かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『愛されるために、ここにいる』
2006年 12月 27日 |
タンゴのように美しく。大人の繊細な恋物語はフランス映画の真骨頂。

50歳過ぎの執行官のジャン=クロードは、タンゴ教室に通い始め、フランソワーズという女性に出逢う。



踊るシネマは大好きで、とりわけタンゴものは映画的に美しいから好き。サリー・ポッターの『タンゴ・レッスン』は最高に好き。官能的な大人のダンス。躍動するリズムに心は高揚し、メランコリックで情熱的な音楽と、その流麗なステップに酔いしれ魅了される。タンゴは恋愛そのものでもあり、色香の漂うとてもフランス映画的なもの。だけど、男女が踊るタンゴが重要なキーになっているラブストーリーでありながら、これは実に地味でシンプルな小品。いや、そんなささやかさこそが繊細でいいのだ。これだからフランス映画が好きなんだよなーと感銘を受けてしまうお気に入りの逸品。フランスでは「小さな宝石」と呼ばれてロングランヒットをしたそう。

タンゴの世界への足の踏み入れ方は、『Shall We ダンス?』的。とはいっても、ダンスには縁遠い平凡に暮らす男がたまたま窓から見た教室に興味を持つという部分は似てはいるけれど、この物語の主人公は、美しいダンス教師に近づくという不純な動機があったわけでもなく、役所さん扮するサラリーマン杉山よりも(当然、リチャード・ギアの弁護士よりも)、もっと孤独で鬱積した日々を送っていたのだ。50歳過ぎという設定だけど、パトリック・シェネは本当は60歳近かったのだそう。確かに、顔に刻まれているシワはくっきりと深く、渋みを感じさせる。老いてくたびれているのではなくて、多くを乗り越え、また多くをあきらめてきたのであろうその年季の入った風貌がむしろ魅力的なのだ。そう、本当は魅力的な大人の男性でもあるはずなんだけど、無味乾燥な生活をずっと続けてきた人。父親や息子とのやり取りも表面的でぎこちなくて、ユーモラスなシーンに微笑みつつも、きちんと解り合えない、心と心が触れ合えない家族関係がとてもやるせない。ジャン=クロードの抱えている寂しさには心寄り添わずにいられなくなってしまう。人生なんてこんなものなのかもしれないけれど、ため息をつきつつ、タンゴ教室での出会いを嬉しく見守ってしまうのだった。

ジャン=クロードに比べたら、希望に満ちた人生のまっただ中にいるフランソワーズ。だけど、その心の揺れにも大いに共感してしまうのだ。婚約者のことをどれほどに好きだったのかはわからないけれど、彼女がジャン=クロードに惹かれていく気持ちには必然的なものを感じた。アンヌ・コンシニのその表情がそれを必然と思わせる。マリッジ・ブルーも原因の一つだったかもしれないし、呼吸を合わせ密着して踊る官能的なタンゴが心の高鳴りを盛上げたというのもあるかもしれない。多様な要因があったかもしれないけれど、それは明らかではない。そんなことはどうでもよくて、ただ、自分の結婚式の席次のことで家族が口論するのを見て泣き出すフランソワーズの心情に一緒に涙してしまうだけ。
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フランス映画祭上映時の仮題は、原題の意味通りの「愛されるためにここにいる訳じゃない」だった。このタイトルを初めに知った時、これは意地を張っての裏返しの意味なんだと思った。つまり、一般公開時のタイトル「愛されるために、ここにいる」がそのもの意味になるのかなぁと。だけど、映画を観たら、それは違う気がした。愛されるためにここにいる訳じゃなく、愛するためにここにいるという能動説もあり得るし。私が感じたのは、「ために」じゃないってこと。何かのために、ここにいるわけじゃないということ。ジャン=クロードは健康のために、フランソワーズは結婚式でうまく踊るために、タンゴ教室に通い始めたのだけど。理由や目的があって、何かを選択し、人生を送っているのが常だけど。これは、何かのためっていうわけじゃなくて。ただ、あなたと踊ることが好きなの。

燃える思いが情熱的な愛の言葉として表現されるわけではなくて、満たされた表情で息のあったダンスを見せてくれるラスト・シーンが素晴らしい。タンゴのリズムとともに心に響き、そのメロディーとともに心に染み入り、深い余韻を残す。

