かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『六ヶ所村ラプソディー』
2007年 02月 07日 |
青森県の六ヶ所村で操業予定の核燃料再処理工場のことを知っていましたか?



『ダーウィンの悪夢』や『不都合な真実』というドキュメンタリー映画のことは公開前からしっかと注目していたのに比べて、この『六ヶ所村ラプソディー』のことは公開時にはほとんど興味を持たなかったような気がする。日本人にとっては、こちらの方こそが関心を持つべき不都合な真実であるともいえるのに・・・。

ポレポレ東中野で上映されるドキュメンタリー映画にはよいものが多いのだけど、よほど興味を持ったものでないとなかなか観に行くことはない。BOX東中野で以前に観た『アレクセイと泉』や『プロミス』はドキュメンタリー映画のmyベスト10に入るほどに心に響いたものだけど、それでも普段は、どうせスクリーンで観るならばと、映像や音楽を堪能できる音楽ドキュメンタリーや自然モノを優先してしまう。
ドキュメンタリー映画の意義は劇映画とは違うものだとは思うものの、映画を趣味で観ている中では、同じ時間とお金をかけるなら、虚構ならではの楽しみのある劇映画の方が観たいと思うのが本音かな。

そんな感じで、本作の公開時にはスルーしたのだけど、mimiaさんの2006年の邦画ベストの4位に本作が挙がっていたので、そのタイトルはしっかりとインプットされた。1月に『みえない雲』を観て、原発についてを考えてみたちょうどいいタイミングで、本作がアンコール上映されていることを知り、そういうめぐり合わせを大事にしたいなぁと久しぶりに東中野へ。

六ヶ所村という名前は知っていたけれど、そこにどんな工場ができていたのか具体的には何も知らなかった私。そのことにただ呆然としてしまう。もちろん、自分が無知で、そういったものに関心を払わなかったこともあるのだけど、その計画や動向は積極的には知らされていないよう。もうずいぶん前には、住民たちも熱心に反対運動をしていた時期もあったそうだけど、結局工場は完成してしまい、もはや村で反対の声を上げているのはたった数人になってしまったという。ため息をつくしかない。それがどんな危険を孕んでいても、それを懸念する多くの人がいても、上の方で決まった計画はどんどん前に進んでいくのだ・・・。

原子力発電所そのものにも疑問はあるのだけれど、これだけ電気に依存した生活を送っている以上は、それをむやみに反対はしにくい。だけど、プルトニウムを取り出すその核燃料再処理工場についてはしっかりと反対すべきだとしか思えない。
だって、再生する必要性はないらしい。コストはかかるばかりだし、何よりも大きな危険をはらんでいる。放射性物質が放出し、海や大気中へ垂れ流されてしまう。

2004年に六ヶ所村の再処理工場が完成。
2007年8月に本格操業開始の予定だったが、3ケ月延期して、11月を開始時期とするという発表がされたばかり。昨年3月に始めたアクティブ試験(試運転)が、作業員の体内被ばくトラブルなどで遅延した影響で、本格操業時期の変更は10回目。そして、1月29日にそのアクティブ試験は、第2段階からより高次の第3段階へ移行。

六ヶ所村核燃料再処理施設とは/Greenpeace

止めよう六ヶ所再処理工場/原子力資料情報室

再処理・プルサーマルをめぐる動き

原発を考える リンク集/JanJan

『六ヶ所村ラプソディー』~オフィシャルブログ


「どうして、工場の建設地に六ヶ所村が選ばれたのでしょう?」
「辺鄙な場所だからでしょう」 そうなんだよねー。
『東京原発』じゃないけど、本当に安全だって言い切るなら、東京都千代田区内に建ててみればよいじゃないかー。

憤りとやるせなさを感じずにはいられなかった。
でも、それは自分の心のうちにおこったものであって、このドキュメンタリー映画自体はそのような怒りを顕わにしているものではない。工場に反対している女性を中心に追いながらも、工場が稼働すれば仕事を得ることができると流れにのっている人々の声も丁寧に聞いている。事故があったイギリスの再処理工場の取材も行われていて、イギリス人の話までも聞けるのは興味深い。

