かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『トゥモロー・ワールド』
2006年 12月 09日 |
それほどにハマッたわけではないけれど、世界観とテーマが素晴らしい。

2027年。18年間、人類には子どもが誕生していなかった。



ニュースに流れた世界最年少の18歳がファンに殺されたという出来事がジャスパーの風貌に重なって、これはジョン・レノン物語なのかなと感じた。きっと。LOVE&PEACE を願うというテーマなんだなぁと。ジャスパーの存在がとても好き。その人がマイケル・ケインだと気づいたのは映画が始まって30分以上経過してからだったけど・・・。

近未来SFということで、よくある金属っぽい無機質な空間が映し出されるのかと思っていたけれど、これはほんの21年後の物語であって、今と大して変わらない街の風景が広がっていた。むしろ荒廃した不穏な空気が満ちている終末の世。ギリアムっぽい世界観はかなり好みである。『CODE46』のことも思い出した。無法者は人間にあらず。

奇想天外な架空の物語というのもSFというジャンルの醍醐味あると思うけれど、この物語のように、もしかしたら人類はそういった危機に見舞われてしまうかもしれないと感じられる設定は面白く意義深いと思う。スリリングで迫力あるアクションシーンが展開されて、見ごたえのあるエンタメ作品でありながら、この地球や生命を大切にしようとしない人類に警鐘を鳴らしてくれるなんてクールだな。

いわゆるアクション大作、SF大作ものの作りに比べると映像や演出、雰囲気はとても好みに近いものだった。でも、軸になるのはアクション逃走劇なので、やっぱりどちらかといえば男性好みのタイプなのかなぁと感じたりもして、テーマにはグッとくるし、好みなんだけど、物凄くハマったというほどでもないかな。襲われるシーンの緊迫感などは噂どおりだったけど、長回しの技術は逃走や戦いの場面よりも、舞踏シーンなんかで披露してくれる方が個人的には好みなもので・・・。エマニュエル・ルベツキの撮影ならば、『ニュー・ワールド』映像の方に魅せられた私。いや、もちろん、本作のクライマックス、8分間ワンカットが素晴らしいということには異論なし。

出産経験も立ち会った経験もない私だけど、出産シーンはもうちょっと上手く撮ってほしかった気がした。本人がのたまった通り、本当に簡単だったもの。出産シーンではかなりの確率で泣けてしまう私だけど(『セレブの種』の一瞬のワンショットですら・・)、ここではセオがとり上げる不安を払拭できなかったからかちょっとさめてしまった。産婆さんに生きていてほしかった。ここで、ややさめてしまったのがいけなかったな。そうでなければ、待ち望んだ新しい生命の誕生には最高の感動があるもの。

と、やや気持ちが離れてしまったりもしたけれど、子孫が生まれて世界が受け継がれていくことがいかに大切かを、もう一度考えさせてくれることには感慨を覚える。国籍だの宗教だのによって、人間同士が殺しあうなんてバカらしいことこの上ないよね。人類が一丸となって、世界の存続を守っていくべきじゃないのかなって。
ピカソのゲルニカに込められた願いを忘れてはいけないー。

CHILDREN OF MEN  2006  公式サイト
監督.脚本 アルフォンソ・キュアロン
脚本 ティモシー・J・セクストン
原作 P・D・ジェイムズ  「人類の子供たち」
撮影  エマニュエル・ルベツキ
プロダクションデザイン ジェフリー・カークランド、ジム・クレイ
音楽 ジョン・タヴナー
出演 クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、キウェテル・イジョフォー、チャーリー・ハナム、クレア=ホープ・アシティー

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by CaeRu_noix | 2006-12-09 18:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(11) | Comments(10)
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Commented by sabaha at 2006-12-09 22:56
こんばんは。
私もこの作品の世界観と美術が大好きでした。
だから余計、のめれなかったのが残念でした。
出産シーン、刃物がないとき、へその緒ってどう切るんだろう?なんてことが気になって、その辺から微妙に気持ちが離れたかも(^^;。…ということで、(さめはじめた)タイミング的にはかえるさんに近いかもしれません。
個人的にはクライヴ氏という拾い物をしたので、不思議に満足でした(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-11 00:07
わかばさん♪
世界観はとてもよかったですよねー。私もかなり好みだなぁと感じながら、しばしば傍観してしまったりして、100%のめりこめなかったので残念でした。
なのに、こういうアプローチでこのテーマを描いたところはとてもいいなーと思ったことが、麦の穂のまんま戦争舞台にガツンとこなかったことの原因その1になったりして・・・。よくない効果・・・。
出産シーンは、ハリウッド映画では描写されることはまずないので、あんなもんでいいってことになったのかもしれませんが、さめましたです。お湯を用意しなくていいの?とかハラハラしました。ヘソの緒は・・・。
わたし的には主演がクライヴなのもややマイナスだったかも。『インサイドマン』くらいだとちょうどいいんだけど、これほどに出ずっぱりの主人公なのはちょっとね・・・。
Commented by jester at 2006-12-11 15:21 x
おじゃまします。
期待してなかった割に、引き込まれてみてしまいました、この映画。

