてを知る勉強にもなりました。
margotさんはアイルランドを訪れたことがあるんですねー。うらやましいー。私はアイルランド絡みの映画はそんなに観ていないんですが、ケルトの文化など魅せられるものも多く、憧れの思いはいっぱいですー。行きたいなー
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-09 12:21
mar さん♪
ケン・ローチ長編はお初ですかー。オリヴェイラ監督作品なんかを観ているmarさんでもケン・ローチには慣れ親しんでいなかったりするものなんですね。となるとやっぱりカンヌ・パルムドールは重要な受賞だったといえるのだなぁ。
そうですね。その戦争の悲劇には巻き込まれてしまうもの抗えないものというんじゃなく、人々自らがそういう選択をして不幸を巻きおこしていることをきちんと描いているのがさすがです。私はそこに困ったのかもしれないですが・・・。
キリアン・マーフィは素晴らしかったですよねー。『28日後...』の時なんかはさほどその存在感に惹かれた記憶はないんですが、ここのところの多彩な演技力には目を見張るものがあります。
Commented by M&M at 2006-12-10 17:29 x
かえるさん、こんにちは!
相変わらず良いレヴューを書かれているので、続けて読んでしまいました。
で、私のblogでは、ほんの映画紹介程度のことしか書いていませんが、
同じ映画を同じ頃にアップしたご縁でTBさせていただこうとしたのですが・・・
何故か、トラックバックに失敗しました。
どうぞ削除して下さいませ。
私もケン・ローチ監督のもの、好きです。
「カルラの歌」本当に良かったですね~
よかったら、こちらにTBに来てください。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-11 11:05
M&M さん♪
ありがとうございます。
トラックバックはタイトルが文字化けしていますが、本文は大丈夫のようなのでこのままでOKです。
本作は前に観に行ったのですが、レヴュー書きを後回しにしていました。大好きなケン・ローチ作品ゆえに、物足りなかったなんて書きたくはなかったのだけど、あふれんばかりの感動によってスラスラと感想の言葉がわき出てくるという感じではなく・・・。
『カルラの歌』はイイですよねー。激しく心揺さぶられました。それに比べると、本作は冷静に観てしまった箇所が多かったかも・・・。
Commented by まてぃ at 2006-12-12 23:18 x
こんにちは。今日観てきました。素晴らしいケン・ローチ監督の作品で、パルムドールをとったのも納得できる出来でしたよね。自分も「今なぜアイルランドを扱ったのか」についてはよくわかりませんが、やはりイラクでしょうね。私は兄弟愛と仲間意識との葛藤として最後のできごとを捉えてました。いずれにせよ、感動した映画でした。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-12 23:59
まてぃ さん♪
さすがのケン・ローチですよね。パルム・ドール受賞してくれてよかったです。
現在や未来を考えるにあたり、歴史から学べることは多いですからね。イギリス人のケン・ローチがこの時期に、アイルランド独立戦争と内戦を描いたことには納得できます。対イラク的にイギリスはアメリカに追従する傾向にありましたしね・・・・。批判に堂々向き合ったケン・ローチの揺るぎない思いに拍手したいです。たまたま支持するものが違ったというだけで、兄弟で命を奪い合うというのはあまりにも痛ましいです。でも、それも必然であったんでしょうね。二度とそんな状況があってはいけないですよね・・
Commented by 狗山椀太郎(旧・朱雀門) at 2006-12-13 01:04 x
こんばんは
たしかに満足度やインパクトでは『父親たちの星条旗』のほうが上回っていたと思います。まあ、地味な印象の作品ではありましたが、人間の尊厳というか業というか、すごく本質的なところを突いているなと感じました。
どんな人であっても、できることなら血を流したくない、平和に暮らしたいと考えていることでしょう。でも、自由を奪われていたり、劣悪な立場をいることを余儀なくさせられていたりしたなら、なんとかその状況を(たとえ武力を使ってでも)克服したい!と考えるのも分かる気がするのですよね。でも、そこから悲劇が起こってしまうわけで・・・
そんなジレンマは80年近く経った現在でもずっと続いているのだと思います。だから、作品の舞台がイラクやアフガンではなくても、それらとの共通点を感じながら鑑賞することはできますし、アイルランド独立という個別テーマとしてのみ捉える必要はないのでは・・・と思います。
駄文長々とすみません。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-13 16:12
狗山椀太郎 さん♪
そうですね。業と呼べるような本質的なものを描いていたと思います。そうやって歴史は繰り返されているのですよね。多くの血を流したわりに望みのものを勝ち取れるわけでもないから、スクリーンのこちら側ではいたたまれなくて愚かしいとしか思えないのだけど、現地にいる人々にとっては必然なのでしょうね。