愛されるために、ここにいる  Je ne suis pas là pour être aimé
2005 フランス  公式サイト
監督.脚本 ステファン・ブリゼ
脚本 ジュリエット・セールズ
撮影 クロード・ガルニエ
音楽 エドゥアルド・マカロフ、クリストフ・H・ミュラー
出演 パトリック・シェネ、アン・コンシニュイ、ジョルジュ・ウィルソン、リオネル・アブランスキー
 (渋谷 ユーロスペース)
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by CaeRu_noix | 2006-12-27 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(24) | Comments(24)
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タイトル : *愛されるためにここにいる*
{{{        ***STORY***          2005年   フランス 50歳のジャン=クロード・デルサール(パトリック・シェネ)には別れた妻との間に,植物を愛する内気な息子(シリル・クトン)がいた.ジャン=クロードは現在介護施設に入所している父親(ジョルジュ・ウィルソン)から執行官職を受け継ぎ,その事務所では秘書(アンナ・ブノワ)に加えて新たに息子も雇い入れ,将来的に執行官職を引き継く体制を作っていた.しかし彼は人々の怨嗟を買うこの仕事を決して好きになることができず,単調な...... more
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タイトル : 愛されるために、ここにいる
変わらない毎日、気づいたら一人ぼっち。あの日、あの時、君とタンゴに出会った。一歩、近づいてみる。もう少し、素直になる。ワンステップだけ前へ進めば、何歳になっても人生は変わる。仕事においても、家族との関係においても行き詰まり、人生に疲れ果てたジャン=クロ...... more
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Tracked from 虎党 団塊ジュニア の .. at 2007-12-15 22:33
タイトル : 『愛されるために、ここにいる』'05・仏
愛されるために、ここにいるあらすじ仕事においても、家族との関係においても行き詰まり人生に疲れ果てたジャン=クロード。結婚を目前にして幸せなはずなのにどこか満たされないフランソワーズ。ある日、タンゴのレッスンで、ペアを組むことになったジャン=クロードとフ...... more
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Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2008-04-28 21:01
タイトル : 愛されるために、ここにいる
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Commented by charlotte at 2006-12-28 01:39 x
ぼんそわー☆
私も書き上げたところでこちらに伺ったら、おおーなんてタイムリー。
「愛されるためにここにいる訳じゃない」・・・だったのですか。
そうですね、かえるさんの「ためにではない」というのもすごくうなずきます。私は能動的?って思ったのですけど。でも、誰かとか何かの為にではないですね。ただ踊りたい、っていう感情ですね。
タンゴ踊りたい。すぐに感化されてしまう困り者ですー。
私はこの作品で見納めになっちゃうかもです。かえるさんはいかがでせうか?今年のお気に入りもまた教えてくださいませ。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-28 10:39
charlotte さん♪
おお、珍しく私の方がちょっと早く上がりましたのね。ほんの1時間程。
原題は否定のかたちなのに、長すぎると判断されたのか何なのか、逆の意味の邦題がつけられてしまいましたのです。本音を言えば、愛されるためにここにいるのよってカンジもあるし。愛するためにここにいるっていうカンジもするし。でも私は、その否定は「愛」うんぬんより、「ために」にかかるような気がしてしまったのですよ。硫黄島のお国の「ために」について考えたことがちょっと関係していたりもするかも。「○○のために」という物事の捉え方から放たれたかった私。彼女の将来のためとか家族のためとかを考えたら、これは突き進むべきべき恋じゃないのだとしても、そのエモーションがステキなのですよね。とにかくこれはとても気に入りました。
私はフラメンコは習いたいって本気で思うんですけど、パートナーと密着度の高い大人ダンスなタンゴを踊りたいとは現実的にはなかなか思わないかも。でも、踊れたら気持ちよさそうですよねー。トライあれー。
今年の新作は締めました。特集上映の旧作はまだ観ます。今年のベスト選出ははげしく悩みますー
Commented by svetrania at 2006-12-28 22:27
かえるさん、初めまして。

以前、「記憶の棘」の映画評を検索していたら、かえるさんの文章に当たり、なんてしっくりくる表現をする人なんでしょう・・と感銘し、それ以来時々読ませていただいてました。