>その人がマイケル・ケインだと気づいたのは映画が始まって30分以上経過してからだったけど・・・。

出ていると聞いていたけど、まさかあのヒッピーの叔父さんがそうだとは思いもよらず・・・ビックリでした。

ジョンの歌声が切なかったですよね。
私も感想を書いたので、TBさせていただきました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-11 21:11
jester さん♪
引き込まれましたかー。
近未来ものでこういったトーンのものは珍しいですよね。
謎めき加減も荒廃ぶりも魅力的でしたよね。

そうなんですよ。マイケル・ケインが出ていると事前に知っていたのに、しばらくの間気づきませんでしたよ。変装上手なんだからー。
『ニューワールド』の時も、クリスチャン・ベールに気づくのに20分くらいかかりました・・・。

ジョンの歌声はせつないですねー。こういうテーマの映画の中で流れた日にゃーたまりません。ピンク・フロイドのアルバムの写真なんかは知らなかったんですが、そのへんも意味深だったんですね・・・。
Commented by kazupon at 2006-12-12 09:54 x
かえるさん、二つ記事書いてるくらいハマってます(苦笑)
ジャスパーは多分自分くらいの年代の人がああなってる設定なんですよね。ひょっとしたら一番平和な頃を経験している世代なのかもしれないと
映画を見ていて感じました。
あっ「ニューワールド」もルベツキでしたか~。この映画は「今まで
やってないことやってやろう」っていう意気込みもあって、そういう
部分が好きなんですけど、確かにコメントいただいたように
メチャクチャ男の子向きの映画ではあると思います(笑)
あの助産婦さんがわざと騒いで関心をそらした後外に連れ出されて
バスが移動すると 、並べられた遺体になってるの場面が怖かった
です・・。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-12 23:40
kazupon さん♪
二度観に行きたくなるような、二度レヴューを書いてしまうような作品に出逢えることは幸せですよねー。
なるほど、ジャスパーはイチバン平和な頃を経験した世代といえるかもしれませんね。前半の彼のところどころ虚無感を感じさせる投げやりな部分が印象的でした。
今の世の中の延長に子孫のない世が来たら、刹那的に享楽的に突っ走ってしまう人も多くいそうで怖かったりしますが、それでも皆、新しい命には本能的に希望を感じてくれるのでしょうかね。
とにかく、映画のタッチはかなりかなり好みだったのは事実です。でも、結果的には、kazuponさんのようにはどっぷりハマれなかった。それって、やはり男の子向けテイストゆえかなーと自分を納得させました。
並べられた遺体は怖かったですね。ドキリと驚かせられる場面はたくさんありました。やっぱりもう一回観たいかもー
Commented by とらねこ at 2006-12-15 18:57 x
こちらにも。
>地球を大事にしない人類への警鐘
本当にそうですよね。悲壮感と使命感を背負っているかのようなクライブ・オーウェンがさりげなく良かったです。
昨日、ゴミだらけの波打ち際に自由の女神像が捨ててある夢を見てしまって、『猿の惑星』をアルフォンソ・キュアロンが次にメガホン撮るのだー。なんて思いながら目が覚めました。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-16 23:14
とらねこ さん♪
クライブは、悲壮感と使命感を背負っていましたね。街の風景はSFテイストではなかったけど、頽廃的な色を帯びた主人公って、やっぱりSF的かも。

>ゴミだらけの波打ち際に自由の女神像

おおお、それはすごい夢だー。私の夢にはそんなにでっかいものが出てきたことはないような・・・。『ユリシーズの瞳』の川を流れるレーニン像ショットなみにステキじゃないですか。『猿の惑星』のオチにするんじゃなくて、それをもとにまた個性派SFを撮ってほしいですー。>キュアロン
Commented by borderline-kanu at 2006-12-17 00:09
こんばんは。出産シーンは、私も違和感ありでしたよ。
19年ぶりの赤ちゃんということなんで、もっと慎重にって思いますよね(^^; 
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-18 22:20
カヌさん♪
やはり!違和感ありましたよねー。ハラハラ感も手伝って・・。
19年ぶりだから、超安産だったのでしょうか? まぁ、帝王切開しなくちゃってことになるはずはないんでしょうが・・。
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