社会派ドキュメンタリーなのだけど熱すぎずクール過ぎず、女性監督らしい温かさのあるところがよいなと思う。社会問題として客観的事実を取材しながらも、その土地でいきいきと暮らす人々の話に耳を傾けているという優しい空気が伝わってくる。六ヶ所村で核燃を批判することはもはやタブーのようになってしまった状況でこういった映画を撮り上げるのは大きな苦労があったはずなのに、その困難をも感じさせず、押しつけがましくはなく。ただ、私たちは、ただ素朴に生活する人々を不幸にしたくない、この美しい自然を汚したくはないと思うだけなのだ。

監督: 鎌仲ひとみ

 東京原発 アレクセイと泉 プロミス

松尾教史- 「六ヶ所村ラプソディー」「ヒバクシャ」にみる鎌仲氏の戦略/市民社会フォーラム
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by CaeRu_noix | 2007-02-07 23:58 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(6)
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Tracked from keep on your.. at 2007-05-22 02:16
タイトル : 六ヶ所村の再処理施設の問題点(承)2/4
六ヶ所村の再処理施設には7つの問題があることを書きました。特に、現在の再処理施設では、完全に100%放射能を防ぐことが(コスト的に)難しい、という問題が一番大きいようですが、これらの問題はどのようなことなのか、... more
Tracked from マガジンひとり at 2007-08-27 00:02
タイトル : 『六ヶ所村ラプソディー』
@渋谷UPLINK X、鎌仲ひとみ監督。 核燃のある土地、そこに暮らす人々の声…。 2004年、青森県の六ヶ所村に原子力発電所で使った燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場が完成した。稼動に向けて動き出した巨大な国家プロジェクトをめぐってさまざまな立場の村人たちが登場する。 150mの高さの煙突から、あるいは2km沖合いに設けられた排水口から、微量に放射性物質を含んだ煙や水が排出されることに不安をつのらせる農民・漁民…補助金で村がうるおうことや工場関連の雇用が生まれることを歓迎する人々。推進派も反...... more
Commented by kusukusu at 2007-02-08 15:37 x
ご覧になりましたか。
僕はけっこうこの作品の悪口とか、言っているほうなんですが・・。
でも

>社会派ドキュメンタリーなのだけど熱すぎずクール過ぎず、女性監督らしい温かさのあるところがよいなと思う。社会問題として客観的事実を取材しながらも、その土地でいきいきと暮らす人々の話に耳を傾けているという優しい空気が伝わってくる。

>困難をも感じさせず、押しつけがましくはなく。

というのはほんと、そうだと思う。
けっこう「問題の本質をとらえていないのではないか?追求が曖昧になっているんじゃないか?」とか、理屈っぽい批判を僕は言っているんだけど、逆に言うと押し付けがましい社会派ものではないということですよね。前作『ヒバクシャ』もそうですが、そういうやわらかさを持っているから、これまで原爆、原発問題に関心をもってなかった人が見ても共感したり興味をもったり出来るのかもしれません。

Commented by とんきち at 2007-02-08 20:03 x
今正に再処理工場がフル稼働しようとしているのですね。ため息、、、。
80年代に日本政府の原子力政策に私は絶望して、それもあって海外に出たんです。自分の子供は自分で守るぞ、みたいな感じ。
六ヶ所へは行ったことはないですけど、話はよく聞いていました。
良い映画ができたようで、本当に嬉しいです。
DVD取り寄せようと思います。教えてくださって、ありがとう!
Commented by CaeRu_noix at 2007-02-09 10:05
kusukusu さん♪
その具体的な悪口はブログの記事になっていないんですっけ?
長過ぎるっていう感想は発見しましたがー。

ドキュメンタリー映画として優れた作品というんではないかもしれないけれど、私にとっては心に響く映画でしたよ。そのスタンス、方向性やバランスはほどよかったと思います。
人情ドラマが過剰すぎるのはイヤですが、製作者の姿勢があまりにもドライで冷徹だと好感がもてなかったりもしますから。熱意は伝わりながらも、向こう見ずに攻撃的なのではないのがよかったです。むしろそういう風にやわらかくアプローチをされた方が強く気持ちに訴えかけたりもするんですよね。聡明なやり方だと思います。