今回の「愛される・・」もまたもや、はぁ~ナルホド・・と思わせてくれる文章&私もSポッターの「タンゴ・レッスン」好き!なので、コメントさせていただいてる次第です・・(笑)。

そうですね、確かにタイトルとは裏腹に「○○のために」感はあまりなかったような気が。なんとなく惹かれるから、これを踊る、みたいな・・。

私は7年程フラメンコを習っているのですが、この映画を見に行く前ですが、先日体験レッスンでアルゼンチンタンゴにトライしてみたんです・・が元々チームワークが苦手&基本的に1人踊りのフラメンコに慣れてしまっている私にとって、やっぱりちょっと壁を感じるダンスかなぁ・・とかなり尻込みしてしまって。本当、踊れたら気持ちよさそうですけどね・・。
Commented by まんまる at 2006-12-29 10:25 x
私もタンゴ映画大好きです!
今回この「愛されるために、ここにいる」のサントラに関わることが
できて本当にうれしかったのです。
映画はまだサンプルビデオの鑑賞のみなので
大阪で公開されたら是非スクリーンで観たいと思っています。
2月にシネ・ヌーヴォーでやるみたいなので。

じんわ~り、としみてくる良品ですよね~。
これはハリウッドにはできない!
Commented by mar_cinema at 2006-12-29 11:44
かえるさん、こんにちは。
「Shall Weダンス?」系かなって思いつつも、
似てる部分は感じつつも、こっちの方が断然好きな作品でした。
もう一度観たかったので、妻もこっちの方が観たいっていう事だったので、
「敬愛なる~」を辞めて、2日続けて鑑賞しましたし・・・
恐らく、今年最後の作品がこの作品で非常に満足しています。

今年1年、いろいろ観てきましたが、
フランス映画が一番好きかもしれないって気がついた1年でした。
(B級とかC級好きは、相変わらずなんですが・・・)
来年は、ハリウッド系を減らしても良いなって感じてます。
Commented by 栗本 東樹 at 2006-12-29 16:28 x
こんにちは。
こういう映画が半年もロング・ランしたと知って、
フランス人をチョット見直しました。
『あるいは裏切りという名の犬』 も観たかったなぁ。
でも、確かにパトリック・シェネは50そこそこには見えなかった。
さらにヒロインが40過ぎてることにたまげました。
やっぱりフランス人は違うなぁ~。

フラメンコ、ガンバってチャレンジしてください!
かえるさんも、素敵な年を迎えてくださいネ♪
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-30 00:33
svetrania さん♪
はじめまして。ようこそ!
ありがとうございます。あれこれ読んでいただいたとは嬉しいですー。

『タンゴ・レッスン』、お好きですかー。ステキな映画ですよね。映画には映像と音楽に魅せられるというパターンが多いです。タンゴのリズムには不思議に魅惑的なものがありますよね。

「愛されるためにここにいる訳じゃない」というフレーズは意味深ですよね。作り手がこういうタイトルにした意図は知らないけれど、「ために」という言葉に、独善的な臭いを感じることのある私は、そんな解釈をしてみたのでしたぁ。もっと、直感的な感じでしたよね。