>アイルランド独立という個別テーマとしてのみ捉える必要はないのでは・・・と思います

っていうのは一般論ですか?私個人に対しておっしゃっているのですか?どちらであっても、もちろんその「必要」はありませんよね。逆に、これは過去の紛争を描いた歴史ものとして捉える人がいても、それはそれで不十分だとは思いませんし。私個人は過去ものというだけではすまそうとは思っていませんが・・・。
現在にも通じる悲劇が描かれているのはわかるんです。じゃあケン・ローチは今、どこの国のどの層に対して、どういうことを言いたいのかなぁというのがピンとこなかったんです。内戦の愚かさを描いてもイラクの人たちは映画を観ることもなく自爆だし・・・。アメリカやイギリス政府向け? 世界の一般人向けだとしたら、私は何をすればいいのか・・・
Commented by mako at 2006-12-15 17:42 x
こんにちは。戦争ものはどれもつらくて序列はつけられないけれど、セルビア方面・南米方面もろもろ内戦ものはキツいです。知らない相手と傷つけ合うだけでけでなくそれが身内や友人隣近所の親しくしていた人間まで、ときには見せしめとか何かを誇示するためだけに傷つける行為に及ぶのは悲しい通り越して本当に痛ましいですよね。どよん、と普段イングランドびいきなわたしは悲しくなってしまったのでした。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-16 23:10
makoさん♪
序列はつけられませんよね、もちろん。
ただこれは、戦争というものの中では秩序だっている部分が感じられたというか、武力行使以外の方法がありそうな余地が見えてしまったのかも・・・。
なのに、兄弟で傷つけ合ってしまうなんて・・・。しくしく悲しいと感じてしまうよりも、目を覚ましなさいよ、バカ!って言いたくなってしまったような。歯がゆさの残る痛ましさなのでした。
イングランドの皆がいけないわけじゃないけど、それも歴史の一面だったんですよね。サッカーで戦えばいいじゃんー。
Commented by jester at 2007-07-10 07:42 x
かえるさんこんにちは。こんな下の記事にお邪魔します♪

映画館で見たときは重すぎて、レビューがかけなかったのですが、DVDで再見してやっと書く気になりました。

>世界の多くの人々がこの映画やそこにあるテーマに感心をもって、考えてくれるのは素晴らしいことだと思う。

本当ですね! 映画の意義のひとつだと思ってしまいます。
私もIRAへの認識を新たにしたんです。
人間って、あほですよね・・・・

おすすめの「カルラの歌」まだ見てないので、今度みたいと思います!
Commented by jester at 2007-07-10 07:52 x
しつこくすみません~
TBさせていただいたんですが、送れないみたい。(涙
2回やったけどだめでした・・・
Commented by CaeRu_noix at 2007-07-10 13:08
jester さん♪
素晴らしいです!
私もケン・ローチ大好きな割に、本作の感銘が薄めだったから、DVDで見直す必要があるかもしれませんー。
本作がカンヌのパルムドールを取って話題になることで、普段、イギリスの社会派映画なんて観ることのない人たちが劇場に足を運んだのなら意義深いですよね。
ケン・ローチ、ありがとうー。
私は、いつも映画で何かに興味をもつたびに歴史のお勉強をしている感じです。IRAのこともこの前後に調べたり、他の関連作品を観たりしました。ニール・ジョーダンものもまたいくつか観てみたいです。
ニカラグアへ行っちゃう『カルラの歌』もまた感慨深くて私は大好きです。機会あったら是非ご覧くださいー。14日からのユーロスペースの特集でかからないのは残念ですが。

TBはまだ受付停止中なんですよ。ごめんなさい。
たまーに通るみたいですけど・・・
Commented by なな at 2007-10-09 00:13 x
こんばんわ またおじゃましました。
これはだいぶ前に観たのですが,なかなか感想が書けないくらい
重く痛い作品で・・・。
ドキュメンタリーのように淡々と綴ってくれているだけに,テーマというよりは,事実を詳細に世に知らしめることが,監督のねらいだったのかなーと思いながらも,その重すぎる内容にしばらくは消化不良でした。
でも,見返すほどに,じわじわと心に沁みてくる感動もあって,
キリアンの演技はまことにパーフェクトだし,アイルランドについて
もっともっと知りたいという思いも昨今は深まるばかりです。
パルムドール賞,納得の作品ですね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-10-09 23:27
ななさん♪
ケンローチのことですから、私は21世紀の世界情勢と照らし合わせるべく、この時代の戦争を題材にしたのだと思うのですが、ななさんとしては、過去のアイルランドの戦争の真実そのものを世に伝えることが主旨だと感じられたのですね??
そうなんです。1本の映画をキッカケにその歴史をもっと知りたいという思いがわきますよね。私も本作を見た時は、アイルランド関係の別の作品も見たりしました。
そういう私は、今はスペイン内戦を振り返っています。
どんな戦争も悲しく痛いものですよね。
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