こういうのはその題材に興味を持った人しか観ないのでしょうけど、観た人が他の人にも観てほしいと素直に感じられるものになっていると思います。それが大事。
メインで登場する反対派の菊川さんも穏やかながらも理知的で、途中から登場した農家の女性、中立は賛成と同じだと言った方も優しく温かく、とても魅力的な人だったのがいいのですよね。人が人に共感することが核となっているのがいいと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2007-02-09 10:06
とんきち さん♪
ため息をつくばかりです。トラブルがあろうがお構いなしに進んでいく・・・。
おお、そうだったんですか。とんきちさんの日本脱出の理由の一つにはそれもあったんですね。絶望しますよね。理解できません。お金はあの世には持っていけないけど、地球とそこにある生命の営みはずっと続いていくものだというのに・・・。
疲れて反対運動もあきらめてしまった人たちもいるのでしょうけれど、まだまだあきらめちゃいけないと思っている人たちもいるのに勇気づけられます。
DVD化はまだしていないかもしれないのですが、是非とんきちさんにもご覧いただきたいですー。

おまけ
-2006年キネ旬ベスト-文化映画-
  1位 「あの鷹巣町の その後」
  2位 「蟻の兵隊」
  3位 「プージェー」
  4位 「六ヶ所村ラプソディー」
  5位 「ありがとう 奈緒ちゃん 自立への25年」
  6位 「今、有明海は 消えゆく漁撈習俗の記録」
  7位 「ヨコハマメリー」
  8位 「三池 終わらないやま炭鉱(やま)の物語」
  9位 「ディア・ピョンヤン」
  10位「戦争をしない国 日本」
Commented by kusukusu at 2007-02-09 15:18 x
>その具体的な悪口はブログの記事になっていないんですっけ?

なってません。ドキュメンタリー関係者の人と口で議論する時に言っている話。まあ、きちんと記事に出来ないぐらいのものですから単によっぱらいのたわごとだと思ってください。

キネマ旬報のベストテンだと、「あの鷹巣町の その後」と「ありがとう」は大好き。大絶賛ですね。
「六ヶ所村ラプソディー」「三池」「戦争をしない国 日本」はやや否定的か。
「蟻の兵隊」「ヨコハマメリー」も面白くはあったけど全面的にいいとは思わない(ちょっと引っかかるところがある)。
他の3本は見ていません。
という感じですが、基本的にはドキュメンタリーはかなり注目できるものが次々、つくられていて、充実していると思います。食わず嫌いでなく見てやってください。
そういえば僕のマイミクシィの大道映画人さんの映画『ひめゆり』も近くポレポレ坐で公開されるそうです。(僕は未見ですが。)
Commented by CaeRu_noix at 2007-02-10 11:46
kusukusu さん♪
作品論な悪口はブログに書くよりか、よっぱらいのたわごとであれ、関係者のみなさんで議論するっていう方が意義深そうですね。

「あの鷹巣町の その後」って、「あの」鷹巣町のことさえ全然知りませんでしたが、なかなか興味深いですね。多様な社会問題が題材となっているんだなぁということに改めて気づかされ・・・。
「蟻の兵隊」「ヨコハマメリー」は中ではかなりヒットしていた印象があります。
充実しているというのは喜ばしい限りですー。
食わず嫌いで観ないということではないんだけど、優先順位が低いのは事実でっす。レディースデーやっているような劇場でかかっていると観る可能性も高まるんですが(笑)。内容的にはNHKの番組なんかでやっていそうなものだから、劇場に観に行こうとは思わないというのもあるし。もちろんNHKでは取上げないようなものをじっくり撮っているものもたくさんあるのでしょうが。(そういうのをTVで真剣によく観ているわけでもないし。)
でも、よいもの、観るべきものは、逃さず観られたらよいです。
『ひめゆり』という題材にも興味は惹かれないんですがチェックしてみますー。
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