そして、フラメンコを習っているなんてステキですねー。トニー・ガトリフやカルロス・サウラの映画に誘われ、フラメンコにはかねがね興味がある私ですー。ダンスを習うならフラメンコと思っていますー。(フラガールを見て、ちょっとそっちにもなびいたが・・) で、タンゴにもチャレンジされたんですね。やはり、ペアダンスはパートナーのリードに合わせたり等、余計な難しさもついてきそうですよね。というわけで、私も自分ならフラメンコ派ですー。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-30 00:35
まんまる さん♪
タンゴ映画はいいですよねー。
カルロス・サウラの『タンゴ』も気に入ってます。
『ブエノスアイレス』などちょっとしたダンスシーンが入るだけでもいい。
ダンスの流麗さもステキだし、やっぱり音楽も魅力的ですよね。
本作の音楽もじっくりもう一度聴いてみたいですー。
スクリーンでもまた是非楽しんでくださいー。
最近はアメリカンテイストなフランス映画も結構ありますが、こういうラブストーリーばかりはハリウッドではつくられないものですよねー。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-30 00:40
mar さん♪
『Shall Weダンス?』 が引き合いに出されて宣伝をされているみたいですが、まったく違いますよね。それほどにレッスンシーンは多くないし。
『Shall We~』はおもしろい映画だったし、リメイク版もよかったけど、やはり比べものにはならないほどにこちらの方がステキですよね。
2日連続で鑑賞したとは素晴らしい。でも、奥さんにはこちらをご覧いただけてよかったです。『ベートーヴェン』は第九シーンは感動的なんですが、映画全体としては大した作品でもなかったと思われるので・・・。
フランス映画が一番好きだということに気づいたとは何よりです。世の中には、フランス映画って苦手!と断言する人も多いですが、ハマるとその味わい深さはたまらないですよね。ハリウッド映画は、話題作はつい観に行ってしまうんですけど、尾を引くほどのものが少ないです・・・。
これが今年の締めとなってよかったですね。
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-30 00:48
栗本 東樹 さん♪
こんな映画がロングランになる成熟したフランスがうらやましいですー。日本でヒットする男と女の映画といったら、人気者の出ている難病泣ける系になっちゃいますもんね。アムールの国の映画選びのセンスに感心。おすぎなんていらん。
『あるいは裏切りという名の犬』は大盛況だったので、しばらくは上映しているんじゃないでしょうか。是非年明けにでもご覧あれー
パトリック・シェネは50には見えないけれど適役でした。アンヌ・コンシニは63年生まれなんですね。ステキに年をとっていますよね。
ふふふ。フラメンコはいつかやりたいです。タンゴも?
ありがとうございます。来年もよろしくです。
Commented by Puff at 2006-12-30 02:50 x
ドモドモ、深夜にお邪魔しますよ・・・・・

ああ、確かに「Shall We ダンス?」を絡めて宣伝すると人の興味を引きそうではありますね。苦笑
でも、やっぱり違いますよねー・・・
ワタクシが思ったのは、「オ!こちらの方が窓が近い♪」くらいですもの。ハハハ・・・ハ・・
根本的に異なると思うし、かえるさんが言われるように、本作の方がもっと<底知れぬ孤独さ>や<人生の単調さに埋没する日々>を感じますよね。
それにしても、パトリック・シェネ!
人生に疲れた孤独な男は絶品ですね。
そして、アンヌ・コンシニ。
「灯台守の恋」の時にピピッと来ましたが素敵な方ですねー
これからの作品にも注目したいです。

で、題ですが、「愛されるためにここにいる訳じゃない」から最後を取ると意味が変わっちゃいますよねー
これは原題をそのまま使わないとです。
・・・やはり長過ぎるので切ったのでせうか。汗
受身で待っているだけじゃない(自分から一歩を踏み出すこと)かなー、なんて思いましたです☆
Commented by CaeRu_noix at 2006-12-30 19:33
Puff さん♪
観る前から、「Shall We ダンス?」に絡めて宣伝されるに違いないと思いましたが、観てみたらホントに、ちょっと似ている導入だなぁって感じでしたよね。でもでも、作品のテイストやテーマは大違いでした。確かに、窓は近かった。日本のは電車から見えたんですっけ?
人間はそれなりに幸せでも、ないものねだりをしてしまったりと完全に満たされている人は少ないのだとしても、比べてしまうと 「Shall We 」の主人公はお気楽なユーモラスさの方が強かったですよね。ジャン=クロードは父とも息子とも温かなふれ合いがなく、仕事も殺伐としていて、シビアな孤独感がのしかかっている感じ。そうなんです。底知れぬー。
私はみの×んた的に押しつけがましいオヤジは苦手なので、ジャン=クロードのようなタイプは好感をもってしまいますわ。ジャン・ロシュフォールらいんの風貌もなかなか。
アンヌ・コンシニもステキですよねー。『あるいは~』の時は気づかなかったほどでしたが、『灯台守』でもよかったですよね。
タイトルは原題に忠実にお願いしたいです。ホント。

