かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『パプリカ』
2006年 12月 13日 |
アニメだからこそ可能なめくるめく悪夢世界が圧倒的。

精神医療研究所に勤務しているサイコ・セラピストの千葉敦子は、所長からの依頼で極秘の治療を行っていた。



筒井康隆著の原作小説を確か以前読んだ覚えがある。夢の中に入り込むという設定にワクワクして、前半はとても面白かった記憶がある。だけど次第に、夢の中からいろんなものが飛び出してきて、状況はすっちゃかめっちゃかになっていった。序盤はサスペンスに満ちたSFワールドに面白みを感じていたというのに、後半はそのクールな世界観が損なわれてしまい、徐々に気持ちが離れていったのだった。小説としては好きになりきれなかったその展開も、めくるめく映像で表現してくれるならバンバンザイなのだ。あのすっちゃかめっちゃか状況をエネルギッシュにビジュアル化できちゃうのがアニメーションなんだよね。というわけで、アニメ映画となったパプリカ世界はぐちゃぐちゃになればなるほどに楽しかった。

ジャパニメーションはキャラクターの絵がどうしても好みじゃないのだよね。ジブリだって、押井だって。一般的なアニヲタ萌えキャラとは違うのかもしれないけど、メガネがキラリとクール・ビューティな千葉女史とお転婆小悪魔パプちゃんキャラってぇーのが、いかにもっていう造形だから苦笑してしまう。だけど、それが気にならなくなるほどに、夢と現が入り乱れて、不思議な浮遊感に取り込まれていく感覚は興奮もの。わけがわからないほどにいいのだ。これが小説だと、状況を的確に把握できないとハマれないのに比べて、スピーディに奇想天外なのが気持ちいいー。とことん弾けてなんぼのイマジネーションー。
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どんどん出てくるへんてこなものたちや街の風景は眺めて楽しいものだった。見覚えのあるような通りの看板の固有名詞がどれもビミョウに実在のものとは違っていて、本当はこれ何だろう、ここはどこがモデルなんだろうと見入ってしまった。賑やか行進もそりゃあもう楽しい。ビッグなお人形は『イノセンス』のイメージにかぶってしまったけど、カエルが跳びはねているのはよし。インターネットのサイトであるらしいBARの雰囲気もよかったなぁ。混乱錯乱空間がスクリーンに広がった後のBARタイムはとても心地よく。映画ネタもあったし。あっちこっちに空間移動すればするほどにエキサイティング。

『東京ゴッドファーザーズ』はビジュアルよりもストーリー性、ヒューマン・ドラマとして大いに感動した映画だったけれど、こちらはもう話の筋がどうこうじゃなくって、とにかく押し寄せてくるものたちが楽しいっていうアミューズメントパークな体感に満足。支離滅裂のようで、刑事の夢は思い出からみの深層心理につながっていたりして、意外と収束されていたみたいだし。でも、千葉女史とあの脂肪くんが・・・・っていうのはどうなんだろう・・・。

林原めぐみって、歌を歌っている姿を見てなんとなく好きじゃなかったけど、さすが巧いですね。

パプリカ 2006 公式サイト
監督 今敏
原作 筒井康隆
声の出演 林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫
(テアトル新宿)
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by CaeRu_noix | 2006-12-13 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(8) | Comments(10)
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Commented by ぼんべい at 2006-12-14 13:52 x
あれれ~ブロック・パーティは観た映画から抹殺!?
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-14 23:25
ぼんべいさん♪
愛すべき映画たちに抹殺なんて、物騒な言葉は使わんといてください。(笑)
いやいや、レヴューは省略の方向なので、リストから外したのでした。
『ブロック・パーティ』は音楽ドキュメンタリーなので、文章でつべこべ言ってもしょうがないかなーってカンジなので。やー、楽しかったですよ。一緒に踊りたかったわ。彼らの熱い心意気に感涙もしちゃったし。ローリン・ヒルって、こんな顔だった?エリカ・バドゥがステキでした。
Commented by borderline-kanu at 2006-12-15 00:54
こんばんは。今監督の作品初めて鑑賞したんですが、映像は面白いけど、ラストがありきたりな感じでイマイチでした。でも『東京ゴッドファーザーズ』は観てみたいです。 カヌ
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-15 13:50
カヌ さん♪
ありきたりといえばありきたりな結末でしたよね。私は途中がぐちゃぐちゃにはじけた分、ありがちにまとまるラストというのもOKだと思えましたが。
『東京ゴッドファーザーズ』は感動にあふれたドラマでした。年の瀬に観るのに最適です!
Commented by とらねこ at 2006-12-15 18:45 x
こんばんは★TB&コメント、ありがとうございました。
私も小説読み終わりまして、近日中に本レビューUPしようと思っています。でも、かえるさんと同じような感想みたいです♪
自分はこの作品、とーっても好きでハマってしまいました。
小説だと最後に時田と結婚するんですよね、敦子。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-16 23:03
とらねこ さん♪
原作小説も読まれたのですねー。
小説の方がおもしろかった派も多いようですが、私はあんまり気に入った憶えがないんですよね・・・。というわけで、こういう感じに映画化されてよかった。
エンタメ作品としてはとっても楽しかったです。私もハマりました。
時田と敦子は結婚までしちゃったんでしたっけ。ビックリ。
Commented by 隣の評論家 at 2006-12-17 12:05 x
こんにちわー TB&コメントありがとやんした。
楽しかったですねー、あの行列。怖くない百鬼夜行?うーむ、どうしても発想がホラー寄り(苦笑)。
私も、ネットのBARは気に入りました。喧騒から離れてホッとひと息できる空間でしたね。
粉川刑事の悪夢も面白く感じました。ラストシーン、映画館に入るのを怖がっていた粉川刑事が、映画館の入口で「大人1枚」と言ってブチッと終わる。映画好きとしては、かなり好きなシーンでした。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-18 23:08
隣の評論家 さん♪
やんした。フェスティバルな行列は楽しかったですねー。あの人形ホラー映画系に出てきそうな不気味さもありましたけど、そういう怖いやつがへんてこな行列にででーんと参加しているアンバランスさがまた面白くもあり。
ああいう内装デザイン・雰囲気のBARって実際によくありますよね。そこにおこる出来事は非現実的な虚構ならではのものなんだけど、街の背景なんかはしっかり写実的にリアルに描かれていたのがまたよかったです。
DCミニがなくなっちゃった事件と同時に、刑事の夢解明の物語が進んでいくのも面白かったです。あっちのカップル誕生は納得がいかなかったですが、粉川刑事の一件落着にはスッキリしました。映画ネタも嬉しかったですよねー。
Commented by まてぃ at 2006-12-22 00:47 x
こんにちは。TBさせて頂きました。
めくるめく世界、圧倒的なヴィジュアルで、私もぐちゃぐちゃになればなるほど楽しめました。ジャパニメーションの真髄ここにありって感じですよね。私はパレードでの冷蔵庫の動きが頭から離れません。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-23 12:52
まてぃ さん♪
楽しかったですよねー。アニメといえばトーンが統一されている画が多いと思うんですが、このごった煮なビジュアルは刺激的に魅力的でした。西洋のアニメではありえない、これこそがジャパニメーションの素晴らしさなのかもしれませんね。冷蔵庫がパレードに参加すること自体がもう楽しいですよねー。
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