余談ですが来年公開のアルモドバルの『ボルベール』はタンゴ音楽がふんだんに使われているそうですー。
Commented by sabaha at 2007-01-07 18:13
こんばんは。
これ、素晴らしかったですね。年初1本目に観たのですが、早くも年間ベスト?みたいな(笑)。ちょっと気持ちが入りすぎる見方をしてしまいましたが、そういう見方ができるときが一番幸せな気もするので、濃い鑑賞ができました。
タイトルは、やっぱり、否定形でいてほしかったですよね。言いたいことはわかるけど、反語だからこそ、ニュアンスが深くなるのであって、そのまま言ったら意味ないですよね。
邦題ベスト、ちょっと考えたんですが、一個も思いつきませんでした(苦笑)邦題ワーストならいっぱい浮かぶんですが。「愛より強く」とか(苦笑)(2005は、「ふたりの5つの分かれ路」が、うまい邦題だなーと思っていましたです)

関係ないですが、エキサイトのトラコメ、調子悪いですか?
Commented by CaeRu_noix at 2007-01-08 02:24
わかばさん♪
ナイスチョイスな1本目!ホントにステキな作品でした。
そうそう、とにかく余韻が深くて、観た後の感動が大きかったんです。ベスト10入りさせちゃおうかくらいの手応えがありました。でも、観たばかりだからそう思うだけかなぁと、上半期に観た作品の感動を思い出したりして、10位以下にしておきました。うーん。
50のオッサン(本当は60近い)にこんなにも感情移入してしまうから不思議ですよね。お見事。
邦題はホントに残念です。今はへんな副題のついた長いタイトルのものがたくさんあるんだから、そのままでいいじゃんって思いますー。
ちらし企画ついでに邦題ベスト記事もやろうかなーと一昨年の暮れに思ったのだけど、結局やらなかったのかな。そうそう、ワーストばっかりになっちゃうんですよー。
トラコメ不具合がおこっているみたいですね・・・。
Commented by margot2005 at 2007-01-11 01:00
ヴォンソワでございます!そうわたしもそう思いました。「ために」いるんじゃないと...ラスト・シーンがそれを語っておりましたわ。タンゴを踊りたいためにここにいるんだと...
いやぁ公開されて良かったですぅ。映画祭でチケット買ったのに観に行けなかった心残りの作品でした。
フランス映画祭が今年も楽しみになって来ましたわ。今年はドヌーヴを呼ぶそうですわよね?
Commented by CaeRu_noix at 2007-01-11 12:04
margot さん♪
「ここ」とはどこを指すのかという解釈にもよりますが、ラストシーンではそんなふうに感じましたよねー。共感嬉しいです。
理性的に、保守的に、義務的に、行動することが常だった彼が、感情に突き動かされるままに踊ってくれた姿が印象的です。
やっぱりなんだかんだいっても、フランス映画祭上映作品はステキなものが多いですよねー。そうそう、今年の団長はドヌーヴなんですってね。盛り上がるのでしょうか。楽しみですー。
Commented by mako at 2007-01-12 00:12 x
こんばんは。コメントTBありがとございました。
いかにも「小さな宝石」っていうたとえがぴったりの素敵な作品でしたねー。
タイトルはあえていろんな取り方できる文にしてあるのかなあなんて気もしてきました。たぶんまた次に見たとき、その時の状況に応じてピンとくるものが年を追っても違ってくるのかななんて思ったり。そういう意味で言うと日本語のタイトルだと意味を限定しちゃってる気もしますね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-01-12 12:27
mako さん♪
キラキラっと輝きを放つ宝石のような作品でしたよねー。上手い喩えです。
そうですね。作り手の意図はあるのかもしれませんが、タイトルの意味は多様に解釈できますよね。劇場のロビーに貼ってあった雑誌記事の評には、邦題をこういうふうにした配給会社の英断をよしとしているものもありました。そう思うことさえできるらしい・・・。とにかく、そんなふうに意味を限定しないタイトルっていうのが大人のフランス映画らしくてまたいいですよねー。
Commented by マダムS at 2007-01-14 20:43 x
こんばんは♪ トラバ頂いたのに・・一向に感想書けずに失礼しました~、、やっと書けましたのでお邪魔を。
タイトルの件は色んな解釈があると思いますが、やっぱり私はこの世に生を受けたからには、誰かに「愛されるために、ココに存在している」と思いたいので、”能動説”に一票です(笑)
タンゴって素敵ですよね~♪ すんごく官能的なのね?と思ったのはやっぱりサリポタの「タンゴレッスン」なんですよ~
おお、「ボルベール」早く観たいっ!
Commented by CaeRu_noix at 2007-01-15 12:07
マダムS さん♪
お待ちしておりましたー。ありがとうございます。
んん?能動説ということは、「愛する」ということでしょうか??
そうではなくて、そのままストレートに受動態の方?
そうかぁ、誰かに愛されない人は、生まれてきた価値さえないんでしょうか?(笑) 究極的には、「愛」とは与えるものだと思っているんですが、、、ってタイトルの解釈とは関係ないっすね・・・。『人生は奇跡の詩』のレヴューからも、マダムは「愛される」を大切にしている方なのねーって思いました♪ 要は、愛だろ、愛ってことですねー?
そうそう、タンゴは官能的で美しいですよねー。『タンゴレッスン』 大好きですー。
Commented by rubicone at 2007-01-20 00:42 x
かえるさん、こんばんは!
これ、しみじみよかったです~!!タンゴのあの独特の音楽、あのステップが頭の中でぐるぐるしてます。
ジャン=クロードの深いしわに思わず見入ってしまいました、年齢を重ねるって素敵だな、って。
何ででしょうね、ヨーロッパの映画って年を重ねるのが美しく見えますよね、あんな風に年をとりたいと憧れさせてくれます。そんな彼がフランソワーズとタンゴを踊る姿に魅了されました。思い切って一歩を踏み出した、その時の二人の踊る姿は、もう感動~!でした。
Commented by CaeRu_noix at 2007-01-20 11:41
rubicone さん♪
ご覧になったのですねー。タンゴ音楽って魅惑的ですよね。あのリズムにはクラクラしちゃいます。ラストのダンスはそりゃあもう深い余韻を残すすばらしいものでしたよね。ハラハラと涙がこぼれてしまいました。
ジャン=クロードはオヤジ部門ではかなり好みでしたわ。人生の哀愁を感じさせる皺がまた魅力的なんですよね。ちょっと寂しげな瞳、かたい表情さえも印象的です。
そうなんですよ。ヨーロッパの映画は歳を重ねた中高年が魅力的なんですよねー。日本では若いにこしたことはないという風潮がありますがw。
大人ならではの深みのある味わいをもたらしてくれましたよね。こんなふうにステキに歳を重ねていきたいものです。
Commented by 真紅 at 2007-11-14 09:14 x
かえるさま、ぼんじゅーる。コメント&TBをありがとうございました。
コメント欄の皆さんが盛り上がっていてとってもうれしいですー。
本当に素敵な映画でしたね♪
私、フランス語は全くわからなくてお恥ずかしいのですが、題名にはそういう意味があったのですね。
邦題は、かなり考えられたのでしょうね。
「愛されるためにここにいるわけじゃないけど、愛するためにここにいるんだ!」
ラストのジャン・クロードの表情、私にはそう見えました♪
ではでは、またです~。
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-15 00:42
真紅 さん♪
ぼんそわ。こまんたれう゛ー?
ステキなステキな映画でした。
フランス映画って、大人の女たちに愛されてしかるべきテイストのものがたくさんあると思うのですが、どうも世間一般的には人気がないようで、もったいないよなーと思ってしまうのです。これもあまり宣伝はしない系の劇場・配給会社のものだったから、フランスではロングランヒットというのとは裏腹に日本では観た人は少なかったんじゃないかと思います。なので、せめてDVDリリース後は地道に、多くの人に観てもらえたら嬉しいです。
私は、第2外国語は仏語とっていたはずなんですが、まるで習得できませんでした。辛うじて、否定形の語を認識できるとか低いレベルのものです・・・。
邦題は個人的には、不合格タイトルなんですけど、一般的には的を射た英断タイトルという感じなんでしょうかねぇ。
私としてはあくまでも、愛されるためにでも、愛するためにでも、何のためにでもなく、理由や目的なんかなく・・・ってな感じでしたー。
ジャン・クロードの静かなまなざしこそが雄弁でしたねー。
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